ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社

まつお・みゆき●デピューシンセス・ジャパン 事業戦略室。慶應義塾大学総合政策学部総合政策学科卒業。2010年4月入社。「モノをつくって販売する」というビジネスの基本である業種や、グローバルな仕事ができる外資系企業を視野に就職活動を行う。消費財や化粧品など身近な商材を扱うメーカーを中心に、約30社にエントリーした。人々の命やクオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)に貢献できる業務内容に意義を感じ、現社への入社を決意。入社時のTOEICⓇTestのスコアは880点。

病院の医師や看護師などの医療従事者を通じ、利用者の喜びの声を聞けることがやりがい

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、世界60カ国に265社以上のグループ企業を有するグローバルヘルスケア企業。創業以来、人々のクオリティ・オブ・ライフの向上を目指し、一般消費者向けの製品から高度な医療機器まで、幅広い製品とサービスを提供している。日本法人グループは、バンドエイドⓇなどの一般消費者向け製品を扱うコンシューマー カンパニー、幅広い診療領域の医家(医師)向け医療機器を扱うメディカル カンパニー、使い捨てコンタクトレンズアキュビューⓇを扱うビジョンケア カンパニーの3つのカンパニーと、医療用医薬品を扱うヤンセンファーマ株式会社で構成されている。
「就職活動を始める前は、バンドエイドⓇやベビーケア用品の会社というイメージでした。ところが会社説明会に参加して、医療機器も手がけていると知り、いい意味で驚きましたね。さまざまな職種の中でも営業を経験することは、将来の自分のキャリアにきっとプラスになると考え、営業職を希望しました」

 

入社以来、松尾さんが所属するのはメディカル カンパニー。カンパニー全体の新入社員研修を1カ月、配属部署である糖尿病患者用の血糖自己測定器(※1)を扱うライフスキャン事業部の研修を1カ月半経験し、ヘルスケア業界や糖尿病領域についてしっかりと学んだ。
「知らないことばかりで戸惑いましたが、最初に時間をかけてきちんと知識を得ることができたのは、良かったと思います」
(※1)糖尿病患者が自宅で血糖値を測定できる機器

 

2010年6月、松尾さんは同事業部の営業部に正式配属となり、滋賀県の病院を担当することに。糖尿病領域の診療科を訪問し、医師や看護師などの医療従事者に、自社の血糖自己測定器を売り込むのはもちろん、彼らのニーズを聞き出し、病院のパートナーとして患者さんのためにできることを提案していくのが仕事だ。
入社3、4年目のさまざまな先輩と同行し、営業活動を間近に見ながら松尾さんが実感したのは、顧客から信頼を得ることの大切さ。
「メーカーの営業は、製品を買ってもらうことが仕事ですが、営業として何より重要なのは、お客さまにいかに信頼されるかということです。といっても、医療従事者は忙しいので、会話が5秒で終わってしまったり、時には訪問してもまったく会話ができないことも…。中には5分の面談時間を頂くまで半年以上かかった方もいました。私たちとの面談時間に価値を感じていただき、初めてお時間を頂くことができるんですが、信頼関係を築くことは、想像していた以上に難しいと思いましたね。信頼関係は少しずつ積み重ねてできていくものだと痛感しています」

 

8月からは、1人で営業活動を行うように。営業先は、自分よりはるかに専門知識が豊富な医師や看護師、薬剤師だ。松尾さんは「私はこう思うのですが、先生はどう思われますか?」と“教えていただく姿勢”を持って話を聞き、信頼関係を深めていった。
「先生も私が新人だとわかっていらっしゃるので、温かく見守ってくださいましたし、専門家からの意見は、とても勉強になりましたね」

 

病院の診療時間内は時間をもらえないため、松尾さんが病院を訪問するのは、昼休みや診療時間の終了後。
「限られた時間しかないという意味では大変でしたが、『松尾さんが頑張っているから、それに応えてあげなくては』と、製品の採用を決断していただけると、『いろいろな提案を通じて製品の良さが伝わった』とうれしくなります。私を通して当社の製品を理解していただき、病院を通じて糖尿病の患者さんが当社の血糖自己測定器を使用される。そして『今までの製品より、使いやすくなった、今まで以上に治療に前向きになった』と喜んでくださる。間接的ですが、病院の医師や看護師を通じて利用者のこうした喜びの声を聞けることは、大きなやりがいになりましたね」

 

