物流会社内定 早稲田大学 原 卓矢さん

就活データ
志望業界
:物流、コンベンション 説明会参加:20社 先輩訪問:2人(インフラ2人) エントリーシート提出:15社 面接:12社 内定:1社 活動費用:約11万円(交通費2万円、スーツなど4万円、クリーニング代1万5000円、証明写真1万円、書籍代1万5000円、郵送代など雑費1万円。交通費は地下鉄の回数券や私鉄の株主優待券を使って節約。特に、通常の回数券よりさらに割安になる、10~16時の間のみ使える時差回数券は頻繁に活用した)

一度目の就活の失敗と、そこからの留学という大きな決断

僕は2度、就活を経験しています。一度目は3年の秋から4年の春にかけて、周りに流されるように始めた就活でした。日本のモノづくりの現場に興味があって化学系のメーカーや自動車の部品メーカーなどを志望していましたが、それも「ただ、やってみたかった」だけ。「その会社に入ってから何をやりたいか、どうなりたいか」というビジョンをまったく持てないまま選考に臨んでしまって、箸にも棒にもかからないような結果に終わってしまいました。

そんな無駄足のように思えた就活中に、ひとつ大きな転機が訪れました。面接先で、東日本大震災が起きたのです。その場で行われていた面接は中断され、会社側の計らいで、その日面接会場に来ていた学生たちは社内に宿泊させてもらえることになりました。そこで、社員の方や選考に来ていたほかの学生と、将来の目標や学生時代の経験について互いに語り合い、そこでひとりの学生が、船で世界一周した話をしてくれたのです。渡航先で観てきた世界がどんなに刺激的だったか、根本的に文化の違う人々との触れ合いからどんなことを学んだか…その話を聞いて、僕はとてもうらやましいと思いました。というのも、大学2年生のとき、大学の友人や先生から留学を勧められた際に、所属していた合唱サークルが忙しいという理由で断った経験があったのです。ずっと心の奥底にくすぶっていた留学への思いが、彼の話を聞いて再びよみがえりました。

そこで、「もし今回の就活がうまくいかなかったら、留学しよう」と決意。「就活がうまくいかなかったから、留学という別の選択肢に逃げたのではないか」という言い方もできますし、それを完全に否定することはできません。しかし、そのときの自分の将来についての展望や留学に対するモチベーションを踏まえると、「きっと留学に行った方が近道になるはず」と素直に思えました。

そして、大学4年の9月から1年間休学して、語学留学のためアメリカのシアトルに。自己主張をハッキリとする異国の環境下で、僕は今まで苦手としていた自己アピールや、ロジカルなコミュニケーションの技術を学びました。シアトルにはアメリカのほかの地域よりも比較的多くの日本人がいるため、無意識にしていると日本人同士で固まってしまいがちに。なので滞在中には、ヒスパニック系の家庭に大学紹介をするボランティアや国際協力団体でのインターンシップなど、ネイティブとのやり取りが多いアクティビティに積極的に参加。その経験から、「人と人をつなぐ仕事」に興味を持つようになりました。

精度の高い企業研究が、面接での受け答えを支える

2度目の就活は、帰国後しばらく間をおいて、12月からスタートしました。志望は変わって、物流・コンベンション(国際会議や学会など大規模な集会の運営事業)業界に絞りました。この背景には、大学1年からやっていた百貨店での販売のアルバイト経験から感じた、自分の特性があります。そこでは、店頭に立つばかりではなく、倉庫での在庫管理や商品発送などの事務的な業務にも携わりました。とても地味な仕事なのですが、商品は毎日倉庫に出入りするので、その管理は非常に重要な役割です。効率よく仕分けることができれば、ほかの仕事の進捗が見違えるほど良くなります。僕はこの“縁の下の力持ち”のポジションに大きなやりがいを感じていました。そこに留学での経験を加えて、「人と人をつなぐ機会を支える仕事」を具体的な志望としたのです。

就活中にとりわけ力を入れたのが、業界研究と企業研究でした。まずは、業界の勉強会やセミナーに積極的に参加。志望している企業だけでなく、業界内の大手や志望先の競合企業など、志望外の企業の説明会にも足を運び、知見を深めました。個別の企業情報は自社サイトだけでなく、有価証券報告書に目を通して業績や企業規模などを把握したり、「Ullet(企業価値検索サービス)」を利用して外部からの評価を確認したりと、さまざまな角度から志望企業を見るように心がけました。また、大学図書館のデータベースを活用して、日本経済新聞を中心に各紙の道路・空港・国際関連のニュースは定期的に収集。僕の最終的な内定先は、関東だけではなく北海道にも拠点があるので、札幌の経済新聞の情報なども参考にして、志望動機や将来の展望を具体的に伝えるための材料をそろえていきました。

