KDDI株式会社 大塚さん(入社10年目・ソリューション営業本部 官公庁営業部 3グループ 課長補佐)【先輩たちのワーク&ライフ】

おおつか・なおみ●ソリューション営業本部 官公庁営業部 3グループ 課長補佐。明治大学商学部商学科卒業。2006年4月入社。大学院への進学を考えていたが、就職活動を行う周囲の友人に刺激され、“好きなこと”を軸に自動車メーカーやIT関連業界など、約30社にエントリー。就職活動を進める中で、通信のインフラ整備への関心が高まり、株式会社パワードコムへの入社を決意。内定中にKDDI株式会社と合併し、現社に入社。

落札した瞬間の喜びを社内に持ち帰り、伝えることも営業の大切な任務だと実感

KDDI株式会社は、固定電話からスマートフォンをはじめとするモバイル通信、auWALLETなどの電子決済まで、幅広いビジネスを世界で展開している総合通信事業者。大塚さんは、2006年の入社以来、法人営業部門の一つである官公庁営業部で防衛省 航空自衛隊や日本郵政グループ(日本郵政、日本郵便、かんぽ生命保険)、独立行政法人、一般財団法人などを担当している。

「営業は自ら希望しました。文系出身の私は、通信事業に関する知識も資格も持っていませんでしたが、内定者時代に経験した数々のアルバイトを通じて、お客さまの声をじかに聞ける仕事に面白さを感じたからです。ジョブローテーション制度があるので、通常は3~7年に1度くらいの頻度で異動になりますが、私の場合は、先方担当者の異動が少ないことや、異動時期が入札の大切な時期と重なったこともあって、官公庁営業部で10年目を迎えています」

営業のミッションは、お客さまの要望をヒアリングし、モバイルサービス(auスマートフォン、タブレット端末、衛星通信)や、ネットワークサービス(固定回線、クラウド)などのKDDIサービスを組み合わせて提案すること。先方の要望や計画を実現するために、技術部隊であるSE(システムエンジニア)と打ち合わせ、入札期日までに企画提案書を仕上げてもらうよう調整。プレゼンテーションはSEで担当するケースが多いが、金額の調整や申込書の授受、落札後の社内手配、お客さまとの定例会への参加やフォローなどは営業が担当する。

一般企業との取引と異なり、官公庁との取引は入札に参加し、落札することで案件受注となる。官公庁の計画は3年や5年単位で動いているので、今すぐには入り込めなくても、計画見直しのタイミングで必ず提案のチャンスが巡ってくるため、営業は良好な信頼関係を築き、維持することが重要となる。

入社5年目から2年越しで取り組んだ独立行政法人の案件では、全国約1000拠点をつなぐネットワーク案件の5年分の総額を入札書に記載することになった。大塚さんは、自分が動かす億単位の金額の大きさに手が震え、記載金額のゼロの数を何度も確認したという。

「これは、自社の既存のサービスだけでは対応できず、外部の特殊なサービスも含めて提案する社内でも初となる試みでした。やったことのないことには消極的になるもの。この案件を相談した際も、社内では『できないよ』とあっさり断られてしまいました」

しかし、ここであきらめては入札に参加すらできない。そう考えた大塚さんは、いろいろな人に頭を下げてお願いして回ると同時に、上司にも相談し、部門のトップ同士で話を通してもらうなどして説得。入札に参加した。

「そこまでして落札できなければ、動いてもらった多くの人の時間を無駄にすることになってしまう。いつも入札日はゲンをかついでトンカツを食べるのですが、その日は味がわからないほど緊張していました(笑)。私が提出した金額と会社名が読み上げられ、落札が決まった瞬間は忘れられません。『やった!』という喜びよりも、肩の荷が下りた安心感の方が大きかったですね」

