日清オイリオグループ株式会社

今回の訪問先 【日清オイリオグループ 横浜磯子事業場 生産技術部 生産技術グループ】
天ぷらやフライ、炒め物、焼き物に使ったり、風味を付けたりするなど、食品の加工・調理に欠かせない材料、食用油。食用油は大きく植物性、動物性の2つに分かれ、中でも植物性の食用油(植物油)の原材料は多岐にわたります。大豆や菜種(キャノーラ)、オリーブ、ごま、ヤシ(ココナッツ)、紅花、とうもろこし、綿実、パーム、ひまわりなど、さまざまな植物が原材料として使われています。そのようなさまざまな植物油を国内外に提供し、同業界をけん引しているのが日清オイリオグループです。日清オイリオグループのブランドネーム「OilliO」は、「Oil」にOilを反転した「liO」を組み合わせた造語で、同社が製油業の原点を大切にしながら、オイルの領域を広げ、そしてそれを超えていくという意志が込められているそうです。このブランド名が表している通り、例えば植物油の分野においては、体に脂肪がつきにくいという特性を持った特定保健用食品の「ヘルシーリセッタ」などの健康オイルを開発するなど、創業時から培ってきた製油の技術を生かして新しい市場価値を提供しています。同社の事業は植物油の提供だけにとどまりません。植物性油脂をベースとしたマーガリンやショートニング、チョコレート用油脂を提供する加工油脂事業、おいしさと健康を両立させたドレッシングやマヨネーズなどを提供するヘルシーフーズ事業、化粧品原料や食品・医薬品添加剤などを提供するファインケミカル事業を展開しています。今回は植物油の主力製造拠点である日清オイリオグループ 横浜磯子(いそご)事業場 生産技術部 生産技術グループのシゴトバを訪れました。

 

