「就職活動には、大学1年生のときから不安を感じていました」と話す枡方さん。不安の原因は、大学受験で一浪した体験にあった。
「浪人した当時は、人生のどん底というか。就職では、もう失敗したくないと思ったんです」
大学では教育学を専攻。社会に出たら、幸せな環境にない子どもたちを支援したいと考えていた。しかし、具体的にどんな仕事がしたいのかはまだ明確になっておらず、「希望の会社を見つけて就職しなくては」という焦りだけが募っていたという。
その不安を解消してくれたのが、3年生の夏に体験した日本財団のインターンシップだ。日本財団は、「社会福祉・教育・文化」「海洋・船舶」「海外の人道支援・人材育成」の3つの分野を中心に、公益法人やNPO法人の事業を助成している財団法人。
「教育に関する事業をやっているし、それ以外にも幅広い分野で支援活動を行っている。これは絶対に自分の世界観が広がると感じて、参加しました」
インターンシップは「海洋」や「福祉」など複数のコースがあり、それぞれ期間が異なる。枡方さんは、社会福祉・教育・文化にかかわる「公益チーム」の3週間のコースを体験した。定員は2名で、週に3〜4回のペースで日本財団に通う。与えられた課題は、財団が助成するある教育関係の活動を「引き続き助成するかどうかを検討し、プレゼンテーションする」というものだ。
関心のあった教育に関する課題に取り組みつつも、オフィスにいると他事業の情報も入ってくる。ある時、福祉についての自主勉強会が終業後に開かれるという一斉メールが届いた。会場の会議室に行ってみると、「さまざまな部署の職員が集まっていて驚いた」と枡方さんは言う。
「福祉事業に携わっている職員の方は参加するだろうなと思っていましたが、国際協力グループの人も来ていたし、総務グループの人もいた。みんななんて勉強熱心なんだろう、と。こういう環境にいたら、私も成長できると感じたんです。それに、好きなことを仕事にするのは素敵なことですが、日本財団にはさまざまな事業があります。いろんな仕事を経験して自分の幅を広げて、それから教育に携わったら、もっといい仕事ができるんじゃないかと思ったんです」
就職に対する不安は、この時点で消えていた。むしろ、「自信がついた」と枡方さんは言う。
「積極的に動き、探せば自分に合う職場に巡り合えるとわかったことは、一つの成功体験でした。自分の幅を広げる仕事がしたい、成長意欲の強い先輩がいる環境で働きたいという、会社選びの“軸”もできた。民間企業にもいい会社はあるはずだから、もっといろいろ見てみたいなと思いました。それまでは、不安にかられて就職活動に奔走していたのですが、インターンシップ以降は、活動そのものを楽しめるようになったんです」
その後、いろいろな業界の説明会に参加したが、インターンシップで感じた“熱い先輩”の存在が決め手になり、日本財団に入会。3年目を迎える現在は60件近い助成事業を担当し、子どもの健全育成やまちづくり、寄付文化の醸成事業支援など、さまざまな活動をサポートしている。
「1年目から仕事を任されて、出張にもバンバン行っています。勉強したいこともたくさんあって、最近、子育て支援の勉強会を職場内で立ち上げました。教育というテーマは今後も追究していきますが、担当する事業は幅広いので“こんな世界があったのか”と驚くこともあって。世界が広がっている実感があります」

- 枡方瑞恵(ますかた・みずえ)●上智大学文学部教育学科(現・総合人間科学部教育学科)卒業。大学受験期に出会った恩師に影響を受け、子どもの教育にかかわる仕事を志す。教育分野で将来人の役に立つ仕事をするためにも、まずは自分の視野や経験を広げようと就職活動ではさまざまな業界のセミナーに参加。2008年入会。

- 子どもの健全育成やまちづくりなど、約60件の助成事業を担当。助成事業の打ち合わせや実情調査で全国を飛び回る。これまでにない活動を創出する“新規事業”にも注力。パートナーとなる非営利団体にアイデアを出し、事業計画をまとめて国土交通省に申請、助成の承認を得るという、新規事業立ち上げの一連の流れを手がける。













