株式会社シード

今回の訪問先 【シード 鴻巣研究所 技術部】
今や視力の悪い人にとって欠かせないメガネやコンタクトレンズ。中でもコンタクトレンズは使い捨てタイプが発売されたことをきっかけに、装用者が急増。今ではコンタクトレンズの国内装用人口は1800万人とも言われており、10人に1人以上はコンタクトレンズ装用者がいる計算となります。従来、コンタクトレンズは近視や遠視など視力を矯正する機能を提供してきました。最近は視力矯正の機能にプラスして、より瞳を大きく見せるサークルレンズと呼ばれるコンタクトレンズが登場し、若い人たちを中心に人気を獲得しています。その一方で近くが見えづらくなってきた方向けには、遠近両用のコンタクトレンズがラインナップされています。このようにコンタクトレンズメーカーは多様化するドクターやユーザーのニーズに対応すべく、さまざまな機能や特性を持つレンズを提供し、市場の拡大に努めています。中でも、一般的な度数のコンタクトレンズだけでなく、強度近視、強度遠視に対応可能な使い捨てコンタクトレンズなど、多様なラインナップを取りそろえているのがシードです。シードがコンタクトレンズの研究を開始したのは1951年。以来、半世紀以上にわたり、一貫してコンタクトレンズの研究開発に取り組んできました。そこで培った技術をもとに、現在はコンタクトレンズ事業を中心に、コンタクトレンズケア事業、眼鏡事業など、「見える」をサポートするさまざまなビジネスを展開しています。近年は海外での事業拡大にも注力しており、アジアに加え欧州市場へも積極的に進出しています。今回は使い捨てコンタクトレンズの開発、製造が行われているシード 鴻巣(こうのす)研究所 技術部のシゴトバを訪問しました。

 

使い捨てコンタクトレンズを生産する機械を開発、改良、改善

シード 鴻巣研究所は埼玉県のほぼ中央に位置する鴻巣市にあります。鴻巣研究所周辺は工業団地となっており、さまざまな企業の製造拠点が立ち並んでいました。
最寄り駅はJR高崎線の北鴻巣駅ですが、徒歩だと約20分かかるため、多くの人が自動車や自転車などで通勤しているそうです。
鴻巣研究所はコンタクトレンズの製造および研究開発拠点。主に1日使い捨てソフトコンタクトレンズシリーズが生産されています。1号棟と2号棟があり、2号棟は2014年12月から生産を開始したばかりです。
使い捨てコンタクトレンズは外資系メーカーによる輸入超過の状態だそうですが、シードは国内で製造から販売に至るまで一貫して完結させることで、国内ユーザーの声を反映しやすい体制を築き、その強みを生かした製品作りをしています。

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写真は鴻巣研究所で生産している1日使い捨てソフトコンタクトレンズ「シード1dayPure うるおいプラス」です。同製品の特長は高いうるおい保持力を有していること。そのためにレンズ素材に水分を引き寄せてとどめる力が強い素材を採用しているそうです。また瞳にたっぷり必要な酸素を通すレンズ構造を実現していたり、有害な紫外線から瞳をサポートするようUVカット機能が付いていたりするそうです。「シード1dayPure うるおいプラス」は写真の近視用のほか、乱視用、遠近両用でも製品展開されています。

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「シード1dayPure うるおいプラス」のパッケージとレンズを個包装しているケースは、2008年にグッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会主催)を受賞しています。受賞のポイントは2つあり、1つはコンパクトにパッケージに収めるためにクロスユニットケースというレンズを収めているケースを交互に組み合わせる方法を採用していること(写真参照)。もう1つは簡単に開けられて指先1本で簡単に閉められるワンタッチクローズ機構をパッケージに採用していることです。

