株式会社レコチョク

しいな・あずさ●配信事業部 サービス企画グループ。立教大学文学部英米文学科卒業。2013年入社。大学時代は音楽バンドサークルに所属。趣味でWebサイトのデザインなども手がけていたことから、大学卒業後は、エンタテインメントや生活関連のコンテンツを扱うITコンテンツプロバイダー企業に就職。「音楽にもっと携わりたい」という思いで、社会人4年目でレコチョクに転職する。

今までの音楽配信サービスにはない、新しい取り組みを考えていく

「人と音楽の新しい関係をデザインする。」レコチョクが、2014年1月から掲げている企業ビジョンだ。「着うた(R)」(02年)、「着うたフル(R)」(04年)から始まり、現在は、パソコン、スマートフォン、ゲーム機などマルチデバイス(※1)向け音楽ダウンロードサービス「レコチョク」や定額制音楽配信サービス「レコチョクBest」、そして携帯キャリアとの協業による「dミュージック powered by レコチョク」「dヒッツ powered by レコチョク」「LISMO Store powered by レコチョク」など、日本の音楽配信において常に先進的なサービスを手がけてきたレコチョク。最近は、音楽の付加価値創造、音楽マーケットの拡大に向け、新規事業の企画開発に力を入れており、椎名さんはその中心的メンバーの一人だ。13年11月に社内に設立された、次代の音楽市場創造に向けた研究機関「レコチョク・ラボ」に、第1期メンバーとして選ばれ、13年3月の中途入社以来、一貫して新規事業の企画・立案に携わってきた。

「レコチョク・ラボでは、大学生と一緒に、10代、20代の学生が音楽をどう聴いているのかをリサーチすることもあります。また、異業種とのコラボレーション企画の立案や、海外先進ビジネスモデルの調査・分析なども実施。レコチョク・ラボでのブレインストーミング(※2)から生まれた、“音楽と写真を融合させるサービスをつくろう”というアイデアは、15年4月にスマートフォン向けサウンドカメラアプリ『NO MUSIC, NO LIFE. SOUND CAMERA』(※3)としてリリースすることができました」

(※1)コンテンツ、ソフトウェア、サービスなどがさまざまな機器から利用できること

(※2)集団で自由に意見を出し合うアイデア発想法の一つ。ブレストとも言う

(※3)タワーレコードとレコチョクが提供するアプリケーション。スマートフォンで撮影した写真に「NO MUSIC, NO LIFE.」フレームをつけ、レコチョクで配信中の最長45秒の楽曲とメッセージを添えた“音楽が流れる”、 自分だけの「サウンドポスター」を作成できる

 

大学時代は音楽バンドサークルに所属し「音楽は生活に欠かせないものだった」と話す椎名さん。大学卒業後は、エンタテインメントや生活コンテンツを手がけるITコンテンツプロバイダー(※4)企業に就職し、デコレーションメール(※5)の素材や、Webサイトの企画を担当していた。デザイナーと新しいデザインを考え、毎月数百~数千個ものデコレーションメール素材をリリースする仕事は面白く、どんなデザインなら人気が出るのか、夢中になって分析・企画していたという。

「転職を考え始めたのは入社3年目に入ってから。サブリーダーとしてマネジメント業務を任されるようになり、難しさとやりがいを感じながらも、『20代のうちは、もっと現場で経験を積みたい』という思いが強くなっていったんです。大好きな音楽に携わりたいという気持ちもあり、音楽配信サービスを手がけるレコチョクへの転職を決めました」

(※4)インターネットで配布・配信することができるデジタルコンテンツを取り扱う事業

(※5)絵文字やカラフルなテンプレートを使ったメール

 

入社後は、企業向け新規事業の企画立案を担当。残念ながら実現には至らなかったが、複数の企業とエンドユーザーに向けた音楽サービスのコラボレーション企画の検討などに携わる。

