シスコシステムズ合同会社

やまぐち・まいか●コラボレーション アーキテクチャ事業部 コラボレーション営業部。ヨークユニバーシティ インターナショナルリレーションズ(学部)卒業。2008年入社。小・中学生時代に、ITの普及によって世界がつながっていく様子に衝撃を受ける。海外大学生向けのキャリアフォーラムに参加した際、現社のCEO(最高経営責任者)による「ネットと教育が世界の格差をなくす二大要素である」との話に強くひかれ、世界を変えていくことができる企業だと感じて入社を決意。

電話営業で新たなニーズを発掘。入社2年目、念願の営業部門へ

シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)はアメリカに本社を置くコンピュータネットワーク事業を展開する会社だ。IT技術を通じて、「人と人をつなぎ、世界をフラットにして暮らしやすい社会を作りたい」と考え、ITネットワークシステムやソリューションを提供する現社に入社した山口さん。文系出身のため、入社後3カ月間の技術研修の際には「自分はやっていけるのか」と不安を感じた。

「ネットワーク知識などの専門的なことを一つずつ詳しく教えてもらいましたが、当初は必死で勉強する日々でした。3カ月の技術研修後の半年間は、2カ月ごとにさまざまな部署を回るOJT(※1)研修へ。学生時代には同世代の人と接する機会がほとんどでしたが、20代から40代までの先輩に出会う中で『さまざまな視点や考え方があり、自分の価値観が世間の常識ではない』と気づきました」

(※1)On-the-Job Training。実際仕事を行いながら学ぶこと

 

また、営業同行や社内ミーティングに同席するうちに、強みは人それぞれであることに気づいたという。

「私はあまり社交的なタイプではなかったので、『初対面のお客さまと仲良くなれるようなトークができるだろうか』という不安もあったんです。けれど、先輩たちには、トークが上手な人以外にも、ポイントを絞った的確な営業をする人、迅速な行動とレスポンスを強みとする人などもいて。得意な部分を生かして武器にする先輩たちを間近に見たおかげで、『自分流の営業スタイルがきっと見つかる』と思うことができましたね!」

 

OJT期間を終了した約1年後、公共事業部のインサイドセールス(非訪問営業)部署へ配属される。自治体、大学、病院などを顧客とするこの部署で、営業担当者がついていない顧客に電話でアプローチする仕事を手がけることに。

「最初のうちはなかなか話を聞いてもらえず、製品の導入を検討してくれそうな担当の方までたどり着くこと自体が難しかった。1日に30~40件の電話をかけましたが、すぐ切られてばかりでつらかったですね。でも、配属から3カ月過ぎるころに『このままじゃダメだ』と気づき、事前にお客さまの情報をリサーチし、課題を見つけた上で解決提案のアプローチをすることにしたんです」

 

何度もトライし、自分なりに工夫を重ねるうち、電話越しでもしっかりとコミュニケーションができるようになり、1カ月後には商談につなげられるようになったという。

「決裁権を持つ方にアプローチする前に社内の情報を教えていただけることもあり、電話越しに関係性が深まっていく面白さを感じました。訪問できることになったら営業担当者にバトンタッチしますが、同行させてもらえる機会も多くありました。特に印象に残っているのは、配属から半年後に離島にある自治体の『防災用の放送をIP化(※2)したい』というニーズを発掘した案件ですね。大規模なものでしたし、かつてない新しい取り組みでしたから、シスコ社内でも取り組み内容が共有されたんです! また、先方への提案前のごあいさつにも同行させてもらい、電話の向こうにいた担当の方と実際に会えたことで『自分のかけた電話が、一つの形になった』という実感が湧きました。自分の仕事の意味がわかり、そこに大きなやりがいを感じるようになった時期だと思います」

(※2)IP(インターネットプロトコル)ネットワークによってデータの送受信をつなぐこと

 

入社3年目、山口さんは大阪支社にある西日本エンタープライズ事業部に異動する。西日本の大手企業を担当する部署で、いよいよ訪問営業職として活躍できることになった。

「私は神戸出身なので西日本公共事業部への異動を希望していたのですが、同じ大阪オフィスにて西日本エンタープライズ事業部に配属となりました。営業としてお客さまを担当できることが本当にうれしかったですね」