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鴻巣研究所 技術部のシゴトバを紹介してくれたのは、技術部第二グループ第一チームの堀大樹(だいき)さん。技術部は製品の開発と生産の間を取り持つ部署となっており、実験室レベルのテスト品から販売可能な商品に至るまでの過程に携わります。開発に近い段階ではどのように量産化するか、生産においてはどのように合格率を上げて品質の高い製品を作るかを目的に、開発部や生産部との連携をとりながら、仕事を進めていきます。
「私が所属している第二グループ第一チームが担当しているのは、生産現場に導入される機械の開発、改良、および改善です。さまざまな生産機械がある中で、私の担当は梱包機です。コンタクトレンズをお客さまに届けられるよう、パッケージに詰めるなど最終形態にするための機械の開発、改善、および改良を行います。生産される使い捨てコンタクトレンズの品種はどんどん増えています。どんな最終形態にすればよりお客さまに喜ばれるか、一番把握している営業担当者から要望を聞き、それを実現できるような機械を検討していきます。このように新しいパッケージに対応するための開発案件に携わることの方が、改良、改善案件より多いですね」(堀さん)
写真は技術部の執務エリア。壁やパーティションなどがなく開放的で、上司や先輩にも話しかけやすい雰囲気になっていました。

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「自席では新しい梱包機やその過程で用いられる検査治具(仕上がり寸法や形状の確認などの品質管理のための測定に用いられる器具の総称)の設計を行ったり、資料をまとめたりしています」(堀さん)
写真はレンズケースのフタ材用の検査治具を設計しているところです。
「どんなふうにすれば、実際の生産現場でより使いやすいかを考えて、治具の規格を検討します」(堀さん)

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堀さんが設計した検査治具。まだ試作版だそうです。写真のようにフタ材を実際に治具に当ててみて、設計通りの寸法で的確に加工されているかどうか、判定するのに用いられます。

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機械の開発は、設備メーカーと協力して進めます。
「開発部、生産部の担当者と話をし、満たすべき要件を仕様書としてまとめ、どんな方法があるか設備メーカーに相談し、提案してもらいます。提案された内容で実際の運用が可能であればデモ機を作ってもらい、求められた機能を満たしているかテストを行います。このような試作、テストの工程を何度か繰り返して現場に導入する機械を開発していきます」(堀さん)
写真は実験室でコンタクトレンズの原料(液体)を注入して、レンズの形状にするための機械(フロントカーブ型とベースカーブ型という2つの型を重ね合わせてレンズ形状を作ることから、嵌合機=かんごうきと呼ばれる)の試作機をチェックしているところ。
「これは嵌合の機構部分(写真中央右にある黒く短い棒状部分)だけを再現したモノです。この機構で良いかを評価し、良ければ実際の生産現場に導入される機械を、装置メーカーさんに製作してもらいます」(堀さん)

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生産現場にも出向きます。
「現場で解決できないトラブルが発生したときはもちろんですが、1日1回は現場に足を運びます。実際に生産を担当している作業者の様子を見たり、何か困っていることがないかなど話しかけたりして、機械に対するリアルタイムな意見を収集しています。そういった現場での困りごとが、次の開発、改良案件に生かされるからです」(堀さん)
写真は梱包機の中でも最もトラブルが起こりやすい、コンタクトレンズケースをかみ合わせるクロスユニットケース工程の機構をチェックしているところです。

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堀さんが担当している梱包機の全景です(写真は1号棟)。中央にいる人と比べるとその大きさは一目瞭然。梱包機といっても箱詰めしていくだけではありません。箱詰めされ、パッケージにフィルムを巻く工程に進む前など、要所に品質を確認するための検査機も組み合わせ、一連の梱包機として構成されています。このような長いラインを経て、コンタクトレンズは箱詰めされていきます。
「新しく稼働した2号棟の梱包機の設計は、私が一から担当しました。1号棟に導入されている梱包機でトラブルが起こりやすかったかみ合わせ部分の機構を見直し、より生産効率が上がるような設計としました。現場の人からも喜びの声をもらいましたね。直接、お礼を言われた時は、かなりうれしかったです。また頑張ろうという意欲が湧きました」(堀さん)

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仕事を進めていくためには部署内ではもちろん、生産部や開発部、営業部門の人との打ち合わせが欠かせません。写真は2号棟に新しく設けられた打ち合わせスペースで部のメンバーと打ち合わせをしているところ。仕事上の打ち合わせだけではなく、昼休みに仲間と団らんするなど、リフレッシュ空間としても活用されています。

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ハタラクヒト 大事なのは柔軟性。機械系、電気系、化学系、光学系などいろんな出身の人が活躍

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引き続き、堀さんに「シード 鴻巣研究所 技術部」というシゴトバの魅力、やりがい、職場の雰囲気についてうかがいました。