「13年11月に、『今までの音楽配信サービスにとらわれない新しいサービスを考えていこう』とレコチョク・ラボが立ち上がると、兼務で調査・分析業務が加わりました。ロサンゼルスに駐在しているメンバーと一緒に、海外のストリーミングサービス(※6)の情報をリサーチしたり、大学のゼミに隔週で参加して音楽の今後のあり方を学生とブレストしたことは、現在の仕事にもつながる貴重な経験でした。私は初期段階でかかわっただけでしたが、パイオニアさまへ提案していた音楽サービスが、カーナビ専用の定額制音楽ストリーミングサービス『ミュージッククルーズチャンネル』(15年5月リリース)につながり、BtoBtoC(※7)という新たな音楽の伝え方に可能性を感じています」

(※6)声や動画などのマルチメディアファイルをサーバーから送信しながら再生していくサービス。ファイルは手元に残らない

(※7)Business to Business to Consumerの略。企業が他企業を通して消費者にサービスを展開すること

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社内のオープンスペースで、新規事業企画のプレゼンテーション資料を作成。気分をリフレッシュさせるため、デスクを離れて仕事を進めることもある。

 

アーティストとファンをつなぎ、日本の音楽シーンをもっと盛り上げていきたい

入社2年目の14年4月には、新規事業開発を担う配信事業部・ビジネスデザイングループ(現・サービス企画グループ)に異動になり、レコチョク・ラボで出ていた新規サービス案を実現するため、具体的に動き出すことになる。

それが、タワーレコードと連携してリリースした「NO MUSIC, NO LIFE. SOUND CAMERA」だ。これまで“聴く”ものだった音楽を、「音楽と“何か”を組み合わせることで、新しい体験が生まれるのではないか、心が豊かになるようなサービスを提供できるのではないか」と考えたのが、音楽と“写真”を組み合わせるきっかけだったという。

「具体的なリリースに向けて、サービス概要を詰めていくと同時に、何よりも重要なのが、レコード会社さまから楽曲配信の許諾をいただくことなので、各レコード会社さまに営業担当者を通じ、企画意図のプレゼンテーションを重ねていきました。その中で、レコード会社さまの音楽や各アーティストへの思いなどさまざまな意見をうかがうことができたことは、大変勉強になりました。2度もリリースが延期になるなど、最終リリースまでの1年半はまさに山あり谷ありでした。でも、リリース後に、FacebookやTwitterで『写真と音楽を組み合わせるアイデアがいいね』『気に入って使っています』などユーザーの声を目にした時は、自分たちがやってきたことは間違っていなかったんだと本当にうれしかったですね」

 

新しいアイデアを考えるべく、新聞や雑誌、海外の新しいサービスの情報に常に目を通しているという椎名さん。仕事の中で最も難しいのは、グループメンバーで出し合ったアイデアを、関係者みんなが“合意するサービス”として成り立たせることだという。

「音楽が好き、音楽を大事にしたい、という思いは、レコチョクのメンバーはもちろん、レコード会社さまやコラボレーションを検討している企業さまも皆同じです。でも、ビジネスとして双方が利益を得られるようなサービスまで具現化していく際には、楽曲配信への考え方、ポリシーの違いなどさまざまな意見が出てきます。ビジネスとして成り立たせるために、何にこだわり、どこを妥協するのかなど、合意点を考えるのがとても難しいポイントですね」

 

現在は、インディーズ・新人アーティストの活動を支援する音楽コミュニケーションプラットフォーム「Eggsプロジェクト」を担当している。レコチョクとタワーレコード、NTTドコモが共同で運営しているこのサービスは、「音楽を志す新人アーティストが自身の楽曲を自由に登録し、ファンはその登録された楽曲を自由に聴くことができる」という、アーティストとファンをつなぐコミュニケーションプラットフォームだ。

「海外には、クラウドファンディング(※8)をはじめ、アーティストをさまざまな形で支援するサービスが多く立ち上がっています。支援してくれたファンには、アーティストから特典サービスがあったり、音楽マーケットを相互に盛り上げていけるような仕組みができています。日本では、アーティストを応援するサイトやツールはまだあまりメジャーなサービスではありませんが、今後、音楽市場を盛り上げていく上で、ファンと相互につながる仕組みは必要になると考えています。私自身、インディーズが大好きで、素晴らしい楽曲やアーティストをさまざまなかたちで応援していきたい。これからも、『この曲、このアーティストに出会えてよかった』と一人でも多くの方に思っていただけるようなサービスをつくっていきたいと考えています」

(※8)クリエイターや起業家がアイデアやサービス実現のために、インターネットを通じて不特定多数の人から資金出資を募ること

 

