成田国際空港株式会社

えんどう・あさみ●営業部門エアライン営業部エアライン営業グループ主席。早稲田大学第一文学部総合人文学科卒業。2009年入社。旅行が好きで、「旅のプロセスにかかわる仕事がしたい」と考える。旅行会社やホテル、航空会社などの観光業界を中心に就職活動を行う中、旅の出発点で帰着点でもあり、出会いや別れといったさまざまなドラマがある”空港”にかかわる仕事に興味を持つ。現社に入社した決め手は、国際的な玄関口である成田国際空港を“経営する”ということに可能性を感じたため。「ほかの会社ではできない、観光への新しい携わり方や、旅における空間演出ができる」と考えた。

入社1年目、初配属は広報室。3年目に旅客ターミナル部へ異動し、第2ターミナルの空港施設管理・改修を担当

もともと旅行が大好きだった遠藤さん。その出発点と帰着点になる空港なら、旅のプロセスをより素晴らしいものに変えることができると考え、現社に入社した。

 

入社後、1カ月の研修を受けたのち、広報室に配属されることに。

「新人研修で業務内容を概観する中で、もっとより深く各部署の関係性や業務内容を知りたいと思っていた時期だったので、社内全体の最新情報を集約・発信していく広報の仕事に携われることになり、うれしかったです。配属直後から空港周辺の地域の方々に向けたフリーペーパーの主担当を任され、先輩のサポートを受けながら仕事を学んでいくことになりました」

 

遠藤さんが任されたのは、年に4回発行される『くうこうだより』。8ページの紙面は、空港の最新情報や仕事・店舗紹介などで構成されていて、各コーナーで具体的に何を取り上げるかを一から考えていったという。

「地域と共生する活動の一環として、地域の方々に空港への親近感を持っていただくための重要な媒体です。例えば、子どもたちが将来空港の仕事に興味を持つきっかけになったらいいなと、航空会社の整備業務に携わる方や空港内に常駐する消防士の仕事などを取り上げていきました。この時に、読者目線で紙面を作ることの大変さとやりがいを感じました」

 

取材のアポ取りから始まり、外部の制作会社と一緒に取材を行い、でき上がった紙面を校正・校了(印刷ができる状態のこと)するところまでをすべて担当。最初は、取材日の調整がうまくいかなかったり、何度も原稿の修正が入ったり、想定通りのスケジュールで進行できず焦ることも多かった。

「苦戦しながらも、毎号発行するたびに創意工夫を重ねていくうち、柔軟性を持って進めることができるようになりました。成田空港には、空港の安全性と快適性を維持するためのさまざまな仕事があり、4万人もの方々が空港を支えてくださっています。それぞれの仕事におけるやりがい、背景にある苦労などを取材する中、『空港の仕事とは、大きな意義と深みがあるものなんだ』と実感できました」

 

また、この仕事と並行し、毎月発行する社内報や、年に一度発行する年報誌の制作、さらにはお客さまや地域の住民に配布する自社カレンダーの制作にも携わった。

「入社2年目の時、カレンダーを一般向けに販売しようという動きがあり、先輩と一緒に販路の開拓を手がけることになりました。取り扱っていただきたい書店に直接コンタクトを取ったり、ネット販売の経路も探したりしましたが、ゼロからのスタートのため、かなり苦戦しましたね。この時、『カレンダーが欲しいというお客さまのニーズに応えよう』と頑張る先輩の姿に感銘を受けました。最終的には、都内の大型書店や空港の書店、ネットでの販売を実現できましたが、この経験のおかげで、課せられたミッションを着実に行うだけでなく、お客さまのために必要なことを自ら考えて行うという考え方が、自分の中に根付いたと感じます」

 

入社3年目、遠藤さんは旅客ターミナル部に異動し、ターミナル施設内の環境改善を手がけていくことに。

「委託会社と連携し、清掃やカート回収などの館内美化をはじめとした施設管理と、改修を担当することになりました。案内表示をもっとわかりやすくしてほしいというお声を頂いたり、トイレが故障したり、空港では日々さまざまなことが発生します。これらに対処するため、空港内を駆け回って現場の状況を把握・判断しては関連部署と連絡を取り合い、一つひとつ解決していきました。毎日異なることが起きるので、空港はまさに“生き物”だと思いました」

 

