株式会社ニトリ

うえの・たかふみ●八千代店店長。埼玉大学工学部応用化学科卒業。2007年4月入社。業種を絞らず、医薬品メーカー、金融、小売業、メーカーなど30社以上の説明会に参加。就職活動を進めていく中で「世の中にない商品や付加価値を生み出すことで、社会に貢献したい」という夢が具体的に。それを視野に10社の選考を受け、最終的にサプライチェーン(※1)であるニトリに可能性を感じて入社を決意。
(※1)原材料の調達から、製造、在庫管理、販売、物流までの全プロセスがつながっていること

お客さま目線に立った売り場管理と接客など、現場で仕事の本質を学ぶ

家具・インテリアの企画・製造・販売をはじめ、リフォーム事業、オフィス・医療・福祉施設・教育施設の提案から施工、ショッピングセンター事業など、“住まい”に関連するビジネスで、業績を拡大している株式会社ニトリ。

 

2007年、最初に上野さんが配属となったのは埼玉県の新座店。入荷した商品を店頭に並べる入荷処理を教わり、入社2カ月後には、リビング組立家具売り場を任されるようになった。
「担当したのは、在庫と展示の管理。売れている商品を把握し、すみやかに店頭に並べる仕事です。大変なのは、組立家具を新しい状態で維持すること。たくさんのお客さまが展示商品の扉や引き出しの開閉を試すため、ネジが緩んだり、汚れがついたりします。そうした状態で展示していても、購買には結び付かないので、在庫を切らさないことはもちろん、完全な形で展示されているかどうかを、店内を回って常にチェックしていました」

 

ニトリの商品は、単価が比較的高い「家具」と、カーテンやカーペット、布団、小物雑貨などの単価の低い「ホームファッション」に分類されている。家具は接客しながら商品を案内して販売する、ホームファッションはお客さまが自由に商品を吟味し、セルフサービスで購入してもらうのが、ニトリの販売方法。

 

「当時、組立家具はホームファッションに分類されていたので、“お客さまから声をかけられない販売”を目指しました。商品を見れば魅力や使い方が伝わるよう展示して、きちんと在庫が並んでいれば、お客さまは店員にたずねなくても、気軽にお買い物をしていただけるからです」

 

新座店での10カ月間で上野さんが学んだのは、お客さま目線に立った売り場管理の重要性。「商品の展示と在庫管理を徹底すれば、おのずと売り上げが伸び、数値に結び付く」ということを体感することができた。

 

異動した同じ埼玉県の武蔵浦和店では、初めて家具売り場を担当することに。お客さまは、家具の中でも単価の高い商品より、手ごろな価格の商品に目がいきがちだが、そういった商品にお客さまの望む付加価値があるとは限らない。だからこそ、商品価値をきちんと説明して、お客さまのニーズを聞き出す接客が重要となる。

 

「私がまず行ったのは、お客さまの行動観察です。初めての来店なのか2度目なのか、どんな順番で商品を見ているのか、何時間滞在しているのかなどを観察した上で、お客さまの声を聞く接客に入ります。新規購入なのか買い替えなのか、誰が使うのか、将来どのような家庭にしたいのかといったお客さま目線に立った接客をすることで、求めている商品を的確にご案内できる。こうして、お客さまの一挙手一投足に気を配った結果、自然と成約率が上がっていきました」

 

ホームファッションから家具を担当することになっても、物事の本質は変わらない。常に相手の立場で接客方法の試行錯誤を重ねた結果、「武蔵浦和にすごい新人がいる」と、上野さんの名は社内で知られるようになった。

 

「ニトリでは配転教育といって、平均して2年から3年で配置替えがあり、さまざまな経験をできるので、毎回新鮮な気持ちで業務に当たることができます。配転教育で学んだのは、何をするにしても、誰のためにやっているのか、何のためにやっているのかという目的が大事だということ。お店の業務でも、ホームファッションと家具ではやっていることはまったく違いますが、その本質は変わらないということを学びました」

 

