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ビジネスパーソン研究FILE

掲載日:2010年11月05日

Vol.106 新たな技術を生み出し、世の中に貢献していく

専門知識もないまま、海外顧客の技術サポート担当に。必死で学び、シゴトの面白みを発見!

「世界に通用するモノづくりで、自分の仕事に愛着と誇りを持って働きたい」 そう考えた山岸さん。入社直後、希望通りに海外技術サポート部に配属された。
「私たちの会社ではモノづくりに不可欠と言える『切る、削る、磨く』という3つの技術を提供しています。具体的には半導体・電子部品を製造するための装置と加工用の工具を手がけています。ほとんどの製品をお客さまの要望に合わせてカスタマイズしていきますが、仕様が複雑なものも多く、営業担当だけではカバーできないケースもあるんです。私の仕事は、お客さまと開発サイドの橋渡しをする、いわば調整役。お客さまの要望を汲み取り、海外拠点の営業・技術者にそれを伝え、どう実現していくかを一緒に考えていきました」

最初のうちは専門知識の習得と、慣れない英語を使いこなすことにひと苦労。
「日本語での用語すら専門的でわからないのに、それをまた英語に翻訳したり、現地と電話のやりとりもしなくてはならない。学生時代、語学学校に通ったことはあったけれど、英語が得意なわけではなかったので、正直、青ざめました(笑)。先輩に指導を受けながら、資料作成や社内調整などを必死でこなしていましたね」

装置の前でマニュアルを読みふけり、わからない部分は自分で調べて勉強する日々。英語力も業務の中で着実に磨いていった。
「自分なりに技術の解釈ができるようになり、先輩たちが『この世にまだ存在していない装置』をつくり上げていく姿を見て『面白いなあ』と感じるようになりました。どんな仕組みを使い、どんなプロセスで動かすのかを想像し、技術者と一緒にチャレンジを重ねていく。技術力のない自分も、発想力で『いまだかつてないモノ』を生み出していけると感じ、ワクワクしました」

入社2年目、ついに独り立ちすることになり「これからは自分の力でやるしかない!」と一念発起。自らが前面にでることで調整・交渉スキル、技術知識、語学力が一気に伸びていった。
「ドイツ、中国、シンガポール、ポルトガルにまたがるお客さまの窓口役として、長期的にひとつの案件に携わることになりました。ディスコ独自の新技術を駆使し、従来とはまったく違うプロセスでお客さまの要求する加工品質と加工速度を達成することがミッション。まさに、新技術の実現にどっぷり身を置くことになりました」

例えば携帯やデジカメで使うSDカード。パッケージの大きさが決まっているため、データ容量を増やすためには中に入っている半導体チップを薄くして重ねる必要がある。従来型の技術では、円盤状の半導体素材を薄くしてから、小さくチップを切り出していたが、薄くなった素材は割れやすく、切断しにくいため、生産スピードが上がらないという課題があった。山岸さんたちが挑戦したのは、この課題を根本的に解決する画期的なプロセス。実現すれば、素材の取り扱いがしやすく、生産スピードも上がるメリットがあるが、あと一歩のところでお客さまの要望を満たすクオリティーに届かない。チーム全員で必死の闘いが始まった。

営業担当者と電話でやりとり。技術的な問題について、解決の糸口となりそうな情報を提供する。

大きな壁を乗り越えて、新技術を開発。ドイツ赴任で、さらに仕事力を磨いた

山岸さんは、海外と国内の技術者たちとともに、プロセス実現のための実験を繰り返す。実験室に2週間こもり、条件をクリアするための方法をとことん考え抜いたという。
「最終的に、切断用の工具である『ブレード』を特殊な方法で製造すればうまくいくはず、という結論が出ました。が、工場からは『安定的に供給できないブレードを製品として提供するわけにはいかない』という答えが。再び実験を繰り返したけれど、やっぱりどうにもうまくいかない。海外の技術者たちの熱意ある訴えを聞くうちに、『今はこの要件を達成することが一番大事。そのためには、私が工場との間に立って説得する以外にない!』と決意しました」

山岸さんは広島の工場を訪ね、ブレード製造のリーダーに実験の結果をすべて見せ、説得を重ねた。さらに、関係部門のリーダーや海外拠点のボスなどを順番に口説き落とし、ついにブレード製造にこぎ着けた。
「何とか条件をクリアできた時には達成感でいっぱいでした。その後、ブラッシュアップを経たこのプロセスは、ディスコ独自の技術として確立されました。あの時、ムリを押してチームみんなで頑張ったからこその新技術。一つひとつの小さな努力が新しいモノを生み出し、お客さまを通して最終製品となり世の中に送り出していくことにつながっていく。モノづくりの本当の面白さを知った瞬間でした」

この時から、山岸さんの仕事への姿勢は変化する。最前線の営業担当や技術者にベストの仕事をしてもらうため、全体の流れをイメージすることはもちろん、「相手が誰であっても怯まず、伝えるべきことを的確に伝える、過去にとらわれずチャレンジし続ける」という使命感が生まれた。

