株式会社エムアップ 神さん(入社4年目・コンテンツ事業本部、企画制作課ディレクター)【先輩たちのワーク&ライフ】

じん・ともき●コンテンツ事業本部、企画制作課ディレクター。富山県立富山商業高等学校情報処理科卒業。2012年12月入社。バンド活動に打ち込み、7年間のアルバイト生活を続けたのち、就職を決意。当時、普及し始めたスマートフォン市場に可能性を感じ、IT業界に興味を持つ。現社に入社した決め手は、「アーティストやキャラクターなどのコンテンツに携われること」「音楽業界出身の社長による『心は自由に、ロックに生きろ』という言葉に共感したこと」。

入社1週間後に“スタンプ/デコメール”の企画を担当。3カ月目に新規サイト立ち上げに携わり、制作進行も経験

株式会社エムアップは、Webサイトやデジタルコンテンツの企画から制作・運営まで手がける会社。就職活動当時、スマートフォンのアプリが登場し、そこに可能性を感じて現社に入社した神さん。1日のビジネスマナー基礎研修を受けたのち、すぐに現部署であるコンテンツ事業本部に配属され、先輩の指導のもと、OJT形式で仕事を覚えていった。

「最初はスタンプ/デコメール(SNSで使えるスタンプ/デコレーションメール。HTMLのメール用素材)やきせかえ(スマートフォンの壁紙となる素材)のコンテンツを配信するサイトの更新業務から覚えていくことに。また、アニメのキャラクターやタレントのコンテンツなどについての打ち合わせにも参加しました。テレビ局やアニメの権利元などの協業会社やシステムの運営会社と『どんなものを作ったら受けるのか』という話し合いが進む中、業界用語や専門用語の意味がわからず、借りてきた猫のように黙っているだけの状態でしたね。わからない言葉を一つひとつ調べ、先輩にも聞きながら理解する努力を続けました」

配属の1週間後からスタンプやデコメの企画にチャレンジすることに。20〜40代の女性をターゲットにどんなものが受けるのかを考えた。最初に考えた柄物の素材は、「そういうものはすでにある」と先輩に言われ、採用されなかった。そこで、自社サイト内の既出素材を確認し、他社サイトとの比較をしながら強みが何かを分析していった。

「女性の気持ちを理解しようと考え、女性の書いているブログをたくさんチェックしてどんなものが好まれるのかを調べたり、『かわいい』『柄』などでネット検索して、アクセスが多そうなサイトを見つけては流行の傾向などをチェックしていきました。数日後、キラキラしたスワロフスキーを素材にした柄物の企画が通り、制作進行を任されることになったんです」

さっそく社内のデザイナーにコンセプトを伝え、イメージ資料も作成したが「何がしたいのかよくわからない」と言われてしまうことに。

「花が散っているようなデザインを考えたんですが、『どんな花なのか』『どこにこだわりたいのか』『文字を入れるならどんな文言がいいのか』など、細かい部分がまったく伝わっていなかった。頭の中にあるものを伝えることの難しさを感じましたね。今なら数分レベルでデザイナーさんと企画内容のやりとりを終了できますが、この時は丸一日かかってしまった。そこで、イメージ資料にどんな情報を入れれば伝わりやすいかを教えてもらい、以降は参考イメージ画像なども添えて、伝える精度を上げていくことにしました」

デザイナーから上がったものを先輩に見せて意見をもらったのち、再度デザイナーに修正をしてもらい、管理ツールを使ってサイト上にアップするところまで自分で行った。

「サイトに載せる際のキャッチコピーをどうするかなどの見せ方も自分で考えますが、先輩のアドバイスを受けて修正をし続け、通常なら数十分もあればできるものに半日くらい時間がかかってしまいましたね。配信した翌日、どれくらいダウンロードされているのかをチェックしたら200件いかない程度。平均よりもちょっと低かったけれど、自分の企画が世に出るうれしさを感じました」

入社3カ月後、今度はスマートフォンの画面の中でプロ野球の球団マスコットキャラクターが動き回るコンテンツを配信する「マチキャラ」サイトのメイン担当を任されることに。

「先輩と2人で担当しましたが、『マチキャラ』の制作のやり方そのものもわからなかったし、サイトをアップする携帯キャリア側にこのサイトの企画内容に対する承認をもらうために、たくさんの資料も用意しなくてはならなくて。おまけに2カ月間のスケジュールですべてを終えなくてはならず、当初は自分が何をすればいいのかわからず不安でいっぱいでしたね」