一方、こうした日々の対応と並行しながら、担当として初めて第2ターミナルの空間演出における提案と工事の調整も手がけることに。

「第2ターミナルに新しく設置されることになった、演奏会やイベント用ステージの新規設置に携わりました。前任者から業務を引き継いで調整を進める中、『施設に愛称が必要だ』という部内の声があり、ステージの名前を公募することになりましたが、なかなかいいものがなく、部内のメンバーで100以上もの名前を考えました。この先何十年も使用する名前のため、『お客さまに愛着を持って覚えていただけるような名前にしたい』と、毎日10個は名前を考え続けました」

 

毎日、上司に名前の候補を見せては、「もっと違うイメージで」「キラリと光るものが欲しい」と言われ続け、決定打が見つからない日々だったが、最後にようやく「SKYRIUM(スカイリウム)」という名前が採用された。

「『空の舞台』という意味を持たせたこの名前は、会社帰りの電車の中で思いついたもの。業務で空港の施設にかかわることはできても、名付け親にまでなれる経験なんて、なかなかないですよね。この出来事のおかげで、空港への愛着がさらに深まりました」

 

遠藤さんはこののち、トイレや到着ロビーなどの施設改修を複数手がけていくが、その集大成となったのが、配属4年目に手がけた「キッズパーク」のリニューアルだ。

「お子さまが遊ぶ施設の改修プロジェクトでした。これまでお客さまから寄せられたお声を踏まえ、ただのリニューアルではなく、意義あるものにしたいと考えましたが、一から予算を確保する必要がありました。そこで、『家族に優しい空港として成田空港が新たな魅力を発信するためにも、この改修は必要なんです』と関係部署に説明し、最終的には必要な予算を確保することができました」

 

実際に工事を進めるにあたっては、技術系の担当でもあり子育て中でもあった女性の先輩のサポートが大きく、改修をより良い方向につなげていくことができた。知り合いのママたちから欲しい機能についての声を集め、それらの意見を図面に落とし込むことを何度も繰り返し、リニューアル案がついに完成。また、複数の部署にまたがるプロジェクトであることから、一体的なコンセプトを持たせることで、空間演出がより良いものになると考え、部署を超えた連携がスムーズにできるよう、方向性や情報を随時共有することを心がけた。

「お子さまが遊びに夢中になれて、かつ親御さんも近くで見守ることができるように、壁を低くして遊びのスペースの外側に椅子を配置したり、離れた場所にあった授乳室を同じ空間の中に作ったり、トイレを子ども用にかわいらしくデコレーションしたり。親子が出発前の時間を快適に楽しく過ごせるように、さまざまなアイデアを盛り込むことができました。予算がないからとあきらめることなく、どれだけお客さまや自分の思いを込められるかが大事だと強く実感した出来事です。また、部署を超えた連携の難しさと大切さを学びました」

 

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国内就航都市のプロモーション企画について検討。プロモーションイベントに必要なチラシの作成や校正なども自ら手がけている。また、地方出張に出かけた際には、航空会社の担当者や自治体と話し合ったことを報告書にまとめ、次のプロモーションの参考にしている。

 

入社5年目、韓国・仁川国際空港公社に派遣。現在、航空会社の就航サポート、需要喚起のプロモーションを担当

入社5年目、遠藤さんは自らの希望で、韓国・仁川国際空港公社へ派遣されることに。

「前部署でターミナルの環境改善に携わるうち、『世界のさまざまな空港がプロとしてどんな仕事をしているのか』という興味が芽生えました。中でも、アジアの中で急成長していた仁川空港をこの目で実際に見たいと考えました」

 

現地では、数カ月ごとに複数部署をローテーションしながら、仁川空港や社内で起きる課題への対応策を学んでいった。また、現部署の業務と類似した部署を経験して、その後の仕事に役立てることができているという。

「航空会社の誘致やサポートを手がける部署です。仁川空港では、空港利用客数を増やすためにどうしていくか、航空会社と意見交換を行いながら強い関係性を構築していました。航空会社の課題に真摯に向き合うことで、空港全体を一緒に盛り上げていくという姿勢に感銘を受けましたし、今後の成田空港の発展にあたって大きな課題だと感じました。また、仁川空港も成田空港と同様に悩みながら一つひとつの課題に向き合っていることがわかり、共感する部分が多かったです。人事の部署では、社員のモチベーションを上げるためにどんな教育を行っているのかを見ることができましたし、ターミナルを管理する部署では、航空会社をはじめとした、空港従業員との関係性を良好に保ちながら運用していることが伝わってきました。さまざまな関係者をオーケストラのようにまとめ、空港全体としてより大きな魅力を発信していく。そうした広い視点を持つことが大事なのだと肌で感じることができました」

