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掲載日:2009年9月7日


社団法人日本レコード協会によると、1998年は約6000億円に上った音楽ソフト(CD、カセットテープ、音楽ビデオなど)の市場規模は、2008年には約3600億円まで縮小した。CD購買の中心層である若者の減少、携帯電話など音楽以外への支出の増加、ファイル交換ソフトの出現といった要因が重なり、CDの販売環境は非常に厳しい状況だ。
一方、アップル社のiTunes Storeなどパソコン・携帯音楽プレイヤー向け音楽配信サービスや、「着うたフル®」といった携帯電話端末向け音楽配信サービスなどの有料音楽配信市場は成長を続けている。08年の売り上げは約905億円で、前年比20%増。CDの売り上げ合計が 約2912億円(シングルCDが約398億円、アルバムCDが約2513億円)であることを考えると、かなりの規模にまで成長してきたと言える。また、ここ数年は野外で開催される大規模な音楽イベントが注目を集めてきた。「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「FUJI ROCK FESTIVAL」などのいわゆる「ロックフェス」は、10万人規模の観客を集め、大きな収益を生み出している。
従来の音楽業界は、「CDを売るためにテレビに出たり、ライブを行う」という考え方が主流だった。しかし、CDが売れない時代がやってきたことで、「ライブの集客を増やしたり、物販につなげるためにCDを販売する」方向にシフトしつつある。すでに海外では、マドンナやU2といった超大物アーティストが、レコード会社からコンサート運営会社に移籍。売り上げの軸足をライブなどに移す姿勢を明らかにしている。日本でも、CD売り上げへの偏重から脱却し、ライブ入場料、グッズ販売、ネット配信、音楽ビデオの販売といった総合的な活動を通じて売り上げを伸ばそうとする動きが進むだろう。
ユーザー発の音楽コンテンツにも、ぜひ注目しておきたい。例えば、アマチュアミュージシャンの楽曲を無料で配信するサイト「muzie」では、09年7月時点で15万曲以上が公開されている。また、メロディと歌詞を入力することで音声を合成できるDTM(デスクトップミュージック)ソフト「VOCALOID2 初音ミク」で作成された楽曲が、YouTubeやニコニコ動画などに多数投稿され、人気を博している。こうしたユーザー発の楽曲は無料であるケースが多く、既存の音楽業界の収益構造を壊す一因となっているが、一方では既存の音楽業界の活性化にも役立っている。なかには、動画投稿サイトなどを通じてメジャーデビューを果たすアーティストもおり、新しい才能の発掘場所として目が離せない存在だ。
【おさえておきたい情報をピックアップ!】
| ロックフェス | いわゆる「夏フェス」などの大イベントは、莫大な入場料・物販収入を生み出している。今後は入場者数を伸ばすために、イベントの更なる進化、リピート率の向上を目指す必要がある。 |
|---|---|
| DVDなど音楽ビデオの販売 | ライブやプロモーション映像を扱った「音楽ビデオ」の08年売り上げは約656億円で、前年比13%の増加。09年に入ってからは成長速度が落ちたが、シングルCDの2倍近い市場規模という有望な分野に育ちつつある。 |
| ネット配信 | CDの発売に先がけて「着うた先行配信」を行うなど、CD以外のチャネルで楽曲を売る手法を模索。なかには、配信限定で楽曲を提供するアーティストも登場している。 |
【このニュースだけは要チェック!】
・男性3人組バンドabsorbが、自らの楽曲「桜ノ雨」を「VOCALOID2 初音ミク」に歌わせ、ニコニコ動画に投稿。卒業式で使いたいというオファーが集まって話題となり、後にメジャーデビューを果たす。ユーザー発音楽コミュニティの盛り上がりを示す好例。(2008年2月23日)
・ロックユニットB’zが、夏フェス「SUMMER SONIC 09」にスペシャルゲスト出演。単独で大観衆を集められるような大物アーティストを招聘することで、大型ロックフェスを更に活性化しようという試みだ。(2009年8月8日)
【この業界とも深いつながりが!】

取材・文/白谷輝英 撮影/加納拓也 イラスト/坂谷はるか デザイン/ラナデザインアソシエイツ