ジェイアール東日本企画 豊田さん(入社9年目・第五営業局第二部)【先輩たちのワーク&ライフ】

とよだ・かずき●第五営業局第二部。早稲田大学社会科学部卒業。2008年入社。就職活動では、「さまざまな業界の人とかかわる仕事で、多くの人から頼りにされる存在になりたい」と考える。広告会社や印刷会社など、メディア制作に携わる企業を回る中、現社に出合った。先輩訪問を通じて、「多様なタイプの社員が働く会社だ」と感じて興味を持つ。建前ではなく、自分の経験談を話してくれる先輩社員たちの飾らない姿勢に魅力を感じて入社を決意。

入社後、JR東日本の広告・販促を担当する部署に配属。配属5カ月目には観光キャンペーンのポスターを制作

豊田さんが広告会社に入社したのは、「いろんな業界の人とかかわる仕事で、頼りにされる存在へと成長していきたい」と考えたからだという。
入社後の新人研修ののち、配属されたのは、JR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)の広告宣伝・販売促進に携わるJR局だった。豊田さんはSuica部門の案件を手がける部署で仕事を学んでいくことに。
「トレーナーの先輩がつきっきりで指導してくれました。最初に任されたのは、JR東日本のビューカードとSuicaが一体になったクレジットカードの『ご利用ガイド』の制作でした。掲載する文章はある程度決まっていましたから、読みやすいページ構成を考え、間違いのない情報を伝えることがミッション。もしも間違いがあればすべて刷り直しになり、会社に損害を与えてしまうので、一字一句チェックしていかねばなりませんでした」

漢字や平仮名の表記は統一されているか、同じことを表現する場合に異なる名詞を使っていないか、金額や送り仮名の表記に間違いはないかなど、非常に細かい部分まで確認していった。
「目がチカチカするほど細かい作業で、正直、『もうイヤだ』と思ったことも(笑)。でも、最初にこの経験をしたおかげで、細かい点もおろそかにせず、しっかりチェックしていくクセをつけることができました」

この案件を通じて、お客さまであるJR東日本との交渉から、実制作を行うデザイン会社とのやりとり、見積書や制作進行スケジュールの作成、印刷会社への入稿作業まで、仕事の流れをひと通りつかむことができたという。
「特に大変だったのは見積書の作成。制作費用一式としてまとまった数字を出せばいいと思っていましたが、実際には細かい金額までしっかり算出し、どう計算したかという根拠まで提出することが必要でした。コピー費や企画費など、明確な料金設定がないものでも、お客さまから『これは正当な数字なのか』と精査されるので、似たような案件を探しては細かい数字を調べ、『前例ではこれだけかかった』と説明していくことに。約3カ月後の制作期間が終了したのちには、『やっと終わった!』とホッとしましたね」

入社1年目の秋には、観光誘致施策とのタイアップキャンペーンにおけるポスター制作を任され、お客さまとやりとりする窓口となり、制作チームをまとめていくことに。
「定期的にいろんな地域の観光誘致施策とのタイアップキャンペーンを行っており、僕はポスターの担当者となりました。キャンペーンの内容は、北陸や東北、長野、横浜など、その地域の食材や旅行などが抽選で当たるというもの。まずはお客さまから大まかな要望を聞き、社内外のデザイナーやコピーライターなどと一緒に、どういうものにするのかを考えていきました」

とはいえ、豊田さんはまだ入社1年目。制作チームのメンバーは経験値も年齢も上のベテランばかりのため、当初は自分の意見をうまく伝えられずに悩んだという。
「同じ部署の先輩がいろいろとフォローしてくれましたが、自分が主担当となるのは初めてのこと。新人として気をつかうところもありましたし、自分の考えにも自信が持てなかった。制作チームが提案してくるものに対し、『僕はこう思う』と伝えても、『それは違う』と言われれば、そうなのかなと。そのうち、『自分の意見がないままやっていても、このチームにいる意味がない』と思い、この状況を打破しようと考えました」

そこで、打ち合わせの前にしっかり準備することを決意。キャンペーンの対象地域について事前に雑誌やインターネットで調べることはもちろん、実際に現地を訪ねることもした。自分なりに準備をしたうえで、打ち合わせで何を話すかまで考えてから臨んだという。
「経験値は足りなくても、『ここだけは知っているぞ!』と自信を持って言えることがあれば、説得力は増すもの。その結果、みんな僕の意見に耳を傾けてくれるようになり、打ち合わせでもドンドン発言していきました。お客さまの窓口となり、みんなの意見を集約して、課題を解決する方法を考える。回を重ねるうちに、ようやく自分の役割を果たせるようになったと感じます。この経験から、下調べをしっかりしてから企画に臨むことを大切にするようになりました」