生産性や機能性の向上を目的とする生産技術という仕事とは

日清オイリオグループ 横浜磯子事業場は神奈川県横浜市磯子区にあります。最寄り駅はJR根岸線の磯子駅。磯子駅はJR横浜駅から電車で約15分の距離です。横浜磯子事業場は磯子駅の目の前にあり、徒歩1分で正門に着きます。横浜磯子事業場内にある事務所棟の一角に生産技術部 生産技術グループがあります。
日清オイリオグループでは国内に生産拠点を4カ所設けていますが、横浜磯子事業場は敷地面積(23万3000平方メートル。東京ドームに換算すると約5個分の広さ)、生産能力共に同社最大規模。原材料を貯蔵するサイロの貯蔵能力は大豆に換算すると11万1000トンにも及びます。また同事業場は大型船が直接接岸できる埠頭(ふとう)を持ち、搾油(さくゆ)から精製、充填までを一貫して行えるようになっています。まさしく同社のマザー工場であり、東日本地域の物流拠点としての役割も担っているそうです。
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日清オイリオグループの売り上げを事業別で見ると、6割強を油脂・油種事業が占めています。そのため横浜磯子事業場でも主に製造しているのは植物油。同社ではフルライン戦略(特定の製品に絞り込まずに、市場全体をターゲットとし幅広い製品を製造すること)を採用しており、幅広いお客さまのニーズに応えるよう多種多様な植物油を製造しています。中でも写真の3点が同社の主力製品。写真右は同社の定番商品であり、古くから家庭で親しまれてきた「日清サラダ油」。同社が「サラダ油」という名前で食用油を初めて販売したのは1924年。当時の日本では食用油は主に揚げ物などに使われていましたが、西洋では食用油に酢や塩を加えてドレッシングとしても使われていました。そこでサラダ料理にも使える食用油という意味を込めてこの名前をつけたそうです。
現在、人気急上昇中なのが写真真ん中の「ヘルシーリセッタ」。食べた後エネルギーになりやすい天然の植物成分「中鎖脂肪酸」の働きにより、体に脂肪がつきにくい健康オイルで、消費者庁の特定保健用食品に認定されています。
左端の「日清キャノーラ油」は、酸化を抑えて油っこくない性状を生み出す特許製法「ライト&クリア製法」を採用。また同社独自の「酸化ブロック製法」で油の酸化を約30パーセント削減。このように日清オイリオグループではおいしくて体に優しい植物油作りに取り組んでいるのです。
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生産技術部 生産技術グループのシゴトバを同グループの佐々木淳(じゅん)さんが案内してくれました。写真は生産技術部の事務室。非常にゆったりとした間隔でデスクが配置されていました。
「生産技術部は2つのグループで構成されています。1つは私が所属している生産技術グループ。もう1つがエンジニアリンググループです。生産技術部の役割は研究開発と実際の製造現場における工程をつなげること。生産技術グループでは、スケールアップ(量産化)の検討、新規技術の導入検討、現行生産プロセスの効率アップ、海外工場のプロセス検討や製造立ち上げ支援などの業務があります。一方のエンジニアリンググループでは安定操業するための保全システムの構築やメンテナンス、製造ライン立ち上げの支援などを行っています」(佐々木さん)
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油の生産工程は大きく3つに分かれます。最初の工程は搾油・抽出工程です。原料を圧搾機で圧力をかけて搾油したのち、残りの油分を写真のような抽出機で抽出するのです。抽出した油は次の精製工程へ送られます。抽出された油(原油)に含まれる不純物を取り除くという工程です。そして最後が充填工程です。精製された油の品質をチェックし、缶やびん、プラスチック容器などに詰めていくのです。このような工程を経て、私たちの手元に植物油が届けられます。このように油の生産工程はすでに確立された分野ですが、実はまだまだ改善する余地はたくさんあります。そこをいかに改善していくかが、佐々木さんたち生産技術グループの主なミッションというわけです。
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現在、佐々木さんが担当している仕事は大きく分けると2つあるそうです。
「1つは分析技術を応用した工程管理手法の改善です。中でも私が担当している分野は精製工程です。センシング技術(センサーを利用した計測・判別技術)を利用し、薬品の投入量を連続的に最適化したり、過剰なロスを減らすなど、より効率的に管理する手法の構築を検討していくのです。精製工程の運用を最適化することで、生産性の向上はもちろん、コスト的にも大きなメリットが得られるからです。2つ目の仕事は生産工程から発生する副産物の用途開発です。搾油・抽出工程からは大量の脱脂かすが生まれます。そして脱脂かすに加え、精製工程では脱色するための吸着材(活性白土:粘土の一種)も副産物となります。このような副産物を付加価値化するために、どのような機能性を持たせるか、使用方法の検討を行うのです。そのほかにもより環境に優しい廃水処理のあり方の検討を行ったりしています。このように一人で複数テーマを持って日々、仕事に取り組んでいます」(佐々木さん)
デスクでは新しい技術の検討をしたり、実験結果をまとめたり、資料を作成したりしているそうです。
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新たに検討した製造技術は、フラスコスケールという少量から試し、徐々にスケールアップして、量産でも本当に使えるかどうかを評価していきます。そのような評価を行うためのパイロットプラント(実験工場)で、実験を行っているところ。先の事務所棟から歩くと5分ぐらいかかるため、「構内を移動するための自転車も用意されています」(佐々木さん)とのことでした。
写真は精製工程の油の脱色で使われる吸着材を評価しているところ。
「油に吸着材を入れて、真空下のフラスコ内で撹拌(かくはん)します。吸着材を濾過(ろか)して油の脱色具合をチェックします。このスケールでうまくいけば、さらに大きな実験装置で試します」(佐々木さん)
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写真はパイロット版(実験用)の濾過機です。
「これは吸着材などを濾過するためのパイロット機。フラスコスケールで検討したものを、次の段階としてさらに大きなパイロット機で評価します。実際の生産現場で使用している濾過機はこの10倍もの大きさになります。つまりこれはスケールアップ段階の技術を試すための実験設備。このようなパイロットスケールの設備を作るのも、生産技術部 生産技術グループの業務なんです」(佐々木さん)
濾過機はクリーンルーム内に設置されており、入室の際には写真のようにキャップを着用していました。
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打ち合わせなど、コミュニケーションを取る機会も非常に多いと佐々木さん。
「私たちの業務はエンジニアリンググループや生産現場をはじめ、本社事業部、開発部などの社内だけでなく、外部の研究機関、設備メーカーなど社外の人たちと連携を取りながら進めていくことがほとんどです。コミュニケーション能力や調整能力にたけていると、効率的に仕事が進められると思います」(佐々木さん)
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ハタラクヒト 化学、材料、機械、電気、生物、安全工学など幅広い知識が求められるから面白い

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引き続き佐々木さんに「日清オイリオグループ 横浜磯子事業場 生産技術部 生産技術グループ」というシゴトバの魅力ややりがい、職場の雰囲気についてうかがいました。

 

