【コロナで部活動や大会が中止に…】体育会学生の就活はどうなる?ポイントを解説

新型コロナウイルスの感染拡大により、あらゆる活動に影響が出ている昨今。体育会の部活に所属する学生たちの中には、競技大会の中止や練習の継続困難などで、活動が制限されている方も多いでしょう。活動再開の見通しも立てにくい中、体育会学生にとって集大成とも言える「活躍の場」を奪われた喪失感だけでなく、「活動自粛によって、就活でアピールポイントが話せなくなる」「就活に割く時間はあっても、どのように進めればよいかわからない」と不安を感じている学生も増えています。

こうした状況を受け、今回、実際に寄せられる体育会学生の相談内容と、コロナ禍で就活する上で学生たちがどんなポイントを押さえるべきかについて、リクナビ就職エージェント(http://job.rikunabi.com/agent/athlete/)の体育会学生専任キャリアアドバイザー・川原優さんと、就職みらい研究所所長・増本全さんにお話しいただきました。

コロナ禍で活動が制限されている体育会学生。就活の現状とは?

増本
目標としてきた大会がなくなり、練習もままならない。新型コロナウイルスの影響で活動自粛となった体育会学生は、大変な状況にあるのではないでしょうか。

川原
2020年2月、3月の時点で多くの競技大会が中止や延期になりました。学生たちは、活動自粛期間中になんとかトレーニングを積み、「次こそは」と夏の大会に期待していたのですが、結局これらも引き続き中止や、規模縮小を強いられています。競技によっては来年以降の開催も、現時点では白紙のものが多いと聞いています。

学生生活のすべてを懸けて大会を目指してきた体育会学生にとって、結果を出せる場がなくなってしまったことは、本当につらいことだと思います。

体育会学生の多くは、大会での実績とそこに向けてどんなプロセスを踏んできたかを、就活でアピールしたいと考えています。そのため、大会がなくなった途端「就活で話せることがなくなった」「自分の強みを伝えられない」と落胆している学生は、とても多いです。主将や主務など、組織運営に力を注いでいる学生も、部活動自体ができなくなったため、「自分の役割を全うすることができない」と、これまでの活動をどう企業にアピールして就活を進めればよいのか、わからなくなっていますね。

増本
そもそも体育会学生の就活には、どんな特徴があるのでしょう。

川原
特徴としては、「部活動が忙しく、就活にかける時間がほかの学生よりも少ない」「就活スタートが遅れがち」といったことが挙げられます。

さらに体育会は、組織の結束が強く、先輩の影響が大きい傾向があります。
そのため、先輩の就活をまねて「あの先輩が受けたから受けよう」「あの先輩は10社エントリーしたから、私も同じくらいにしよう」など、先輩の動きを踏襲する学生はまだまだ多いですね。

コロナ禍では、部活動の時間が大幅に減っている学生が多く、だからこそ、例年よりも就活準備にかけられる時間は増えています。それをうまく利用して、業界・企業分析や自己分析に時間をかけられればいいのですが、「先輩たちは、この時期こうしていた」と従来の就活のやり方に固執している学生も少なくありません。

増本
就活に時間が割けるメリットは、体育会学生にとって大きいと思います。
さらに、コロナ禍の就活では、あらゆるプロセスが一気にオンライン化しました。この流れは、2022年卒の就活でも続いていくでしょう。面接や説明会をオンラインで行う企業も増えています。

オンライン化は、「時間や場所にとらわれない就活」ができるようになった点で、体育会学生にとって、さらに大きなメリットになるのではないかと思っています。オンラインであれば、部活の合宿先からでも、説明会やインターンシップに参加したり、面接を受けたりすることもできます。計画的にやりくりすれば、今までよりも両立しやすい環境と言えるでしょう。

実際に「オンライン面接」はどのように行われているのか、以下の記事でも紹介しています。
就活でのWeb面接(オンライン面接)の注意点、普通の面接との違いは?─知っておきたいポイント集

