株式会社野村総合研究所

かわべ・しゅんすけ●コンサルティング事業本部コンサルティング人材開発室。京都大学大学院工学研究科機械理工学専攻修了。2010年入社。リーマン・ショックの逆風の中、「個人として価値ある人材になりたい」と考え、就職活動に取り組む。業界を問わず適応できる能力が身につくこと、幅広い人脈を形成できること、スピーディーに成長できることを基準に、コンサルティング業界を選択。現社に入社した決め手は、「事業領域の広さ」と「個人の自由度の高さ」。

配属初日からお客さまとの打ち合わせに参加。常に期待+αの姿勢で挑み、まとまった仕事を任されるように

「スピーディーに成長しながら、どこの業界でも通用する能力を身につけたい」と考えて、現社に入社した河邊さん。入社後の新人研修を受けたのち、業務革新コンサルティング部に配属された。最初に経験したプロジェクトは、大手銀行の店舗業務の改善。オペレーションにおけるミスを防ぐため、マニュアル化されていない業務プロセスを洗い出し、リスクを減らすための改善策を提案する案件だった。
「まずはインストラクターとしてついてくれた先輩のプロジェクトに入り、打ち合わせへの参加や資料作成をしながら仕事を覚えていきました。配属初日でお客さまとの打ち合わせに参加しましたが、会話の中に出てくる単語もわからなければ、そもそもの課題が何なのか、何を改善していけばいいのかという方向性もつかめず、危機感を抱くことに。過去の資料や銀行業務についての本を読むなどして勉強し、先輩に自分の考えをぶつけながら知識を増やす努力をしていきました」

 

お客さまへのプレゼンテーションにも、ただ参加するのではなく、「自分自身で提案すべき内容を考えよう」と決意し、業務プロセスのどこにどのようなリスクがあるのかを自分なりに洗い出していったという。
「お客さまのリスクコントロールを行う部署との打ち合わせや、各支店の支店長から受付担当者まで集めるディスカッションの場に参加しました。しかし、最初のうちは一方的に弊社からの報告をするのみで、先輩のように議論に発展させることができなかった。これではダメだと思い、先輩がどう進行しているのかを真似し、日ごろ、友人とコミュニケーションするときに自分がどう対話しているのかを見つめ直すことにしました。とにかくチーム内の打ち合わせでは臆せず発言し、どのような内容なら筋が通っていると判断されるのかを見極め、支店のディスカッションでは発言内容だけでなく発言のタイミングまで考えていきましたね」

 

週に一度、リスクコントロールの部署と打ち合わせを行ううち、少しずつ相手の話を引き出せるようになっていく。また、各支店においては、1カ月間に100業務についてのディスカッションや書類のやりとりを行い、次第に議論の場を盛り上げていくことができるようになっていった。
「これらを踏まえた改善策をどんどん出し、先輩のサポートを受けながら自らお客さまにもプレゼンテーションするようになっていきました。このプロジェクトに携わったのは、異動するまでの5カ月間のみでしたが、仕事の全体像をつかみ、どう進めていくかという自分の計画を立て、実行に移す流れを学ぶことができたと思います。また、異動の際、先方の担当者から『短い間だったけれど、ありがとう』という言葉を頂いて、すごくうれしかった。リスクを減らすことが目的のプロジェクトでは、明確なゴールがなく、成果もすぐには出ないもの。だからこそ、目の前のお客さまに喜ばれることがやりがいになるのだと実感しました」

 

河邊さんは、常時2〜3件のプロジェクトを並行して担当していくが、この後、会社のジョブローテーション制度により、グローバル製造業コンサルティング部に異動。メーカーなどの製造系企業の戦略に携わった。
「最初は、水の再生システムに使う部材を生産する電機メーカーのプロジェクトに参画しました。水ビジネスのプロの先輩や都市設計に強い先輩など、7名のチームで取り組んだ大規模案件で、フィルターのみでなく、水システム全体に携わるようなビジネス戦略を考えることが命題。このメーカーの強みや市場ニーズを分析し、今後、どういった事業を手がけていくといいか、そのためにどの企業と提携すればいいかを考え、M&A(事業統合)に応じてくれそうな企業に交渉することまで手がけます。戦略のポイントは、『スマートシティ(ITや環境技術などの先端技術を駆使して省エネ化などを図る環境配慮型都市)』にどう絡めるかという点でした」

 