佐々木さんは2002年に東京理科大学工学部工業化学科を卒業し、日清オイリオグループに入社しました。
「大学時代は有機化学、無機化学、物理化学、化学工学という4科目を幅広く学びました。中でも一番関心を持ったのが、化学工学という分野。どう作るかということに興味があったのです。そこで身近なモノを作っている会社で、生産に携わってみたいと思いました。食品は最も身近な製品。だから食品メーカーを選んだのです。中でも日清オイリオグループに決めたのは、大企業でありながら少数精鋭をうたっていたこと。伴う責任も大きくなりますが、社員一人に任される役割が大きいので成長できる環境だと思ったのです。また油脂油糧事業だけではなく、加工油脂事業やヘルシーフーズ事業、ファインケミカル事業など多岐にわたる分野で事業を展開しており、企業としてさらなる成長が期待できると考えました。そして横浜市磯子区という首都圏に工場があることも、決め手となった要素の一つです。地元に近い横浜は好きな街だったので」

 

入社後、配属されたのは生産部門。
「最初はどのように現場が動いているのか知るため、オペレーター(機械を操作したり原材料をセットしたりする業務を担う人材)として実際の生産作業に従事しました。その後スタッフとなり、生産管理や品質管理に従事。そして2015年1月に現在の部署である生産技術部 生産技術グループに異動しました」
まだ現在の仕事に就いて約半年という佐々木さんですが、すでに生産技術という仕事の面白さにハマっているそうです。
「現在、私が携わっているのは生産性や機能性の向上を目的とした生産技術の開発。生産技術という仕事は化学、化学工学、材料、機械、電気、制御、生物、安全工学など幅広い領域を複合的に組み合わせる必要があります。まさに技術の総力戦とも言える仕事なのです。そうした幅広い知識・技術を吸収し、応用していくことがこの仕事の一番の面白さだと思います」

 

このように幅広い知識が求められる分野だけに、生産技術部のメンバーの出身学部・専攻はバラエティーに富んでいるとのこと。
「私のような化学出身者もいますが、機械工学や建築、農学などさまざまです。学生時代に学んだ知識はあくまでも基礎的なもの。仕事で使う知識のほとんどは仕事を通して学んでいきます。したがって、高い志とさまざまなことにチャレンジする精神を持っている人であれば、十分、活躍できると思います。あと重要なのは、コミュニケーション能力と調整能力。したがって学生時代にそういった能力を養っておくことをお勧めします」

 

最後に日清オイリオグループの社風・文化についてたずねました。
「例えば、受けたい研修があれば、ちゃんと受けられるよう上司や周りの人たちが理解・協力してくれるなど、社員一人ひとりの積極性に応じて成長することができる風土があります。また若くても大きな仕事に挑戦させてもらえる企業文化もあります。例えば私の場合、入社4~5年目に搬送工程の設備改善という案件を任されました。これは既存の設備を改造するというもので、構造上の制約や製品の出荷を優先しなければならないなどさまざまな課題が発生した、今まで携わった業務の中で最も苦労した仕事です。工場を立ち上げるというような案件は数名のプロジェクトで行いますが、このような改造・改善案件は、一人で任されるんです。まさしく少数精鋭。やりがいも大きく働きがいのある仕事です」

 

 心身の健康を維持する充実のトレーニング施設・食堂

ヘルスアッププラザです。ちょっとしたスポーツジム顔負けのさまざまなトレーニング機器が用意されていました。
「昼休みや終業後など、ここで体を動かしてリフレッシュする社員もたくさんいます。またここで予防医学協会などと協力して、健康維持に関するイベントなどの企画を催すこともあるんですよ」(総務グループ 井手桂介さん)

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食事は健康な体作りの基本です。横浜磯子事業場の社員食堂では、毎日健康定食を提供しています。また、社員が楽しく・おいしく食事の時間を過ごせるように、定期的に企画を行っています。写真はある日のプレミアム定食という企画の1メニュー、海鮮丼。そのほかにも少し良い素材を使った鴨(かも)南蛮そばなどがメニューとして登場しました。どのメニューもワンコイン(500円)くらいだそうです。

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日清オイリオグループにまつわる3つの数字

サラダ油やキャノーラ油、「ヘルシーリセッタ」などの健康オイルなどの食用油を国内外に提供している日清オイリオグループ。以下の数字は何を表しているのでしょうか? 正解は、次回の記事で!

1. 約2割

2. 191本

3. 1907年

 

前回(Vol.130 THK株式会社)の解答はこちら

取材・文/中村仁美 撮影/臼田尚史

 

 

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