株式会社ヤクルト本社 高松さん(入社9年目・国際部事業推進課)【先輩たちのワーク&ライフ】

たかまつ・こうき●国際部事業推進課。同志社大学商学部商学科卒業。2008年4月入社。大学で行われた就職セミナーに何度か参加する中で、「自分が興味を持てる商品やサービスを扱っている会社ならば、腰を据えて長く働けそうだ」と考えるようになり、食品メーカーに照準を絞る。20社ほどに応募し、ほぼ全部の会社の面接を受け、初めに内定を得たヤクルト本社に入社を決める。

個人宅への営業研修、販売会社への営業支援で、現場営業の大切さとやりがいを実感

食べ歩きが趣味で、「自分が興味を持てる商品やサービスを扱いたい」という思いから、食品メーカーを志望した高松さん。就職活動期に家族が体調を崩し、「健康」というキーワードに注目していたところ、ヤクルト本社と出合った。「世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献する」という企業理念にひかれたほか、東京ヤクルトスワローズのファンでもあり、運命を感じて入社を決めたという。

同社では、1カ月間の新人研修後、全員が「宅配営業研修」を受ける。高松さんは愛知県と香川県の販売会社に派遣され、研修の一環として一般家庭への新規開拓営業を担当した。

「ヤクルトでは、全国に103社ある販売会社が商品の販売を行っており、ヤクルト本社の社員がお客さまと直接かかわる機会は少ないのですが、私自身は個人のお客さまに直接商品を届けてみたいという思いを持っていました。ですから、この半年間の現場研修は、とても楽しかったですね。同期入社の社員と相談し合い、工夫しながら、ご家庭1軒1軒にご案内しました。ヤクルトには皆さんが良い印象を持ってくださっていて、私のような新人の話にも耳を傾けてくれる方が多かったですね。購入してくださったお客さまから『おなかの調子が良くなったよ』と言われ、とてもうれしく思ったことを覚えています」

営業同行してくれた先輩からも、商品の案内方法、営業トークなどさまざまなことを学んだが、一番心に残っているのは「笑顔」。
「真夏の暑さにバテていた時、『その顔で営業に行っちゃダメだよ』と指摘されました。ヤクルトは健康飲料、暗い顔は似合いません。営業はいついかなるときも明るい表情で、元気よく!が鉄則。そうすると、お客さまも笑顔で話を聞いてくださるんです。とてもシンプルなことですが、これが何より大切だと学びました」

半年間の宅配営業研修ののち、2008年10月に本配属。配属先は、九州支店(現・西日本支店)の宅配営業課。九州地区はゆかりのない場所だが、あえて自ら希望したという。
「もっと販売の現場を知りたくて、できるだけ本社から遠いところで自分を鍛えたいと思ったんです。希望通りに九州支店に配属され、管内にある販売会社の支援活動にかかわりました」

初めの8カ月は、宮崎県の販売会社で販売支援を担当。売り上げ実績を伸ばすために、販売計画を立てたり、営業エリアごとに効率の高い人員配置を考えるなど、多方面から支援を行った。商品を家庭に届けるヤクルトレディの採用支援も担当し、仕事説明会を実施するなど尽力した。「九州支店を代表して出向いているため、責任感を強く実感した」という。

九州支店にはおよそ2年半所属したが、最後の1年間は支店企画業務全般を担当。さまざまな業務を手がける中で、「新しい企画の立案」を任された。
「『売り上げにつながることであれば、自由な発想でやってよい。自分の仕事の範囲を気にせず、場合によってはほかの課を巻き込んでもいい』とのこと。しかし、何から手をつけていいかわからず、悩みましたね。先輩に相談しながら、さまざまな企画を考えては、実現の可否や売り上げへの影響予測などを話し合いました」

検討を重ねた末に行ったのは、認知度向上イベントの開催。ショッピングモールのスペースを借りて、ヤクルトを使った健康ドリンクの試飲を集客のきっかけにし、ヤクルトのこと、乳酸菌のことを紹介するだけでなく、乳酸菌由来の保湿成分に着目し開発した化粧品のメイク体験などをしたり、一人でも多くの人にヤクルトという会社の魅力を知ってもらおうと考えた。
「ショッピングモールとのやり取り、保健所とのやり取り、ブースの準備、人員の手配…初めてやることばかりでした。場当たり的に動いてもうまくいかないし誰も協力してくれない。でも自分が動かないと何も進まないという中で、自分の行動がどういう結果を生むのか『考えてから動く』ことの大切さを学びました。おかげでイベントは好評で、たくさんの方にブースに立ち寄っていただけました。同時に採用支援の一環でヤクルトレディの仕事紹介も行ったのですが、興味を持って話を聞いてくださった方がいて、うれしく思いましたね」