 

1年間の派遣を経たのち、遠藤さんは現部署であるエアライン営業部に配属された。

「新たな航空会社の誘致や、就航までのサポート、就航後の利用促進のためのプロモーションを担当しています。成田空港が『選ばれる空港』であり続けるため、また、航空収入を安定させてお客さまへのサービス提供レベルをさらに高めるための、重要なカギを握る仕事だと考えています」

 

就航手続きを進めていく際には、会社の代表として、空港設備や各部署の業務内容を把握し、航空会社に接する必要がある。

「例えば、航空会社が就航する場合には、チェックインカウンターや搭乗ゲートなどの施設を利用するため、他社の利用状況も確認した上で、全体調整をすることが必要になります。ほかにも、『就航日に記念式典を行いたい』などの要望があれば、実施できるように関係各所との調整も行っています。就航日を無事迎えられた時は、いつもホッとします」

 

一方、各社との共同プロモーション実施にあたっては、企画立案のほか、必要に応じてポスターやパンフレット、チラシなどのPRツール制作も手がける。

「PRツールの制作は、広報室での経験が役立っているなと感じます。また、航空会社や就航都市と一緒に各路線を広め盛り上げていくことができる今の仕事に、大きなやりがいと可能性を感じています。航空会社は、日本だけでなく、世界中の航空会社とかかわりますし、近年、LCC(格安航空会社・ローコストキャリア)の会社との連携も増えています。それぞれ就航状況もPRしたいお客さまの層も違うので、それを理解した上で企画することが重要ですが、知識がまだまだ足りないため勉強を続ける日々です」

 

利用促進を企画・提案・実施する際には、その地域まで出張することも多く、現地の担当者とやりとりをしながら観光需要の促進を進めているそうだ。そんな遠藤さんの今後の目標は、「日本の魅力を発信していくこと」だという。

「仁川空港に派遣された時、日本を外側から見て、『日本は、北から南までさまざまな特徴があり、魅力がたくさんある国だ』と強く感じました。海外から訪れるお客さまだけではなく、日本のお客さまにも『日本って、いい国だね』と日本の魅力を再発見していただけたらいいなと考えています。そうすることは、日本経済の発展にもつながるはず。今後も自分の目でさまざまな地域を見て話を聞いて、どんなアプローチで新たな旅の提案や人の流れを作れるか、関係者の方々と一緒に考え盛り上げていきたいです」

 

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航空会社への誘致を行う営業担当者から、どんなサポートを提案できるか相談を受ける。その会社の状況や要望を聞きながら、過去に実施して効果のあった企画例などを話し、提案の方向性を一緒に考えている。

 

遠藤さんのキャリアステップ

STEP1 2009年4月 新人研修時代(入社1年目)

入社後、ビジネスマナーを学ぶ2泊3日の合宿研修をはじめ、1カ月間の新人研修を受ける。各々の部署がどのような仕事をしているのか、現場の先輩社員から話を聞く座学研修と並行し、ターミナルや滑走路などの施設見学も経験。「就職活動時は、イメージがしやすいターミナル施設や店舗における仕事しかほとんど知りませんでしたが、実際にはさまざまな仕事がありましたし、各部署がどのようにかかわっているかを知ることができました。おかげで、社内の仕事の全体像がつかめたと思います。また、地域の方々の協力や理解を得るため、これまでどのような活動を先輩方がしてきたのかを知り、地域住民と向き合い、積み重ねてきた歴史があってこそ、今の成田空港があるのだと実感しました」。

STEP2 2009年5月 広報室でフリーペーパーや社内報、年報誌などの制作を担当(入社1年目)

