大崎電気工業株式会社

大崎電気工業 技術開発本部 研究開発センター
私たちの生活に電気は欠かせません。東日本大震災以来、省エネへの関心が高まり、毎月「どのくらいの電気代を使っているか」、チェックする人も増えているのではないでしょうか。毎月、私たちが使用した電気料金は、各家庭に設置された電力量計(一般的に電力メーターと呼ばれる)が正しく計測し、その値を基に電力会社が電気代を請求します。そんな重要な役割を担う電力量計を長年、開発、製造し、トップクラスの市場シェアを獲得しているのが大崎電気工業です。大崎電気工業の歴史は古く、創業は1916年(大正5年。当時の社名は弘業製作所。41年に現在の社名である大崎電気工業に改称)。当時から配電盤や分電盤、計器用変成器、自動電圧調整器などの製造販売を手がけていました。電力量計の製造を開始したのは49年。現在、電力量計は国内だけではなく、海外にも提供されています。もちろん同社を含む大崎電気グループが開発・製造しているのは電力量計だけではありません。従来からの配電盤や分電盤のほか、デマンド(需要電力)の目標値を設定して管理することで最大デマンドが大きくなることを抑制し、契約電力の減少を図る、デマンドコントロール装置、検針業務用ハンディーターミナル、また情報通信関連では光スイッチや光カプラ(複数の光信号を結合・分岐するデバイス)、さらには二次電池組み立て装置や有機EL照明組み立て装置なども手がけています。今回は大崎電気工業の主力商品である電力量計の開発が行われている技術開発本部 研究開発センターのシゴトバを訪問しました。

 

精度の高い電力量計、デマンドコントロール装置の開発・設計という仕事

技術開発本部 研究開発センターは埼玉県入間郡(いるまぐん)三芳町(みよしまち)の埼玉事業所内にあります。最寄り駅は東武東上線のみずほ台駅。みずほ台駅までは池袋駅から東武東上線で約30分です。
埼玉事業所は工業団地の一角にあるため、みずほ台駅からは離れています。そのため、みずほ台駅からは社員用バスを利用します。もちろん自家用車や自転車、バイクなどでの通勤も可能です。
埼玉事業所の一角に研究開発センターがあります。ここでは主力製品である電力量計のほか、配電自動化機器、自動検針用機器、光関連製品などの研究開発が行われています。

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研究開発センターのシゴトバを、研究開発センター・電子計器設計グループの津田君夫さんと商品グループの大﨑なずなさんが紹介してくれました。
写真は研究開発センター1階の執務エリアをキャットウォークと呼ばれる中2階の資料置き場から撮影したところです。もともとこの建物は電子製品の工場だった建物を改装したそう。この執務エリアは工場時代の元の天井を取り払って天井高を高くし、配管などをむき出しにしたもの。また現在の天井部分は黒く塗られており、「かっこいいモノ作りオフィス」という雰囲気が漂う空間となっていました。
「研究開発センターは電子計器設計グループと基礎研究グループ、通信グループ、商品グループという4グループで構成されます。電子計器設計グループは、電力量計の開発・設計を担当しています。基礎研究グループは電流計測素子など、電力量計などに用いられる要素技術の開発をしています。また通信グループは電力量計で計測されたデータを表示器に電力線搬送方式で送信するような通信ユニットなどの開発を行っています」(津田さん)
「私が所属する商品グループでは電力量計で測定したデータを見るための表示器やデマンドコントロール装置などを開発しています」(大﨑さん)

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津田さんたち電子計器設計グループが開発しているスマートメーターです。スマートメーターとは、毎月の検針業務の自動化や、HEMS(住宅用エネルギー管理システム)を使用した電気使用状況の見える化をした電力量計のこと。東京電力では14年から設置を進めており、20年にはサービス区域全域でこれまでの電力量計からスマートメーターに変わるそうです。
「これ(写真右)は15年6月に出たばかりの最新のスマートメーターです。そしてその左が1つ前のモデルです。従来の電力量計は毎月、検針員を派遣して総使用量をチェックしてハンディーターミナルにその数値を入力しなければなりませんでしたが、スマートメーターであれば自動で行えます。検針の費用が不要になるということ。また毎日30分ごとに電気の使用量が計測して記録されるので、電力会社は時間ごとの電気の需用量を把握できるようになります。電力量計やスマートメーターは家電製品よりも長い耐用年数が求められます。しかもその期間、正確に計測し続けられるようさまざまな技術が盛り込まれているんです」(津田さん)