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現在所属する国際部では、ほかの国の事業所を担当する同僚と意見交換をすることも。売り上げ動向について話し合ったり、売り上げ拡大、販売促進に関する好事例を共有し合うことが多い。

海外研修の引率を担当し、海外市場の熱気を体感。「将来は海外赴任」との目標が生まれる

九州支店宅配営業課の次に配属されたのは、人材開発センター。2011年4月からまる4年間、本社社員研修、関係会社向け研修を担当した。

ヤクルト本社では、「初めの10年間で3つの部門を経験する」というジョブローテーション制度がある。さまざまな役割をバランスよく経験することで、ゼネラリストとして活躍できる人材になることと、その中で見つけた得意分野を伸ばすことが期待されている。高松さんも「そろそろ異動だろう」とは思っていたものの、管理部門は予想外だった。「ずっと営業現場にいたので、私に務まるのだろうか?と心配になった」という。
しかし、ここでの経験が、高松さんのキャリアプランを大きく変えることになった。

高松さんが主に担当したのは、新入社員研修と、「国際塾」と呼ばれる研修の2つ。
「『国際塾』は社員の国際性を高めるための研修のことで、海外で働く人材を育成するのがミッション。海外赴任者を育成するAコース、日本を拠点に海外とやり取りする人材を育成するBコースの2つに分かれていて、いずれのコースでも、異文化を理解する力、日本との考え方の違いなどを座学で習得しますが、Aコースはこれに加えて海外事業所を2週間訪れ、生産管理の様子を見学したり、現地の営業に同行して営業活動の現場を体験するプログラムがあります。配属2年目の時にこの海外研修の引率を担当し、フィリピンヤクルトに出向いたのですが、この時に、フィリピンの熱気に圧倒されたんです。経済成長著しいフィリピンでは、すでにヤクルトが広く認知されていますが、まだ伸びしろは大きく、営業活動をすればするほど売り上げが伸びていく。現地の社員も活力にあふれていて、ヤクルトの良さを一人でも多くの人に伝えたいとモチベーション高く働いている…こんな環境に自分も身を置いてみたい!と強烈に思いました」

ヤクルトは世界33の国と地域で事業展開する、日本を代表するグローバル企業。海外で働くことを志向して、同社を目指す人も少なくない。そんな中、高松さんは「海外なんてまったく将来の選択肢になかった。ずっと国内で営業したいと思っていた」と言うほど日本国内しか見ていなかったが、「仕事だから…」としぶしぶ同行したフィリピンで、意識がガラリと変わり、視野が一気に開けたという。

14年には、自らの意思で強くアピールして再び海外研修を引率。この時はシンガポールヤクルトでの研修だったが、日本市場とは違う勢いを味わい、働く魅力を感じた。フィリピンで芽生えた、ゆくゆくは海外で働きたいという思いがさらに強くなり、キャリアプランとして描くようになったという。

そして15年4月に、国際部事業推進課へ異動。ここでのミッションは、海外事業所の実績向上。オーストラリアとブラジルの担当として、現地事業所のあらゆる業務支援を行っている。
「例えば、現地の工場は日本の生産設備を使っています。部品が壊れるなど何らかの不具合が生じたら、国内にあるメーカーとやり取りして部品を発注し、現地に送ります。場合によっては技術者を手配することも。現地事業所の売り上げ数字を分析するのも私の仕事です。売り上げが好調な部分、伸び悩んでいる部分を洗い出して原因を考えて現地に伝え、現地での営業戦略をサポートします。販売に関する他国での好事例を集めて共有することもありますね。主導権は現地事業所にありますが、私がサポートした結果、実績につながった時は本当にうれしいですね。間接的ですが、私の働きが海外市場にいい影響を与えていると思うと、この上ない喜びを感じます」

今の部署で海外市場に関する知識を深め、ゆくゆくは海外赴任…という思いは日に日に強まっている。
「赴任先はどこの国でも構いません。その国の、一人でも多くの人にヤクルトの魅力を知っていただき、世界の人々の健康を守りたいと真剣に思っています。今の部署での経験はもちろん、国内の営業現場経験もきっと武器になるはず。いつ実現できるかはわかりませんが、自社商品をさらに深く勉強し、世界市場の動向についての理解も深め、いつか必ず夢を現実のものにしたいと思っています」

