株式会社ジャクエツ

とう・みつたか●営業企画課 係長。成城大学経済学部経済学科卒業。2001年4月入社。教師を目指して、中学の社会、高校の地理歴史の教職免許を取得したが、教師として子どもに直接かかわる以外にも、また違った形で子どもにかかわれる仕事もあると考え、社会勉強のために子ども服や玩具のメーカーなどを含めて10社以上の会社説明会に参加。幼児教育に密接にかかわる現社の事業内容にひかれ、入社を決意。

リフォームした幼稚園のトイレに園児の大行列が! 営業としての喜びを実感

ジャクエツは1916年、自社で運営する幼稚園で利用する教材の自社制作からスタート。現在は、幼稚園や保育園を対象に、教材、教具、園児服、室内備品などの企画・製造・販売から、園庭遊具や園庭整備の企画・設計・施工、園舎(えんしゃ。幼稚園・保育園などの建物)の改修や建築設計まで、幼児教育にかかわる環境づくりをトータルにサポートしている。藤さんは、2001年の入社以来13年間、宇都宮店で営業に従事。担当エリアにある幼稚園や保育園を定期的に回って、自社のオリジナル商品の販売や園庭遊具の提案、園舎の改修設計などのコンサルティングを行ってきた。

「配属されるとすぐに、先輩から約100園のお客さまを引き継いだんです。中には、10年以上取引のないお客さまもありましたが、『訪問しても無駄だろう』という先入観を持たずに訪問し、先方の懐に飛び込むことを心がけました。その甲斐(かい)あって、長年取引のなかったお客さまとの取引が再開。ブロックなどの教具購入を機に、お客さまに対する親近感が深まり、営業の仕事が楽しいと思えるようになりました」

 

印象に残っているのは、入社1年目の夏に成約した幼稚園のトイレリフォーム。仕事の全貌すら把握できていない中、主にトイレや保育室の改修、園庭などの工事物件を中心に営業するリフォーム専門の担当者のサポートもあって受注に成功。夏休みに入る1カ月間を利用して工事を行うことになり、新人だった藤さんは、勉強のために工事工程を見学することにした。

「朝は現場に寄ってから営業に行き、夕方はまた現場に顔を出して、進捗状況を確認する毎日。おかげで園長先生とも親しくなり、ご自宅で朝食をご馳走(ちそう)になったこともありました(笑)。工事後半になると、お客さまとの距離はさらに縮まり、出入りできるようにと信頼して園の鍵を預けてもらえるまでに。無事トイレが完成すると、副園長先生が、今まで見たことないくらい感情をあらわに喜んでくださったんです。その姿に、私も感激しましたね」

 

さらに感動したのは、夏休みを終えて登園した子どもたちの、リフォームしたトイレを見た時のはしゃぎよう。

「トイレ内にベンチを設けて遊び場風にしたことから、あっという間にトイレに大行列が。自分が携わった仕事で、子どもたちがこれほど喜んでくれるなんて…うれしかったですね。この仕事はB to B(※)の取引でありながら、子どもが喜ぶ姿をじかに目にすることができる。すごく励みになります」

(※)Business to Businessの略。企業が企業向けに行う事業のこと

 

営業としてピンチに直面したのは、3年目。保育園経営に初参入する経営者から、園舎の設計・備品の選定を一任されたのだが、完成間近になり、先生たちとのやり取りの中で意見の相違があり備品・遊具計画の見直しに発展。上司に出て収めてもらうのは簡単だが、それでは自分のためにならないと考えた藤さんは、上司に相談しながらなんとか自力で事態を収拾しようと努め、片道1時間半をかけて何度もその園に通った。最終的には上司も登場したが、約3カ月かけて妥協点を見いだすことに。

「当時は納得できないこともありましたが、今思い返せば、自分が至らなかったのだと理解できます。すべて伝えたつもりになっていましたが、もっと現場に携わるほかの先生方ともよく話をするなど、コミュニケーションの取り方を工夫すべきでしたね。この一件で忍耐力が養われましたし、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)の大切さを身をもって知りました。その保育園との取引は、現在も続いていますよ」

 