 

山口さんは、流通、小売り系のお客さまを中心に30社を担当。各社の情報システム担当者に向けて、ネットワーク機器の提案や新製品の案内を手がけていった。

「社内のエンジニアやソリューション担当者とチームを組み、一緒に訪問提案をしていきました。また、私が異動したこの時期は、社内の営業方針が変化し、『企業における真の課題解決をするために、お客さまの情報システム部門のみならず開発、営業、人事、総務などの各部門も回り、それぞれのニーズをヒアリングした上で、必要なITソリューションに導く提案をしていく』というスタイルに。そのため、さまざまな部署も訪問することになりました」

 

しかし、知識も経験もない山口さんには、お客さまがどんなことに悩んでいるのかがわからず、欲しいものが何かを聞くのみ。その会社が本当に必要としているものをプロとして提案できない自分が歯がゆかったという。また、シスコの製品は販売代理店でも取り扱っているため、お客さまから「すでに代理店とやりとりしているのに、なぜシスコがまた営業に来るのか?」と質問をされることもしばしばあった。

「あらためて、私たちが営業に行く意味は何なのかを考えました。シスコには、グローバル企業として世界各国で多様なソリューションを提供してきた強みがある。それなら、製品を扱うだけでなく、生産性や効率化に貢献できるような大きなソリューションを提案していこうと思ったんです」

 

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学校関係の担当者と情報交換。ビデオ会議のシステムを活用し、国内各地はもちろん、グローバルのメンバーと英語でミーティングする機会も多い。

 

製品ではなく「働き方」を提案する喜びを実感。入社6年目には、海外メンバーをまとめる経験で成長

自分の仕事の意味に気づいた山口さんは、担当各社における将来のビジョンや今後の方向性を見つめ、ITで実現できることは何かを考えるようになる。それをもとに、チームのメンバーに相談しながら提案の方向性を決め、お客さま企業全体の真の課題解決を目指すことに。そして配属から1年後、大きな提案が案件として成立したのだ。

「大手製造業のお客さまから、オフィス移転に伴うネットワーク機器のリプレース(新たなものに置き換えること)について相談を受けたことが始まりでした。これからグローバルでの売り上げを強化していこうというお客さまでしたから、海外の拠点や顧客とのやりとりにも影響してくるはず。そこで、グローバルにコミュケーションできる環境を整え、オフィスのあり方や働き方の改革提案を目指したんです」

 

以前、社内の人事総務の担当者から自社のオフィス環境や社内コミュニケーションの取り方について勉強させてもらった経験があったため、彼らにアドバイスをもらうことに。また、アメリカ本社のIT担当者や開発担当者にも協力を仰ぎ、お客さまにプレゼンテーションやアドバイスをしてもらえるように働きかけたという。

「ビデオ会議で海外支社につなぎ、直接事例を紹介してもらったり、海外や国内の拠点との模擬会議を実践することにより、お客さまに活用シーンを体感してもらおうと。ワークスタイルそのものを提案できるよう注力したおかげで、『シスコさんのようなオフィスを目指したい』という言葉を頂くことができました。提案から2年もかかった案件でしたが、単なる製品や技術の営業ではなく、働き方のアドバイザー的な観点でお役に立てたことが本当にうれしかったですね」

 

入社6年目、山口さんは再び東京支社に異動し、サービスプロバイダ事業を手がける顧客を担当する部署に配属。ヨーロッパエリアを担当するグローバルアカウントマネージャーを務めた。

「グローバルでの仕事がしたくて、自ら手を挙げました。ヨーロッパ支社の現地チームと、ヨーロッパで事業展開する国内顧客の担当チームとの間に立ち、英語で双方の情報をまとめ、提案の支援やグローバルでの意識合わせをする仕事です。この部署では約1年間働きましたが、この1社のお客さまの案件にかかりきりに。『日本で手がけているサービスをヨーロッパでもスタートし、事業を展開していきたい』という国内のお客さまへの提案に携わりましたが、日本とヨーロッパにおける常識の違いに直面して苦しみましたね」

 

ひとくくりにヨーロッパと言っても、国ごとに法律や状況は大きく異なる。例えば、セキュリティやデータ管理の規律や決め事も違うため、同じサービスをすべての国に提供することは非常に難しい。

