株式会社帝国データバンク

まつもと・こたろう●東京支社調査第2部 第1課 主任。愛知大学経営学部経営学科卒業。2009年入社。大学で経営学を学ぶ中、企業経営や経営企画の仕事に興味を持ち、「より多くの経営者に出会える仕事がしたい」と考える。金融業界、コンサルティング業界を目指し、会社説明会や先輩訪問で銀行やコンサルティング会社の先輩社員から話を聞く中、「毎日いろんな経営者から話を聞く仕事のため、出会う機会が最も多い会社」として現社の名前が挙げられた。業務内容にひかれ、現社に入社。

人事部に配属され、新卒採用説明会や研修プログラム作成を担当。会社の根幹を成す「人材」に携わる責任を実感

経営企画に興味を持ち、やがて経営者の考え方そのものに触れたいと考えるようになった松本さん。現社に入社を決めたのは、「中小企業の経営者に企業信用調査を行う」という業務内容に強くひかれたからだという。
「日本の企業の約9割超を占めるのは中小企業です。しかし、そうした企業を取引相手とする際に問題がないかどうかを判断できる材料は少ないもの。そこで、取引を行う前の判断材料として活用されているのが企業信用調査なのです。お客さまから依頼を受け、取引先候補となる中小企業の経営者に対し、資金繰りや財務状況、今後の経営方針などを直接ヒアリング調査し、第三者の立場で調査報告書をまとめていくこの仕事は、まさに自分のやりたかったことだと感じました」

 

入社後、新人研修を受けたのちに配属されたのは、人事部人材開発課だった。
「調査会社において最も重要なのは、調査を行う“人材”です。その採用・育成を司る人事部門にいきなり配属されたので、当初はその責任の重さにプレッシャーを感じました。まずは先輩の下で雑務の手伝いからスタートし、会社説明会の資料作成などを手がけましたが、PCスキルがまったくなかったので参りましたね。自宅でタイピングソフトを使って早打ちの練習をしたり、エクセルの入門書を購入して計算式に取り組んだり、とにかく追いつこうと必死で努力しました」

 

最初に任されたのは、調査員の研修プログラムにおけるアンケートの集計。講義の理解度や各自の課題などを記入してもらったアンケート結果をレポートにまとめた。
「エクセルを使って集計を行い、自分なりにレイアウトを考え、上司に相談しながらまとめていくことに。項目の順序や色使いなども含め、見る相手のことを考えたレイアウトにすることが重要だと学びましたし、自分がいずれなりたいと思っていた調査員の生の声に触れることができ、おおいに刺激になりましたね!」

 

配属の半年後には、新卒採用の会社説明会を任される。実際に話す内容を決め、使用するパワーポイント資料の作成、さらには当日の司会進行まで行うことになった。
「これは大変なことになったぞと。自分が会社の顔となって話をすることで、会社がどう思われるかが決まり、いい人材が入社してくれるかどうかが決まってしまうわけですから、本当にプレッシャーを感じましたね。『松本の開催した説明会では、入社する人が少ない』なんて言われることがないようにしなくては、と焦りました」

 

しかし、そうは言っても、入社からわずか半年しかたっていない自分。会社のすべてを把握できているわけもなく、一生懸命に台本を作ったものの、会社の魅力が伝わるような話ができないことにジレンマを感じたという。
「先輩からは『丁寧に話そうとするあまり、内容が薄くなっている』と指摘され、落ち込みましたね。知識のみを詰め込んで話しても、結局、自分の言葉ではないから、思いをうまく伝えることができないんだと気づきました。そこで、先輩が資料作成の方針を決める際には、できるだけ自分の意見を取り入れてもらったり、資料そのものに手を加えたりすることに。僕はもともと人前で話すことが苦手で、硬い話し方になってしまいがちだったので、部活動の後輩に話すような気持ちを心がけようと。グループワークの進行などでも、その場を盛り上げるように努力していきました」

 

