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掲載日:2010年11月8日

Vol.64 セキュリティ(警備業)編

大手企業は研究開発や設備投資を積極的に行い、
ハイテクを活用した「機械警備」に注力している

オフィスビルや個人宅などの契約先に警報機器などを設置し、不審者の侵入や火災発生などを監視して対処する「機械警備」は、まだまだ伸びしろのある分野。大手企業を中心に、各社が力を入れている。

警備業について定めた法律「警備業法」が施行されたのは、「水と安全はタダ」という意識が根強かった1972年。しかし、90年代の終わりごろから窃盗・強盗事件の発生件数が増加。一方、犯罪の検挙率は低下しており、警備業への需要は高まっている。警視庁「平成21年における警備業の概況」によると、2009年の市場規模は3兆1137億円。00年に比べると27.3%も拡大した。ただし、ここ数年は不況の影響などで、頭打ちの状況だ。

企業規模としては、業界1位のセコム(10年3月期売上高6547億円)と2位の綜合警備保障(同2786億円)が飛び抜けた存在。3位のセントラル警備保障(同389億円)以下に大きな差をつけている。一方、警備事業者約9000社のうち、85.5%が従業員数100人未満の中小企業だ。つまり、大手2社と中堅・中小企業とに、くっきりと色分けされた業界といえる。

大手企業が力を入れているのが、オフィスビルや個人宅などの契約先に警報機器を設置し、不審者の侵入や火災の発生を発見して対処する「機械警備」。日本にある民間企業の事業所数は約600万との統計があり、顧客開拓の余地は非常に大きい。さらに、今後は顧客情報の流出などを防ぐ「情報危機管理」業務へのニーズが高まると見られている。高齢者を中心とした個人顧客も有望な市場。高齢者世帯を狙った強盗などの予防だけでなく、救急が目的でホームセキュリティを導入するケースも増えつつある。

一方、オフィスビルなどに警備員を配置して行う「常駐警備」も、警備会社にとっては大きな収益源だ。大規模な研究開発投資や設備投資を行う余裕のない中小事業者は、常駐警備のみを手がけるケースが多い。このところ、検定資格者の配置基準の施行や、労働基準法の改正などでコスト負担は増大傾向。一方、景気低迷の影響を受け、一般的な常駐警備については警備料金の下落が激しい。そのため、安値受注の蔓延に憂慮する声が高まっている。

大手企業は豊富な資金力を生かし、研究開発や設備投資を進めている。例えば、金属バットなどで叩いても割れないガラス、顔を覆った状態ではチャイムが鳴らないインターホン、顔を自動的に認証し、登録された人物を発見・通報するシステムなど、新しい商品を開発。また、未来の企業警備に不可欠とも言われる「警備ロボット」の導入も始めており、警備のハイテク化が進行中だ。今後は、「常駐警備中心の労働集約型業者」と「高機能機器を駆使するハイテク業者」との二極化が、さらに激しくなるとみられる。大手による買収や、異業種からの参入も相次いでおり、業界再編の可能性も十分にありそうだ。

【押さえておきたい情報をピックアップ!】

警備業の種類について整理しよう

機械警備 警備業務の対象施設とは別の基地局で、テレビモニターや各種のセンサーを使って施設を監視。侵入・火災などの異常を感知した場合、警備員が現場に駆けつける業務。今後の需要増大が見込まれ、利益率も比較的高いが、システム開発や設備の導入に大きな投資が必要。
常駐警備 対象施設に警備員を派遣し、出入者の監視や施設内外の点検、不審者・異常個所の早期発見などを行う業務。空港や原子力発電所といった重要施設の警備、各種イベントにおける警備、要人の身辺警護などの分野では、専門的なノウハウを持つ企業が存在感を発揮している。
運搬警備 現金、貴金属、美術品といった貴重品の運搬時に、盗難などの発生を防ぐ業務。コンビニエンスストアなどに設置されているATM(現金自動預け払い機)の増加に伴い、需要が増加している。

【このニュースだけは要チェック!】

大手2社の新たな試みに注目しよう

・セコムが、事業所の電気・ガスなどの使用状況を計測する「セコム・エコデータシステム」の販売を開始。10年4月から施行された「改正省エネ法」でエネルギー使用量の年次報告などが義務づけられた事業者に対し、記録・集計を省力化するシステムを提供。(2010年6月18日)

・綜合警備保障のホームセキュリティシステム「ALSOKホームセキュリティα(アルファ)」が標準装備された、大和ハウスの新型賃貸住宅が販売開始。住宅メーカーと協力してホームセキュリティを広めるケースは、今後も増えそうだ。(2010年8月6日)

この業界の指南役
日本総合研究所 研究員 山浦康史氏
日本総合研究所 研究員 山浦康史氏
慶應義塾大学大学院工学系研究科修士課程修了。通信・メディア・テクノロジー分野を中心としたさまざまな業界における経営戦略・計画策定、事業性評価、新規事業展開支援、R&D戦略策定支援などのコンサルティングに従事している。
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取材・文/白谷輝英 撮影/加納拓也 イラスト/坂谷はるか デザイン/ラナデザインアソシエイツ

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