「最初は国ごとの違いがわからず、現地チームのメンバーに聞いてみても、『その方法では、この国では成功できない』の一点張りで。互いに常識が違うため、法律の違いがあることにもなかなか気づくことが難しかった。理解し合えないのはコミュニケーション不足が原因だと感じたので、プロジェクトにかかわる各国のメンバーに呼びかけ、ビデオ会議を開催することにしました」

 

山口さんは課題についてのヒアリングや情報を共有するための会議を週に1度開催することにしたが、最初のうちは出席してくれないメンバーも多くいたという。

「地道にやるしかないと思い、出席しない人にも議事録や他国の情報を共有していきました。やがて、自分の意見がピックアップされたり、他国からの視点を学べることにメリットを感じてくれるようになり、異動直前の約1年後にようやくメンバーが全員そろうようになりました。国ごとに文化や価値観の違いもあり、全体をまとめることには本当に苦労しましたが、お互いに理解し合う過程の中で、自分の常識が世界の常識ではないとあらためて気づかされましたね。自分自身の視野を広げ、成長できたと感じます」

 

2014年8月、山口さんは現部署のコラボレーションアーキテクチャ事業部に異動するが、その半年後、グローバルの全社ミーティングで当時のメンバーと再会を果たす。

「あのころは会議で対立することも多く、自分のやり方が正しいのかどうか悩みましたが、彼らに『また一緒に仕事がしたい』と言ってもらえたことで、ちゃんとわかり合えていたんだと実感できましたね。また、日本の企業のグローバル化に貢献できたのだという喜びも感じました!」

 

現在、山口さんは医療業界のお客さまに向け、IP電話やWeb会議、ビデオ会議の端末など、コラボレーション製品の紹介や提案を行っている。

「病院を担当するチームの提案を支援し、お客さまに向けてショールームで実際に機器を使うデモンストレーションなども行っています。医療業界は自分にとって未知の世界。まだまだ勉強が必要だと感じていますが、医師や看護師の働き方をより良いものに変えていくため、シーンに合わせた使い方をチームで考えていくことに大きなやりがいを感じます。私たちが扱う製品は、『人と人をつなぐためのもの』であり、単なるツールではなく、スタイルそのものを提案していくことができる。お客さまのニーズに添い、かつ、そのメリットを最大限に体感していただけるような提案をしていくことが目標です」

 

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さまざまな商品を試すことのできるショールームにて、導入を検討中のお客さまにデモンストレーション提案をする。病院のナースコールをIP化したものについて説明中。

 

山口さんのキャリアステップ

STEP1 2008年 新卒トレーニング時代(入社1年目)

入社後3カ月間は、ビジネスマナーからネットワークの基礎までみっちりと学んだ。また、アメリカ・ノースキャロライナ州の研修施設で海外で活躍する同期メンバーと共に集合研修を受ける。ネットワークとシスコのソリューションについて学ぶ内容で、システムエンジニアや営業担当者から「どんな製品を扱っているのか」を聞く座学研修や、チームでのプレゼンテーションなどを経験。さらにこの後、半年間のOJT研修を受けることに。2カ月ごとに公共事業部、エンタープライズ事業部、パートナー事業部などの異なる部署を巡り、半年間は定期的にネットワーク知識などを学ぶ座学研修を受けた。研修終了後は、公共事業部に配属され、インサイドセールスとして電話営業を担当。

STEP2 2010年 西日本エンタープライズ事業部時代(入社3年目)

大阪支社に異動し、西日本の大手企業を担当する部署に営業職として配属される。流通系、小売り系、メーカーなど、さまざまな業界の企業を担当し、いくつもの案件を並行して進めていった。「IP電話やビデオ会議システムなど、同じ製品でも業界によって活用シーンは変わります。配属当初はそれを理解できず、ただ製品を紹介してばかりでしたね(笑)。それぞれの利用に即した形で提案することが大事だと理解してからは、機能ではなく、使い方そのものを提案できるようになったと思います」。
また、大規模なリプレース案件を手がけた際には、多くの人を巻き込むプロジェクトの進め方を学んだ。「例えば製品担当者なら、自分の領域に関係する会議のみに参加するものなんです。そのため、すべての人に全体像を把握してもらおうと考え、社内のミーティングでも『このソリューションを導入することで、お客さまがどんな企業になれるようにするのか』と最初に伝えていくように心がけました。プロジェクトのビジョンと目指すゴールを共有することの大切さを学べたと思います」。

