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掲載日:2009年8月17日


国土交通省によると、2008年度の建設投資額は47兆2300億円。前年比で1.4%のマイナスとなった。補正予算の効果が表れて政府建設投資は11%増えたが、民間住宅投資は7%減、民間非住宅投資は16%減。不景気の影響を強く受け、民間建築を中心とした受注環境は悪化している。その結果、09年3月期の大手ゼネコン4社の決算は、鹿島と大成建設が赤字、清水建設と大林組も減益で終わった。
ここ数年の建設業界では、市場の縮小が続いている。短期的に増えている政府投資も、財政再建という課題があり、長期的には減少傾向に戻るだろう。また、06年1月に改正独占禁止法が施行され、談合やカルテルへの罰則が格段に強化された。そこで、「公共事業への依存」「談合など古い慣習」といった従来型のビジネスモデルから脱却することが、建設業界には求められている。
大きな課題は、やはりコンプライアンス(法令遵守)の強化だ。改正独占禁止法が施行された後も談合事件の発覚が続いており、建設業界への不信感は根強い。各社には、コンプライアンスをどうやって実現するのか、具体的な対応策が強く求められている。また、05年に起こった「耐震偽装問題」も、建設業界に大きな影響を及ぼした。法令をしっかり守りながら、建設期間やコストを圧縮することが必要だ。
「脱・談合」によって、他社との価格競争は厳しさを増している。そこで、得意分野や独自技術、新しい市場を確立することも重要。例えば、建物のなかで植物を生産する「野菜工場(植物工場)」は、有力な新分野の一つだ。人工照明や太陽光を利用し、養液栽培によって計画的に野菜を育てる施設で、病原菌や害虫の心配が少ない、気象条件の影響を受けにくい、狭い土地でも大量の野菜を生産可能などが長所。食材の安定的な供給源として外食産業が注目しており、政府も建設費を補助する制度を導入し、追い風が吹いているところ。ゼネコン各社は、施設の建設だけでなく、運営ノウハウまでも提供して、受注増を目指している。また、二酸化炭素の回収・貯蓄や、超高層ビルの制震技術といった分野も、有望。自社の強みを見極めて得意分野に投資し、他社との差別化を図れるかどうかが各社にとって大きな鍵となりそうだ。また、グローバルな建設市場にも注目。現地の技能工不足、商習慣の違い、為替や地政学的リスクなどの課題もあるが、海外の巨大な市場を狙う企業は多い。
業界再編の可能性も高い。現在、建設業界には約55万社があると言われるが、縮小傾向の市場に対して企業の「過剰感」は強い。今後は高い技術力を持つ企業が、他社を吸収・合併していく可能性も十分にあるだろう。
【おさえておきたい情報をピックアップ!】
| 耐震偽装問題対応によるコスト増 | 05年11月、「耐震偽装問題」が表面化したことを受け、07年に改正建築基準法が施行。一定以上の高さがある建物では、第三者機関による構造審査が必要となり、建設のコストも期間も、以前よりかかるようになった。こうした状況で利益を出すため、より短期間・低コストで建物を作る工夫が必要となっている。 |
|---|---|
| 「談合決別宣言」後の利益率低下 | 06年1月に改正独占禁止法が施行されたことを受け、鹿島、大成建設、大林組、清水建設の大手4社は「談合決別宣言」を行った。事業環境の厳しさも重なり、各社の競争が激しくなって請負金額が下がり、工事利益率も低下している。 |
【このニュースだけは要チェック!】
・大成建設が、新宿センタービルに対する長周期地震動対策工事を完了。既存の超高層ビルに対し、地震による「ゆっくりとした長い揺れ」の被害を低減するための技術として注目されている。(2009年7月27日))
・鹿島が東京都調布市の研究センター内に建設していた新実験棟が完成。地球温暖化対策、環境浄化、生物・バイオ、新エネルギーなど環境関連分野を中心とした研究開発を行う。(2009年4月14日)

取材・文/白谷輝英 撮影/加納拓也 イラスト/坂谷はるか デザイン/ラナデザインアソシエイツ