約3カ月の制作期間が終了し、駅構内や電車の中で完成したポスターを見た時、大きなやりがいを実感したという。
「普通に生活する中でポスターを見ることができ、自分の手がけたものが世に出る喜びを実感できました。このキャンペーンは定期的に行われたため、その後も同じチームで取り組み続けることに。企画の対象となる地域の風景写真を入れたり、イラストを使ったり、その地域ならではのイメージをより伝えられるよう、さらなる改善提案につなげていきました」

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企画の提案資料を作成したのち、お客さまとの打ち合わせへ出かける。大規模な企画の場合は、企画書のひな形を豊田さんが作成し、具体的な施策内容は関係各所の担当者が作成する。また、アニメの版権を持つ会社や原作の権利を持つ出版社も頻繁に訪問。映画などに出演するタレントが所属する芸能事務所などともこまめに電話でやりとりをしている。

入社3年目、お客さまと信頼関係を築く喜びを実感。現在は、大手コンビ二会社の店頭キャンペーンなどを提案

入社2年目、一緒に動いていた先輩が産休に入ることになり、豊田さんは先輩の仕事も担当することになる。
「頼れる人がいなくなることに不安を感じる一方、モチベーションも高まりました。それまで僕が担当している企画でも、お客さまはまず先輩に相談していたので、そこに悔しさも感じていたんです。全面的に相談を受けていく立場となり、『よし、頼りにしてもらえる存在になろう!』と気合が入りましたね」

しかし、自分1人で仕事を回すようになった直後、「信頼関係を築くことの大切さ」を実感することに。
「通常、お客さまから企画趣旨を説明するオリエンテーションを受けてから動きますが、先輩はお客さまと仲が良かったので、もっと前の段階から話を聞いていたんですよ。そのため、前倒しで準備を進めることができ、制作チームにも早めに動いてもらえた。僕の場合は、オリエンテーションがあってから動くので準備期間も短い。まだまだお客さまに信頼されていないことを痛感し、もっと仲良くなって深い関係性を築き上げようと思いました」

そこからは、こまめに電話して状況を聞き、お客さま先での打ち合わせの後には関係性のある他部署にも立ち寄り、企画や自分のアイデアについて話す努力を続けた。
「プライベートでも飲みに出かけ、親しくお付き合いを続けた結果、入社3年目には『こういうことをやりたい』という考えを早い段階で話してもらえるようになりました。個々の意見を話しやすい環境を作ってこそ、建前ではない課題や悩みを相談してもらえるんですよね。また、一緒に企画に取り組むクリエーティブチームに対しても、コミュニケーションを頻繁に取るようにした結果、いろんなアイデアが出てくるようになったんです。自分が中心に立ち、みんなの意見やアイデアをまとめていけるようになり、この仕事の楽しさを強く実感しました」

また、この時期、JR東日本からビューカード部門が分社化したことにより、豊田さんは会社のロゴデザイン制作から、今後のサービスの方向性を話し合う会議にまで携わることになった。
「お客さまやシンクタンクのコンサルタントで編成されたチームに入り、サービスやカードそのものの方向性について話し合っていきました。カードの機能や仕様を考えたうえで新しい社内システムの導入を検討するなど、広告宣伝以外の知識が広がりましたね。また、会社の設立記念パーティーを行うにあたって、その歴史を表現するVTRを制作したり、関係性の深い女優さんを招いて登壇してもらったり、いろんな企画を手がけたんです。当日、パーティーの進行をお手伝いする中、『会社そのもののPRに携わることができたんだ!』と大きな達成感を得ましたね」

入社5年目を迎えた2012年、豊田さんは現部署である第五営業局の配属となる。JRのグループ会社ではなく、大手メーカーや流通会社など、一般のお客さまを担当する部署だ。
「僕が担当を任されたのは、大手コンビニ会社とメーカー。まずは大手コンビニの店頭で行われる販促キャンペーンの運営を手がけることになりました」