就活がうまくいかない体育会学生にある「2つの特徴」

川原
おっしゃる通り、新型コロナの影響による就活のオンライン化は、これまで部活動が多忙で就活に時間を割けなかった体育会学生にとって、プラスの要素だと思います。

一方、活動自粛によってもたらされた就活プロセスの変化を「これまで行けなかった説明会にも、行けるようになる」とメリットと捉えて動ける学生と、従来通りにしか動けず、結果、就活がうまくいかなくなってしまう学生との間には差が出ています。

増本
そのような違いはどこから出てくるのでしょう。

川原
「就活がうまくいかない」と相談に来る体育会学生の特徴は、大きく2つあります。
「自己分析」の重要性を理解していないこと。そして、就活を「点」でしか捉えていないことです。

体育会学生は、所属している組織の文化に強く影響され、画一的な視点しか持てなくなる傾向があると思っています。

例えば、応募企業への志望動機を聞くと、「先輩が働いている会社だから」「体育会系なので、成果が見えやすい営業職が向いていると思った」など、回答に“その学生自身”が見えてこない。

同じ体育会の先輩でも性格や特性が違うのは当然で、「体育会系だから営業」というのもイメージにすぎません。しかし、自己分析に時間をかけていないので、自分の強みや弱み、どんな仕事で力を発揮できるのかを「言語化」できていないのです。

また、体育会学生は、部活動が最優先事項である方が多く、就活は「時間をかけずに早く終わらせたい」と考えがちです。本来、就活は、これからの長い社会人生活を決める重要な活動なのに、取りあえず次に進むためにやらなくてはいけない活動の一つという「点」で捉えている。内定をもらったら、即、その企業に決めてしまう学生もいます。

増本
就活は、自己分析を深めることで、自分では気づいていなかった「強み」を知ることができる貴重な機会。就活に時間をかけることは、部活にもいい影響がありそうですよね。

川原
そうなんです。
自己分析によって、自分を知れば知るほど、最もモチベーションが上がるトレーニング方法や、自分が組織にどんな影響を与えているかなども見えてきます。就活と部活は、両方に時間をかけることで、相乗効果が期待できる。これは、ぜひ体育会学生に伝えたいことですね。

「自己分析の目的・方法」を理解したら、「長所や強み」「自分に合った仕事」について考えてみましょう。以下の記事でそれぞれ紹介しています。

“自己分析”は就活でどうして必要なの? 方法は?

面接で長所を聞かれたらどう答える?就活のプロが「長所の見つけ方・答え方」のポイントを解説

「自分に合った仕事・会社」を見つけるには?プロのアドバイスと先輩たちの実践方法を紹介!

部活に打ち込む学生のイメージ

まずは「部活の先輩」以外に、OB・OG訪問をしてみる

増本
体育会は組織文化が強いだけに、部活動以外のコミュニティーから視点を取り入れることが重要になりそうです。具体的にどんなアドバイスをしますか。

川原
おっしゃる通りですね。ゼミや部活以外の同級生といった複数のコミュニティーに属している学生は、コロナ禍による変化の中でも視野が狭くなりすぎず、柔軟に動けているなと感じています。

アドバイスできる具体的なアクションの一つが、「体育会の先輩以外へのOB・OG訪問」です。可能なら、部活とは関係ない、別のコミュニティーの先輩に会うこと。部活の先輩がタテの関係だとしたら、ナナメの先輩ですね。直接会うことができなくても、オンラインを利用してOB・OG訪問を進めることも可能です。例えば、部活の先輩とナナメの先輩が同じ職種だったとしても、就活時の志望動機や仕事の醍醐味(だいごみ)が、全然違うかもしれません。複数の異なる価値観に触れることで、「会社でどう活躍したいか」「どんな社会人になりたいのか」など、自己分析を深めるきっかけをつかめるでしょう。