堀さんは芝浦工業大学システム理工学部機械制御システム学科を卒業し、04年4月にシードに入社しました。
「子どものころからミニ四駆を改造するなど、機械をいじるのが好きだったんです。機械に携われる仕事に就きたいなと思い、いろいろな企業の工場見学に参加しました。そのうちの1社がシードでした。シードはコンタクトレンズを作っているため、作業現場は非常にきれい。初めて見るコンタクトレンズの製造工程も興味深いと感じました。さらに一つひとつ問題点を解決し、今の製造ラインを作ったという先輩社員の苦労話を聞き、『ぜひ、ここで働いてみたい』と思いました」

 

入社後、現在の部署に配属され、2年間、研修として製造現場を経験。
「私の所属する第二グループ第一チームは、製造現場の機械の開発、改良、改善を担当する部署です。大事なのは現場を知ること。そこで私たちのチームに配属されると2年間の現場研修があります。コンタクトレンズのすべての生産工程に一作業担当者として携わりました」

 

現場研修が終わり、技術部に戻ってきて最初に携わったのが、新しい検査機の検討案件。
「任されたのはコンタクトレンズが欠けていないか、気泡が入っていないか、大きさに問題はないかなどを検査するための機械。既存の検査機より精度が良く、生産性が向上するよう求められる機能や設置条件などを見直しました。設計だけに携わるわけではありません。私たちの部署では、設計はもちろん、設備メーカーと打ち合わせて形にして製造現場に導入し、その後の効果の確認までを担当するんです。このような流れを一人で経験できるのはチャレンジングで、本当に面白いこと。しかも今は検査機だけではなく、箱詰め工程のすべての機械の開発、改良、改善を任されるようになりました。任される範囲が増えたことで、伴う責任は重くなりましたが、それだけやりがいも大きくなるので、楽しいですね」

 

より高い品質の製品をより効率よく生産する仕組みを作ることが部のミッションとなっているため、現場で何かトラブルが起こると「技術部ならなんとかしてくれる」という現場の期待があると言います。上司や先輩たちが築いてきた現場との信頼をいかに裏切らないようにどう応えていくか、そこが「大変なところですね」と堀さんは話します。

 

使い捨てコンタクトレンズに関する製造を技術的にサポートしている技術部では、さまざまな出身専攻の人が活躍しているそうです。
「私のような機械系出身者もいれば、電気系、化学系、光学系、生物系など専攻はさまざま。何よりも大事なのは、柔軟な考え方ができること。製造や技術に限らず、仕事をしていく中では必ず問題が発生します。そのときにどのように問題を解決するか、自分の頭で考えることはもちろんですが、上司や先輩、時には後輩や同僚にも恥ずかしがらずに相談できる。そういう柔軟性を持つことなんです。またやっかいなことにも粘り強く対応していく力も求められます」

 

最後にシード 鴻巣研究所 技術部というシゴトバの風土、文化についてうかがいました。
「シード全体についても言えるのですが、社歴の浅い人でも意見が言いやすい雰囲気があります。一人ひとりの意見を大事に聞いてくれるんです。会議の場面でも、私たち若手もどんどん意見を出します。だからやりたいことが実現しやすい。もちろん自分のやりたいことを実現するには、上司や他部署の同意を得なければならないため、説得力のある資料を作成しなければなりませんが…。本当に若手のうちから活躍できるシゴトバです」

 

ご当地料理などこだわりのメニューがうれしい!

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食堂です。広くて開放的な雰囲気。メニューは凝ったものが多く、リーズナブルなのも魅力。鴻巣研究所は生産拠点なので、ランチだけではなく夜食(深夜メニュー)も用意されます。

 

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ある日のランチセット。写真はハントンライス(石川県金沢市のご当地料理。「ハン」はハンガリー、「トン」はまぐろのことで本来はマグロのフライでしたが、現在は白身魚フライが主流となっており、今回のランチも白身魚フライ)。ミニサラダ、ライス、みそ汁が付いて350円です。このほかにも日替わりの麺料理、カレーライスなどがあります。

 

シードにまつわる3つの数字

創業以来、日本人の瞳に合ったコンタクトレンズを提供するために、まい進してきたシード。以下の数字は何を表しているのでしょうか? 正解は、次回の記事で!

1. 32枚

2. 5S

3. 2039種

 

前回(Vol.135 スガツネ工業株式会社)の解答はこちら

 

取材・文/中村仁美 撮影/臼田尚史

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