日本海洋掘削株式会社

すぎやま・たかあき●資材部。早稲田大学法学部卒業。2013年入社。父の仕事の関係で8歳までオランダ、イギリスで過ごし、英語が得意に。エネルギー業界に興味を持っていた就職活動時に日本海洋掘削株式会社の存在を知る。正社員数約300人規模で世界の海を舞台に事業を手がけるという独特の規模感にひかれ、入社を決意。

海洋掘削を専門とする会社。その高い技術力と独自性にひかれた

世界中の石油開発会社を顧客に持つ日本海洋掘削株式会社(以下、JDC)は、巨大な海洋構造物である海洋掘削リグを使って海底下に眠る石油や天然ガスなどを開発・生産するための井戸を掘る、日本で唯一の専門企業だ。

「石油開発事業には、鉱区評価(※1)から石油や天然ガスの精製・販売までいくつかの段階があり、さまざまな企業がかかわっています。JDCは、その中で、石油開発会社と掘削契約を結び、海洋掘削リグを操り、世界中の海で石油や天然ガスの井戸を掘ります。その高い技術力と事業の独自性にまず、魅力を感じました」

(※1)石油地質学的に採掘する価値のある量の石油や天然ガスが集積している部分かどうか、その可能性を検討すること

 

事務職で入社したのち、1カ月の研修を経て配属されたのは経理部だった。同期20人中18人が技術職での採用だったため、同じ部署に配属される同期はおらず、さらに年度決算をとりまとめる時期で部内は年間で最も多忙な時期。先輩社員も新人に手とり足とり指導する余裕がなく、「とりあえず自力で勉強するしかなかった」という。

「数字が苦手で文系の法学を専攻したのに、経理部に配属されるとは…と驚きましたね(笑)。掘削用語や経理用語などの専門用語もわからず、先輩たちが何の話をしているのかすら理解できない状況だったので、まずは同じような体験をした先輩から勧められた簿記の教科書を買い集め、基礎知識をつけることから始めました。請求書や契約書の内容について、海外に拠点をかまえる事業所や関係会社などから毎日のように問い合わせが入るのですが、先輩の誰もが英語で電話を受け、すらすらと回答する姿に最初は衝撃を受けましたね。お客さまが世界中にいること、地球上すべての海がJDCの職場であることを実感した瞬間でした」

 

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現在担当する資材部での業務の一つ。購買依頼をまとめたリストをチェックする。滞っている案件があれば、日本やアメリカの業者に連絡し、納品が間に合うかどうかを確認。

 

新たなリグの建造に携われるようになりたい

1年目の2014年1月に現在所属する資材部に異動となり、掘削作業に必要な資材の発注から納品状況の確認業務、適正価格で購入するための入札評価や交渉などの業務ならびにロジスティックス(※2)業務を担当している。

JDCでは、資材が正しく発注され納品されたかを確実に把握するため、購買と検収(※3)は別の人間が担当する。最初の4カ月は、世界各地のリグから依頼のあった資材が、国内外の業者から正しく納品されているかを確認する検収業務を担った。

「発注書と納品書の内容が一致していることが確認できたら、資材は日本の倉庫からシンガポールの資材拠点に輸出され、さらにそこから世界中のリグへと運ばれます。輸送中に不備が生じることもあるため、業者や事務所とのやりとりも頻繁に生じ、細かな確認業務の積み重ねでした。私たちが確認している資材が当社の掘削作業を支えています。責任も重大なんです」

(※2)必要な物資を必要なタイミングで供給する

(※3)納品された資材が発注通りであるかをチェックする業務

 

2年目の14年5月からは購買の担当になり、マレーシアで稼働中のリグ「HAKURYU-5」と、インドネシアで稼働中のリグ「HAKURYU-10」から依頼された資材の購買を担当。11月には、「HAKURYU-5」に乗船し、技術者たちと1カ月寝食を共にする貴重な経験もした。

「資材部は、リグで使われている資材の全データを把握しています。各リグの購買担当者は、半年に一度、そのデータの内容通りに資材があるかを確認する“棚卸し”という業務が発生するので、実際にリグに足を運ぶ機会があります。リグの上には、技術者たちが寝泊まりする居住区があり、そこでさまざまな国籍の人々が生活しています。1日12時間、4週間泊まり込みで仕事をし、その後4週間は休日になるという特殊な勤務体系。各国さまざまな食文化を持っているので、ビュッフェ形式の食事は種類も豊富なんですよ。私が“棚卸し”のため『HAKURYU-5』に4週間滞在した際には、偶然にも技術職の同期4人も勤務中で、仕事終わりに360度海に囲まれたリグ上に設置されたヘリデッキ(ヘリコプターが離発着する場所)で、夕焼けを見ながら語り合ったことも。目覚めとともに見た日の出の美しさは、今でも目に焼きついていますよ」

 