また、すでに興味がある企業があればインターンシップなどの面接を、まず受けてみることも一つです。
自己分析が深められていないと、面接で聞かれる質問には答えられないでしょう。でも、それでよいのです。「どうしてそう思うの?」「あなたがそう感じる理由は何?」と深掘りされ、答えに窮したら、面接後、その部分を振り返って考えていけばいいのです。
そのプロセス自体が、自分の強みを「言語化」するためのよい練習になると思います。

増本
体育会学生は、大会での優勝や記録の更新といった目標を定め、そこから逆算して日々何をすべきか行動プランに落とし込み、練習を積んでいるはず。ほかの学生と比べ、そうしたプロセスや経験を日常の機会で鍛えているため、企業もそれを評価しています。ですから「目標を設定し成し遂げる力」は非常に強いはず。就活の際も、自分がどのような人生を送りたいのか、何のために働くのか、その目的に考えを巡らせながら、自分自身の理解を深め、「言語化する力」を鍛えてもらいたいですね。

OB・OG訪問については、以下の記事でも紹介しています。
就活でOB訪問(OG訪問)をするメリットは?依頼メール、質問例からマナーまで解説!

何を聞く?OB・OG訪問で聞いておきたい質問

「コロナ禍でどう行動したか」自体が、強いアピールポイントになる

川原
コロナ禍で「大会がなくなり、活動できなくなったから、アピールポイントを語れない」という学生には、体育会で培ってきた力はすでに十分にあるよ、と伝えたいですね。大事なのは、結果自体ではなく、「なぜそのような目標を設定し、それに向かってどう行動してきたか」というプロセスです。

増本
そうですね。ここでもやはり大事なのは「目的の言語化」だと思います。例えば「大会で1位を目指す」のが目標だとすると、「なぜその目標を掲げ、目指すのか」というのが目的です。目標は通過点であり、その目的が果たせたかを見るための指標にすぎません。ですから、目的を果たすためのプロセスや思考が言語化できれば、おのずとアピールポイントも語れるようになるのだと思います。

また、コロナ禍での就活は、自分が思いもしなかった事態に遭遇したとき、「変化にどう対応し行動したか」を示すことができる、貴重な機会と捉えることができるでしょう。

社会人になれば、自分の好きなことを思い通りに進められるような仕事ばかりではありません。新社会人の場合は特に、急な変更や指示に対応しながらも、目の前の仕事の意味を自分なりに目的を見いだして動く力が求められます。

体育会学生の皆さんは、まさに今、思い描いていた計画が崩れ、自分ではどうしようもない外的要因に翻弄(ほんろう)されています。ではそこで、自分はその意味をどう捉え、具体的にどんなアクションを起こして、何を目的に取り組んできたのか。そのプロセスを、ぜひ企業に語ってほしい。「練習ができない」と嘆いただけではなく、目標を設定し直してできることを見つけてきたのなら、それ自体も強いアピールポイントになるはずです。

川原
その通りですね。自分と向き合った経験は、部活動にも必ずつながっていくと思っています。

体育会学生の就活は、以下の記事でも紹介しています。
体育会学生は本当に就活に有利なの?プロがアドバイスする成功のカギは「強みの言語化」にあり

プロフィール 増本 全(ますもと・ぜん)就職みらい研究所 所長。新卒入社以来、新卒就職・採用に関する業務に携わる。学生時代、働くことに悩み社会人に片っ端からインタビュー。憧れの八百屋さんの言葉に心を打たれた。

 

川原 優(かわはら・ゆう)リクナビ就職エージェント・体育会学生専任キャリアアドバイザー。幼少期から15年間バドミントンに打ち込み、大学でも体育会に所属し競技漬けの毎日を送っていた。自身が感じていた体育会学生の不を解決すべく、「体育会領域」を立ち上げた。

川原さん_内田さん写真
今回、川原さん(写真右)とともに、体育会学生のキャリアアドバイザーチームで、日々学生と向き合う内田真優さん(写真左)にもご協力いただきました。「不安なことが多い就職活動ですが、体育会でやってきたからこその強みを生かし、一緒に乗り越えましょう!(内田さん)」

取材・文/田中瑠子


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