手応えを感じるようになったのは、入社3年目のころ。「松本さんのセミナーが印象的だったので、説明会に参加しました」と言ってくれる学生が増え、面接でも「松本さんの説明会を受けたことがきっかけになった」という学生まで現れるようになったのだ。
「この会社の面白さを知ってほしいという思いが伝わったと感じ、本当にうれしかったです! こうした経験を通して、帝国データバンクという会社がどんな会社であるのかという大枠の部分を、自分自身でもしっかり理解できたと思いますし、何より、度胸がついたと思いますね。口ベタだったはずの自分が、のちに調査員として経営層に取材を行う際、相手の懐に入って聞きにくいこともズバッと聞けるようになれたのは、この経験のおかげだと思います」

 

また、入社2年目以降には、「新卒入社社員に向けた3年間の研修プログラム」の企画プロジェクトにも携わった。上司、先輩と3名のチームを組み、入社3カ年の教育研修計画を一緒に作成していくことに。
「入社3年目となる社員が“あるべき姿”を描き、そこに向けてどんな研修が必要かをチームで考えていきました。まだ入社歴の浅い自分だからこそ、同じ立場になって考え、『過去にどんな研修を受けたいと思っていたか』を振り返り、アイデアを出していきました。それまで、調査員となるための研修では、実際に経営者にヒアリング取材を行うプログラムはなく、外に出てからギャップを感じる社員も多い状況でしたが、このプロジェクトによって、調査の実務体験研修がプログラムに加えられることになったんです。チームの一員として調査員としての心構えを実地で学ぶ機会を作ることができ、大きな達成感を得られました!」

 

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調査報告書の作成と、調査対象の企業に向けた調査依頼やアポ取りを行う。一社の調査報告書を作成するために、1〜2時間程度かけている。また、事前準備として、調査対象の企業についてのリサーチも行う。

 

入社4年目、念願の調査員に。夢見た調査業務で実績を積み重ね、1年後に「優秀調査・営業社員」として表彰される

入社4年目、松本さんは調査員のサポートを手がける部署に配属される。仕事内容は、東京支社の調査第5部に所属する約40名の調査員が担当しているお客さまからの電話問い合わせへの対応だ。
「調査報告書の内容について質問を受けることもあります。また、調査によって取得した情報は、お客さまによって異なる価値を持つデータとなりますから『あの企業についてどんなデータがあるか』『過去にさかのぼって、何年前のデータがあるのか』など、問い合わせ内容はさまざまです。」

 

調査員が担当するそれぞれの企業から、朝から晩まで毎日ひっきりなしにさまざまな問い合わせがあったという。
「人事部から異動してきた私にとっては、サービスをご利用いただくお客さまと直接触れ合うのは初めてのこと。自分のやりたい仕事に一歩近づくことができ、うれしく思う半面、『お客さまの求めるニーズに確実に応えられるか』と、不安もいっぱいでした」

 

最初の2カ月間は、お客さまの要望そのものが理解できなかったり、自社の保有する膨大な企業情報データベースの端末操作もままならなかったり、焦るばかりの毎日だったという。
「1件の問い合わせに対応する中、わからないことがあるたびに電話を保留にし、先輩に質問することもしょっちゅうでしたね。空き時間のたびに、先輩に『こんな問い合わせがあったけれど、どう対応するのがベストだったのか』と質問し、具体的なアドバイスをもらって自分の中に蓄積する努力を続けました」

 

お客さまと日々向き合いながら、相手が求めていることは何なのか、どんな対応をしたら喜んでもらえるのかを考えていくうち、自分なりに「こんな状況の時には、こういう対応をしよう」というイメージが持てるようになったという。
「配属4カ月を過ぎたころには、『松本さんいますか』と直接連絡が来るまでになり、自分の対応が認められた喜びを感じました。さらに、ある先輩から『このお客さまへの対応はすべて君に任せる』と言われ、調査報告書の問い合わせ対応を一手に引き受けることに。決算資料の数字や競合他社との比較まで、細かな質問がどんどん来ましたが、自分がすべて対応するのだという責任感のもと、決算資料の読み方を学ぶなど、徹底的に勉強しました。お客さまに寄り添うことで、報告書のさまざまなデータがどんな意味を持つのかを理解できたと感じます。この経験は、現在の調査に生きていますね」

