トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社 吉田さん(入社5年目・リテール統括部Block 1 スーパーバイザー)【先輩たちのワーク&ライフ】

よしだ・しゅうへい●リテール統括部Block 1 スーパーバイザー。京都産業大学経営学部会計ファイナンス学科卒業。2012年4月入社。実家が京都で商売をしていることから、形が目に見えるモノを介して会社と人をつなぐ仕事をしたいと考え、メーカーの営業職を志望。アパレル、食品、繊維メーカーなど、約30社の説明会に参加。5社から内定をもらったが、役員面接の気さくな雰囲気と若手に仕事を任せていく社風に魅力を感じ、現社への入社を決意。

数字分析を念頭に店舗訪問で現場を確認。目標達成につながる改善策を提案

インティメイトアパレル(下着の総称)の企画・製造・販売を行うトリンプは、1886年にドイツで誕生し、現在はスイスを本社に世界120カ国に拠点を構えるグローバル企業。トリンプ・インターナショナル・ジャパンは、その日本法人として1964年にスタートした。

吉田さんは、2012年の入社以来、路面店や商業施設、アウトレットなどに入っている直営店『AMO’S STYLE by Triumph』の営業を担当している。

「デパートやチェーンストアなどの売り場とは異なり、直営店は、自社が売りたい商品を好きなだけ入荷して販売できることが特徴。また、『AMO’S STYLE by Triumph』は10代から30代の女性がターゲットなので、ファッション・アドバイザー(販売員)もほかのトリンプの売り場に比べて若い女性を中心に運営しています」

営業職のミッションは、担当エリアの店舗が年間予算(売り上げ目標)を達成するために、課題を見いだし、改善策を提案・徹底すること。そのために活用しているのが、各店舗から日々上がってくる販売実績だ。社内の専用システムで必要なデータを抽出し、1日単位で数字をチェック。売上高はもちろん、前年の同日や同曜日との比較、レジから吸い上げた客数や客単価、メンバーズカードを持つリピーターと新規顧客との割合などを細かく分析する。

「そうすると、どのアイテムが売れているか、売れていないかが見えてきます。前年と同じ商品があれば、売れ行きの違いもわかるので、その理由――例えば、出しているカラーの違いやキャンペーン実施の有無といった要因――を探り、予算を達成するための対策を考えるのです」

抽出する数字や分析のポイントは、営業担当でそれぞれ微妙に異なる。吉田さんは、先輩の分析方法を参考に、自分がわかりやすい数字の出し方、担当店舗が知りたいデータを模索。試行錯誤の末に、自分なりの分析スタイルを確立した。

「とはいえ、数字の分析にも増して重要なのが、店舗訪問です。データをいくら分析しても、それはやはり数字でしかありません。大切なのは、分析結果を頭に入れて店舗を訪問し、自分の目で確認すること。売れないアイテムが、実は在庫が不足している、ディスプレーが目立たないなど、現場で見えてくることも多いからです」

1年目、上司から大阪の6店舗を引き継いで一人で活動するようになった吉田さんは、先輩からのアドバイスに従って、頻繁に店舗を訪問することを心がけた。

「ところが最初のころは、店舗側から問題点を聞くことはできても、自分から課題に気づくことができませんでした。店舗を訪問しても何もできない自分が情けなくて…。それに、『このブラジャーは、ワイヤーが内側に入りすぎていて、フィッティングがしっくりこない』とファッション・アドバイザーから言われても、正直ピンとこない。男性ゆえのハンディも感じていました」

そんな思いを払拭するために、吉田さんは商品知識を養い、店舗に通い、ファッション・アドバイザーの依頼や要望にすぐ応えることを実践。在庫の確保や補充などに即対応することで、店舗との信頼関係を深めていった。

「ファッション・アドバイザーから『吉田さんが担当で良かった』という言葉を聞けた時は、本当にうれしかった。ようやく信頼関係が築けた、成長できたと自信になりました」

吉田さんは、訪問した際には店舗を遠目から眺めたり、お客さま目線で歩きながら店舗を眺めたりすることも忘れない。そうすることで、マネキンと重なって商品がよく見えない、POPの文字が遠くからは読みにくい、などの新たな発見があるからだ。