人気マンガの実写版映画の公開に合わせたタイアップ形式のキャンペーンで、特定の商品を購入してポイントをためると、非売品のグッズが当たるという内容だ。
「応募・抽選の仕組み作りやキャンペーン用のWebサイト制作などから、映画の前売り券の販促キャンペーン実施、テレビCMの制作なども手がけることに。また、景品の製造や管理も担当したので、実際に製造を依頼する予定の中国の工場まで視察に行き、不備のない環境で製造が行われているかどうかを確認することも必要でした。広告会社の仕事でも、お客さまのためにここまでやるのかと正直驚きました!」

豊田さんは担当するメーカーの交通広告などを手がける一方、毎月、この大手コンビニ会社に向けた販売促進の提案を行うことに。競合の広告会社とのコンペ形式であるうえ、6カ月先に行われるキャンペーンを提案しなくてはならないという。
「半年後の世の中の動きを予測して複数の企画を提案しなくてはならないので、今でもネタ探しに苦労しています。配属1カ月後には提案を開始しましたが、なかなか通らずに焦りましたね。過去のキャンペーン内容を調べたり、コンビニ業界の専門誌を読んだり、知識を積み重ねながら提案を続け、1年後にようやく初のキャンペーン実施にこぎ着けました」

アニメや映画などの人気コンテンツに絡めた店頭キャンペーンを仕掛けることが多いため、インターネットや雑誌などで常に情報をチェックし、コンテンツの版権を持っている会社にも頻繁に顔を出して情報交換をしている。
「また、キャンペーンの景品も提案のポイントになるため、世の中で流行しているものを応用したり、異業種の友人・知人と積極的に交流してヒントをもらったりしています。自分が面白いと感じたこと、やりたいと思ったことを、いかにキャンペーンに落とし込めるかを考えていく瞬間に一番のやりがいを感じますね」

現部署に配属され、4年目を迎えた現在までに、子ども向けの人気アニメと連動した店頭キャンペーンや、限定オリジナル商品を作って地域限定で行うキャンペーンなど、さまざまな提案を実現してきた。
「ほかの広告会社では、メディア部門やプロモーション部門など、それぞれに営業の担当者がいますが、うちの会社では一社をまるごと担当できます。そのため、いろんな部署の担当者さんから相談をしてもらえることがうれしいですね。この会社では、メディア制作だけでなく、一緒に商品を作ることまでできる。発想次第で何でもできるという面白さがあります」

今後は「自分のやりたい分野であるスポーツビジネスに携わりたい」と話す豊田さん。
「自分で広げていけば、きっと何だってできる! 将来的には、マイナーなスポーツを世の中に浸透させていく仕事をやってみたいですね。そのためにも、パートナーとなってもらえる企業を増やし、将来につながる関係性を広げていこうと思います」

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チームの後輩と企画についてアイデア出しを行う。各自の企画について、みんなで協力してネタ出しを行っているという。企画の方向性が見えたら、社内のプロモーション部門やコンテンツビジネス局の担当者など、関係各所のメンバーが集まって、それぞれの意見やアイデアを話し合う。

豊田さんのキャリアステップ

STEP1 2008年4月 新人研修時代(入社1年目)

入社後、同期17名と一緒に1カ月の新人研修を受けた。会社の事業概要やビジネスマナー、パワーポイントやエクセルなどの使い方を学ぶ座学研修とともに、チームに分かれて新しい広告企画を考えるグループワークも行った。また、日本広告業協会による合同新人研修にも参加し、ほかの広告会社の同期とも親交を深めることができたという。この研修期間の間に、テレビ局やラジオ局、交通広告が掲出されている場所、印刷所の入稿から校了までの工程など、自分たちが今後かかわる関係各所も見学。「JR東日本のグループ会社なので、鉄道博物館も見学しました。同期とは内定時代から月に一度は飲みに出かけたりしていたので、研修期間もすごく楽しかったですね。また、JR東日本やルミネなど、異業界のグループ会社の同期と研修で交流を深めることができて面白かったです。会社ごとにカラーが違うものなんだなと実感しました」。

STEP2 2008年 JR東日本を担当する部署で広告・販促物の制作を経験(入社1年目)