 

その後、松本さんは東京支社調査第2部第1課の調査員となる。
「憧れの調査に携われると感じ、うれしさでいっぱいでした。最初に担当したのは、広告制作会社に対する調査依頼。本当にお客さまの手に渡る報告書を作るのはこれが初めて。とにかく緊張しました(笑)」

 

事業内容から社長の経歴、取引先や借り入れの金額、今後の経営方針まで、十数もの調査項目についてヒアリングを行う。
「業績や経営状況にかかわる数字など、踏み込んだ部分の話を聞かねばならず、個人で言えば、『あなたの年収はいくらですか? 住宅ローンや借金はありますか?』と初対面で聞くようなもの。ですから、話してもらいやすい環境を作ることがまず大事ですね。新卒採用説明会で学んだコミュニケーション能力を生かし、1つの質問から次の質問へとつないでいくようにしています」

 

また、新規の調査依頼の獲得や、調査データを提供する会員サービスの新規開拓営業も担当しているため、取材を行う際には、相手のニーズや課題を発見し、営業先や取引先などの選別に役立つような活用方法も提案する。
「当社の企業調査を新たに活用していただく提案につなげています。僕の場合、しっかり時間を割いてもらい、みっちりと取材することで、調査対象の会社自体に興味と信頼感を持ってもらうように心がけています。『こんなに深いところまで調査しているのか』と感じてもらうことはもちろん、調査やデータをどんなふうに役立てられるのかまでイメージできるような話をしています。そうした努力を重ねるうち、『こういう調査をしてくれるなら、うちもお願いしたい』というお客さまが増えていきました」

 

帝国データバンクには、半期に一度、調査報告書の品質とお客さまへの貢献度などを総合的に評価し、「優秀調査・営業社員」として表彰する制度があり、松本さんは配属1年目で、東京支社・大阪支社の調査員約250名からなるグループの第6位になったという。
「お客さまから感謝の言葉をもらえることが一番のやりがいですね。その会社のやりたいことや課題について聞きながら、営業ターゲットとして可能性のありそうな業界を提案したり、営業先のリストアップサービスを紹介したり。自分の力を役立ててもらえることがうれしいですし、実際、出合ったころには雑居ビルの一室にオフィスを構えていた会社が、立派なビルにオフィスを移転して成長していく姿も目の当たりにしてきました。『松本さんの提案やコンサルティングのおかげだよ』という言葉に、自分自身を認めてもらえる大きな喜びを実感しています」

 

現在、年間360社の調査を行い、そのうち自身が担当している200社への提案営業を手がけている松本さん。今後の目標は、「毎日出合う1社1社と真摯に向き合い、経営者と同じ視点を持って、会社の成長や売り上げ拡大につながる提案をしていくこと」だと笑顔で話してくれた。

 

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毎日、1〜2件の調査を行い、調査の対象の企業を訪問。また、新規会員開拓や、調査における新規開拓営業も1日1件程度行っている。調査の取材にかけている時間は、1件につき1時間〜1時間半で、じっくりと話を引き出している。

 

松本さんのキャリアステップ

STEP1 2009年4月 新人研修時代(入社1年目)

入社後、40名の同期と一緒に新人研修を受ける。ビジネスマナーや会社の事業内容、社会人としてのマインドなどを学ぶ。また、自社の新規事業について考えるグループワークでは、上司役となった人事担当者に向けてプレゼンテーションを行った。「学生気分が抜けないまま、小手先のアイデアでプレゼンテーションしたところ、『そんな甘い企画では事業にならない』と痛いところを指摘されてタジタジに(笑)。やっぱり社会は厳しいものだと感じ、気を引き締めようと思いましたね」。また、最初の1年間は育成担当の社員が全体的な取り組みの管理指導をしてくれたため、仕事のいろんな相談に乗ってもらえたという。

STEP2 2009年 人事部にて新卒採用・中途採用に携わる(入社1年目)