1年間家具を担当してホームファッション担当に戻ってからは、それまで価格順に並べていた商品展示を、頻繁に手に取られている中間価格帯商品や人気アイテムを目立たせるよう工夫した。また、セルフサービスが基本のホームファッションでも、羽毛布団などの高額商品には接客を取り入れるなど、良いと思ったことを次々と提案し、新たなチャレンジをしていった。

 

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フロアではスタッフに気軽に声をかけ、作業状況などを確認。フロアが複数階に分かれているので、インカムを装着し、目の届かない売り場の状況も常に気にかけている。

 

ニトリマニュアルシステムの制作や採用活動へのSNS導入など、「変える」を実践

3年目、上野さんは業務システム室タスクというプロジェクトチームに抜てきされ、従業員用のマニュアル改革に取り組むことになった。実は、新人時代にマニュアルに不満を感じ、社内の問題提起ツールを通して改革を提案していた。当時は冊子のマニュアルが何冊にも分散していたため、探したい情報にたどり着くのに苦労したからだ。

 

「パートスタッフなどの入れ替わりが多いので、誰でもすぐに同じ作業をできることは、とても重要。マニュアルを改善すれば、新人も知りたい情報をスピーディーに検索でき、ムダやムラを省いた店舗運営ができると考えたのです。自分が変えたいと思ったことを実現できるチャンスをもらえて、すごくうれしかったですね。『新人の目線も大切にしてくれる会社なんだ』と実感しました」

 

プロジェクトチーム12名でデータの一元化に取り組み、Webシステムを利用したニトリマニュアルシステム(NTMS)を制作。文面をわかりやすく変え、文章で理解しにくい内容は動画を加えるなどの工夫を凝らし、検索機能も付けて、3カ月で完成させた。

 

その後、人財採用部に着任し、新卒採用を担当した。上野さんは「変える」ことを意識して、新卒採用活動に当たり、面接方法や回数といった選考方法、採用に利用するツール、採用コストなどをイチから見直した。

 

「見直しに時間はかかりましたが、結果的には、より優秀な人財を採用することができ、企業認知度もアップしました。その当時画期的だったのは、採用ツールにFacebookを導入したこと。採用コストを抑えつつ、企業認知度の向上に役立ちました。SNSを採用ツールに利用して成功したことから、その後は公式企業ページにもSNSを利用するようになりました」

 

その後、赤羽店勤務を経て2014年2月からは千葉桜木店勤務となった上野さん。異動時にホームファッションフロアを統括するフロアマネージャーに昇進し、1カ月先の商品入荷を見越して人員シフトを計画するという新しい任務が加わった。
「やりがいを感じるのは、自分が立てた計画通りに新しい売り場が完成したとき。商品の入荷前に売り場を想像しながら、必要人員と日数を予想するのですが、いざ始めてみると来店客が多くて作業が進められない、展示用備品が足りないなど、不測の事態で頓挫することもしばしば。もちろんイレギュラーな事態も計算に入れるのですが、予測を上回ることもある。それだけに、計画と結果が一致したときの達成感は大きいですね」

 

同年6月からは、副店長として家具フロアを統括していた上野さんは、利益と効率を上げる労務管理、販売数値や品種ごとの分析報告といった店長業務も代行するように。そして、15年10月17日からは、同じ千葉県にある八千代店の店長に昇進した。

 

「私の仕事は『変える』ことであり、それが自分の存在価値だと思っています。周囲に何かを伝え、認められてこそ、生きている実感が得られるのです。目下の目標は、八千代店をこれまで以上に地域で認められる店にして、周りに住むお客さまの住まいを豊かにしていくこと。そして将来は、商品部や物流の仕事などのサプライチェーン全般を経験して、自分のスキルを増やして、いつかグループ会社の経営に携わるのが夢ですね」

 

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朝はオペレーションルームのデスクで、メールチェックや前日の販売実績確認を行う。営業時間中は、売り場に目配りできるよう、各フロアのカウンターにあるパソコンで作業している。

 

上野さんのキャリアステップ

STEP1 2007年  新座店と武蔵浦和店にて店舗オペレーション全般を学ぶ(入社1年目)

