シスメックス株式会社 相川さん(入社7年目・横浜営業所 営業係)【先輩たちのワーク&ライフ】

あいかわ・しゅういち●横浜営業所 営業係。大阪大学大学院工業研究科修了。2010年入社。大学院ではバイオテクノロジーを専攻。「専門性を生かした仕事を」と考え、就職活動では食品、化粧品、医薬品メーカーを中心に活動。病気の早期発見に貢献できるシスメックスの仕事に意義を感じ、入社を決意した。

営業としていかに価値を高めるか。模索していた1年目

検体検査機器・診断薬を製造開発、販売し、世界でトップレベルのシェアを誇るシスメックス。日本のみならず世界190カ国以上で事業を展開し、血液中の赤血球や白血球の数や種類、大きさを分析するヘマトロジー分野ではグローバルトップシェアを確立。検査の有用性、迅速かつ正確な検査の実現に向けたソリューションを、医療現場に提供している。

がんや生活習慣病、感染症など重大疾病を早期に発見することで、健康寿命を延ばすことができる。相川さんがシスメックスへの入社を決めたのは、予防医療の意義に共感したからだ。
「バイオ研究をしていた大学院で、研究室の先生に『こんな会社もあるよ』と教えてもらったのがシスメックスでした。高齢化で医療ニーズが増え続ける中、病気になってから治すのではなく、病気にならないためにはどうすればよいか、なってしまったら早期に確実な治療を開始できることに、社会貢献度合いの高さを感じたんです」

入社後、4カ月半の研修を経て、お盆明けに首都圏の営業拠点に配属された相川さん。「メーカーに行くなら、製品を使ってくださっているお客さまと接する、最前線の経験が大事だ」と、入社前から営業配属を希望していたという。
「シスメックスの営業スタイルは、ルートセールス(定期的に得意先を訪問して、商品やサービスのセールスを行う営業スタイル)。一人あたり40~50の病院を担当し、検査室で働く検査技師から現場のニーズをヒアリングします。実際に販売するのは販売代理店ですが、お客さまと直接取引できるレベルまで要望を細かく聞き、対応するのがこの業界の特徴です。その内容を、代理店側に正確に伝えるのも営業の重要な役割になります。主力製品は血液検査機器や尿検査機器ですが、どのような病気・症状・項目を調べるかによって非常に細かく製品が分かれているため、詳しい製品知識は必須。既存の検査機器が古くなったので買い替えたいというニーズがあれば、お客さまがどのような検査・診断を実現したいかを引き出して最適な製品を提案します」
8月から4カ月間は先輩同行の中で営業ノウハウを学び、12月からは一人で担当施設を持つようになったが、「お客さまとの会話が続かない」など苦労は多かった。
「ニーズを引き出す力が足りず、仮にニーズを引き出せたとしても最適な商品を提案する知識も足りない。会話をしながらお客さまが求めていることを見出していくことの難しさ、営業の奥深さを実感しました。不足している力を補うため、シスメックスが発行している医療機関や業界向けの学術書を調べ回ったり、他部門の専門家を巻き込むなど、自身のスキルアップとともに組織の力を最大限活用することを心がけました。当社には、学術部という専門部署があり、学術書作成のために著名な先生に検査に関する評論を書いていただいたり、学会の立ち上げや運営、研究などを実施していることも強みです。このような会社としての総合力も活用し、なんとか営業としての存在意義を見出そうと必死に取り組んだ一年でした。

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お客さまをショールームにご案内。最新機器の特徴についてプレゼンする。

人々の健康に貢献。やりたかった仕事ができた

2年目になると、神奈川県の小田原エリアを担当。神奈川県担当営業4名のうち、相川さんの担当は最も広域な小田原エリア。車で病院の検査室を1日3、4件回る営業生活が始まった。「何かあったらシスメックスの相川さんに聞いてみよう」と思ってもらえるよう、お客さま先に足しげく通い、信頼関係を築いていった。

「今でも忘れられないのは、2年目の年度末に、あるお客さまが自社商品をまとめて3機種導入してくださったことです。新規にシスメックスの尿検査の機器のほか、血中の肝炎ウイルスの有無を調べる機器と、血液の固まりやすさを調べる凝固検査機器を導入していただきました。肝炎の感染症を調べる機器は、当社が力を入れている商品の一つ。感染症マーカーが血中に存在すれば感染の有無などが分かり、迅速・適切な治療方針を決めるができます。ずっと通い続けた思い入れのあるお客さまから受注できた喜びも大きかったですが、何よりも、その地域住民の方が、予防・早期発見できる機会を持てたことがうれしい。『この病院で検査できるようになったということは、地域の方々の健康に貢献したということ』と上司に言われ、入社前から実現したかったことを、少し叶えられたかなと思いました」