河邊さんは、会議の議事録作成とともに、「スマートシティで実際に行われていることとは一体何なのか」という事例分析を任される。さまざまな調査レポートや本を読み、世界における100の都市開発事例を調べ上げていった。
「そもそも“スマートシティ”というものの定義自体が曖昧で、太陽光発電や風力発電、水の再生、車の自動運転など、取り組んでいる内容はバラバラ。ですから、ただ単に調査するだけでなく、どの取り組みをクローズアップすべきかをわかりやすくしようと考えました。100の事例の中で、例えば太陽光発電に取り組んでいる事例がいくつあるのかなどを一覧化し、世にあるスマートシティがどのような技術・商品で構成されているのかわかるようにしたのです」

 

先輩から「一週間で事例集を作って」と言われていたが、河邊さんは、プログラミングなども活用し、指示された以上のものを1日で作成した。
「頼まれたことをやるだけでは自分がやる意味がありませんから、自分なりに効率化やわかりやすさを意識してまとめ上げるようにしていました。スピードと積極的な姿勢が先輩から評価され、以来、大まかな指示のみで、自分でやり方を考えるところから仕事を任せてもらえるようになりました」

 

ph_business_vol326_01
人事の責任者と打ち合わせ。学生向けのセミナーで、どんなことを話すのか、コンサルティングの仕事をどうわかりやすく紹介していくかを話し合う。

 

入社2年目にひとり立ちし、海外各地への出張も経験。入社3年目にはプロジェクトリーダーとして活躍

入社2年目、指導してくれたインストラクターの先輩のもとを離れ、ひとり立ちすることに。
「ところが、いきなり『とある電機部品メーカーが新たなビジネスで大きく成長するための戦略提案』について戦略仮説立案とプロジェクト設計を任され、自分でゼロから考える大変さを味わいました。そのメーカーの持つ強みを生かしてどのような事業を手がければいいのか、ほかに必要な部品があるのか、その場合、どの部品メーカーと提携すればいいのか、M&Aに応じてくれる可能性があるメーカーはどこなのか、などを考えるというミッション。『こういう課題と背景があり、こういうことをやればうまくいく』という仮説を、2週間で立てることが必要でした」

 

これまで携わったことのない業界だったため、何の知識もない上、何から手をつければいいのかもわからない状態。河邊さんは本を読んで知識を学ぶが、それだけでは業界知識のあるお客さまの期待を上回ることはできないと考えた。
「社内のいろんな人の力を借りようと考え、過去に電機関係のプロジェクトでチームを組んだ先輩をつかまえてアドバイスをもらうことにしました。また、部署内の先輩たちも『電機関連の会社で知っている人がいるから、ヒアリングできるか聞いてみる』など、親身に協力してくれましたし、お客さまと懇意にしていた役員がいろいろと相談に乗ってくれたおかげで無事提案できました。最終的に、この提案はお客さまの社内事情で実現に至らなかったけれど、人の力を借りることの大切さを学ぶ貴重な経験ができたと思います」

 

また、入社2年目の後半からは海外出張も数多く経験。海外での事業展開を検討している電機メーカーや医薬品メーカーのプロジェクトでは、提携先となりそうな現地企業へのヒアリングを行った。
「公にできない検討段階では、お客さまの代わりに僕たちが現地の候補企業を訪問し、市場状況やM&Aに対する考え方などを聞いて感触を探ります。医薬品メーカーのプロジェクトでは、中国・インドの担当となり、1カ月間でインド、中国、アメリカ、ヨーロッパの各地を回ることに。自分にとって1人で海外に行くのは初めてでしたし、英語も得意ではなかったので、当初は飛行機の乗り換えすらも不安でした(笑)。しかし、現地でコミュニケーションを重ねるうち、語学力よりも、どういった理論を持って話し合うのかが重要だと実感。世界に目を向けるようになると同時に、『短時間で相手の考えを引き出し、説得力ある展開でどのような落としどころに持って行くのか』がプロジェクトの成功を左右するということは、海外も日本も同じなのだと気づいた出来事でした」

 

入社3年目になると、プロジェクトリーダーとして、戦略の設計から全体のスケジュール管理、チームの運営管理までを任されるようになる。
「化学メーカーが環境エネルギーの分野で新規事業を生み出したいという案件で、社内で先輩・後輩合わせて5人のチームを組みました。しかし、先方からの期待に応えたい一心で、『それなら、可能性のある分野は全部調べよう!』と張り切った結果、検討すべき内容が膨大になり、メンバーに大きな負荷をかけてしまったのです」

 