入社4年目の夏、ドイツ拠点への赴任が決まる。現地営業・技術者の声を聞き、本社との調整を手がけるだけでなく、現地の展示会運営、企業間の技術発表フォーラムにおけるプレゼンテーションなど、多岐にわたる業務を行う。
「基本の仕事は同じですが、よりお客さま、現場に根付いた活動となりましたね。ドイツと日本との違いも大きかったです。拠点の規模は社員50人程度なので、意思決定から実行までのスピードが早く、ついていくのが大変でした。会議の決定もその場で下されるため、疑問や反論があれば即座に声を上げなくてはなりません。素早い判断力とロジカルな議論、表現力が磨かれました。また、距離・時間の点で日本からは遠く離れたドイツでは、本社に問い合わせるだけではなく、現地にある材料で柔軟に対応していくことも必要なので、発想力がより求められる。あきらめずに方法を考えることで多くのことが実現できましたね! 仕事の面白さをさらに感じるようになりました」

4年8カ月の赴任期間を経て帰国。2008年、現部署である本社の海外営業部テクノロジーソリューションズグループに配属された。
「現在は『削る・磨く』分野の技術コーディネーターとして、エリアや顧客を限定せず、いくつものプロジェクトに携わっています。ひとつのプロジェクトでかかわる部署は非常に多く、人と人をつないでいく面白さを感じます。あるプロジェクトのリーダーとして、新しい装置を販売する準備を進めていますが、複雑な案件をひもとき、チームみんなの理解を深め合い、モチベーションを上げていくプロセスにやりがいを感じますね」

コーディネート力を生かし、お客さまがアッと驚くような提案で世の中を快適に、幸せにしていく。それが山岸さんの今後の目標なのだという。

シンガポールの拠点と電話会議。プロジェクターで資料を映し出しながら仕様についての検討をする。

山岸さんのキャリアステップ

STEP1
2000年4月 研修時代(入社1年目)
1カ月間の座学研修(ビジネスマナーと会社の技術についての座学研修)を受けた後、工場にて2カ月間の実地研修。実技や専門知識について学んだ。同期とは今も仲が良く、2010年にみんなで入社10周年記念のパーティーを行った。
STEP2
2000年7月 海外技術サポート部時代(入社1年目)
海外顧客への技術サポートを担当。シンガポールやマレーシア、アメリカなど、同じ英語でも国によって発音や表現が違うことも多く、ヒアリングに慣れるまでにかなり苦労した。入社2年目に手がけた新技術開発の案件では、その功績が認められ、翌年の社内の技能賞を受賞。
STEP3
2003年 4年8カ月のドイツ赴任時代(入社4年目)
セールスサポート業務に加え、日本の本社との間に入る折衝も行った。年に一度、研究機関が主宰する技術発表のフォーラムでは、スピーチの内容を考えるだけでなく、自らプレゼンテーションを行った。「不特定多数、さらに大勢のドクターがいる会場でのプレゼンは初めてだったので、かなり緊張しましたね(笑)」。
STEP4
2008年 海外営業部テクノロジーソリューションズグループ時代(入社9年目)
新規開発装置のプロモーション、重要顧客の技術コーディネートを主に担当。複数の案件を広く見てサポートしている。自身がプロジェクトリーダーを務める案件では、人材、予算、スケジュールなどのマネジメントも手がけている。「組織の機能を結びつけるコーディネートの仕事。その面白さは、さまざまな発想を結びつけ、一つの製品を具体化させていく、モノづくりそのものに似ていると感じます」。

ある一日のスケジュール

9:30
出社。メールチェックと返信。その後、10:00よりアメリカのお客さまとの定例電話会議に参加。新しい装置の納入準備について話し合う。
11:30
トラブルや要望など、海外の営業担当や顧客からのメールに対応。情報共有のために、日本語の文書にまとめる。
12:00
ランチタイム。チームのメンバーと近場のレストランへ。
13:00
チームメンバーとミーティング。それぞれ担当領域が違うため、仕事の進め方における成功例や失敗例など、各自の気づきを共有し、改善に役立てる。
13:30
営業担当、技術担当などに電話し、各プロジェクトの進捗状況を確認。トラブルがあれば、それを補う情報を提供していく。
17:00
シンガポールの拠点担当者と電話会議。技術者とともに、新規装置の入札コンペに向けて話し合う。
18:00
営業担当や技術担当とのショートミーティング。トラブルサポートや情報共有など、20分程度の打ち合わせを4〜5本こなす。19:30ころ退社し、バンドのメンバーと社内の音楽室でリハーサル。

山岸さんのプライベート

2009年の春から会社の同僚とバンドを組んでいる。担当はボーカルで、ロック、ポップス、ジャズなどを演奏。会社の音楽室で練習し、ライブも2〜3カ月に1度行っている。
旅行も趣味のひとつ。2009年は、バリ島へ出かけ、現地で髪をコーンロウに結ってもらった。「帰国後もこの髪形のまま会社に行きました(笑)」。
2009年から始めた農業ボランティア。NPO法人に申し込んで稲刈りを体験した。農家に泊まって2〜3日を過ごし、大自然&おいしい食事でリフレッシュ!

自己分析・考える練習に!

10分トレーニングに挑戦する!
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取材・文/上野真理子 撮影/刑部友康 デザイン/ラナデザインアソシエイツ

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