3月1日に新入社員研修がスタート。同期300名と、本部で5日間チェーンストア理論やビジネスマナーなどの研修を受けたのち、5日間の店舗研修で商品展示や接客、電話対応などを学ぶ。3月下旬、新座店に正式配属となり、ホームファッションの入荷処理など店舗オペレーションの基本を学ぶ。10カ月後、武蔵浦和店に異動。2カ月間ホームファッションを担当したのち、家具担当となり、お客さま目線に立った接客を心がける。観察する、話を聞く、短時間で成約に結び付けることを意識した結果、その名は社内で知れ渡ることに。その後、7カ月間ホームファッションを担当。

STEP2 2009年  スタッフ部門でマニュアル整備や家具レイアウトの標準化などを経験(入社3年目)

新人時代にマニュアルの改善を提案したことから、業務システム室タスク(プロジェクトチーム)に抜てきされ、ニトリマニュアルシステム(NTMS)の制作に携わる。紙ベースで点在していた多岐にわたるマニュアルをデータに転換し、3カ月間で一元化を果たす。その後、スーパーバイザー部タスクに異動し、各店舗で行っていた商品発注や展示を、商品部主導に切り替えるための準備作業に携わる。1カ月かけて、既存の各店舗に合わせた基本の家具レイアウトを作成して標準化。これにより、売りたい商品が目立つ売り場の維持と欠品の削減が可能となった。

STEP3 2010年  店舗業務を経験後、再びスタッフ部門で人財採用に携わる(入社4年目)

戸塚店の新規オープンに伴って異動。2週間後の開店に向けて、ゼロからの商品展示やパートスタッフ10名の教育などを実践。チームワークの素晴らしさに感激し、店舗のフロアマネージャー昇進を目指していたが、9カ月後に人財採用部への異動辞令が届く。予期していないタイミングでの辞令に戸惑いはあったが、店舗運営だけでなく、会社の将来を支える新卒採用を経験しておくことも自分のキャリアに役立つと納得。11年より2年6カ月間、人財採用部で東日本エリアの新卒採用を経験。13年、赤羽店に異動し、7カ月間店舗オペレーションに携わる。

STEP4 2014年  千葉桜木店でフロアマネージャーと副店長を経験後、八千代店店長に(入社7年目)

千葉桜木店への異動と同時に、ホームファッションを統括するフロアマネージャーに昇進。4カ月後、家具を統括する副店長に昇進。家具の客単価と買い上げ品目数の向上を目指し、作業の稼働計画と人員シフト計画、あるべき商品構成の維持・管理、作業方法や売り場展示方法の改善など、店舗オペレーション全般の管理を行う。15年10月17日、千葉県にある八千代店に異動し、店長に昇進。

ある日のスケジュール

9:00 出社して、売り場を巡回。メールをチェックして、本日のシフトの出勤者と引き継ぎをする。
9:45 全出勤者10~15名で朝礼。前日の販売実績や連絡事項の報告、あいさつの声出しなどを行う。
10:00 開店。入り口で来店客にあいさつ。その後、店内の状況と人員配置の確認。
12:30 ランチ休憩。妻の手づくり弁当を食べることが多い。
13:30 オペレーション管理、本部からの急な指示などのイレギュラー対応。
15:00 副店長と、翌週の作業計画についてミーティング。
16:00 入社間もないスタッフに店内で接客などを教育。オペレーション管理。
18:00 当日の作業状況の最終確認と翌日以降のリスケジュールをして退社。

プライベート

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半年ほど前からランニングを始めた。子どもが寝た後の20時過ぎから、週3回、5~7キロメートルほど走る。「走ると心地よく疲れて心地よく眠りにつけますし、走った後のビールは格別です(笑)」。

 

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夏は11連休、冬は8連休と年2回のリフレッシュ休暇を利用して、家族で海外旅行に出かけることが多い。写真は2015年2月に行ったグアム。歩き出したばかりの1歳半の長女と一緒に。

 

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2015年の夏祭りで、初めて浴衣を着て上機嫌の長女。「お祭りで生まれて初めて口にしたかき氷に、とんでもない表情を見せましたが、気に入った様子。きれいに平らげましたよ(笑)」。

 

取材・文/笠井貞子 撮影/刑部友康

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