電源開発株式会社

かたはた・ひろき●環境エネルギー事業部 業務室。商学部卒業。2004年入社。大学時代は、企業の財務状況や経営システムからエクセレントカンパニー(収益力の高い超優良企業)とそうでない企業との違いを分析するゼミに所属。発電所の保守運営をしていた父親の影響でエネルギーインフラの構築に興味を持ったことがきっかけで、J-POWERへ入社。

発電所建設の現場で経験を積んだ3年間

日本全国の電力会社に電気を供給する電力会社、J-POWER(電源開発株式会社)。全国68カ所で発電所を建設・運転し、発電設備の出力規模は約1700万キロワットにおよぶ(2015年4月現在)など、日本の電力安定供給を支えている。
片畑さんがエネルギーインフラ(エネルギーに特化した社会基盤)に興味を抱いたのは、発電所の保守運用をしていた父親の影響だった。発電所の存在を身近に感じてJ-POWERの会社説明会に足を運んだものの、その時には、「エネルギーの供給を通じて日本社会の発展に貢献する」などといった仰々しいことは考えていなかったという。
「J-POWERの採用面接は、私の場合5回あり、1回につき1時間以上かけるんです。だんだん話すことがなくなってくるほど、1人の学生に時間もエネルギーも割いてくれ、発言した内容について『それってどういうこと?』と細かく拾ってくれる。その選考過程で、人を大切にする会社なんだろうなと感じたことが、入社の大きな決め手でした。合計5時間以上話をした上で採用してくれるなら、自分はきっとここに合っているということなのだろう、ここで頑張ってみようと思いましたね」

 

入社後、約3カ月間は本社の営業部に所属。片畑さんはここでビジネスマナーや電話応対など社会人としての基本をOJT(※1)で学びながら、J-POWERが全国に保有する火力発電所や水力発電所で生み出される電力を地域の電力会社に販売するための資料作成の補佐を務めた。販売価格である電気料金を提示する際は、発電所で要する人件費や修繕費、燃料費などの金額を詳細に積み上げて、見積もりを出していく。人件費については人事部門に聞き、発電所の修繕計画については火力発電部門にヒアリングするなど、数字一つ出すにも社内のさまざまな部署から情報を集める必要がある。
「社内外のコミュニケーションの積み重ねが仕事を作っていくという、社会人として当たり前のことを学べた時期でしたね」
(※1)On-the-Job Training。実際仕事を行いながら学ぶこと

 

J-POWERの事務系新入社員は、入社後、本社での数カ月間の勤務を経て、日本全国にある発電所や建設現場に配属となるケースが多い。そこで新入社員は、電気が作られる過程や、発電設備の立地地域における対応などを学ぶ。
片畑さんが配属されたのは、本州最北端の町・青森県下北郡大間(おおま)町にある大間原子力建設準備事務所(現 大間原子力建設所)。総務グループと広報グループを兼務し、建設準備に必要な契約書の作成や、発電所で働く所員の寮や社宅の手配・メンテナンス、地域住民との交流イベントの企画運営まで、さまざまな業務を手がけた。
「J-POWERのミッションは、大間町に発電所を作り、何十年にもわたって安全に運転・維持管理していくことです。一方、地元住民からすれば、発電所ができることをポジティブにとらえている人ばかりではありません。共存共栄する道を常に探っていくことが何よりも大切であり、だからこそ、地元のお祭りに積極的に参加したり、逆にJ-POWERの取り組みを地元の方に理解いただくため建設の様子を見に来ていただいたりと、対外的な広報活動にも力を入れていました。入社2年目の夏には、地元のお祭りで、『自転車をこいで発電しよう』という体験型イベントを企画し、大勢の子どもたちを集めたことも。技術系の社員と協力しながら手作りで発電装置を作っていく中で、私自身も、こうやって電気が生まれているのか…とあらためて実感する印象的なイベントになりましたね」

 

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現在担当している業務では、事業契約を結んでいる自治体や、融資を受けている金融機関などから事業の状況に関する問い合わせがあり、午前中はメールや電話応対に追われることが多い。

 

