日清食品グループ(日清食品株式会社)  関さん(入社14年目・マーケティング部 第2グループ マネージャー)【先輩たちのワーク&ライフ】

せき・まさゆき●マーケティング部 第2グループ マネージャー。大阪市立大学大学院工学研究科修了。2003年入社。就職活動時、「研究職の道だけでなく、ほかの可能性も見てみたい」と考え、業種を絞らず、興味を持った会社を見て回った。現社の会社説明会で人事担当者が仕事について語る姿を見て、「なんてアツくて面白そうな会社なんだ!」と感じる。ほかの会社と比べても、働く人たちの仕事への熱気が違うことを実感し、入社を決意。

入社後、食品開発部に配属。スープの開発を担当し、配属2年目には看板商品のカップヌ−ドルに携わる

理系出身ながら、研究職の道を選ばず、「夢中になれる面白い仕事がしたい」と考えて現社に入社した関さん。

入社後の新人研修や製造の現場を学ぶ工場研修を経たのち、食品開発部にて商品開発に携わることに。

「開発チームの編成は、商品ごとではなく、麺・具材・包材・スープなどの各部門に分かれています。僕が配属されたのはスープのチーム。モノ作りに携わり、人を喜ばせるおいしいものを作りたいという気持ちがあったので、すごくうれしかったですね。配属直後、ある袋麺商品の開発案件の担当者となり、先輩に教えてもらいながら仕事を覚えていくことになりました」

関さんのミッションは、「ヘルシーな素材が麺に練り込まれている」という特徴を持つラーメンのみそ・しょうゆ味のスープ開発。商品企画を行うマーケティング担当者から「こんなイメージの商品にしたい」という開発依頼書をもらい、方向性のヒアリングとゴールの設定をしたのち、1カ月間の開発期間でレシピを考えていった。

「スープに使われる素材は1000種もあります。塩や砂糖などの基本調味料だけでなく、みそ味のパウダー素材だけでも何十種もある。社内の商品開発室で、0.1グラム単位で配合の実験をしていきました。過去のレシピの中から、ゴール設定の味わいに近そうなものを探し、参考にしながらアレンジしましたが、使用する麺が違うため、スープの味わいも違ってしまう。『何かが違う』の『何か』がわからず、どう修正していけばいいのか悩みました」

手探り状態の中、先輩からアドバイスをもらったおかげで、意外性のある調味料によって劇的に味わいが変化することを学んだという。

「例えば、ふわっと華やかなみそ味にする場合、果物のオレンジを使うという先輩もいましたね。配合次第でまったく違うスープを作れることに面白さを感じました。ようやく社内でOKが出て、製品として発売された時は、『この商品のスープを自分が作ったんだ』と感慨深かったです」

配属から2年目、関さんは会社の看板商品であるカップヌードルの新商品、キムチ味の開発に携わることになる。

「少し前にキムチ味のスープ開発を経験していたことで、任せてもらえることになりました。それまで手がけてきた商品とは販売数規模のケタが違うため、求められるクオリティーの高さも違う。うれしい半面、大きなプレッシャーを感じました」

そして、実際に開発に入ってみると、以前に手がけたキムチ味の開発プロセスがまったく応用できず、がくぜんとすることに。

「たくさん試行錯誤した経験があったから、キムチ味の配合についてはある程度予測がつくと思っていましたが、それをカップヌードルのスープに合わせるとまったくおいしくなかったんです。開発期間は3カ月。食べられるレベルのものはできても、納得いく味わいには到達できない。期限が近づく中、ゼロからスタートせねばならず、またしても悩みましたね」

「カップヌードルらしさ」とは一体何なのか、独特の世界観を大切にしながら、オリジナリティーのある味にするにはどうすればいいのか。悩みながらも、本格キムチなどの食品からレストランの辛い鍋まで、いろんなものを食べて研究を続けた結果、意外にも「スナック菓子」がヒントになり、突破口を発見できたという。

「揚げてあるフライ麺を使用するため、辛いスナック菓子の調味レシピを応用できるんじゃないかと考えました。スナック菓子に使われる、ある調味料を試してみたところ、キムチ味にぴったりで、なおかつカップヌードルらしい雰囲気も出せた。先輩や上司からも『面白くて、おいしい!』と太鼓判を押してもらい、マーケティング担当者からも味の方向性に一発OKをもらうことができたんです」