JR局第四部に配属。Suicaに関連する案件を担当し、先輩の下でSuicaの機能がついたビューカードにおける新規入会促進や利用促進の企画に携わる。配属5カ月目以降は、観光誘致施策とのタイアップキャンペーンの主担当となり、ポスター制作を手がけていった。「通常、デザインや掲載する文言が固まったのち、実際の色味をチェックする色校を出し、確認してから校了という流れなんですが、色校の段階でもお客さまから『追加で注意書きの文章を載せたい』という要望が何度もあり、細かに対応していきました。僕自身は、見やすさを重視した方がいいと考えていましたが、ポスターを見た人に誤った情報を伝えないためにも、『写真はイメージです』『場合によって商品を変更する可能性があります』などの注意書きを入れ、細心の注意を払うことも必要なのだと学びました」。

STEP3 2011年 株式会社ビューカードの分社化に伴い、社名ロゴを制作(入社4年目)

それまで担当していたビューカード部門の分社化に伴い、社名ロゴや封筒のデザインまで制作を担当。社名ロゴについては以前のものを継承する部分もあったため、ビューカード立ち上げの時から携わっているお客さま先の担当者や、実際にデザインを手がけたデザイナーに会いに行き、当時の状況について話を聞くことに。「企業理念を踏まえつつ、どんなロゴにしていくべきかをデザイナーと話し合っていきました。会社の看板としてずっと使われ続けていくロゴデザインのため、バランス調整のために1ミリほど文字と文字の間隔をずらしたり、細部にまでこだわり抜いてようやくデザインが完成しました」。

STEP4 2014年9月 大手コンビ二会社の販促企画を担当(入社7年目)

第五営業局第二部の配属となり、大手コンビ二会社を担当。また、医薬品メーカーや大手精密機器メーカーなども担当し、交通広告やイベントなどの広告宣伝、販促企画に携わる。配属当初に担当した大手コンビニ会社の店頭キャンペーンの運営では、景品の製作も担当。何百万個という大量の景品を製造しなくてはならないが、そのうち、わずか数個でも不具合があればすべて回収しなくてはならないため、豊田さんは製造を依頼する前に中国の現地工場を訪問し、現場の環境に問題がないことをその目で確認したという。
「最寄りの空港から丸一日かかるような場所にある中国の工場を訪問しました(笑)。現場の環境チェックは細部にわたり、例えば、縫製工場なら『縫い針をどこに保管しているか』まで確認し、すべてお客さまに報告してからOKを得て、正式に発注をかけなければなりませんでした。広告会社に対し、CMやポスター制作などのクリエーティブな仕事というイメージを抱いていましたが、『企画提案の仕事でここまでやるのか』と正直驚きましたね。キャンペーンが実施され、近所のコンビニで自分が携わった景品を手に喜ぶ人たちの顔を見て、大規模な販売促進に携わるやりがいを実感しました!」。

ある日のスケジュール

6:00 出社前の時間を活用し、友人とテニスを楽しむ。
9:30 出社。メールチェックと、本日やるべきことの整理を行う。
10:00 社内にて営業メンバー、スタッフを交えて打ち合わせ。提案に向けてアイデアを出し合う。
12:00 外出。訪問予定のお客さま先の近くでランチを取る。
13:30 お客さまと打ち合わせ。今後の企画実施に向けた提案を行い、詳細まで決定していく。
16:00 キャンペーン企画に関係するアニメの版権を持つ会社と打ち合わせ。企画内容をすり合わせる。
18:00 帰社。企画書、見積書などを作成。
20:30 メールチェック後、退社。学生時代の仲間とフットサルを楽しむ。

プライベート

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社内のキャンプ部に所属し、アウトドアのイベントを楽しんでいる。写真は2015年夏に撮影したもの。「キャンプ部のメンバーと一緒に、部活として群馬県の嬬恋村でキャンプとバーベキューを楽しみました。アウトドアの楽しさにハマっています」。

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冬場の週末には、スノーボードへ。写真は2015年12月に会社の仲間と出かけた時のもの。「高校時代から始めた趣味ですが、会社のメンバーや大学時代の友人、テニス仲間など、いろんな人とゲレンデに出かけています。ちなみに2014年は9回行きました(笑)」。

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体を動かすのが大好きで、いろんなスポーツにチャレンジ。写真は、テニスとスカッシュをかけ合わせたようなスペインで人気のスポーツ「パデル」を楽しんでいるところ。「国内には数カ所しか施設がないほどマイナーです(笑)。2015年の秋に、テニス仲間と一緒に出かけました。バブルサッカーやスラッグライン、トランポリン、浮き球、ウェイクボードなど、いろんなスポーツを楽しんでいます」。

取材・文/上野真理子 撮影/刑部友康

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