結局、プロジェクトマネージャーから「この状態で続けるのは無理」とのアドバイスを受け、進め方を見直すことに。
「要は、このプロジェクトで何をやらねばならないかというポイントを絞れていなかったのです。そこで、先方の役員をはじめ、プロジェクトにかかわる一人ひとりにインタビューし、新規事業のゴールは一体何なのか、それによって会社の位置付けをどうしていきたいかなどをあらためてヒアリングすることにしました。そこから重視すべきことを取捨選択し、どういった業界のどんな技術領域に踏み込んでいけばいいのかを考え、抽象的な要望を徐々に具体的な提案に落とし込みました」

 

約4カ月間かけて取り組み、最終的なプレゼンテーションでは、先方の役員の方たちから拍手とともに『ありがとう』という言葉をもらった。
「お客さまから感謝してもらえたこと、そして、実際に新規事業化が決断されたことで2つの達成感を得ることができました! どんなにいい提案をしたところで、お客さまが動かなければ意味はない。初めて自分の案件が実現し、大きな手応えを実感しました」

 

コンサルタントとしてスピード感ある成長を続けてきた河邊さんは、入社6年目となる現在、コンサルティング事業本部の人事採用を担当。採用から募集告知、選考プロセスの設計から実行、さらには内定者のフォローまでを手がけている。
「コンサルタントの仕事では、提案した戦略を実行するのはお客さまですが、人事の仕事は“実行”そのもの。自分の立てた戦略を実行し、結果、どういった人材を何名採用できたのかという成果も目に見えてわかる。ただ戦略を立てるのではなく、実行フローや背景にどのような難しさがあるかまで想定しなくてはならないと肌で実感した経験は、今後の仕事に必ず生きると思っています」

 

河邊さんは、「コンサルタントの仕事は、クライアントがお金を払ってでも解決したいと考えるほど難しいテーマばかりだ」と話す。
「プレッシャーは大きいですが、自分自身に対して感謝の言葉をもらうことができる喜び、そして、企業から官公庁まで、幅広いお客さまを通じて世の中に影響を与えることができる大きなやりがいがあります。将来的には、お客さま自らが新規事業を生み出せるような仕組みを作っていきたい。1つのプロジェクトだけでなく、この先何十年も役立つ仕組みを作り上げ、世の中により大きなインパクトを与えていくことが目標です!」

 

ph_business_vol326_02
パワーポイントでプレゼンテーション資料を作成。ベースとなるデータ分析やグラフ作成なども自ら行う。打ち合わせ1回につき、40〜50枚程度の資料を、チームのメンバーと分担して作成する。

 

河邊さんのキャリアステップ

STEP1 2010年 新人研修でコンサルティングの基本スキルを学ぶ(入社1年目)

入社後、3週間の全社研修を受ける。グループ全体で約300名の新入社員と一緒に、ビジネスマナーやチームワークなど、社会人の基礎を学んだ。この後、コンサルティング事業部における1週間の基礎研修を受け、論理的思考や、問題発見、課題解決に向かうための思考の進め方、お客さまへのインタビューやそれをまとめるスキルなどについて学んだ。「学生時代と違い、誰かが手取り足取り教えてくれる世界ではないので、どれだけ学び取れるかは自分次第。受け身ではいけないと考え、毎朝、誰よりも早く研修ルームに行き、経済新聞を読んでいました。なるべく早く活躍できるだけの力を身につけたかったので、『ここで差をつけられなければ、今後の配属後にも差をつけることはできない』と思って、気を引き締めていきました」。

STEP2 2010年 ジョブローテーション制度で半年ずつ現場の仕事を経験(入社1年目)

社内の新人ローテーション制度により、業務革新コンサルティング部とグローバル製造業コンサルティング部を半年ずつ経験。主に、大手銀行の店舗業務改善と、投資ファンド・総合電機メーカー・総合商社の水ビジネス戦略立案に従事。常に2〜3案件を並行して担当していく。「推測のみで意見を述べれば、先輩から“なぜ?その根拠は?”と聞かれてしまいます。3回も4回も“なぜ?”と突っ込まれても耐えられるように調査や分析などの準備をするようになり、コンサルタントとしての基礎力を身につけることができました」。

STEP3 2011年 コンサルタントとしてひとり立ちし、海外出張も経験(入社2年目)