味の微調整などを経た3カ月後、いよいよ商品発売へ。テレビでCMが流れ、コンビニに商品が並ぶ様子に感慨もひとしおだった。

「週末の昼時にはコンビニに出かけ、商品の棚の前に待機していました(笑)。2人連れの若者が、『これ食べた?』『うん、おいしかったよ』『じゃあ買ってみる』と会話するシーンを見て、自分の手がけた商品が世に広まる喜びを実感! この経験から、『どんなことにおいても、あきらめずに悩み続けることが大事だ』と学びました。思考のプロセスを柔軟にし、煮詰まったら違うことをしながら考え続ける。現在のマーケティングの仕事にも、その方法論は役立っていますね」

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「どん兵衛」のマーケティング担当者として、新たな商品企画の資料を作成。商品開発チームに向けた企画依頼書を作成したり、自ら商品コピーの原案やPR戦略を考えることも。広告会社や印刷会社に依頼した制作物のチェックなども行う。

入社4年目、マーケティング部で商品企画を担当し、一から十まで商品に携わる。8年目にはインド市場を開拓

入社4年目、マーケティング部に異動し、商品企画に携わることに。コンセプト作りから味やパッケージ・デザインの決定、さらに販売方針や生産計画、広告戦略まで、すべてを取りまとめていく仕事だ。

「大手コンビニ会社と共同開発を行うグループの配属になり、2〜3カ月おきに新商品を提案することに。最初に手がけたのは、当時話題になっていたホワイトカレー(白いカレー)をコンセプトにしたカップラーメンでした」

企画内容を考え、開発部門に依頼を行うと同時に、生産部署には工場のライン工程を確認し、一食あたりの原価も算出してもらった。これをもとに、営業企画の担当者と「どのタイミングでどれくらいの数量を販売するか」という計画を立てていく。

「当社では、リニューアルも含め、年間で約300もの新商品を発売しているので、価格やターゲットが近いほかの商品と競合しない時期を選ぶことも重要。各部門から具体的な数字をもらったら、製造量や販売価格、販売数量の予測を立て、その商品でどのくらいの利益が出るのかを算出します」

ここでようやく、社長や関係部署のトップに向けたプレゼンテーションを行い、企画が通るかどうかが決まるのだ。

「たくさんの関係部署に動いてもらってきたので、ここでNGが出たらみんなの苦労が泡と消える。その責任の重さをひしひしと感じ、多くの人の力があって商品が成り立つことを強く実感しました。OKをもらえた瞬間、『やった!』と思いましたね」

商品化に向かう過程では、デザイン担当とパッケージ・デザインを考えたり、資材を扱う部署に必要なものと手配してほしい期間を伝えたり、生産部署に依頼して生産計画を組んでもらったり、あらゆる部署と連携を取る。

「最も苦労したのはパッケージ・デザイン。初めての経験なので、『このデザインは違う』と思ってもどうすればいいのかわからなくて。先輩に教えてもらいながら『何を伝えたいか、どう思ってほしいのか、商品の内容が伝わっているか』を考え、どんな写真を撮影するのか、どんな色や書体を使うのかまで煮詰めていきました」

さらに、営業部に向けて、商品の企画意図や背景、特徴などをまとめた概略資料も作成。営業企画の担当者とは、プロモーションの時期や仕掛けを一緒に考えていった。

「企画立案から発売まで6カ月かかりましたね。開発のみを手がけていたころは、携わるのは商品の一部分でしたから『自分が作った』という感覚は薄かった。しかし、マーケティングの仕事は1つの商品に最初から最後まで責任を持つため、自分の思った通りのものを作り上げる大きな達成感がありましたね! こののち、チキンラーメンや、カップヌードルなどの商品企画を手がけ、チキンラーメンの50周年記念商品も企画。さまざまな商品に携わり、経験を積んでいきました」

そして入社8年目、インド日清に異動が決まり、現地のマーケティングと開発の責任者を任されることになる。

「インドは市場が小さく、新商品が出るのも1年に1回。日本とは規模も違いますし、流通・販売の経路も確立されていません。どう売ってもらうのか、実際にちゃんと商品を並べてもらえるのかまで、すべて自分で働きかけないと動いてもらえないという状況でした」