神さんは、自分がやるべきことを先輩に聞き、過去の制作進行表を参考にしながら、リリースから逆算する形で細かな作業スケジュールを作成したという。

「素材もいちから作りましたが、まず、各球団にキャラクターの監修をしてもらうこと自体が大変でした。各球団の担当者とやりとりしましたが、それぞれにこだわりがあって。『キャラクターをイラストにして動かすのはNG』という球団もありましたし、バットを振るなどのさまざまな動作では『この動きはうちのキャラクターのイメージと違う』などのチェックや修正が何度も入り、なかなかOKをもらうことができなかったんです」

また、デザインは平面で作成するため、デザイナーが上げてくる案に一度OKをもらっても、「動かしたらイメージと違った」というダメ出しをされることも多くあった。何度も修正を続けるうち、今度はデザイナーから「なぜちゃんとOKをもらえるところまで話を詰めないのか」と言われてしまう。

「各球団と10回はやりとりし、デザイナーさんには20〜30回も修正をしてもらうことに。そもそも、最初の時点で球団側の担当者に『ここまでできる』『こういうことは無理』などの説明ができていなかったんですよね。窓口となる自分が基本方針のすり合わせをちゃんとやらなくてはならないんだと痛感しました。結局、サイトがリリースされる2〜3日前まで修正作業は続き、本当にハラハラしましたが、何とか間に合ってホッとひと安心。先輩の補佐だけでなく、最初から最後まで制作進行を手がけたこの経験は、ひとつの自信につながったと思います」

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チームの後輩と打ち合わせ。新規サイトの立ち上げプロジェクトについて、スケジュールや進捗状況を共有し、企画内容について話し合う。

ゆるキャラサイトの運営を担当した入社3年目、リアルの人気投票イベントと連動させたことで感動を味わった

入社1年目が終わるころには、ご当地キャラクターなどのゆるキャラのデジタルコンテンツを取り扱う「ゆるキャラグランプリ」サイトの立ち上げに参加。さらに、ゆるキャラやアニメのキャラクターがサイト上でしゃべる「しゃべってキャラ」の音声収録や原稿作成も手がけることに。

「いろんなキャラが雑談に応えたり、天気予報をしゃべるコンテンツ作成を任されました。例えば、人気アニメのおじいちゃんのキャラでは『わしは○○じゃ』としゃべらせるなど、特徴や語尾の表現までつかみ、どんなことをしゃべらせたらファンが喜ぶのかを考えて原稿を作成することに。100くらいの言葉を考えた上で、声優さんにしゃべってもらう音声収録の監修まで行いました。サイトが立ち上がった当初は、うれしくて何度もスマートフォンに話しかけ、いろんなキャラにしゃべらせ続けていましたね」

また、同じ時期にタレントやアナウンサー、アニメキャラなどのデジタルコンテンツを配信するサイトの立ち上げにも参加。

「芸能事務所やアニメの著作権の権利元であるテレビ局、アニメ制作会社などと一緒に、それぞれのコンテンツを作っていきました。それまで、比較的若い層や女性層に向けたコンテンツを手がけていたので、キャッチコピーは音符マークなどを使って親しみあるものにしていましたが、30〜40代の男性ファンが多いアナウンサーのサイトでは、落ち着きある硬い文章が好まれると知り、ターゲットの違いを実感しましたね。タレントさんやキャラのイメージにこだわりがあることは、過去の経験でわかっていたので、コンテンツを作成する前の時点で懸念事項を抽出。先にしっかりと先方の考え方を確認して進めたことで、修正の回数もかなり減らすことができました」

入社2年目には、複数の「しゃべってキャラ」サイトの運営を担当することに。権利元と定例会議を行い、月に2回、企画を提案して実現していった。

「アニメのコンテンツを配信するサイトでは、新作アニメのコンテンツも企画しましたが、テレビ局だけでなく、アニメの権利元やマンガ原作の権利元である出版社とのやりとりが必要で、約2カ月の放映期間中にいかに全体を調整してコンテンツ化するか、頭を悩ませましたね」