また、マレーシアの子会社に2カ月間出張し、リグからの購買依頼を束ねるマテリアルスーパーバイザーとして勤務したことも。マレーシアで資材が必要になった場合、まずはマレーシア国内で購入可能かを確認する。それが不可能な場合は、隣接するシンガポールの資材拠点へ確認したり、場合によっては日本やアメリカの製造業者への発注が必要となる。杉山さんは、15年1月から2カ月間、週20件の新規購買依頼の内容確認を行い、「シンガポールで対応できるものか、日本やアメリカの業者に依頼が必要なものか」を判断した上で、発注をかけるという重要な役割を担った。対応すべき依頼が600件以上あり、データベースが煩雑だったため、リグから依頼された資材が、“見積もり中”なのか“納品済み”なのか、進捗状況がひと目でわかるようデータを整理。リグに乗船している技術者や、購買業務を担当するシンガポール事務所のスタッフや本社資材部の社員から、「杉山くんに聞けば、資材の手配状況がすぐにわかる」と言ってもらえるまでになった。

 

入社3年目を迎え、今後はリグの「建造プロジェクト」に携わりたいと話す杉山さん。

「15年2月には『HAKURYU-12』が完成し、また16年12月までにさらに2基のリグが新造される予定となっています。それ以降も事業拡張のため、JDCはリグの数をさらに増やす計画です。将来は、新たなリグの建造プロジェクトに一から携われるようになりたいですね。扱う資材の数は膨大になりますが、世界中の海を舞台に活躍するJDCの新しいリグに自分がかかわったと言えて、初めて一人前になれるのかなと思っています」

 

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マレーシアで稼働中のリグ「HAKURYU-5」から届いた購買依頼内容について、業者に発注をする前に、上司に報告。承認を得る。

 

杉山さんのキャリアステップ

STEP1 2013年 新潟県柏崎市での新入社員研修(入社1年目)
技術職18人、事務職2人の同期20人と、新潟県柏崎市にある柏崎テストフィールド(※4)で新人研修合宿を行った。「リグがどのように稼働して石油や天然ガスの掘削を行っているのか、シミュレーターで操作できる最新設備もあり、リグの技術力の高さに驚きました」。
(※4)独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が持っている石油開発技術に関する試験および技術者の育成を実施している施設

STEP2 2013年 5月に経理部へ配属(入社1年目)

書類のコピーなど先輩をサポートする業務からスタート。年間で最も忙しい年度決算の時期に配属され、周りの先輩も、新人をじっくり教育する時間がなかった。コピーを取りながら、その資料に書いてある言葉を覚えたり、わからない用語があれば簿記の教科書を開いて調べたり、できることを探しながら経理の知識をつけていった。

STEP3 2014年 1月に資材部へ異動、検収業務を経て購買担当に(入社1~2年目)

リグからの依頼を受けて発注した資材が、倉庫にきちんと届いているかを確認する「検収業務」を担当。経理部では、請求書の内容を確認し、収支についての正確な数字を報告することが仕事だったため、「早めに確認を進め、書類を提出しなければ経理部の負担が増えてしまう」と、相手の立場を考えた仕事が自然にできるようになっていた。検収業務を5月に新入社員に引き継いだあとは、購買業務を担当。「マレーシアからくる購買依頼内容を確認し、日本やアメリカにある業者に発注するので、メールや電話で英語が飛び交うのは、JDCでは日常的な光景です」。

STEP4 2015年 2カ月間のマレーシア出張で、リグからの購買依頼を一括管理する役割を担う(入社2年目)

1月から2カ月間マレーシアに出張。リグからの購買依頼内容を確認し、「マレーシア国内の業者で対応できるものか、シンガポールの資材拠点に対応をお願いするものか、東京本社から日本やアメリカの業者に依頼すべきものか」を整理するマテリアルスーパーバイザーになる。何百もの案件が同時並行で動く中、納品までの進捗スケジュールを正確に把握すべく、誰もが見やすいデータベースを作成して管理。「次の担当者に、これさえ引き継げば大丈夫、という状態を作ろうと思いました。マレーシアの2カ月間で、資材担当として情報を整理して各方面に伝達する調整能力がきたえられました」。

 

ある日のスケジュール

8:30 出社。現場からの購買依頼をまとめたリストを更新し、滞っている案件がないかチェック。
9:00 始業。アメリカや国内の業者と連絡を取り、購買依頼を一つひとつ処理していく。
11:00 マレーシアの現場と上司両方の承認を得た案件について、発注書を作成し、業者に連絡。
12:00 ランチ。買ってきたお弁当を会議室で同僚と食べる。昼寝をすることも。
13:00 業者からきた請求書をチェック。
14:00 輸出業者に連絡し、倉庫にある資材の輸出手配を依頼。
15:00 社内会議。
17:50 終業、退社。

プライベート

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2014年9月、同期の結婚式で行った石川県金沢市にある兼六園。一緒に参列した同期たちと、金沢の古い街並みや、新鮮な海の幸を堪能した。

 

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大学時代のオーケストラサークルの仲間と、大学院に進んだ友人の卒業を祝って、2015年3月の“追い出しコンパ”に参加。学生時代、杉山さんはビオラを担当し、今は自宅で気ままに演奏することが多い。

 

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2013年5月のゴールデンウィークに、父と中国へ旅に出かけた。父との2人旅は人生で初めて!

 

取材・文/田中瑠子 撮影/刑部友康

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