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掲載日:2011年11月8日

海外駐在員ライフ

Vol.123 何もかも“最小限”なパリの保育事情

「保育ママ制度」が充実しているパリ

こんにちは。ママン・ミーアです。今回は、パリの保育事情についてお話しします。

フランスは、子どもを生んだ後も働き続ける女性が多いことで知られています。そして、その理由を、保育制度が充実しているためと考えている人も多いかもしれません。そこで、私自身がパリでワーキングマザーとして子育てしている経験から感じたことをお話ししてみたいと思います。

まず、幼稚園(保育学校と呼ばれています)は公立がほとんどで、誰でも入ることができるので、3歳になる年に子どもを入れるのであれば、困ることはありません。費用も収入によって変わりますが、基本的に安く抑えられています。

0歳から2歳までの3年間は、保育園、一時託児所、そして保育ママなどの選択肢がありますが、保育園の中でも、特に「認可保育園」が激戦である点では、パリも東京と変わりません。0歳で入ると、卒園までほとんど出る人がいないので、途中で入るのはさらに大変です。しかし、これを補完する保育ママの制度が充実している点では、東京よりも恵まれているように思います。

保育ママ制度とは、一定の要件を満たした「公認保育ママ」が、自宅で子どもを1人〜4人まで預かるやり方。120時間の研修を受けて、自宅が所定の条件を満たせば登録できるので、移民の女性を含めた多くの女性(まれに男性)が登録していて、日本よりも浸透しています。ただし、公認保育ママに子どもを預けるということは、その女性を「雇用」することになるので、各種の保険料を払ったり、5週間の有給休暇の間の給料を払ったりと、結構な経済的負担が伴います。

私も、最初は子どもを公認保育ママにお願いしていたのですが、なにしろ有給の夏休みを5週間も取られてしまうので困っていたところ、なんと運よく2歳から子どもを認可保育園に入れることができました。相当ラッキーなケースのようで、パリの人にも驚かれたほどです。

先生の負担も親の負担も“ミニマル”な保育園

ただ、東京で子どもを認可保育園に預けていた経験からすると、パリの公立認可保育園のやり方は良くも悪くも“ミニマル(最小限)”。まず、東京では毎日近くの公園に出かけていたのに、パリでは「安全性の確保ができない」という理由で、お散歩がなく、室内遊びと狭いお庭遊びのみ。子どもの食事や排便の状況を伝える手帳もなく、夕方迎えに行ったときの先生からの報告も、「今日もよく食べました。よくお昼寝しました」の口頭報告で終わりです。

トイレトレーニングもやってくれません。東京の保育園では、お友達と一緒にみんなでトイレに行って、クラス全体でトレーニングに取り組む姿勢が感じられたものでしたが、こちらは「ご家庭主導でやっていただけるなら、園でもサポートはします」といったサブの立場に徹しています。そのせいか、卒園するまでにオムツが取れていたのは14人のクラスで2人だけ。2歳児クラスでも、おしゃぶりをずっとくわえていたり、哺乳瓶でミルクを飲んでいる子がいたりして、びっくりすることもしばしばです。

その一方で、親の負担も“ミニマル”かも。東京では、タオルやシーツ、コップやオムツなど、朝、園に着いてからも親が準備をしなければならないものがたくさんありましたが、こちらでは一切なしで、子どもを渡すだけ。お互いの負担を“ミニマル”にとどめて、「ゆるーく」子育てすればいいじゃないの、といったスタンスなのかもしれません。

ちなみに保育園のお迎えは18時半まで。幼稚園も、正規のプログラムは16時半までですが、18時半まで延長ができます。東京では、いつもギリギリ19時過ぎに保育園に駆け込んでいたわが家だけに、こちらでも18時半駆け込みが基本ですが、その時間まで残っているのは、たいていうちの子どもたちだけ。ママやパパの勤務時間も“ミニマル”なんですね。

勤務時間といえば、フランスには、1年以上勤務した人が出産したり養子を取ったりすると、子どもが3歳になるまで20パーセント〜100パーセントの幅で短時間勤務を選べるという決まりがあります。従業員から申し出があると、雇用主は短時間勤務を認める義務があります。子どもが3歳を過ぎても、学齢期の子どもがいるワーキングマザーには、月・火・木・金と働いて、水曜日をお休みする「8割勤務」の人が多数。フランスの幼稚園と学校は毎週水曜日がお休みなので、子どもと一緒に過ごしたり、習い事に連れて行ったりすることを希望する人が多いのです。毎週水曜日をお休みしても、フルタイムで月曜日から金曜日まで働いた場合の労働時間の「8割」は達成でき、給与も8割得られるというわけです。短時間勤務でも、正社員であり給与以外の福利厚生は正社員と同等である点で、日本で言うパートタイムとは扱いが違います。

次回は、海外で働くために必要なことについてお話しします。

Reported by ママン・ミーア
グローバル企業のフランス支社人事部に勤務。2児の母でもあるワーキングマザー。夫や子どもと一緒にパリの街を散歩したり、フランス国内を旅行したりするのが楽しみ。
この夏保育園を卒園した子どもが、9月に入園した幼稚園。フランスの幼稚園は2歳から5歳までの3年保育だ。
幼稚園の年少の教室。「象のエルマー」がテーマのぬりえを制作中。「3びきのくま」「ブレーメンの音楽隊」「はらぺこあおむし」など、日本でも親しまれている絵本の読み聞かせが行われている。
年少の教室に貼られた曜日や色の名前。さまざまなところでアルファベットに親しめるように工夫されている。
子どもたちの名前が書かれたポケットには、園から各家庭への配布物などが入れられている。
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構成/日笠由紀 デザイン/ラナデザインアソシエイツ

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