この時期から、神さんは、企画を制作するだけでなく、それをどう売り上げていくのか、どんなプロモーション活動をしていくのかまで考えるようになっていく。

「予算目標をチェックしながら、毎月の収益結果を確認し、どこで売り上げが伸びているのか、停滞しているならその理由は何なのかを分析していきました。月額制のサイトがメインなので、入退会者の増減を見ながら、飽きさせないようにサイトのレイアウトを変えたり、サイトのどのページから離脱するケースが多いか、入会方法はわかりやすいかなどを考えた上で、できる限り対応していくことに。また、プロモーション活動では、アニメコンテンツの原作を掲載している雑誌や、アニメの公式ホームページ、声優さんへのSNSなどで告知をしてもらえるようお願いしました。リリースのタイミングに合わせてどんなプロモーションをしたかで、入会数の伸び率も変化してしまいますから」

企画だけでなく、サイト全体の収益性まで見渡すことができるようになった入社3年目、「ゆるキャラグランプリ」サイトの運営と予算管理を任される。リアルのイベントと連動させるコンテンツは、神さんにとって初のことだった。

「年に一度、ゆるキャラの人気投票をしてグランプリを決めるリアルのイベントがあるので、その内容と連動させる企画を考えていきました。サイトに加入するとイベント会場のショップで割引を受けられるクーポンを作ったり、自ら現地取材に出かけてイベントレポートの原稿作成などもしていきました」

それまでは企画を手がけても、Webサイト上のみでしか反応は得られず、制作上のやりとりも電話やメールのみ。けれど、リアルと連動したこの企画では、現地で一生懸命に投票のお願いをしているスタッフの姿や、ファンや関係者が固唾(かたず)を飲んで投票結果を見守る様子を見て、大きく感動したという。

「約1700のゆるキャラが参加し、そこには1700通りのドラマがありました。自分は今までコンテンツ制作で携わってきましたが、それぞれのキャラクターの背景にはいろんな人がいて、いろんな思いがあると実感できた。かつて、ヒットするアーティストがたくさんいる時代の中、その中心で物事を動かしてきた人たちがいましたが、僕もゆるキャラの世界でその醍醐味(だいごみ)を味わえたと感じます。それぞれのキャラクターにより愛着が湧き、仕事のやりがいも大きく変化しました」

入社4年目を目前とした現在、神さんは自ら新規サイトを企画立案し、その実現に向かっている。

「これまで自分がやってきた中で、『こんなサイトがあったら面白いはず』と温めてきたアイデアがあったんです。人気アニメを持っている複数の権利元にアタックし、全体の企画構成についてやりとりを続けていますが、ようやく形にできそうです。この会社では、ビジネスとして収益性のある企画であれば、年齢や経験に関係なくチャレンジさせてくれますし、いろんな分野の会社と協業するうちに、『できないことはない』と思えるようになった。いつか、老若男女すべての人々が当たり前に使ってくれるようなサービスを自分の手で生み出していきたいですね」

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新規サイトを立ち上げる案件について、資料を作成。また、予算を任されている「ゆるキャラ」関連のサイトについて、入会者、退会者の数字や収益データをチェックした上で、改善ポイントを分析する。

神さんのキャリアステップ

STEP1 2012年12月 コンテンツ事業本部に配属され、スタンプ/デコメの企画を担当(入社1年目)

入社後、1日のビジネスマナー基礎研修を受けたのち、コンテンツ事業本部に配属。OJT形式で仕事を覚えていき、2週間ごとに、きせかえ4件、スタンプ/デコメ10〜20種の企画制作を行った。入社3カ月目以降は、「マチキャラ」サイトの立ち上げや、「しゃべってキャラ」のサイト更新作業を担当。「それまでアルバイトの経験しかなかったので、ビジネスメールのやりとりをする際、いちいち定型文のあいさつを入れねばならないことを面倒に思ったことも。しかし、いろんな人と一緒に仕事をするうちに『礼儀正しく気持ちよく仕事をすることが大事なのだ』と考えが変化していきました。企画の仕事では、アニメのキャラクターなどにおいて、権利元が決めた細かなルールを守らねばならないことにビックリ。例えば、『コスプレなどで衣装を勝手に変更することはNG』など、権利元の会社別だけでなく、キャラクター別でもルールは異なるので、先輩にアイデア段階で実現可能なのかを確認していきました」。

STEP2 2013年 「しゃべってキャラ」など、新規のWebサイト立ち上げを担当(入社1年目)

