
- チームメンバーとリカちゃん商品で遊びつつ、構造の面白さなどをチェック。新しい遊び方の発見も。
子どもが楽しく成長できる場に携わりたいと考えた乗松さん。タカラトミーに入社を決めたのは、「幼少期に大好きだったおもちゃを手がけていた会社で、自分も思い出に残るような商品を手がけていきたい」と考えたからだという。
入社1年目には、ガールズ事業室にて女の子向けのおもちゃを企画。初めて手がけたのはシステム手帳型のおもちゃで、お化粧セットやばんそうこうセットなどのリフィルをつけた。
「先輩のアドバイスを受けながら試行錯誤を繰り返してできた商品。街ですれ違った女の子が偶然それを持っているのを見た時は、思わず駆け寄ってしまいそうになりました。『遊んでくれてありがとう』という気持ちで、ボロボロ泣いてしまいましたね」
その後、マーケティング部門を経て、再び商品の企画販売を手がけるガールズ企画室に異動。女の子向けのテレビ番組キャラクターを用いて開発した電子ゲームがヒット! 続く第2弾では、異業種とコラボレーションするカードゲームを考案。約10万個を売り上げる大ヒットに。
「小さな妖精が出てくる物語だったので、第2弾ではカードにつけたおもちゃ用のバーコードを読み取り、妖精キャラクターを集めるゲームを企画しました。文具やお菓子、マンガ雑誌、CDなどとも連動して遊べるようにするため、異業種メーカーとの連携を図りましたが、想像以上に大変でしたね」

- 自身が企画したロングセラー商品「カプセルシールメーカー ポップル」。写真は開発当時のもので、左奥が現在販売中の商品。
文具や菓子、飲料など、多様なジャンルのメーカーを相手に、ゲームの意図や共同開発のメリットを話して協力を仰いだ。しかし、企業によって事情はさまざま。担当部門が複数にわたるため、社内調整に難色を示す企業もあれば、バーコードを読みとれないパッケージ素材を使っている企業も。そのたびに、乗松さんは対応策を必死で考え、理解を得るための説得を繰り返したという。
「仕事は、1人だけではできないもの。それを強く実感しました。多くの人の協力があったからこそ、遊びの可能性を大きく広げることができた。相手の力を引き出し、気持ちよく仕事してもらえるよう調整することの大切さを知ると同時に、1人では不可能なことでも周りを巻き込めば実現できると考えるようになりました。これは私の仕事観の根本となっています」
入社8年目には、おもちゃの小売店を回り、販売のサポートをするフィールドサポートを経験。ディスプレイや店頭イベントの提案・実施など、これまでとはまったく異なる仕事だ。最初は戸惑ったが、現場を知ることで視野が広がり、消費者の目線をさらに意識できるようになった。また、この時におもちゃにまつわるイベントや実演販売も手がけたが、そこで自由な遊び方をする子どもたちの姿を見たことも大きな糧となる。
「おもちゃは、単なるモノでなく、『遊び』そのものなんです。楽しかった体験まで全部含めてこそのもの。ただ売って終わりではなく、おもちゃを使って遊び、思い出を創ってもらうところまで考えることが必要です。小売店の方の『おもちゃは、パッケージを開けて初めて命を持つ』という言葉が、今も深く心に残っています」
乗松さんは2010年、新設された部署「企画推進チーム」のリーダーとなった。2人の部下とともに、商品事業部門ではなかなか時間をかけて行えない、子どもや遊びそのものの分析や、すでに商品化されているおもちゃの調査や遊びこみなど、企画・開発に必要な情報の収集を手がけている。また、全社のおもちゃを集め、さわって遊べる展示会を社員向けに開催するなど、消費者目線での「気づき」を得るためのイベントも実施。前例のない部署で、しかも人生初の管理職。方向性の決定やチーム・マネジメントにおいて難しさを感じることもあるが、これまで経験してきたすべてが役立っているという。
プライベートでは2004年に結婚。夫とは、「家事はお互いにこなし、そして頑張り過ぎないこと」という共通の意識があるため、仕事と家庭の両立に負担はまったく感じていない。
「仕事は、自己実現の場だと思っています。1人ではできないことも、会社を通して実現していける。自分の気づきが開発者たちにも広がっていく面白さと、そこから当社が発信する遊びの可能性が広がっていくことにやりがいを感じています」