現地のブランドであるトップラーメンと、カップヌードルの商品企画を手がけることになるが、文化や味覚の違いに苦戦することに。

「『もっとスパイシーに』『味が薄い』という意見をもらっても、感覚そのものが日本人と違うわけです。そこで、アンケートを取ろうと考えました。インドでは、袋麺やカップ麺を買うのは母親で、子どもに食べさせるケースが多いので、現地の小学校の子どもたちに実食してもらい、意見を集めていくことに。これを参考に試行錯誤を続け、商品をリニューアルしていきましたが、なかなかヒットしませんでしたね。ヒントも何もない中、『日清は、即席麺を世に誕生させた会社! その知見を生かせば、できることがきっとある』と自分を奮い立たせていました」

現地で奮闘を続けた5年目、インド市場におけるカップヌードルの初リニューアルを任され、シンガポール日清と日本のチームと一緒に開発を進めることになる。

「まずは、インド人の味覚で味をジャッジできる体制を作ることに。現地のフードコンサルタントやシェフ経験者を採用し、5つ星ホテルの料理長とも提携して開発組織を強化しました。さらに、容器のデザイン性をアップするために、プラスチックよりも発色のいい紙容器を使用することにし、工場に新たな機械まで導入しましたね」

都市部の各地を巡り、大学生にアンケートを取って好まれる味をリサーチし、6つの味の候補を考えたのち、再度アンケートを取って4つの味に絞り込んで発売へ。企画スタートから発売までに1年半かかったという。

「発売後、店で商品を購入する人々の姿を見た時、あきらめずに頑張って良かったなとしみじみ。現地で積み重ねてきた経験値がようやく生きたと実感した瞬間でしたね」

入社12年目、関さんは日本に戻り、再びマーケティング部に配属され、「どん兵衛」の担当となる。

「この仕事では、おいしい商品を開発するのは当然。しかし、どんなにおいしくても売れるとは限りません。手に取ってもらうためには、秀逸な商品名や商品コピーの考案からCMや販促プロモーションの展開まで、いろんな仕掛けが必要です。販売数量やお客さまの声、Web上の反応などでその効果を検証していますが、いい意味、悪い意味を含め、予想とは反響が異なることもしばしば。日夜、ああでもない、こうでもないと考えていますが、『お客さまに喜んでもらえる』というゴールに向かう大きなやりがいを感じています」

現在、2016年の「どん兵衛誕生40周年」に向け、節目の年を盛り上げる企画を進めている真っ最中。目標は「どん兵衛の魅力を世に伝えていくこと」と笑顔で語ってくれた。

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社内の宣伝部署と打ち合わせ。新商品の企画について、今後の広告PR展開を話し合う。このほかにも、商品開発部署、営業部署、資材担当部署、生産部署、広報部署など、社内の関係各所と連携している。

関さんのキャリアステップ

STEP1 2003年4月 新人研修時代(入社1年目)

入社後、会社の事業概要やビジネスマナーを学ぶ合宿研修を受けたのち、1カ月の営業研修へ。営業の先輩に同行し、一日の仕事の流れを学んだ。その後、約10カ月間の工場研修を受ける。カップヌードルを製造する芝工場にて、製造の現場で働きながらモノを作る工程を理解する。材料となる砂糖の袋4トン分を運ぶ作業から、製造ラインで材料のブレンドを行う工程、麺を揚げる工程、商品の包装を行う工程など、最初から最後まですべてを経験。「オートメーション化された工場で製造する様子は、入社前の想像を超えていましたね。100円ちょっとで買える商品が、こんなにもたくさんの大きな機械を使って作られているのかと。また、現場の人たちが毎日のようにでき上がったものをチェックし、麺の食感から具材のタマゴの数まで細かくチェックしている姿を見て、『学生時代には何も考えずに食べていたけれど、こんなにもしっかりと管理しているのか』とビックリ。この会社のモノ作りに取り組む真摯な姿勢をあらためて認識できました」。

STEP2 2004年 開発部門でスープ開発に携わる(入社2年目)