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パーテーションで仕切られ、広々としたワークスペース。デスク上は、必要最低限のものしか置かないようにしている。

 

マーケティング担当として、さまざまな視点から製品を捉える総合的な思考力を会得

12年9月、東京に異動した松尾さんは、同じライフスキャン事業部のマーケティング担当となった。マーケティング担当のミッションは、製品の良さを最大限に伝えられる方法を考え、さまざまなプロモーションを実践して、売り上げに貢献することだ。
「病院や製品利用者、営業担当者といったさまざまな声をより良い製品づくりに生かしていくのも、マーケティング担当の仕事。製品は、海外工場で日本仕様にカスタマイズ生産しているので、日本側の意見を集約し、安全面も含めて妥当性がある改良案かどうかを検討しながら、次の製品に反映していきます。そうやって、マーケティング担当は、開発部門とのパイプ役も果たしているんですよ」

 

松尾さんは、営業として携わってきた製品に、今度は違う立場でかかわることになった。
「どちらも『製品を通じて、患者さんと医療従事者に貢献したい』という思いは同じですが、マーケティング担当は、製品の責任を負う立場。万が一、製品に不具合があれば、糖尿病患者に影響が及ぶことも考えられるので、医療機器であることをより強く意識するようになりましたね」

 

マーケティング担当には、安全面も含め、さまざまな視点から製品を捉える総合的な思考力が求められる。松尾さんは、社内のさまざまな部門と連携しながら仕事をしていく中で、その力を養っていった。
「品質保証部や薬事部、サプライチェーン(※2)部などのメンバーと一緒に仕事をすることで、『なるほど、そういう考え方もあるのか』と気づかされ、視野が広がりましたね。例えば、“こういうものを患者さんに提供できればもっと製品が使いやすくなる”などのアイデアを提案したときに、品質保証や薬事の適正使用の観点から、それを提供することで問題が生じる可能性があり、別の方法でその問題を解決できないか、などの話し合いが持たれることがあります。マーケティングの観点だけでは出てこなかったアイデアが生まれ、他部門と連携することで視野が広がるんです」

(※2)需要計画・原材料調達・生産管理・物流・販売までを連続したシステム

 

年初に策定する年間のプロモーションプラン(患者さんや医療従事者に何を訴えたいのか)に沿って、製品の強みをアピールしたカタログや、患者さんである利用者にわかりやすい説明書の作成などのほか、年3回開催される学会に展示するブースの運営なども担当。
「営業同行や学会でお会いした先生から、『患者さんが、使いやすいと満足している。この成果を学会で発表しよう』と言われた時は、うれしかったですね。1人で活動することが多かった営業と比べて、マーケティング担当は、チームで結果を出す仕事が中心。たくさんの人たちの助けを借りながら、事業部全体の販売目標を達成できた時の喜びは、個人で営業目標を達成する喜びより、はるかに大きいですね」

 

15年3月、松尾さんは、デピューシンセス・ジャパン 事業戦略室に異動。デピューシンセスは、整形外科や脳神経外科領域で骨固定用などの各種インプラント(※3)や器械、サービスなどのソリューションを提供している事業部だ。
「所属する事業戦略室は15年2月に発足した部署です。私たちに求められているのは、これまで縦割りの活動を中心に展開してきた複数の事業を、横軸でも捉えていくこと。常に外部環境の変化や顧客のニーズに答えていかなければなりませんし、また共通でかかえている問題の解決や、お客さまに対する新たな価値の創造ができると考えています」

(※3)体内に埋め込まれる器具の総称。骨折部位の治療に使われるプレートやスクリューなど

 

現在所属している事業部が扱うのは、整形外科や脳神経外科という、松尾さんにとっては新しい領域。これまでとは、診療科や疾患領域も異なれば、製品の果たす役割も異なっているため、新しい領域の専門知識をイチから学んでいる。

「私たちの部門は製品こそ持っていませんが、市場や顧客に『製品以外の新たな価値を提供していきたい』と考えています。部門として掲げているモットーは「Go to market without products.(製品以外の価値を持って市場に出ろ)」という言葉。個人的な目標としては、事業部内で信頼されるだけでなく、さまざまな部門に異動しても一定の力を発揮し、信頼を得られる存在になること。そのためにも一生懸命学び、一人合点せず、人に聞いて正しい知識を得ていこうと思っています」

 

