就職ジャーナル | 1日10分の社会勉強サイト

HOME > 女性 > WOMAN’S CAREER > クレディ・スイス証券株式会社

WOMAN'S CAREER 女性総合職ってどんな感じ?

掲載日:2010年6月4日

Vol.46 機関投資家の戦略に合った金融商品を設計・提案する

続けることが大事。金融の仕事は経験を積むほど面白くなる

デスクのマルチモニターでは、多くの商品の値動きを瞬時に確認できる。

大学で経済学を学び、日系信託銀行に入社。自分の学んだことを生かせる場所で、いずれは商品開発に携わりたいと考えていたが、すぐに実現できると踏んでいたわけではない。窓口業務を経て、入社2年目に住宅ローンの融資業務を担当。任されたこと以上の仕事を心がけ、一歩ずつキャリアを積み重ねていくつもりだった。だが、当時の日系銀行は女性総合職が少なく、いわゆる男性社会。「女性だから」という理由で機会や処遇の差を感じることも多かった。女性が長く働けそうな環境に身を置きたいと考え、入社3年目にオーストラリア系銀行に営業職として転職した。

日系銀行での経験を生かし、当初は銀行部門で融資や資金調達を通して顧客企業の財務戦略・事業戦略をサポートするコーポレート・ファイナンスを担当。その後、証券部門へ異動し、デリバティブ(金融派生商品)を扱ったことをきっかけに、一橋大学大学院の夜間コースで金融工学を学び始めた。デリバティブとは株や為替、債券など従来からある取り引きから派生した商品。より効率的な資産運用を狙う顧客のニーズにこたえ、証券会社はさまざまな新商品を生み出しているのだ。永原さんが勤務していた銀行では商品を他社から購入していたが、デリバティブの開発は高度な数理知識に基づき、既存商品を複雑に組み替えて行われるため、購入する側は適正価格を判断しにくい。値付けを理解するために、金融工学を身につけたいと考えたのだ。

部下とは気軽に意見を交わせる関係。相談を受けたときには的確に指示を出す。

大学院に通い始めて2年目には金融機関のシステム開発で定評のあるコンサルティング会社に転職。ファイナンシャルエンジニアとして金融工学を使ったモデルの開発に携わり、仕事でも大学院でも金融理論の研鑽を重ねた。
「大学院の3年間は集中的に金融工学を学び、全体像をつかむことはできましたが、金融工学の理論を駆使してモデルを開発する仕事には自らの限界を感じました。ただ、自分に合った仕事がわかったことは大きいですね。私は金融工学を究める研究者にはなれない。だけど、不安を感じずに商品を扱えるだけの知識は得たし、お客さまのお話をうかがうのは好き。お客さまの投資戦略を理解し、ニーズに合った商品を考える仕事なら適性があると思いました」

英国系証券会社を経て、31歳でクレディ・スイス証券に入社。入社後5年間は金利や為替に関連の派生商品の開発を担当した。
「当社に入って一番うれしかったのは、これまでに日本になかった商品による大規模な資金調達に成功したとき。お客さまと当社の関係者双方が満足できる取り引きを実行できたときは充実感がありますね。商品開発にあたっては、経済指標や新聞、テレビのほか、営業やトレーダー、お客さまのお話などさまざまな情報源から市場の動きを予測し、リスク分散を考えながら既存商品を組み合わせて新しい商品を作ります。自分なりに世界経済の動きが読めるようになったのは、30代になってから。経験を積むと市場予測の勘どころもわかるようになってくるので、金融は続けてこそ面白くなる仕事だと実感しています」

2009年7月には管理職に昇進。現在は機関投資家に対し、債券派生商品を提案・販売する営業チームの部長として活躍している。おもな顧客は金融機関で、取引先は300社を超える。
「メンバーに動いてもらうのは簡単ではありませんが、商品開発の仕事と大きな違いは感じていません。商品開発は、市場を熟知したトレーダーと、お客さまのことを一番知っている営業の間に立ち、法務や経理とも相談しながら一つの商品を作り上げていくプロジェクトマネージャーのような仕事でしたから。管理職に必要な力というのは、それまでの仕事に一つひとつきちんと取り組むことで自然と培われるのかもしれません」