喜びが湧いてきたのは、社内の関係者に報告した時。「やったね!」という言葉に、ようやく落札した感激が込み上げてきた。

「営業としての喜びを感じるのは、落札できた瞬間やお客さまから直接『ありがとう』の言葉を頂く瞬間。その喜びを社内に持ち帰って何倍にもして伝えたいですし、それが皆のモチベーションを高める、営業としての大切な任務なのだと実感しました」

ph_business_vol332_01
技術部隊のSEにお客さまの要望を伝え、どうしたら実現できるかを打ち合わせる。営業として、先方の要望をどれだけ具体的に聞き出せるかが、提案のカギとなる。

お客さまのところに通う楽しさや目の前で落札が決まる感動を後輩に伝えていきたい

入社9年目となる2014年には、防衛省 航空自衛隊の入札に3回参加し、2つの案件を落札した。

「先方担当者のKDDIに対する認知度が低かったため、まずはKDDIを知ってもらうことから始めました。それまで担当してきた取引先は、前任者が築いた良好な関係を引き継いできましたが、この案件では、半年がかりでお客さまとの関係をゼロから構築したという自負があります」

最初に落札した案件は、基地からの映像をインターネットを経由して配信する業務。KDDIの主力サービスではなかったため、社内では入札参加に消極的だったが、大塚さんが「やったことのないことだからこそ、チャレンジしましょう」と働きかけたことで、実現した。

もう1つの案件は、電車内で電子広告を放映する業務。1回目の入札を落札したことで、2回目の入札前にお客さまに対して案件概要の相談をしやすくなった。この経験から、大塚さんは「取引先との関係が良好だと、仕事が広がっていく」ことを実感した。

大塚さんが、良好な関係づくりのために日ごろから心がけているのは、取引先の情報を頭に入れておくこと。組織や事業内容はもちろん、最新のニュースもチェックし、商談時の話題にしている。

「そうすると、先方も『自分たちのことを、いつも気にかけてくれている』と思ってくださるようです。ただし、知ったかぶりはせず、教えていただく姿勢を大切にしています。そして、何より重視しているのは、対面でお話をすること。やはり、会ってお話しする方がたくさんの情報を得られます」

2014年6月、サントリーホールディングスとリクルートホールディングスが発起人となって、異業種7社の営業職女性(エイジョ)による合同プロジェクト「新世代エイジョカレッジ」が始動。大塚さんはそのメンバーに選ばれ、約6カ月間、営業現場で働く同世代の女性たちと交流を重ねてきた。

「私自身、仕事とプライベートのどちらを優先すべきか悩んだ時期もありましたが、同じような悩みを抱えている営業系の女性たちと話したことで、気持ちが吹っ切れました。現在は、営業本部に在籍している女性5名にそこでの話を伝えるなど、エイジョをサポートしています」

営業系女子はすぐ辞めてしまうなど、ネガティブな印象を持たれがちだが、入社以来営業の道を歩んできた大塚さんは、「そんなことない」ということを、身をもって示していきたいと考えている。

「10年目となる今も、営業が天職なのかどうかはわかりませんが、お客さまのところに通う楽しさや、目の前で落札が決まる瞬間の感動があることを、後輩たちに伝えていきたいと思っています。その結果、エイジョや女性リーダーが増えていったら素晴らしいですね。KDDIでは結婚し、産休や育休を取って復職している女性がいっぱいいます。先輩がつくってくれた道を活用して、私自身も仕事を続け、エイジョをもっと増やしていきたいと思っています」

ph_business_vol332_02
オフィスは大手町にあるので、官公庁が集まる霞が関までは近い。先方担当者は内勤が多いので、その場で連絡を入れて複数部門を訪問するようにしている。

大塚さんのキャリアステップ

STEP1 2006年 内定者時点のアルバイトで営業に目覚める(入社1年目)

内定先がKDDIと合併したため、「採用取り消しになるのでは…」と不安になったが、内定者間で情報交換を重ね、2006年1月にKDDIから内定をもらい、ひと安心。内定者時点にさまざまなアルバイトを経験したことで、「人と触れ合う仕事に向いているな」と感じ、営業職を希望。4月から1カ月間行われた新入社員研修では、ビジネスマナーや自社サービスなどを学んだほか、3泊4日の富士山合宿では、オリエンテーリングをしながらの登山やBBQなどを経験し、同期約160人との絆を深めた。