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中長期事業計画について打ち合わせ。プロジェクトで動く仕事が多く、1日に2、3件のミーティングが入ることもある。

 

松尾さんのキャリアステップ

STEP1 2010年 カンパニーと事業部の研修で基礎知識を習得(入社1年目)

4月に入社し、メディカル カンパニー全体の30名ほどの新入社員が集まる新入社員研修に参加。1カ月間の座学で、ビジネスマナー、ヘルスケア全般の業界知識、ロジカルシンキングなどのビジネススキルなどを学んだ。ビジネススキルを学ぶ2泊3日の合宿では、チームごとに考えたビジネスプランを、経営陣にプレゼンテーション。チームワークが必須のプログラムを通して、同期との絆が深まった。その後、ライフスキャン事業部に配属となり、新卒3名と中途入社3名で、1カ月半の研修に参加。生物学や糖尿病についてなど、事業領域に関する知識を習得した。

STEP2 2010年 ライフスキャン事業部で血糖自己測定器の営業を経験(入社1年目)

6月、ライフスキャン事業部の営業部大阪第2ディストリクトに正式配属となる。土地勘のない滋賀県に配属。初めての社会人生活や営業活動に不安はあったが、マネジャーを含めて5人という少人数のチームで、滋賀県と京都府にある病院を対象に、血糖自己測定器の営業に従事。思ったように目標数字が上がらないこともあったが、「こういう時期もある」と割り切って、仕事に対するモチベーションを維持。「素直に一生懸命ぶつかっていけば、きっとうまくいく」と信じて営業活動を続け、目標を達成した。

STEP3 2012年 ライフスキャン事業部で血糖自己測定器のマーケティングを経験(入社3年目)

9月、同じメディカルカンパニー ライフスキャン事業部のマーケティング部に異動。プロダクトマーケティング担当として、製品のプロモーションプランの立案・実行、学会展示の立案・運営、カタログの作成、海外の製造工場との製品改良の交渉、売り上げ目標に基づいた需要計画の策定などに従事。他部署と連携して行う業務が多く、最初は専門的な会話が理解できなかったが、半年後には理解できるように。営業担当者からのニーズを的確にとらえる際には、営業としての現場経験が大いに役立った。

STEP4 2015年 デピューシンセス・ジャパンでプロジェクトの立ち上げ遂行(入社5年目)

3月、整形外科と脳神経外科領域の複数の事業部からなるデピューシンセス・ジャパンに異動。事業戦略室の一員として、各事業部を横断的に見ながら、顧客の視点に立ちながら共通の問題解決や新たな価値の提案を目指す。これまでの業務とは違い、各事業部の担当者が集まって課題を検討していくプロジェクトベースの業務が中心。事業戦略や今後の活動について検討しながら、新しい領域の知識習得に注力している。発足間もない部門での仕事は暗中模索だが、新しい環境で今までとは違う「筋力」を養うことは、自分の成長につながると考え、日々業務に取り組んでいる。

ある日のスケジュール

9:00 出社。メールをチェックして、返信。マーケティング部時代はメールの3割が英文だったが、現在は1割程度。
9:30 上司と週1回の定例ミーティング。プロジェクトミーティングの進め方について話し合う。
10:30 デスクワーク。ミーティングで決めた内容をどう体系化していくか、アイデアを資料にまとめる。
12:00 ランチ。上司やほかの事業部の同僚と、近くのレストランへ。
13:00 デスクワーク。午前中の作業の続きを行う。
15:00 ほかの事業部門の担当者を交えて、プロジェクトについて打ち合わせる。
16:00 デスクワークに戻り、18時30分ごろ退社。

プライベート

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13年の春に、ライフスキャン事業部の同期や先輩と一緒に、2泊3日で石垣島へ。写真右端が松尾さん。別々のカンパニーや事業部門で働く人たちとも、頻繁に連絡を取り合って会っている。

 

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15年3月、マーケティング部のメンバーと伊豆の初島に行き、アスレチックなどを楽しんだ。後列右から2番目が松尾さん。「異動直前だったので、このときは幹事をしませんでしたが、普段は私が幹事をすることが多いですね」。

 

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15年4月、結婚して地方で暮らす大学時代の友人(左)と再会。「お茶を飲みながら、近況報告をしたり、もうすぐ生まれる彼女の子どもの話をしたり。社外の友人との情報交換も、大切にしています」。

 

取材・文/笠井貞子 撮影/刑部友康

 

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