医薬品メーカー内定 武蔵野大学 金子奈央さん

就活データ
志望業界
:医薬品メーカー 説明会参加:31社(うち合同企業説明会7回) 先輩訪問:3人(医薬品メーカー3人) エントリーシート提出:31社 面接:24社 内定:5社(医薬品メーカー5社) 活動費用:約31万9800円(交通費5万円、スーツ・カバン・靴・コート代20万円、外食費3万円、証明写真2万5000円、書籍代5400円、スクール代6000円、郵送代・筆記具代など雑費3400円)

実務実習を通して気づいた、本当の自分の適性

入学当初から、ずっと薬剤師を目指していました。それは、「薬学部に入ったら、薬剤師になるもの」だという先入観があったかもしれませんが、私自身その道に何の疑問も持っていませんでした。

 

自分の進路について真剣に考え直す契機になったのは、5年生の5月から半年間にわたって行われた、薬局と病院での実務実習です。薬剤師という仕事の現場に初めて立って、私は少し違和感を覚えました。薬剤師は患者さんたちと向き合って、人々の健康に直接的に貢献できる素晴らしい仕事です。ただ、毎日やることにほとんど大差はなく、医者の出した処方箋通りの薬を患者さんたちに渡していくという、単調なルーティーンワークのような側面があることは否めません。そうした現場の空気を知って、少し物足りなさを感じてしまったんです。私には「仕事を通して、自分を今よりももっと成長させたい」という思いがありました。「そんな自分には、もしかしたら薬剤師という職業は合わないのではないか…」と感じ、ここで初めて薬剤師以外の道を考え始めました。

 

そこから興味をいだいたのが、製薬企業の営業――MR(医薬情報担当者)という職種です。私の父親は保険営業の仕事をしていて、「やった分だけ成果が出るんだ」と昔から楽しそうに働いていたのが印象的でした。多分、「薬剤師以外の道を…」と考えたときに、“営業”という言葉が真っ先に浮かんだのは、そんな父親の影響です。とにかく、どんな仕事なのか詳しく知りたいと思い、実習中の病院に出入りしていたMRの方に話をうかがう機会をいただきました。そこで少し驚いたんですが、お話をうかがったMRの方は皆さん、「仕事が楽しい」と話してくださったんです。

 

自ら仕事の規模や量をコントロールしつつ、さまざまな病院のドクターや他社のMRとも交流を持ちながら、自分の力で取引先を開拓していく。競合他社との駆け引きや、対応の冷たいドクターに苦心しながらも、「どうしたら相手に信頼してもらえるか」と考えに考え抜いて、提案の仕方を模索して…そんな仕事の実情を、イキイキと教えてくださった先輩のおかげで、私は志望を新たにMRに定めることができました。

 

具体的な就活のスタートは5年生の11月ごろからです。まずは、学内で製薬業界志望者向けのセミナーの受講を開始。製薬業界では2月まで個別の企業説明会はしないという協定があるため、この段階で来てくれる企業の人事担当の方は、主に自己分析や業界研究の方法など一般的な就活についてのアドバイスをしてくれます。ここで教わった「ロジックツリー」は、自己分析にあたってとても役に立ちました。「自分はなぜMRになりたいのか?→自分の足で仕事を作りたいから→それはなぜか?…」と、自分の考えについて「なぜ?」と繰り返し問うて掘り下げることで、自分の根幹にある思いやモチベーションをあらためて再確認。また、医薬品メーカーに内定している先輩から就活体験談を聞く機会も、大学が定期的に作ってくれていたので、時間を作って積極的に参加。年内は選考に向けての情報収集に徹底しました。

 

年が明けてからは、エントリーシートの準備とテストセンターの勉強に集中。エントリーシートの提出は2月中のものが多かったのですが、12月ごろから内容を予想して定番の質問に対する回答のベースを作り、1月中にエントリーシートの内容がわかってから細部を詰め、それからは教授や周りの友達に見せて意見を聞きながら推敲(すいこう)を重ねていきました。人事の経験もあった父親からは「一文を短く簡潔に」と厳しく添削を受けました。たくさんの人に見てもらえたおかげで、客観的にも読みやすいエントリーシートになったと思っています。テストセンターの勉強は、11月中に参考書を買って、電車などの移動時間中に読んでいました。言語分野の暗記が必要な部分において、この勉強方法はとても効果的でした。

早め早めの対策を心がけて、できる限り余裕を持った就活を

就活においては、全体的に早め早めの動き出しで余裕を持とうと意識していました。それは、MRに内定した先輩たちの「エントリーシートは早く考えておいた方がいい」というアドバイスや、先に就職した友達の「就活、大変だったよ…」という体験談を聞いていたおかげです。不安にあおられることもありましたが、その不安を払拭するためにモチベーションを上げて就活に臨むことができたので、いろいろな人の話を聞いておいてよかったなと、今では感じています。

 

2月から企業説明会が始まると、一気にスケジュールはパンパンに。忙しい日は1日3社訪問し、合間に3社分のエントリーシート仕上げて提出することも。それでも、気になる企業の説明会には欠かさず参加するようにしていました。個別の説明会は、その会社のMRの方の体験談を直接聞ける数少ない機会です。MRの方の話を直接聞くと、しゃべり方や病院との関係性から、会社の雰囲気が何となくわかってきます。そうして企業を見極めていって、「社内の風通しが良さそうで、人柄が穏やかな会社」に志望を絞っていきました。説明会が終わったあとには、人事の方に個別に質問を。そこでは必ず「ママさんMRはいますか?」「産休はありますか?」といった、“働く女性への待遇”についてうかがいました。業界としては女性への待遇をよくしていく風潮にはありますが、まだまだ企業によってムラがあるのが現状です。その点はしっかりと確認して、企業選びの参考にしました。