広報室に配属される。フリーペーパー、社内報、年報誌などの制作に携わる。社内報の制作では、主担当の先輩のサポートを行い、取材スペースの準備や原稿確認など、社内の関係各所との調整を担当。この時、さまざまな部署との人脈ネットワークを築くことができたという。また、年に一度発行される年報誌では、成田空港の役割と現状を最新版にまとめる作業を手がけた。250ページにも及ぶ内容を一から校正していったため、成田空港の歴史をじっくりと学ぶことができた。フリ−ペーパーについては、制作会社を選ぶためのコンペの準備なども行った。「入社直後からたくさんの仕事を任され、貴重な経験をさせていただいたおかげで大きく成長できたと感じます。1つの誌面を作るには、多くの関係者の協力が必要であることを体感する中、さまざまな部署の方々と知り合うことができましたし、人との関係性を築く力を習得できたと思います。また、情報は“生き物”であり、日々変化することも実感。最新の情報を、まずは自分自身がしっかりと理解し、それぞれの媒体特性や読み手への伝わりやすさを考えた上で発信してくことが重要だと学びました」。

STEP3 2011年7月 ターミナル館内の環境改善や、施設改修を手がける(入社3年目)

事業部門旅客ターミナル部第二旅客サービス事業グループに異動。現場で生じる日々の事案対応から、空港ターミナル施設の改修提案・工事調整まで幅広く担当した。第2ターミナルの到着ロビーを改修するプロジェクトでは、「出会いと別れのあるこの空間を、より素敵なものにしたい」と考え、当時圧迫感のあった到着ロビーを明るく広々とした印象に変えるように各部署と検討した。「それまでは、床の張り替えや壁の塗り替え、照明器具の交換などは、それぞれの担当部署が分かれて行うことが多かったのですが、空間演出にあたっては、統一感を持たせることが必要だと考えました。そこで、まずは関係者を集めてコンセプトや方向性を共有。限られた予算内でどうやって空間演出をするか話し合い、みんなで一緒に考えていきました。出発ロビーのような明るいイメージにするため、白を基調とし、照明を効果的に使う方法など工夫をこらして、リニューアルできたと思います」。

STEP4 2014年12月 航空会社の誘致やサポート、需要促進に携わる(入社6年目)

2013年12月から1年間、仁川国際空港公社に派遣されたのち、現部署である営業部門エアライン営業部エアライン営業グループに異動。さまざまな航空会社や就航都市とプロモーション企画の打ち合わせや需要促進イベントを行うため、各地へ出張することも多い。「就航会社の手続き書類のやりとりを初めて手がけた時は、『こんなにたくさんの手続きが必要なのか』と驚きました。日本ではまだ知られていない航空会社も多くある中、就航手続きや事前告知の段階から携われることに大きなやりがいを感じています。今後は就航会社や就航都市とより連携を深めて、成田空港から行ける新たな旅の魅力をどう広めていけるか、考えていきたいですね」。

ある日のスケジュール

8:30 出社。航空、観光などの業界関連ニュースをチェック。
9:00 就航手続きの今後の対応について、社内の関係部署と情報共有・打ち合わせ。
10:30 海外出張に備え、航空会社への提案資料を作成。
12:00 同期と一緒に社員食堂でランチタイム。
13:00 国内線のプロモーション企画について打ち合わせ。
15:00 本日行った打ち合わせの議事録を作成。プロモーション内容について再度検討。
16:30 プロモーションで使用するパンフレット、ポスターなどのPRツールの作成・校正。
19:00 退社。

プライベート

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入社3年目から、健康のためにヨガスタジオに通っている。写真は屋外イベントに参加した時のもの。「『姿勢や代謝を良くしたい』と思って始めましたが、ゆったりと自分自身に向き合い、リフレッシュするこのひとときは、今では欠かせないものになっています。いつかインドのヨガ発祥の地も訪ねてみたいと思っています!」。

 

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同期のメンバーとは非常に仲が良く、2〜3カ月くらいに一度は同期会を開いている。写真は2013年8月のもの。遠藤さんが仁川空港に派遣される際に送別会を開いてくれたそう。「同期と集まって話しているだけでも楽しくて気分転換になります。最近では同期同士で連携して仕事をする機会も増えて、心強い仲間です」。

 

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趣味は旅行とカメラ。週末には国内旅行、年に一度は海外旅行に行く。写真は、2015年11月に母親とドイツを旅した時に撮影したもの。「現地の料理や建物、人々のいる風景を写真に収めています。社会人になってからは、インド、タイといったアジアから、フィンランド、スペインなどのヨーロッパまで、さまざまな国を旅行しました」。

 

取材・文/上野真理子 撮影/刑部友康

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