ところで、同社では女性が働きやすい環境を作ることを目的に、部門を超えたコミュニケーションを支援する活動「ウィメンズフォーラム」を定期的に開催しており、社内外で活躍する女性に話を聞く機会を設けている。永原さんもゲストスピーカーとして招かれ、後輩たちの相談に乗ることもあるという。
「金融業界で働く女性が以前より増え、10年ほど前を境に女性が働きやすい風土が育ってきました。私のチームも3分の1は女性ですし、管理職になる女性も増えています。ただ、営業で他社にうかがうと、会議に参加する女性は数えるほど。これから金融業界で働く方たちも男性社会だなと感じる場面はあるかもしれません。だからといって現実を真っ向から否定してあきらめるのはもったいない。現実を一度受け入れ、少しずつ変えていくことが大事だと思います。それから、何よりも心強いのは地道に知識やスキルを身につけること。仕事に自信が出てくれば、風向きも変わってきます」

永原さんのキャリアステップ

STEP1
社会人1年目 日系信託銀行に総合職として入社
1995年に入社し、窓口業務や集金などの銀行業務全般をローテーションで経験した後、住宅ローンの融資を担当。女性総合職が少ない時代で、同期の総合職74名中女性は1名。男性社会のなかでキャリアを構築する難しさを感じた。
STEP2
社会人3年目 オーストラリア系銀行へ転職
転職したのは97年。コーポレート・ファイナンスを担当後、証券部門へ異動。金融派生商品に興味を持ち、金融工学を学んで仕組みを理解したいと2000年より一橋大学大学院国際企業戦略研究科に通い始める。
STEP3
社会人7年目 大学院と仕事を通し、金融工学について学ぶ
01年8月に世界各国の金融機関のシステム開発、コンサルティングを手がける企業に転職。夜間は大学院で学びながら、ファイナンシャルエンジニアとして金融モデルの構築を担当。実践と研究の両面から金融工学の知見を深めた時期。
STEP4
社会人10年目 クレディ・スイス証券に入社。金融派生商品の開発を担当する
03年11月に金融系ITコンサルティング会社を退職後、英国系証券会社を経て04年7月にクレディ・スイス証券に入社。金利、為替の派生商品の開発から取り引きまでを担当。
STEP5
社会人15年目 債券本部債券商品営業部長に就任
おもに金融機関に対し、債券派生商品を提案・販売する債券商品営業部の部長に就任。マネージング・ディレクター職(ディレクター職の上の職位)の社員と2人で13人のチームを統括している。

ある一日のスケジュール

7:30
起床。週1〜2回ある地方出張の日は、5時ごろに起床。朝食は会社で。
8:20
身じたくをして家を出る。
8:30
出社。チームの報告会(週1回)や商品部からの商品紹介(週1回)などの打ち合わせ。
9:00
メールチェック。社内のリサーチレポートや依頼事項が多い。7割が英文。依頼や問い合わせに対応しつつ、部下からの相談に乗る。
11:30
買ってきたランチをデスクで食べる。
13:00
営業担当と一緒に顧客である生命保険会社へ。財務部の社員に中長期の投資戦略についてヒアリング。
15:00
タクシーで大手都市銀行へ移動。銀行の資金運用部門の行員と顔合わせ。
17:00
別の銀行と打ち合わせ。商品部の行員に金利派生商品の提案を行う。
19:00
会社に戻る。部下と個別案件についてミーティング。
20:00
アジア、北米、南米など世界中の商品部門の社員とやりとりし、組成する商品について検討を行う。海外の営業担当からの日本の商品に関する問い合わせも多く、随時対応する。
22:00
退社。やりとりをする国の時差によってはさらに仕事をする。会食の約束がある日は、19時〜20時に退社することも。会食のない日の夕食はデスクで。
2:30
入浴後、就寝。

永原さんのプライベート

実家で姪たち、夫と。福岡県に住む姪たちのことはとても可愛がっており、お土産を買うときにはつい財布の紐が緩くなるとか。不動産・建設会社を経営する夫とは大学院で知り合い、2009年7月に結婚。
東京に遊びに来た母、姉と「ザ・ペニンシュラ東京」にて。年1回、長期休暇を5日間連続して取得できる制度があるので、家族に会ったり、海外旅行に出かけたりする。
オーストラリア系銀行時代の同僚の結婚式で。これまでに勤務した会社の同僚との交友関係は大切にしている。現社に入社したのもかつての同僚が同社に転職し、「働きやすい」と聞いたのがきっかけ。

自己分析・考える練習に!

10分トレーニングに挑戦する!
この記事を共有する

取材・文/泉彩子 撮影/刑部友康 デザイン/ラナデザインアソシエイツ

  • バックナンバーはこちら
page top