中央研究所(当時は滋賀県、現在は東京都に所在)の食品開発部に配属され、スープの開発を担当。約2年間で何十件ものスープ開発を手がけた。最初に手がけた「ヘルシーな素材を練り込んだ麺を使ったカップ麺」の企画では、スープの配合レシピが決まったのちに、思わぬ問題が発生したという。「麺に練り込まれていた『ヘルシーな素材』の味がスープに溶け出し、数分後に酸味の強い味に変わってしまったんです。食べ終わるまでの数分間は持つような味の設計にしなくてはならず、悩みました。最終的には、先輩のアドバイスによって、アルカリ性の高い素材を配合することによって酸味を中和することに成功しました!」。こののち、2006年に東京本社のマーケティング部に異動。「2008年のチキンラーメン誕生50周年の記念として、詰め替えタイプのチキンラーメンを企画し、電子レンジに対応するガラス容器とセットで販売しました」。

STEP3 2010年 インド市場の開拓を担当し、現地に駐在(入社8年目)

インド日清に配属され、市場開拓の責任者として営業からマーケティング、マネジメントなど、すべてに携わった。現地と日本の食文化の違いだけでなく、企業風土の違いにも悩まされた。「開発に必要な調味料などの材料を集めるだけでも一苦労でした。日本なら材料を扱う会社に連絡すればすぐにサンプルをもらえますが、インドではすべて有償なので気軽に試すようなことができない。また、必要な分量を発注しても、1カ月たっても持ってきてくれないことがザラにある。開発そのものは、シンガポールにいる日本人開発チームがサポートしてくれたので、どこの国にどんな材料があるのかを教えてもらいながら、代替えできる材料を使って開発を進めていきましたね。また、現地の小学校で実食アンケートを取る際には、現地の営業担当者を通じて学校サイドにアポを取ってもらい、当日には袋麺や調理器具を持参して自ら調理したものを食べてもらいました。日本だったら、授業を中断してアンケート調査に応じてもらうことなんてあり得ませんよね。こうしたところでも文化・風土がずいぶん違うものだと実感しました(笑)」。

STEP4 2014年9月 「どん兵衛」のマーケティング担当として商品企画を行う(入社12年目)

日本に戻り、東京本社のマーケティング部の配属に。「どん兵衛」の担当者となり、これまで、きつねうどん、天ぷらそばなどの商品における七味のリニューアル、かき揚げうどんのリニューアルなどを手がけている。

ある日のスケジュール

8:30 出社。メールチェックと返信を行う。
9:30 生産状況と販売状況を確認するため、製造部署や営業部署と打ち合わせを行う。
11:30 関係各所からの問い合わせに対応しながら企画資料を作成。
14:00 マーケティングチームのメンバーと昼食。デスクで簡単に済ませることも多いが、最近人気のラーメン店などに出かけることも。
15:00 販促POPのデザインなど、制作物をチェック。関係各所からの問い合わせ対応も続ける。
17:00 新商品の企画についてアイデアを練る。
19:30 資料を作成したのち、退社。マーケティング部や他部署メンバーと一緒に飲みに行くこともしばしば。

プライベート

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食べることが大好きで、好き嫌いなくいろんなものにトライすることを楽しんでいる。写真は、2015年に同僚とラーメンを食べに出かけた時のもの。「食品会社で働いているからなのか、食べるのが好きだから食品会社で働いているのか、いずれにしても食べることは大好き。日本でも、どこの国に行っても、何でも果敢にチャレンジします。ただ、蛇や虫はまだ無理ですね(笑)」。

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ストレス発散とおいしいもの探訪を兼ねて、国内外問わず、さまざまな地域に旅行に出かけている。写真は2014年にフィンランドで撮影。「もともと食べることが好きなので、いろんな国や地域の食べ物に興味がありますね。特にインド駐在時は、しょっちゅう旅行に出かけていました」。

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食べることが好きなため、体調管理や体重調整もしっかりと意識し、体を動かすことも心がけている。写真は2012年にインドと日本の文化交流の駅伝大会に参加した時のもの。「自然と体重が増えやすくなってしまうので、ランニングやゴルフなどで定期的に運動するように気をつけています」。

取材・文/上野真理子 撮影/鈴木慶子

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