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チームメンバーと案件の進捗状況について共有。「こんなサービスがあると面白いんじゃない?」などと、新しいアイデアについても意見をぶつけ合う。

 

椎名さんのキャリアステップ

STEP1 2009年 ITコンテンツプロバイダー企業に入社し、デコレーションメールの企画を担当(社会人1年目)

当初コンテンツ企画を担当していたが、3年目から、サブリーダーとして事業管理を担当し、売上数字管理など経営視点を求められるように。マネジメント研修に参加することが多くなるなど、幹部候補として会社からの期待を感じる一方、コンテンツ企画を考える現場でもっと経験を積みたいという思いから、転職を考え始める。レコチョクに転職した前職の先輩から、「新しい事業にどんどん取り組むチャレンジングな職場」という話を聞き、選考を受けようと決めた。

STEP2 2013年 レコチョクに転職し、社長室で企業向け新規サービス提案を担当(社会人4年目)

転職を機に「面白そうなものには、何でも手を挙げてやってみよう」と意識改革を決意。尊敬すべき上司に出会い、「こんな企画あるけどやってみる?」と提案を受けたものにはすべてチャレンジするように。「その上司は、常に外にアンテナを張り、面白いことや新しいことを見いだそうとするポジティブなパワーにあふれた人。兼務することになったレコチョク・ラボについても『こんな新しい研究機関が立ち上がるけど、挑戦してみる?』と提案してくれ、背中を押してくれたからこそ今があります。情報収集力や、現状に満足せずいつも先を見て物事を考えようとする姿勢に、今でも非常に刺激を受けています」。

STEP3 2013年11月にレコチョク・ラボが立ち上がり、社長室との兼務に(社会人5年目)

音楽市場拡大のため、既存のサービスにとらわれないアイデアを検討・発信していく研究機関「レコチョク・ラボ」が立ち上がり、2名の初期メンバーに選ばれる。レコチョク・ラボ長らメンバーとは、ブレストを繰り返し、音楽と何を組み合わせれば、音楽業界をもっと盛り上げられるかと、新サービスについて意見を交わし合った。

STEP4 2014年 配信事業部 ビジネスデザイングループに異動。10月までレコチョク・ラボとの兼務を続ける(社会人6年目)

新規事業企画を手がけるビジネスデザイングループのメンバーは8人。1チーム2~3人、1人2~3案件をかけ持ちして担当している。14年9月にはニューヨーク出張に行き、現地の音楽配信サービスの担当者との打ち合わせに参加。レコチョクとのコラボレーション企画について意見を交わした。「海外ではアーティストとファンをつなげるクラウドファンディングなどの支援サービスが多く展開されていることを実感しました。支援したファンに対しては、アーティストから直接特典が贈られたりと、相互サービスとしてとてもうまくいっているんです。日本でも、アーティストや音楽を身近に感じられるサービスを広げていきたいとの思いが強くなりましたね」。

 

ある日のスケジュール

10:00 出社してメールチェック。
11:00 グループ定例ミーティング。各自担当している案件の進捗確認と課題整理。
11:30 ロサンゼルスを拠点とし、調査分析をしている駐在メンバーとWeb会議。海外の最新動向をヒアリングする(週1回)。
12:30 チームで担当している案件の定例ミーティング。進捗状況を確認する。
13:30 会社近くのカフェで遅めのランチ。頭の整理とリフレッシュのため、一人で出ることが多い。
15:00 デザイナーと、現在進めているサービスの画面デザインについて打ち合わせ。
16:30 新規企画立案のため、資料を作成。
19:30 退社。友人と飲みに行ったり、映画を見に行くこともある。

プライベート

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インディーズ音楽が大好きで、野外音楽フェスティバルには毎年参加している。写真は13年夏に茨城県ひたちなか市で行われたフェスのもの。

 

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15年ゴールデンウィークに行った国立新美術館。ベルギーの国民的画家、『ルネ・マグリット展』を見に行った。

 

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好きな音楽をかけてドライブに行くのが好きで、車内はいつもカラオケ状態! 15年ゴールデンウィークには葉山(神奈川県)まで友人とドライブ。写真は、休憩に入ったカフェでの1枚。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/早坂卓也

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