「また、お客さまの流れを観察することで、ファッション感度の高い女性が多い、ファミリー層が多いといった商業施設の特性も見えてきます。客層によって売れ筋は変わってくるので、商品ラインナップを変えるという対策も打ち出せる。こうしたマーチャンダイジング(商品計画)ひとつでも、売り上げが変わってくるのが、この仕事の醍醐味(だいごみ)です」

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週3、4日は東北方面に出張しているので、本社内にいる月曜日に上司と打ち合わせ。数字分析と店舗訪問から見えてきた課題と改善策を相談。出張予定についても報告する。

商業施設との信頼関係を深め、セール売上高を3年で倍増させる

取引先との商談も、大切な仕事の一つ。代表的なのが、大幅な売り上げアップが見込めるセールなどの催事交渉だ。吉田さんが新人時代に、前任者だった課長が催事を受注。5日間のセール開催で250万円を売り上げた。引き継いだ吉田さんは、2年目の売り上げを300万円に伸ばし、3年目には日数を1週間に延長する交渉に成功し、500万円にまで売り上げを拡大した。

「施設内のエレベーターの電子掲示板に告知を流したり、チラシを配布したりと販促にも注力。ファッション・アドバーザーだけに頼らず、自分自身も声を枯らしながら駅の構内でビラをまきました。3年かけて施設担当者との信頼関係もでき、一緒にセールを盛り上げることができた結果です。上司から引き継いだ催事の売り上げを2倍にできた達成感は大きかったですね」

15年、東京本社のリテール統括部に異動した吉田さん。現在は、東北方面の直営店を担当している。

「仕事内容は変わりませんが、宮城県、山形県、福島県にある店舗を訪問するので、週3~4日は出張しています。リテール統括部のシニアマネージャーや、現在の上司も以前に東北地区を担当しており、社内でも重要な拠点のため、異動前はかなりプレッシャーでした。その後、前任の営業担当が回りきれていなかったこともあり、私が顔を出すようになって『こんなに頻繁に来てくれる担当者はいなかった』と歓迎され、すぐに関係構築ができました」

15年9月には、東北最大の仙台店の改装を経験。15年前に作った若い女性を意識したピンクやオレンジの内装を、ブル―やパープルを基調とした内装に一新。当時ファンだった女性たちの現在の年齢を想定したリニューアルだ。

「上司とストアデザイン担当者との3人で図面を見ながら話し合いを重ね、通路を広くとるために什器(じゅうき)の幅を変更したり、商品フックの長さを調整したり。改装の成果があって、売り上げは順調に伸びており、担当者からもお褒めの言葉を頂きました。店舗のデザインや商品の見せ方を変えることで、売り上げが伸びることをあらためて実感しています」

東京転勤を機にスーパーバイザーに昇進し、吉田さんはより大きな視点で改善点を求められるようになった。例えば、奥のレジで書類作業をしているファッション・アドバイザーの様子から、「その書類は本当に記入する必要があるのか」と作業自体を見直し、必須の作業であれば「可動式の小さいテーブルを用意すれば、すぐに接客できる位置で作業できるのではないか」など、日々課題と改善策に思いをめぐらす。

「スーパーバイザーは、いわば会社と店舗をつなぐ懸け橋。データ分析や商圏に基づく商品構成といったマーケティング力、店舗や商業施設に信頼されるためのコミュニケーション力、人件費や家賃などの経費と利益とのバランスを見る経理能力も要求される立場なので、多角的にスキルを高めていくつもりです」

直営店は、商品構成やキャンペーン施策などの自由度が高いことから、その面白さと裁量の大きさが、吉田さんの大きなやりがいになっている。

「目標は、直営店営業の中心的存在になること。今後は海外、特にアジアで直営店ビジネスが発展していくことが予想されるので、業績トップクラスにある日本で培った直営店ノウハウをアジアに輸出し、トリンプ全体を盛り上げていきたいと思っています。そのための海外転勤も、もちろん視野に入れています」

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月曜日は、集中的にデスクワークに充てる。担当店舗の先週の販売実績、昨年の同時期の実績などを社内の専用システムで抽出。データを比較しながら、販売の伸びなかった商品の原因を分析する。

