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掲載日:2012年3月26日


化粧品、食品、洗剤、トイレットペーパーなどを安く販売することで集客し、原価率のよい医薬品で利益を得るのが、ドラッグストアのビジネスモデルだ。扱う医薬品は、医療機関などで使われたり薬局で処方されたりする「医療用医薬品」ではなく、市販薬、OTC薬などとも呼ばれる「一般用医薬品」が中心。なお、一般用医薬品は副作用のリスクによって第一類、第二類、第三類医薬品に分類される。第一類は薬剤師だけが販売できるが、第二類・三類は登録販売者でも販売が可能だ。
不景気の影響で小売業全般が低迷している中、ドラッグストアは順調に成長を続けている。日本チェーンドラッグストア協会によれば、2010年度の市場規模(総売上高)は5兆6308億円。これは、対前年度比で3.4パーセントのプラスだ。11年度も、夏の電力不足によって熱中症対策商品などの売り上げが伸びた。大手ドラッグストアチェーンの業績は引き続き堅調と言える。ただし、ここ数年の大手による出店攻勢で、都市部などでは市場が飽和状態に近づきつつある。07年度の市場規模は対前年比で6.2パーセント増だったが、08年度は5.4パーセント、09年度は4.0パーセント、10年度は3.4パーセントで、成長は鈍化傾向だ。
さらに、09年6月に薬事法が改正されたことで、登録販売員がいれば第二類医薬品と第三類医薬品の販売が可能となった。そのため、コンビニなど他業種が医薬品販売に参入しやすくなり、競争はさらに激しさを増している。また、改正薬事法では第三類医薬品のインターネット販売が認められた。そのため、通販事業者がドラッグストアのライバルに成長する可能性も指摘されている。ただし、医薬品には安全性が求められることから、対面販売を義務づけるべきだという声も根強い。ドラッグストア業界志望者は、医薬品のネット通販に関するニュースをチェックしておこう。
競争の激化に対し、各社は経営力の強化を目指している。まず目に付くのが、M&Aや業務提携などによる業界再編への動き。ドラッグストア業界では、上位10社のシェアを合計しても、全市場の35パーセント程度に過ぎない。そのため、大手が中小規模のドラッグストアを吸収し、経営効率や購買力(バイイングパワー)の向上を目指す動きが盛んだ。また、不採算店舗の閉鎖・好立地店舗の開設など、店舗構成の見直しも加速すると考えられる。
異業種とコラボレーションする試みも始まっている。代表格は、コンビニチェーンとの協業だ。マツモトキヨシホールディングスは、ローソンとの共同店舗を10年7月に開設。また、「セイジョー薬局」を手がけるココカラファイン ホールディングスも、サークルKサンクスとの共同店舗を10年5月にオープンした。ただし、ドラッグストアとコンビニの提携は注目されてはいるが、現在のところ、際だった成果にはつながっていない。今後は、下記ニュース記事で紹介したような新業態店舗の取り組みに注目が集まりそうだ。
【押さえておきたい情報をピックアップ!】
| 店舗の大型化 | 日本チェーンドラッグストア協会によれば、2000年度時点で30坪以上の店舗の割合は約70パーセント。しかし、10年度には90パーセント近くまで増えた。店舗の大型化は今後も続くとみられ、中小規模の企業はさらに厳しい競争環境にさらされそうだ。 |
|---|---|
| 薬事法 | 医薬品、医薬部外品、化粧品および医療機器に関する運用などを定めた法律。2009年6月の改正によって登録販売者制度が設けられたことで、コンビニ、スーパー、家電量販店など他業種からの医薬品小売業への参入・提携、新業態の開発などが加速している。 |
| OTC薬 | OTCとは、「Over The Counter:オーバー・ザ・カウンター」の略。薬局などで調剤される医薬品ではなく、カウンター越しに販売される医薬品、つまり薬局・ドラッグストアなどで販売されている一般的医薬品を指す。 |
| 薬剤師/登録販売者 | 薬剤師は医療用医薬品の処方監査・投薬業務のほか、一般用医薬品(OTCや漢方薬など)の購入相談業務などを行う。一方、登録販売者は一般用医薬品を販売する資格で、販売できるのは一般用医薬品のうち第二類医薬品および第三類医薬品に限られる。 |
【このニュースだけは要チェック!】
・ココカラファイン ホールディングスとサークルKサンクスが提携し、「セイジョー阿佐谷北店」内に「サンクスミニ阿佐谷北二丁目店」を開店。ドラッグストア内に小型のコンビニを開設し、集客力の強化と来店客の利便性向上を目指している。(2011年12月9日)
・マツモトキヨシホールディングスが、グループ会社である弘陽薬品(大阪市)、イタヤマ・メディコ(甲府市)の完全子会社化を実施。中小規模の薬局・ドラッグストアチェーンを傘下に収め、規模の拡大を進めている。(2012年2月10日)
【この業界とも深いつながりが!】

取材・文/白谷輝英 撮影/平山 諭 イラスト/坂谷はるか デザイン/ラナデザインアソシエイツ