入社2年目、インストラクターの先輩がいなくなったことで、「これまで先輩が新人の自分にとってやりやすいように仕事を設計してくれていたのだ」と実感。この時期から、水に関連するビジネスを中心に、専門領域を都市開発(スマートシティ)に拡大。日系企業の海外におけるM&A交渉・案件獲得の支援に注力し、インド、中国、アメリカ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、カンボジア、タイ、スイス、イギリス、スペインなど、海外各地への出張も経験。また、入社3年目以降は、プロジェクトリーダーとしてプロジェクト設計・運営を任されるようになる。さらに、入社4年目には、日本の材料・化学の技術差別性に着目し、さまざまな客先の企業に環境・エネルギー分野、医療・ヘルスケア分野における新規事業開発プロジェクトを経験。大型プロジェクトのリーダーも務め、お客さまの各事業部から選出された幹部候補10名と社内のコンサルタント5名とともに新規事業開発に取り組む。この時に提案した事業は、客先で事業化する決定が下されている。

STEP4 2014年 コンサルタントの採用・育成に従事する人事担当者に(入社5年目)

現部署に異動し、期間限定で、コンサルティング事業本部の人材戦略、採用支援、研修を担当。採用活動を通じ、長期の育成を含めた人材開発戦略の構築に取り組む。「全社内で採用を担当するのは8名のみ。うち、コンサルタントの採用を担当するのは2名です。期間限定とはいえ、異動が決まった時には驚きましたね。けれど、人材は企業における重要な資源であるため、その採用に携わることに大きな意義を感じています。僕たちの広報活動が、この会社の魅力を感じてもらえるかどうかに直結する責任の重さを感じると同時に、社内から各部署の人々の協力を得ながら頭の中で立てた戦略を実行に移すことの難しさも実感しますね」。
選考までの広報活動では、雑誌などの紙媒体ではインタビューで答えるべき内容を考え、パンフレット作成ではデザインにまでこだわり、セミナーではプレゼンの資料を作成すると同時に、そこで流す映像についてのコンセプトからストーリーまで考える。また、選考では評価項目を考え、自ら面接も行うという。「さまざまな局面の中、やってみたいことを企画するだけでなく、実行して試しながらその効果を測定することができます。2016年にはコンサルタントの仕事に戻るので、この経験を生かしていきたいと思っています」。

ある日のスケジュール

9:00 出社。メールチェックと電話対応。
10:00 社内ミーティングに参加。プロジェクトについて、チームのメンバーとディスカッション。
11:00 ディスカッションした内容を基に、次回のプレゼンテーションに向けた資料作成。
12:00 部署内のメンバーと丸の内のレストランでランチ。
13:00 外出。お客さまとの打ち合わせ。資料を見せてプレゼンテーションし、意見交換を行う。
16:00 帰社。社内ミーティングに参加し、本日の意見交換の内容について振り返りを行う。
17:00 ミーティングの内容を基に次回のプレゼンテーションに向けた資料作成。
19:00 退社。帰宅後、家族と食事。
21:00 残していたタスクの処理を自宅で1時間程度行う。メールチェックと翌日のタスクについてメモを作成。

プライベート

ph_business_vol326_03
平日はなるべく早く退社し、3歳になる息子との時間を楽しんでいる。「子どもができてからは、プライベートも子ども中心になりました。一緒に遊ぶだけでなく、お風呂や寝かしつけもしています。土日も家族で公園に出かけることが多いですね」。

 

ph_business_vol326_05
2015年の5月から、自宅の庭で家庭菜園をスタート。トマトやキュウリ、ゴーヤ、ナスなどを育てている。「子どもの情操教育にもいいと考え、植物を育て始めました。自然に触れてリラックスできますし、収穫の時期には、その成果に喜びを感じています」。

 

ph_business_vol326_04
現在の部署に異動してからは、新入社員、内定者などと飲みに出かける機会が増えた。写真は、2015年8月、京都へ帰省した際、内定者に誘われ京の夏の風物詩・鴨川の川床へ行ったときのもの。季節の料理やお酒を堪能した。「若い人たちの話を聞くと元気をもらえますし、自分も負けないように頑張ろうと思えますね」。

 

取材・文/上野真理子 撮影/刑部友康

就活をはじめる以前に、本当はいろんな不安や悩みがありますよね。
「面倒くさい、自信がない、就職したくない。」
大丈夫。みんなが最初からうまく動き出せているわけではありません。

ここでは、タテマエではなくホンネを語ります。
マジメ系じゃないけどみんなが気になる就活ネタ。
聞きたくても聞けない、ホントは知りたいのに誰も教えてくれないこと。
なかなか就活を始める気になれないモヤモヤの正体。
そんなテーマを取り上げて、ぶっちゃけて一緒に考えていきましょう。

みなさんが少しでも明るく一歩を踏み出す気持ちになれることが、
私たちの願いです。