吉田さんのキャリアステップ

STEP1 2012年 新入社員研修で仕事の基礎を学ぶ(入社1年目)

4月の入社式翌日から6日間、総合職と販売職全体の新入社員研修で、下着の基礎知識や接客スキルを学ぶ。その後、総合職8名と中途入社者1名で、物流を担うトリンプ静岡センターでの1週間の研修に参加。商品のタグ付けや物流ラインでの検品作業のほか、ブラジャーのパーツをミシンで縫製して完成させる体験も。ブラジャーがたくさんのパーツからできていることを知り、衝撃を受ける。物流の仕組みがわかっただけでなく、現場の人たちと顔見知りになったことで、営業担当としてイレギュラーな依頼をしやすくなった。その後、2つの部署で各2週間営業研修を経験。

STEP2 2012年 大阪営業所の直営店事業部にて営業経験を積む(入社1年目)

6月、大阪営業所の直営店事業部 Area3 1課に配属となる。1課は関西エリア担当だが、部署の都合で2カ月間、名古屋エリアを担当する2課の先輩の下で営業の基礎を学ぶ。販売実績数字の出し方、ファッション・アドバイザーとの付き合い方、商品知識など学ぶことは多かったが、わからないことは先輩が丁寧に教えてくれるので、不安はなかった。8月、1課の上司が担当していた大阪6店舗を引き継ぎ、本格的に営業活動を開始。2年目にはその6店に京都、奈良、和歌山の11店を加えた16店舗を担当するように。大型店には毎週顔を出し、2週間に1度は全店舗を訪問した。

STEP3 2014年 自分なりの数字分析、直営店や商業施設との信頼関係を確立(入社3年目)

試行錯誤しながら、自分なりの数字分析スタイルを確立。“依頼や要望には即対応”をモットーに、頻繁に店舗訪問を続けたことで、直営店のファッション・アドバイザーや直営店が入っている商業施設の担当者との信頼関係も深まり、仕事がスムーズに。一方で、3年間ほぼ同じエリアを担当してきたという慣れが、妥協につながるのではないかという危機感を感じ始めていたタイミングで、東京本社への異動の辞令が。心機一転のチャンスととらえ、東京に転勤。

STEP4 2015年 東京本社に転勤。リテール統括部にてスーパーバイザーとなる(入社4年目)

東京本社のリテール統括部 Block 1に異動し、東北エリアの直営店10店の営業を担当。スーパーバイザーに昇進したことで、店舗と会社との懸け橋役をより強く意識するように。後輩の育成にも力を入れ、後輩には「自分はこうしたいが、どう思うか」という主体的な質問をするようアドバイスしている。ときには後輩の担当店舗を訪問し、自分の目で見た良い点と改善点をフィードバックするなど、“気づきの種を与える指導”を心がけている。

ある日のスケジュール

9:20 出社して、先週の売り上げを確認。部の全体朝礼に続いて、課員8名で朝礼。
10:00 メール対応を済ませ、先週の店舗訪問で気づいた課題と改善点を上司に提案。
10:30 先週1週間分の販売実績の詳細を確認する。
11:45 ランチ。上司や同僚と近所のレストランへ。築地市場まで足を延ばすことも。
12:30 請求書の確認と処理。その後、数字を分析し、店舗に電話確認などを行う。
14:30 担当エリアの店舗に今週の実行方針(改善策)を配信する。
16:00 店舗間の商品移動の手配、商品の補充依頼、店舗の備品発注などを行う。
18:50 メール対応を済ませて、退社。

プライベート

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2015年1月、職場のメンバーと新橋で新年会をした時(左端が吉田さん)。「課長への“頑張りましょう”メッセージを入れたデザートは、メンバーから課長へのサプライズです」。

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総合職の同期入社8名とは、とても仲が良い。写真は2015年3月、結婚に伴い静岡に転勤する同期女性の送別会と結婚祝いを兼ねた飲み会(左から4人目が吉田さん)。

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海外旅行が趣味で、特に人間味あふれるアジアが好き。入社1年目は、1週間ラオスとカンボジアへ。写真はカンボジアへ行ったときのもの。「有給休暇を取りやすい会社なので、年2回は海外旅行を楽しんでいます」。

取材・文/笠井貞子 撮影/刑部友康

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