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海外事業所とは主にメールで連絡を取り合う。現地に赴任している日本の社員が相手のため、日本語でのやり取りがほとんど。英語を使う機会は少ないが、将来のために独学で勉強しているという。

高松さんのキャリアステップ

STEP1 2008年 愛知県と香川県の販売会社で宅配営業研修、個人宅への新規営業を経験(入社1年目)

新入社員は全員、販売会社での宅配営業研修で現場営業を経験する。研修期間は毎年異なるが、高松さんは半年間、宅配営業研修を受ける。担当エリアの個人宅を1軒1軒訪問し、商品を案内する役割。1日に30~40軒は回ったというが、もともと人と話すことが大好きで、興味を持っていた仕事だったため、とても楽しくやりがいがある毎日だったという。

STEP2 2008年 九州支店(現西日本支店)宅配営業課に配属。会社の代表として販売会社の支援を行う責任を覚える(入社1年目)

担当したのは、宮崎県や福岡県の販売会社。初めの1年半は販売会社と一緒に活動し、売り上げ拡大のための戦略立案、ヤクルトレディの採用支援など、あらゆる業務支援に携わった。3年目の時には、ショッピングモールでの販促イベントを担当。未経験の仕事だったが、「考えて、行動する」を徹底して試行錯誤の末、1日で約300人の来場者を集めることに成功。ヤクルト商品の認知度向上に一役買うことができた。

STEP3 2011年 人材開発センターに異動、「海外赴任」というキャリア目標ができる(入社4年目)

グローバル企業にいながら海外の動向にはまったく興味を持たず、常に国内に目を向けていた。「国際塾」のプログラムにもあまり興味を持てなかったというが、海外研修の引率で訪れたフィリピンでの経験が、キャリアプランをがらりと変えるターニングポイントになった。活気ある海外市場を、自らの手で開拓したいという思いが高まり、「将来は海外赴任したい」と考えるようになったという。このころから英語の勉強もスタートした。

STEP4 2015年 国際部事業推進課に異動、海外事業所の支援を通じて、海外市場に関する知見を広げる(入社8年目)

国際部には自ら希望して異動を実現。海外市場を知ることで、将来の海外赴任に役立てたいという思いがあるという。現在は、オーストラリアとブラジルの事業所を担当。現地担当者との連絡を密に取り、現地の要望をくみ取ってサポートしている。間接的にではあるが自らの働きが海外市場に影響を与えられていることを実感し、やりがいを覚える日々。

ある日のスケジュール

8:40 出社。定時は9時だが、少し早めに出勤してメールチェック。海外事業所からの依頼事項を確認して、1日のスケジュールを組み立てる。
9:00 毎週月曜日に部の朝礼がある。部長からの報告、各課のトピックス共有などが行われる。
9:20 デスクワークスタート。この日は見積書の提出など、主にオーストラリアから依頼されている案件に対応した。急ぎの案件については、午前中にすべて対応を済ませる。
11:45 昼食はもっぱら社員食堂で。日替わり定食を選ぶことが多い。
12:45 オーストラリアの担当者と電話で打ち合わせ。時差が2時間のオーストラリアとは、メールだけでなく電話で直接やり取りすることも多い。この日は、商品梱包用のフィルムの納品についてスケジュールなどを確認した。
14:00 国際部技術支援課と打ち合わせ。海外工場でのトラブル対応の際には、工場経験者が集まるこの課と業務連携し、対応方法を相談している。
15:00 デスクワーク。この日は、各事業所の請求書の処理を対応。
17:00 退社前のこの時間は、ブラジルへのメール返信の時間と決めている。ブラジル・サンパウロの事業所とは時差が11時間あるため、日本が朝のうちに返信してもすぐには読まれないうえ、退社までの時間に状況が変わっていることがあるため、この時間の返信がベストだという。
17:50 退社。帰宅後は6カ月になる息子の相手をするのが日課。その後、家族で食卓を囲み、夕食を取る。就寝前に資格や語学の勉強をすることもある。

プライベート

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同じ部のメンバーとは、会社帰りに飲みに行くことも多い。写真は、2015年9月に東京・虎ノ門にある韓国料理店での暑気払いのもよう。

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2016年1月、息子をベビーカーに乗せて近所の公園まで散歩に行った時。息子が生まれてから、毎週末家族で散歩するように。

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2012年7月、新婚旅行で訪れたトルコの市場で。「泳ぎが得意ではないのでリゾート地を避けた結果、トルコに決まった」という。カッパドキアなど世界遺産も観光した。

取材・文/伊藤理子 撮影/刑部友康

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