6年目の2015年10月からは、業務内容は同じまま、新しく立ち上がった横浜営業所に異動。お客さまと物理的な距離が縮まったことで、会社からの期待の大きさも感じるという。
「これまでは首都圏全体を、営業は東京支店、機器の保守・修理などは蒲田にあるサービスセンターが担っていましたが横浜営業所では、営業とサービスが一緒になることで、お客さまからの要望を密に共有でき、既存の機器に不具合が生じたときの対応スピードが上がりました。担当地域における会社からの期待も感じますし、検査技師の方々と“一緒に”予防医療を進めていくという意識がより強まりましたね」

今後は、売り上げシェアが8割を超える海外マーケットにも目を向けていきたいと話す相川さん。
「海外は日本と検査方法の嗜好(しこう)性が異なることが多くあります。国内マーケットにはない視点をきちんとリサーチし、製品企画やマーケティング施策を考える。そんな仕事にチャレンジしたいですね」

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学術部門が発行する資料を読みながら、製品知識を確認する。

相川さんのキャリアステップ

STEP1 2010年4月 4カ月半の新入社員研修。医学系の勉強から実地研修まで経験する(入社1年目)

専門的な知識を身につけるため、4カ月半の研修が行われた。4月にビジネスマナーや業界動向、会社概要などを学んだのち、5月は医学系の専門教育。生理学を中心に200ページほどの専門書を2冊読み込んだ。その後、実地研修として営業、修理・サービス、工場の3部門を3週間ごとにローテーションし、仕事の全体の流れを学んでいった。「工場では実際に機械を組み立てる業務も担当し、一つの製品ができるまでどれほどの人がかかわっているのかを体験して知ることができました」。

STEP2 2010年8月 東日本営業本部の首都圏西部(神奈川県)営業課に配属される(入社1年目)

病院へのルートセールスのうち、多くのお客さまは既存の製品が古くなったので買い替えたいというニーズだが「これまで置いていなかった新しい検査機器を導入したい」という新規ニーズもある。既存製品の買い替えの際、要望として多いのは「検査結果が出るまでのワークフロー(作業の流れや順番)を改善したい」というものだという。検査が行われるときは、医師が患者さんの血中の成分を調べたいと検査技師に依頼し、それに対して検査技師が、採血された検体を使って検査を進める。結果が即日に出れば、患者さんにも状況を伝え、然るべき治療を早期に始められる。しかし、結果が出るまでに時間がかかると患者さんに日をあらためて病院に来てもらうことになり、治療までに大きなタイムラグが生じてしまうのだ。「当社では、製品の導入によってどれくらい検査時間が短くなったかをリサーチしており、お客さまにデータとともに提案すると『ぜひ買い替えたい』と受注いただけることが多いです」。

STEP3 2011年 同部署で、小田原エリアを任される(入社2年目)

2年目には一人前の営業担当として小田原エリアを任され、お客さま施設を回る毎日に。医学系のアカデミックな知識はお客さまに追いつかないので、社内の学術担当や製品開発担当と一緒にお客さま先に行くことも多い。
「担当エリアには、大きな病院がない地域もあったので、地域に根差した医療機関でいかに有効な検査が受けられるかが重要でした。すぐに検査結果が出ると、患者さんの不安も少なくなりますし、何度も病院に行く手間もなくなります。誰かの役に立っていると感じられることがうれしかったですね」。

STEP4 2015年 新規拠点となる横浜事業所に異動(入社6年目)

約9年ぶりに立ち上がった新しい事業所で、神奈川県の担当営業を継続。事務所開設の際には、検査技師向けに「開所記念セミナー」を開催し、著名な専門家に講演していただいた。「お客さまである検査技師には、私と同年代の方も多く、『一緒に現在の医療の在り方を変えていく、予防医療を実現していく』というゴールに向かって成長し合える面白さとやりがいがあります」。

ある日のスケジュール

8:30 出社し、メールチェック。
9:00 朝礼。お客さまへの見積書の作成。
10:00 お客さまや販売代理店からの電話に対応。
11:30 外出。お客さま先に車で移動。
12:00 外出先でランチ。
13:00 担当病院の検査室を訪問。お客さま検査技師へ商品の見積書を提出。
14:00 別の担当病院へ。最新の学術資料を提出。
16:00 さらに別の担当病院へ。検査機器の使用状況についてヒアリング。
18:30 帰社。日報を作成。お客さまからの問い合わせ事項を確認。
20:00 退社。同僚と食事に行くこともある。

プライベート

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今でも連絡を取り合う、高校時代の友人と東京で集合(左手前が相川さん)! いろんな分野で活躍している友人たちとの話は刺激になる。

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夫婦で行った北海道弾丸ツアー。結婚してから、夫婦で旅行に行くことも多い。

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2015年12月、会社の研修でドイツへ。研修後はクリスマスマーケットでホットワインを堪能! さまざまな国から来た海外の方との会話も楽しんだ。

取材・文/田中瑠子 撮影/刑部友康

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