新事業の立ち上げにかかわりたい。入社当初の思いは現実のものに

入社4年目、大間町での3年間の現場経験を経て、新入社員時に所属していた営業部に再び異動すると、中部電力(株)、北陸電力(株)、関西電力(株)のエリア内にあるJ-POWERの発電設備や送電設備を担当することとなる。具体的には、そのエリアの電力受給契約(※2)の策定や、その受給契約に基づいて販売電力料金を算定・確定させるなど、電力会社との金額交渉が片畑さんの主なミッションとなる。
「J-POWERが発電所を建設する際には、電力の買い手となる電力会社と、建設に係る費用や供給する電力量に関する基本協定を最初に結ぶケースがほとんど。発電所の建設や維持には莫大(ばくだい)な費用がかかることから、まず長期に及ぶ電力購入をお約束いただくことが必要と考えるからです。営業担当はその基本協定を基にして、『では、来年度の具体的な契約はどうしましょうか』と詳細を決めていくことになります。販売電力料金を出すために、発電所の人件費や修繕費などのデータ収集や分析、電力会社向けの資料作成に約3カ月かけ、その後の交渉も約3カ月かけて行うため、契約内容が確定するまでに半年ほどかかります」
(※2)当該設備で発電される電力を電力会社に販売するための具体的条件(期間・金額など)を定めた契約

 

J-POWERの営業が一般的な「営業」と大きく異なるのは、売り手であるJ-POWERと買い手である各電力会社がもつ情報量にあまり差がないことだという。「各電力会社も自社の発電所を持っているので、発電に係る人件費や修繕費などの費用構成をある程度把握しています。それゆえ、見積もり内容について『この費目はこんなにかからないだろう』といった意見が出てくることもしばしばあり、ご納得いただくために繰り返しやりとりを重ねることも少なくありません。だからこそ、無事、契約まで至ったときの達成感も大きいですね」

 

見積もりを作成する際は、まず社内の他部署のメンバーに人件費や修繕費などの見込みを聞くことから始める。片畑さんはその段階から「買い手である電力会社の立場になって考える」ことを大切にしているという。
「『この費用、本当に必要なの?』とどんどん疑問を投げかけ、買い手の電力会社だったらどう思うだろうか、という視点で情報収集や分析をしていきます。各電力会社が持っている発電所の設備状況や技術的な情報も可能な限りインプットし、J-POWERの持つ発電所が買い手の電力会社のものとどう違うのかを理解していくと、設備維持費などを説明する際にも説得力が生まれます。そうやって、納得してもらえるロジック(理論)を積み上げて先方と合意できたときは、それまでの苦労が吹き飛びますね」

 

現在は、環境エネルギー事業部で、バイオマス燃料(※3)製造事業に携わっている片畑さん。具体的には、自治体の下水処理場から供給される脱水汚泥(おでい)からバイオマス燃料を作る事業会社の運営管理を担当している。カーボンニュートラル(※4)なバイオマス燃料を、J-POWERの石炭火力発電所の燃料の一部として使うことで、CO2排出削減に貢献しているという。
「CO2排出削減につながるような燃料の開発を進めるべくスタートしたのが、下水汚泥の燃料化事業。この事業を行う会社は、PFI方式(※5)で設立された特別目的会社(従業員や事業所が不在の、資産を保有する器としてのみ機能する会社)。J-POWERはその特別目的会社に出資するとともに、製造されたバイオマス燃料を購入し、自社の石炭火力発電所で燃料の一部として有効利用しているんです。さらに、J-POWERはその特別目的会社からマネジメント業務を受託。受託契約に基づいて、特別目的会社の財産や契約、財務管理などの実務手続き全般を私が担当しています。」

(※3)生物体(バイオマス)が持つエネルギーを利用した燃料
(※4)ライフサイクルにおけるCO2の吸収量と排出量が同量であること。二酸化炭素濃度の上昇による環境破壊を防ぐことに役立つ
(※5)公共施設などの建設、維持管理、運営を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい手法

 