ゆるキャラの「しゃべってキャラ」や「マチキャラ」を配信するモバイルサイトの立ち上げ、タレント、アナウンサー、アニメキャラなどにおける単独サイトの立ち上げに従事。コンテンツ制作に加え、サイトレイアウトも担当した。「各サイトで、大体、5〜10のタレントさんやキャラクターのコンテンツを展開していきました。権利元が強いこだわりを持っているアニメキャラのサイトでは、こちらがかわいいデザインだと思っていても『この目の部分が違う』などの細かい修正が何度も入り、いちから作り直しになったことも。そんなときは、自分の力が足りないことを自覚し、気持ちを切り替えて頑張りましたね。また、微調整が何度も入るとデザイナーが疲弊してしまうと感じたので、いいものができたときには『権利元がこうほめていた』ということまでしっかり伝え、一緒にモノづくりをしていく喜びを味わってもらえるように注力しました」。

STEP3 2014年 リアルイベントと連携する「ゆるキャラグランプリ」サイトを担当

複数の「しゃべってキャラ」サイト、「ゆるキャラグランプリ」サイトの運営を担当。6つのサイトの企画制作、サイト更新、音声収録などを手がける。また、14年11月に愛知県にあるセントレア空港で行われた「ゆるキャラグランプリ」決戦イベントにも参加。「それまでアニメキャラの関連サイトを中心に手がけていましたが、ゆるキャラの権利元は自治体。ITにあまり詳しくない方が多かったので、まずはコンテンツの内容やIT技術面における仕組みの説明をすることが必要でした。キャラを動かすイメージも伝わりにくかったようで、『やっぱり動かすのはNG』と制作途中で言われて困ってしまったことも。それでも、自治体の皆さんはしっかり締め切りを守って返事をくださるので進行的には気がラクでしたね」。

STEP4 2015年 自ら企画した新規サイトの実現に向かう(入社3年目)

「ゆるキャラグランプリ」関連サイトの運営とともに、新規の協業サイトを自ら企画立案。アニメの権利元やテレビ局、関係各社への提案も自ら行い、実現に向かっている。「仕事をしてきた中、各方面に人脈が広がっていたので、自分で企画を持ち込んでアタックしました。従来なら『ここまでやるのはNGだろう』とされてきた部分について、『こうするからこそ面白い』という提案をし、半年以上かけてやりとりを進めています。また、15年7月には、ボタンひとつで遊べるカジュアルゲームアプリや、月間に使える通信量(通信可能なギガ数)をチェックするツールアプリなどをリリースしています。IT業界は流行の移り変わりが早いので、すべてにおいてスピード感を持って実現していくことが大事ですね。また、収益性をしっかりと上げていくことも大事なので、サイトへのアクセス経路から、アクセス数の高い日の社会背景の分析まで行い、興味のなかった人にまで関心を持ってもらう方法を日々考えています」。

ある日のスケジュール

10:00 出社。メールチェック、担当サイト&アプリの売り上げデータを確認。
10:30 各プロジェクトを進行する主な関連メンバーで打ち合わせ。それぞれのその日のタスクや、各プロジェクトの進行状況を共有。
11:00 部内ミーティング。各運営サイトやプロジェクトについての現状と課題を共有。注目のキャラクターやアプリ企画案などについてのアイデア出しも行う。
12:30 同僚とランチ。女性メンバーならイタリアン、男性メンバーならラーメン店などに出かけることが多い。
13:30 外出。協業先のテレビ局担当者と打ち合わせ。サイトの進捗状況、新規企画提案を行う。
15:00 アニメ作品の権利元と打ち合わせ。進行プロジェクトの進捗共有と新しい企画の提案を行う。
16:30 『しゃべってキャラ』用の音声収録。アニメ作品の声優と事前打ち合わせ後、収録を行う。
19:00 現場から直帰で退勤。友人と食事に出かける。

プライベート

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部署のメンバーと食事や飲みに出かけることが多い。写真は2015年7月に行ったバーベキュー大会のもの。「プライベートでも仲が良くて、月に数回は飲みに出かけていますね。誕生日にサプライズでケーキを用意してくれたこともあります」。

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5年前に購入したギブソンのギターを愛用。現在、バンド活動はしていないが、自宅で時々ギターを弾いている。「ヘッドフォンをして、好きな音楽を聴きながら弾いています。ギターを弾くと無心になれるので、気分転換できますね」。

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週末は彼女と一緒に過ごすことが多く、買い物やおいしいものを食べることを楽しんでいる。写真は2014年の年末に出かけた沖縄旅行のもの。「会社の保養所が沖縄にあるので、年末年始の休みを一週間使って出かけました。また、長期休暇には、富山の実家に帰ることも多いですね」。

取材・文/上野真理子 撮影/刑部友康

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