 

面接では「飾らず自分らしく」をモットーに、笑顔を忘れないように。ここには、4月に入って最初に受けた面接での反省が生きています。そこは志望度の高いところだったのですが、対策も不十分な上にまったく面接慣れしていない状態だったので、その場で見栄を張ってしまったり、将来の展望や相手の会社について適当なことを言ってしまったりして、後悔の残る内容で落とされてしまったんです。それからは、「ウソをつかないように、率直に思ったことを言おう」と心に決め、未熟な自分でもしっかりとさらけ出そうと思うようになりました。面接の対策も、父親に相手役をしてもらってシミュレーションしたり、MR志望者向けの面接演習講座などを受けたりして、自分でできる準備はすべてやりきって本番に臨むよう心がけました。

 

一番早い内々定は4月の1週目に出て、中旬には一通りの選考を終え、3社から内々定をいただくことができました。最終的に選んだ現在の内定先は、説明会の雰囲気もよく、人事の方も話やすかった所です。また、ドクターが望んでいるようなニーズのある薬をどれだけ持っているか、どれくらい新薬の開発が盛んに行われているかも、MRとして働く以上は大きな判断基準になりました。入社後の目標は、実務経験を積む中で自分のこだわりを見つけて、長く働くことです。配属された営業所で一番の成績を取れるよう、頑張ります!

 

私は、就活で出会った友達に、ここまでずっと支えられてきました。5年生の12月ごろにMR志望の学生が集まる懇親会があって、そこで出会った仲間と頻繁にSNSで情報交換をしたり、エントリーシートの添削をし合ったり。大事な面接前には応援メッセージを送り合い、お互い近くで選考があるときには面接前後に会って励まし合うこともありました。常に連絡を取り合える同じ境遇の仲間がいたことで、私は、私らしい就活を貫くことができたんだと思います。皆さんも、もし就活中に気の合う仲間と出会えたら、どうかその縁を大切にしてください。

 

低学年のときに注力していたことは?

「学生時代にしかできないこと」として、塾の講師、居酒屋、コーヒーチェーン店など、いろいろなバイトを経験しました。塾では、教える子どもの様子を観察してコンディションを把握。疲れているときには休憩をはさんだり、集中力が切れているときには具体的な解説を入れたりするなど、言葉以外の相手の反応を読み取る力を養いました。飲食のバイト経験からは、いろいろなお客さんとの接客を通して、言葉遣いや気持ちのよいあいさつの仕方など学びました。

 

また、大学内の「全学クラス委員会」という組織に所属して、学内イベントの企画などに携わりました。薬学部はほかの学部と違い閉鎖的になりがち。勉強も忙しく課外活動に参加するのも難しい環境です。だからこそ、意識的にいろいろな人とかかわりを持とうと思っていました。七夕のイベントの際にはイルミネーション班の班長を務め、周りに指示をする大変さ、周りの意見を聞くことの大切さを肌で覚えました。

 

就活スケジュール

5年生5月
薬局と病院での実務実習が始まる
半年間の実務演習。薬剤師の仕事の現場を知って、「自分には合わない」と志望変更。病院に出入りしていたMRの方にお話を聞いて、MRを目指すように。
大学5年生12月
大学主催のセミナー・説明会などに参加
大学側が各種セミナー・説明会を開催してくれていたので、できる限り参加。学内での説明会は少人数で実りあるお話を聞くことができた。医薬品メーカーのほかにも、薬局やドラッグストアの説明も聞いて、あらためて志望をMRに絞る。
大学5年生1月
エントリーシートとテストセンターの準備期間

比較的落ち着いていた期間だったので、本選考前の各種対策に時間をかける。練習のつもりで、選考の早い企業もいくつか受験。「学生時代頑張ったこと」など定番の質問に対しては、12月ごろから内容を練っていた。
大学5年生2月~3月
エントリーシートの提出、企業説明会のピーク
ほぼ毎日のように説明会に参加。この時期、手帳は必需品。エントリーシート・Webテスト・説明会・就活予備校・面接など予定ごとに色分けをして記入し、それぞれ漏らさないように注意。就活で出会った同じ業界志望の友人たちと連絡をこまめに取り合い、締め切りなどのリマインドをし合った。
大学6年生4月上旬
面接ラッシュ
面接では笑顔と元気を忘れずに、自分が思っていること、今までやってきたことなど、正直に話す。飾らない意識を強く持つことで、緊張せずに受け答えできるようになった。面接が終わった後は、聞かれたことを書き出して次の面接対策に活用。
大学6年生4月中旬
就職先の決定
一通りの就活を終え、複数の企業から内々定をいただく。「入社したら何ができるのか、自分が何をしたいのか」を再度よく考えて、ベストを尽くせる会社を選ぶ。

就活ファッション

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スタンダードな黒のジャケット・スカート・パンツを購入。シャツは3枚用意して着回し。第一ボタンがあるものとないもの2種類を持っていたが、特に使い分けは意識しなかった。カバンは持ちやすいようにA4が入る小さめのものを選んだが、幅が小さく飲み物などが入らなかったので、もう少し大きめのサイズを選んだ方がよかったと反省。靴は長時間歩くことを想定して、クッションの入った歩きやすいものを選び、家を出る前には必ず磨くようにしていた。

取材・文/西山武志 撮影/鈴木慶子


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