J-POWERにいながら、会社運営のノウハウを実践的に学べることがとても刺激的だと話す片畑さん。新たな事業を立ち上げて運営したいと、入社当初から密かに思い描いていたことが、今実現できているのだという。
「将来的には、発電事業にかかわる会社の新規立ち上げに携わっていきたいですね。電力会社を相手に深く仕事をしてきた営業部時代の経験と、環境エネルギー事業部で会社運営全般を広く学んでいる現在の経験の両方を生かして、発電事業会社の設立・運営を経験したい。J-POWERでしかできない仕事を手がけていきたいと思っています」

 

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現在の部署である環境エネルギー事業部のメンバーと打ち合わせ。

 

片畑さんのキャリアステップ

STEP1 2004年 営業部への配属を経て、大間原子力建設準備事務所 総務グループに配属(入社1年目)

赴任した青森県下北郡大間町では、味わったことのない冬の寒さと方言に慣れるのに苦労する。総務グループの仕事は、街の活性化や地域貢献にかかわるものも多く、地元の駅伝大会に若手所員を巻き込んで参加するなど、イベントへの取り組みを積極的に行っていた。「大間町という初めての地で発電所の建設現場勤務ですから、当然ながら、見るもの聞くものすべてが新鮮でした。つらかった、というよりも衝撃的だったのは、当時の事務所がプレハブでできていて、冬期には雪が建物内に吹き込んで廊下に積もっていたこと。本州最南端育ちということもあり、雪かきには一苦労しました(笑)」。

STEP2 2007年 営業部に異動、電力会社向け電力販売交渉(中・西日本エリア担当)(入社4年目)

地域の電力会社を相手とする電力受給契約の策定を担当し、電力の販売価格の内訳を積み上げながら、電力会社との交渉を進めていった。「電力会社の担当者と契約内容を一緒に作っていく過程は大変ながらもやりがいに満ちていて、『ではこの内容で合意しましょう』という瞬間がうれしい。発電所を動かすための準備を自分がしたんだなという達成感がありました」。

STEP3 2010年 東日本エリアの担当に(入社7年目)

東日本大震災の発生で、電力会社に対する世間の目が厳しくなり、エネルギー業界全体のコスト削減意識が強化されていく。J-POWERに対しても、電力会社側がより一層のコストダウンを要請してくることが多くなり、見積もりの立て方も大きく変わっていった。「それまでは、既存の書類を参考に、電力会社と合意できる範囲をある程度予測することもしていたのですが、東日本大震災以降は過去のノウハウがまったく通用しなくなりました。新たな基準点を作る思いで、仕事に取り組んでいましたね」。

STEP4 2014 年 環境エネルギー事業部に異動(入社11年目)

バイオマス燃料製造事業に携わり、当該製造事業を行う特別目的会社の運営管理を担当。決算資料の作成や取締役会の準備、各種契約書や自治体との協議に用いる資料の作成など、会社運営にかかわるあらゆる業務を担っている。「この会社に関しては前任者が立ち上げた後に引き継ぎましたが、会社の定款(※6)を作り、設立手続きをゼロから担当するケースもあります。いずれは、会社の立ち上げから経験したいですね」。
(※6)会社など法人の目的、組織、活動、業務執行などについてまとめた基本規則を記録したもの

 

ある日のスケジュール

9:00 出社してメールチェック。当日の業務スケジュールを組み立てる。
9:30 関係会社が行う業務を整理。四半期の決算整理時には大量の案件を処理するため、気が抜けない。
12:00 社員食堂で昼食。気分転換に社外でランチすることも。
13:00 自治体や共同出資者など、社外関係者との調整を必要とする事項を確認。社内関係者による打ち合わせ。
15:00 打ち合わせを反映し資料を作成。二重チェックをかねて、技術部門のメンバーと協同で作業を進めることも多い。
19:00 退社。余裕があるときは、一駅前で降りて自宅まで歩くことも。

プライベート

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2012年秋に、坂本龍馬も宿泊したという京都の旅館へ。歴史が好きで、京都によく訪れる。

 

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身近でできる社会貢献として、献血を続けている。大間原子力建設準備事務所時代、事務所に献血バスが年に2~3回訪れ、所員と一緒に行っていたのが習慣になった。

 

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阪神タイガースファンで、シーズン中は観戦に行く。写真は2014年夏の甲子園球場。同僚と盛り上がる!

 

 

取材・文/田中瑠子 撮影/刑部友康

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