STEP2 2006年 官公庁を中心とした営業活動をスタートし、8月に初受注(入社1年目)

5月、希望通り営業業務に就いたが、自分に身近ではない官公庁を担当することを知り、「私でいいのだろうか」と気後れする。1年違いの先輩の下で、質問や相談をしながら仕事を学んだが、言われたことをやるのが精いっぱい。自分のやる気の持って行き場がなくて悩んだが、8月の初受注が転機に。日本郵便株式会社(当時の日本郵政公社)からフリーコール(通話料金着信者払いサービス)を落札し、先方担当者から自分宛てに電話が入るようになり、営業担当としての自信につながった。

STEP3 2008年 直属ではない部署の先輩からの言葉に、自分の成長を実感(入社3年目)

1人で営業先を訪問するようになったが、先方の質問にその場で回答できず、宿題として持ち帰ることもあった。しかし、残業日と早く帰る日のメリハリをつけるなど、徐々に自分の時間をコントロールできるように。直属ではない部署の先輩からも「頑張っているね」「成長したね」と声をかけられ、自分の成長を実感。5年目には、お客さまの課題のヒアリングから入札まで、1人で対応できるようになった。

STEP4 2013年 低迷期を経験するが、新人時代を思い出して脱する(入社8年目)

7年目には、約2年かけて取り組んだ億単位の案件を落札するなど、営業として順調に成績を上げてきたが、8年目に入札の連敗を経験し、「入札に参加~落札できない~仕事が面白くなくなる」という悪循環に陥る。先輩の目に今の自分がどう映っているのかを聞いても、『大丈夫』と励まされるだけだったので、営業の若手と話をすることに。後輩の話を聞いたことで、新人時代に味わっていた営業の楽しさや一生懸命さを思い出し、低迷期から脱することができた。2015年4月、課長補佐に昇進。「女性だから昇進した」ではなく「大塚だから昇進した」と思われるよう、日々奮闘している。

ある日のスケジュール

9:00 出社。メールをチェック。
10:00 防衛省を訪問。省内の複数部署を回り、新しいサービスの紹介や、メールで送ってある案件についての回答をもらう。
12:00 防衛省内の食堂にて1人でランチを済ませる。
14:00 帰社。見積書の作成などを行い、次の訪問先の資料を準備する。
16:00 かんぽ生命保険を訪問。複数の部署を回って書類を渡したり、案件の検討状況についてヒアリングを行う。
18:00 帰社。案件の検討事項について上司に相談したり、日報を作成するなどのデスクワーク。
21:00 退社。仕事帰りに同僚と食事に行くことも少なくない。

プライベート

ph_business_vol332_03
内定者時代から仲の良かった同期と、年に1度は集まって飲む(最前列の男性2人の間が大塚さん)。「最近は既婚者が増え、家庭の事前承認が必要に(笑)。だから、早めに声をかけるのがルールです」。

ph_business_vol332_04
2012年、同期の女子会で千葉県にバーベキューに出かけたとき(立っている2人の右が大塚さん)。「数カ月おきに女子会を開催し、誰かの自宅でカードゲームを楽しむこともあります」。

ph_business_vol332_05
2012年の冬、学生時代のアルバイト仲間と岩手県にてスノーボード(1番左が大塚さん)。「入社数年目までは、毎週末のようにスノボーに行って、仕事のストレスを発散していました(笑)」。

取材・文/笠井貞子 撮影/刑部友康

就活をはじめる以前に、本当はいろんな不安や悩みがありますよね。
「面倒くさい、自信がない、就職したくない。」
大丈夫。みんなが最初からうまく動き出せているわけではありません。

ここでは、タテマエではなくホンネを語ります。
マジメ系じゃないけどみんなが気になる就活ネタ。
聞きたくても聞けない、ホントは知りたいのに誰も教えてくれないこと。
なかなか就活を始める気になれないモヤモヤの正体。
そんなテーマを取り上げて、ぶっちゃけて一緒に考えていきましょう。

みなさんが少しでも明るく一歩を踏み出す気持ちになれることが、
私たちの願いです。