STEP3 2013年 サービスプロバイダ事業部 グローバルアカウントマネージャー時代(入社6年目)

東京支社へ異動。サービスプロバイダ事業を手がける顧客を担当する部署で、ヨーロッパ、アフリカ、ロシアなどのエリアにおいてグローバルアカウントマネージャーを務める。海外のメンバーがそろう会議では、国ごとの文化や意識の違いにも翻弄されたという。「ヨーロッパでは、『自分の国は特別である』という意識を持っている人も多く、会議でも『自分の国のやり方が一番良いのだから、なぜ他国と合わせなければならないんだ』と。各国の営業担当10名が集まる会議だったので、意見が対立することも(笑)。その狭間(はざま)に立って悩んだことも多くありました。でも、おかげで国ごとの価値観を認め合い、理解し合うことの大切さを学べましたし、お客さまと『海外で事業を展開することの大変さ』を共有することもできたと思います」。
また、前部署のようにいくつもの案件を並行するわけでなく、一つの案件に丸1年向き合ったことも大きな糧になったという。「以前は、一つの案件で煮詰まってしまうときには、ほかの案件を動かしてモチベーションを維持していました。でも、一つの案件に集中しなくてはならない経験をしたおかげで、うまくいかないときにもあきらめず、解決策を探し続ける忍耐力が身についたと感じます」。

STEP4 2014年 コラボレーションアーキテクチャ事業部時代(入社7年目)

医療業界のお客さまに向け、シスコのコラボレーション製品の紹介と提案を行う。目覚ましいスピードで技術革新を続けるこの業界で、いち早く新しい技術に触れる面白さも実感中。また、グローバルに協力し合える環境や風土の素晴らしさも感じていると話す。「この会社では、自分のチームや組織のみでなく、グローバルのすべてのメンバーが互いに協力して助け合っていくことが当たり前になっています。職位が上の大先輩も、面識のないグローバルのメンバーでも『こんな案件を手がけていて、困っているから助けてほしい』と伝えれば、必ず協力してくれるんです。同じカルチャーをシェアし、『お客さまの成功』というゴールのために、みんなが協力していく。そんなところが、すごく素敵な会社だと思っています」。

 

ある日のスケジュール

8:30 出社。当日のスケジュールを確認。
9:30 担当する営業チームの会議に参加。全国6名の営業から顧客へのアプローチ状況をヒアリング。
11:00 大阪で行われているパートナー企業(販売代理店)との打ち合わせに、Web会議システムを利用して参加。お客さまへの新規提案に向け、状況のヒアリングを行う。
12:00 ランチタイム。近隣のオフィスで働いている友人と待ち合わせ、レストランで昼食を取る。
13:00 お客さまにネットワークのアップデートについて説明。ショールームでビデオ会議端末を実際に見てもらい、活用シーンについて話し合う。
19:00 退社。

プライベート

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旅行が趣味で、長期休暇には海外、短い休みには国内を旅している。写真は2013年の夏休みに学生時代の友人と出かけたドバイで撮影したもの。「現地に駐在している大学時代の友人や、ドバイ出身の友人との再会を楽しみました。1週間以上の長期休暇は必ず海外に出かけています」。

 

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休日には友人や妹とおいしいものを食べてリフレッシュ。写真は妹(右)とフレンチを食べた時のもの。「中学、高校、大学時代などの友人と出かけています。それぞれ違う業界で働いているので、いろんな話を聞けるのもまた面白いです」。

 

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2年前からフラメンコを習い始め、発表会にも参加。週に一度、体を動かすことがストレス発散になっている。「スペインに住んでいた幼少のころ、少しだけ習ったことがあるので、社会人になってからまた始めることにしました。1曲の踊りを1年かけて作っていくスタイルですが、その時間がすごく楽しいですね」。

 

取材・文/上野真理子 撮影/早坂卓也

 

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