藤さんにとって、この仕事のやりがいは、子どもたちの記憶に残る仕事に携われること。

「例えば自分の提案で幼稚園や保育園に遊具が導入されれば、約20年はその遊具が利用されます。毎年200人の園児が利用したとして、約4000人の子どもたちの記憶に残ることになる。それがこの仕事の醍醐味(だいごみ)ですね」

 

ph_business_vol315_01

総合カタログを、メンバーと一緒に校正する。480ページに及ぶカタログを、見やすくわかりやすいように、お客さまの視点も考えながら改訂。今の重要な仕事の一つだ。

 

店長代理、店長を経て、営業企画課へ。営業経験と新鮮な目線を、新業務に生かす

2009年、藤さんは宇都宮店の店長代理に昇進。自ら営業活動を行いつつ、部下の指導も行うようになった。心がけたのは、部下に対する指導の仕方だ。

「先輩なら一緒にぐちることもできますが、部下の成長を考えて耳が痛いことも言わなければならない立場。頭ごなしに叱っても部下はついてきてくれませんから、自ら実践した上で『こうすればもっと良くなる』と伝えるなど、言い方に配慮しながら背中を見せるよう心がけましたね」

 

そして、12年には同店の店長に昇進。最終決定権が託される立場となった。

「売り上げ、利益、経費まで、店の運営全般が自分にかかってくる責任は、予想以上の重さでした。特に、お客さまに対する判断は、1つ間違えれば、取引を停止してしまう恐れもある。それまで以上に自分が下す判断が、会社を代表するものだと考えるようになりました。責任が重い分、店の目標が達成できた時の喜びと安堵(あんど)感は何倍も大きい。今までに増して部下が挙げた成果を、自分のことのようにうれしく感じるようになりましたね」

 

14年、藤さんは品川に拠点を置く営業企画課に異動。13年間携わってきた営業を離れ、新たな業務に取り組んでいる。その1つは、商品企画・開発。お客さまや営業の声をリサーチしながら、ゼロから商品をつくったり、既存のオリジナル商品を改良したり、海外の商品を導入したりと、自社商品のまだ足りていない部分を強化していく仕事だ。ほかにも、カタログの制作などの販促、研修などの運営、取材対応などの広報も担当している。

「私に求められているのは、営業での経験を商品の企画・開発に生かしていくこと。販促物などには、未経験者ならではのフレッシュな目線を生かしています。この仕事に携わるようになり、著名なデザイナーなどと打ち合わせをする機会が増えました。これまでの営業活動では出会うことのなかった人たちに出会えることは、学ぶことも多く、自分にとってとてもプラスになっていますよ」

 

これまで経験したことのなかった“つくる楽しさ”を味わう一方で、既存品にはない画期的な新商品を考える難しさも実感している。

「心がけているのは、いろいろなものにアンテナを張ること。幼稚園や保育園だけでなく、街を歩き回って新しいスポットに出かけたり、テレビや雑誌で新しい情報をチェックしたりしています。この仕事になってからは、デザイン性の高い建築物、プロダクトや街中のサイン表示などに、自然と目がいくようになりましたね」

 

15年に100周年目を迎えたジャクエツは、次の100年に向けて動き出している。

「これまでの100年で積み上げてきたことも大切ですが、今後を見据えたブランディングや経営戦略も不可欠です。当社が目指しているのは『こども環境の未来をつくる』こと。その実現のために、営業企画担当として『子どもたちにとってより良い環境とは何か』を追求し、その環境づくりに貢献していきたいと思っています」

 

ph_business_vol315_02_02

社内向けの資料や企画書、報告書の作成をデスクで行う。営業として培ってきた目線を企画に生かすことを意識しながら、仕事することを心がけている。

 

藤さんのキャリアステップ

STEP1 2001年 1週間の新入社員研修で学生から社会人へと気持ちを一新(入社1年目)

福井県の本社にて1週間の新入社員研修に参加。営業職以外にも本社スタッフを含む25名で、会社の歴史や事業、社内組織などについてレクチャーを受け、あらためて子どもに貢献する仕事であることを実感する。営業職での採用だったので、営業のロールプレーイングも経験。初めてでわからないことだらけだったが、不安よりも期待感が上回り、研修を受けたことで学生気分が抜けて、社会人の気持ちに切り替わった。