最初の就活では「~したい」という漠然とした望みばかりを語ってしまった面接ですが、2度目はその反省を生かして、まずは自分の経験から「できること」を提示し、そこからロジカルに実現可能性のある「やりたいこと」を話すようにしました。また、事前の綿密な企業研究のおかげで、面接担当者が投げかけてくる問題提起や反論の意図を正確に理解することができたので、データを交えながら自分なりに自信を持って発言できました。面接担当者との会話が噛み合ったときに、やりとりの中で相手の仕事への熱意が伝わり「面接って楽しい」と思えるようになったのは、大きな成長だったなと感じています。

また、選考過程でモチベーションを落とさないように「選考が通らなかったところは、縁がなかったと思って、キッパリとあきらめよう」と、意識的に気持ちを切り替えていきました。ただ、その中でも「ここは落とされたら、あきらめがつかないだろうな」と思った企業がありました。関東と北海道を中心に総合物流事業を展開している、現在の内定先です。「会社の風土に自分が合っている」というような格好いいものではなく、ただ単純にほかのどの会社よりも、ここで働いている自分を強くイメージできていました。そんな会社から内定をいただくことができて、本当にうれしいです。入社後は自分の語学などのスキルを最大限に生かして、将来的には外国人向けの新規サービスの開拓に携わることを目標に頑張っていきたいと思っています。

低学年のときに注力していたことは?

大学時代には、100人以上の団員がいる歴史ある学生合唱団に所属していました。そこで幹事長や役員などを選出するための選挙管理の役目を務め、大きな組織を運営する難しさを知りました。自分の価値観が絶対と思って行動すると、必ず誰かと決定的にぶつかります。そうならないためにも、自分と価値観の異なる人とじっくり話し合い、それを理解することが大切だと、この経験を通して学びました。

就活のために…というわけではないですが、社会人の方と積極的にコミュニケーションを取るといいかもしれません。僕はサークルやゼミの先輩の話を聞くのが好きで、社会人の方も参加する勉強会などにも参加していました。そうやって日常的に大人と話し慣れておくと、就活で思い切りよく先輩訪問や面接に臨めるはずです。

就活スケジュール

大学5年生8月
留学中の経験から志望が見えてくる
留学中に国際交流関係のインターンシップを経験し、1年間の留学の成果を実感。同時に、人の縁を作り出す仕事に就きたいと考える。
大学5年生12月
リクナビを駆使して志望業界を模索
リクナビに登録して、興味のおもむくままに企業検索を重ねる。気になった会社の説明会には、日程が空いていれば志望度にかかわらずなるべく参加。自分の過去の経験から適性などを考慮しつつ、志望を物流・コンベンション業界に絞っていった。
大学5年生2月
エントリーシートの作成
エントリーシートの締め切りが集中した時期。簡潔で無駄のない内容になるように、「できること/やりたいこと」を明確に書き分けた。書類選考はほぼ通過。
大学5年生3月
面接・筆記試験開始
面接ではうまくいかないところが多かったが、「落ちたところは縁がなかっただけ」と思考を切り替えるようにして、「受かるために無理やり自分を曲げるようなことだけはないように」と気をつけていた。
大学6年生4月
コンベンション業界の選考で全滅…モチベーション再構築
志望していたコンベンション業界の企業の選考にすべて落ちてしまい、めげそうになる。しかし、「もう自分には物流の道しかない」とモチベーションを立て直し、さらなる企業研究や面接対策に奮い立つ。
 大学6年生5月
内定をもらって就活終了
第1志望の物流会社より内々定をいただき、受諾。就活を終える。

就活ファッション

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就活に必要な服は節約の意図も含め、すべて量販店でまとめてそろえた。基本的に黒色のスーツを常用していたが、勝負どころの面接では気分を高めるために紺色のものを着用した。カバンはA4の書類を入れても余裕がある容量で、ポケットが多いものをチョイス。革靴はこまめに磨いて日ごろから光沢をキープした。

取材・文/西山武志 撮影/鈴木慶子

就活をはじめる以前に、本当はいろんな不安や悩みがありますよね。
「面倒くさい、自信がない、就職したくない。」
大丈夫。みんなが最初からうまく動き出せているわけではありません。

ここでは、タテマエではなくホンネを語ります。
マジメ系じゃないけどみんなが気になる就活ネタ。
聞きたくても聞けない、ホントは知りたいのに誰も教えてくれないこと。
なかなか就活を始める気になれないモヤモヤの正体。
そんなテーマを取り上げて、ぶっちゃけて一緒に考えていきましょう。

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