人事部人材開発課に配属。半年後には、新卒採用の説明会と中途採用の企画運営に携わることに。新卒採用の説明会では、50名の学生を前に司会進行を行った。また、中途採用については、どういった広告媒体に掲載するのが効果的なのかを考え、全国の事業所の欠員状況を把握し、募集エリアの策定から広告会社との連携までを行った。「採用活動で自社の魅力を伝えようとする中、自社の事業をしっかり把握し、調査データを生かしてどんなサービスにつなげているかを理解することができました。また、入社2年目以降には『新卒入社社員に向けた3年間の研修プログラム』の作成に携わりましたが、自分がチームの一員として考えた研修を、入社3年目の時、自ら受けることができ、誇らしい気分になりましたね!」。

STEP3 2012年 調査員のサポートを担当し、お客さま対応を手がける(入社4年目)

東京支社の調査第5部に配属され、調査員の担当するお客さまからの電話問い合わせに対応。ひっきりなしに電話がかかってくるため、問い合わせへの対応がどんどん後ろにずれていき、1件、うっかりと飛ばして対応してしまったことも。「数時間後、お客さまから『さっきの件、どうなっているの?』と再度のご連絡をいただき、平謝りして急いで対応することに。どんなに忙しくても、しっかりと対応せねば、と気を引き締めた出来事でした」。10カ月間、サポート対応で調査営業の仕事について学んだのち、2カ月間の調査員研修へ。報告書作成の基礎知識から、取材調査の実務研修、決算資料の読み方、不動産登記のチェック方法など、調査員の基本をしっかりと学んだ。

STEP4 2013年 調査員として活躍し、コンサルティング営業も行う(入社5年目)

東京支社調査第2部第1課に配属され、調査員となる。現在、IT、広告、輸送(陸運、空運、鉄道)業界を担当している。また、調査対象となる会社は300〜400社にのぼっており、そのうち自身が担当する200社の企業へ商品・サービスの提案営業を行うために訪問している。「社内における優秀調査・営業社員表彰制度にて表彰されるまでに成長できました! 自分の提案によって、多くの経営者の方々にうちの会社のファンになってもらえたことがうれしかったし、会社に貢献できたという充実感を得ましたね。今後は、より深いお付き合いができる企業を増やしていきたいですね。『松本の提案を聞いて良かった』と言ってもらえるように、しっかり調査し、その取り組みを見たうえで役立つ提案をし、長く深い関係構築をしていきたいと思います」。

ある日のスケジュール

8:00 出社。始業の9時までにメールチェックや本日予定している訪問先の確認を行う。
9:00 調査第2部のメンバー約80名による朝礼に参加。各自の進捗状況やスケジュールを共有。
10:00 外出。企業を訪問し、経営層に向けた取材調査を行う。
12:00 ランチタイム。外出先近辺のレストランで食事を取る。
13:00 次のアポイントメント先に移動。早めに現地に到着し、近場のカフェで次の訪問に備えて資料を読む。
14:00 企業を訪問し、会員サービスの新規開拓の営業を行う。
16:00 帰社。本日訪問した企業の調査報告書を作成。
17:00 調査報告書を提出。電話で翌日以降の調査・営業のアポイントメントを取り、お客さまへの情報提供や情報交換を行う。
18:30 退社。自宅に戻って家族と夕食を取る。

プライベート

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幼少期からサッカー少年だったという松本さん。現在はプレーするよりも観戦がメインに。写真は、大好きなジダン選手(元フランス代表)のユニフォーム。着用して試合観戦することも。「月に一度はJリーグの試合観戦に出かけています。自分の出身地のクラブチームが関東圏で試合する時にはスタジアムで応援し、リフレッシュしています」。

 

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現在、2歳と0歳の2人の子どもと遊ぶことに夢中。「子どもと遊ぶことが楽しみでしょうがなくて、毎日、家に早く帰りたいですね(笑)。自転車に子どもを乗せ、一緒にどこかに出かけることも多いです。最近では、遊園地まで自転車で出かけ、一緒に遊びました」。

 

取材・文/上野真理子 撮影/刑部友康

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