STEP2 2001年 宇都宮店で幼稚園・保育園の営業を担当する(入社1年目)

研修後、宇都宮店に正式配属となる。設計部門も併設されている大型店で、店長と先輩営業4名の下で、幼稚園・保育園の営業を担当。自分の配属と入れ替わる形で異動した先輩が担当していたお客さま約100園を、約2週間かけて引き継いだ。かなり遠方のお客さまも担当し、車で毎日7、8園を訪問。当時は「習うより、慣れろ」の風潮だったことから、上司や先輩に自分からしつこく聞くようにして、仕事を習得。お客さまは幼稚園や保育園の先生という教育者なので、お客さまに丁寧に教えていただくことも多かった。

STEP3 2009年 成功体験を積み上げ、宇都宮店の店長代理に昇進(入社9年目)

「数字が上がること=お客さまに必要とされた結果」と考え、同期と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、より高い営業目標にチャレンジ。教材販売から園舎の設計まで数字に大小はあるが、たとえ小さな数字でもどうしたらもっとお客さまに伝わるかなど工夫をし、提案しながら、小さな成功体験を積み上げてきた。こうした実績が認められ、宇都宮店の店長代理に昇進。店長の下で、5名の部下を指導しながら、引き続き100園を担当。12年目となる12年に、宇都宮店の店長に昇進。

STEP4 2014年 営業企画課に異動し、商品企画・開発、販促、研修、広報を担当(入社14年目)

8月、品川の営業企画課に異動となり、商品企画・開発、販促、研修、広報の担当に。入社以来営業一筋だったことから、内心「大丈夫だろうか」と不安を覚えたが、自分に期待されているのは、営業として培ってきた目線で「どんな商品を、どんなタイミングで出していけばいいか」を考え、企画に生かしていくことだと理解。総合カタログの制作、研修制度などの人材開発や、広報の体制づくりにも着手している。

ある日のスケジュール

8:30 出社してメールをチェック。
9:00 営業企画と設計のメンバー約20名で朝礼。ラジオ体操も毎日行う。
9:30 営業企画ミーティング。各自の業務状況報告、情報交換などを行う。
10:00 現在制作中の総合カタログの校正(内容に誤りがないか確認すること)を行う。
12:00 昼食。買ってきて、社内のメンバーと一緒に食べることが多い。
13:00 コンサルティング企業の担当者と、広報の手法などについて打ち合わせ。終了後、デスクワーク。
15:00 本社スタッフとテレビ会議。約1時間の会議後、報告書などを作成し、18時ごろ退社。

プライベート

ph_business_vol315_03

2014年末にクロスバイクを購入した。「気候が良くなった4月ごろから、週末は妻とクロスバイクに乗って、話題のスポットめぐりを楽しんでいます」。

 

ph_business_vol315_04
定期的に、友人夫婦とどこかに出かけたり、ホームパーティーを楽しんだりしている。写真は2015年4月のホームパーティー。「料理は妻が腕を振るい、片づけは私が担当します」。

 

ph_business_vol315_05
2015年の夏休みは6日間のニューヨーク旅行へ。「私にとって初めてのニューヨーク。最新の建築、インテリア、ファッションを中心に、ニューヨークを堪能。もちろん食も楽しみました!」。

 

取材・文/笠井貞子 撮影/刑部友康

就活をはじめる以前に、本当はいろんな不安や悩みがありますよね。
「面倒くさい、自信がない、就職したくない。」
大丈夫。みんなが最初からうまく動き出せているわけではありません。

ここでは、タテマエではなくホンネを語ります。
マジメ系じゃないけどみんなが気になる就活ネタ。
聞きたくても聞けない、ホントは知りたいのに誰も教えてくれないこと。
なかなか就活を始める気になれないモヤモヤの正体。
そんなテーマを取り上げて、ぶっちゃけて一緒に考えていきましょう。

みなさんが少しでも明るく一歩を踏み出す気持ちになれることが、
私たちの願いです。