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「スマートメーターは大きく3つの専門分野に分かれて開発が進められます。1つは機構や構造、筐体(きょうたい:ハードウェアを構成する部品・機器を収納・保護する容器)を設計するチーム。次に私が所属している回路設計などを担当するハードウェアチーム、もう一つがスマートメーターを制御するためのソフトウェアを開発するチームです。私が担当するハードウェアチームでは電力会社から渡された仕様を満たすよう、どんな回路設計にするか、部品の選定から回路の開発・設計、試作の評価というように量産に至るまで担当します。電力量計の開発期間は約1年半。構造・筐体、ハード、ソフトのメンバー全員合わせて10人ぐらいのチームで開発を行います」(津田さん)
写真は3次元CADで部品を評価するための基板設計をしているところです。

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写真はオシロスコープで基板の動作を確認しているところです。
「基板の試作ができ上がると、正しく動くかどうか、開発者自身がオシロスコープを用いて、確認します」(津田さん)

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電力量計の試作ができれば、写真のような機械を用いて誤動作が起こらないか試験を行います。
「電力量計で最も大事なことは、いかに電力会社から求められている精度を保つかです。この装置で仕様通りの精度の誤差に収まっているか、実際に使われる環境になるよう電流と電圧を設定して、試験を行います。この試験装置は開発初期から、実際に納品されるまで何度も使う、電力量計開発には欠かせない試験装置なんです」(津田さん)
写真は津田さんが装置を操作しているところです。

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一方の大﨑さんが現在、携わっているのは、デマンドコントロール装置の開発です。デマンドコントロール装置は電力の使用状況をリアルタイムで把握し、契約電力や管理目標電力値を超えないよう諸設備を効率的に制御運用することで省エネルギー化を図ります。写真は最新機種「スーパーマックス808」。タッチパネルディスプレーを採用するなど、高い操作性を実現。パソコンとLAN接続することで、目標電力の変更やデマンド予測グラフの表示、計測データのダウンロードも可能です。

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「商品グループでは電子計器設計グループほどには、専門分化された開発スタイルではありません。例えば私は組み込みソフトの開発を担当することが多いのですが、デマンドコントロール装置に付属する端末を作ることもあります。また自分たちで仕様を検討するところから携われるのも、商品グループの特長です」(大﨑さん)
写真はデマンドコントロール装置に組み込まれるソフトを開発しているところです。

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チームで開発するため、打ち合わせもひんぱんに行われます。写真は大﨑さんが開発メンバーと打ち合わせしているところです。
「商品グループが開発しているのは、自社で企画した製品です。新しいデマンドコントロール装置の仕様を検討する際は、市場のニーズを最も知っている営業を交えて会議を行います。このようにグループ外のメンバーとの打ち合わせも多いですね」(大﨑さん)
「電子計器設計グループの場合は、埼玉事業所でモノ作りが行われているので、製造部や品質保証部、さらには要素技術の研究を行っている基礎研究グループなどと打ち合わせして、開発が行われています」(津田さん)

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ハタラクヒト 自分が作ったモノを街で目にできる。それがやりがい

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引き続き津田さん(写真左)と大﨑さんに「大崎電気工業 技術開発本部 研究開発センター」というシゴトバの魅力、やりがい、職場の雰囲気などについてうかがいました。

 

津田さんは芝浦工業大学 工学部 電子工学科を卒業し、07年に大崎電気工業に入社しました。
「モノ作りがしたかったんです。できれば『これが私の作ったものだ』と言えるような目に触れられるような身近な製品を開発したいと。大崎電気工業は電力量計の市場ではトップクラスのシェアを獲得していることを知り、実際、自分の家の電力量計を見たところ、大崎電気工業の文字が。私たちの生活を支えるこんな身近な製品を設計してみたいと思ったのです」(津田さん)

 

大﨑さんは東京都立科学技術大学(現在の首都大学東京)大学院 工学研究科を修了し、05年に大崎電気工業に入社しました。
「モノを作る仕事をしたいと思っていました。いろいろな会社の工場見学に参加したのですが、その中でもこの埼玉事業所の雰囲気がすごく良かったんです。ここで一緒にモノ作りをしたいと思い、入社を決めました」(大﨑さん)

 

津田さん、大﨑さんとも入社してからずっと現在の部署でモノ作りに携わっています。それぞれに仕事のやりがい、面白さについて聞きました。
「一番やりがいを感じる瞬間は、自分が作った製品が街の中でちゃんと使われているのを見た時です。誇らしく感じますね。電力量計はメーカーが求める仕様通りに開発することが求められます。したがって当社ならではのオリジナリティーを出すことは難しいのが現状。それだとモノ作りの面白みが欠けるのでは、と思うかもしれませんが、そうではありません。電力量計を開発する醍醐味(だいごみ)は、設計の自由度ではなく、いかに計測誤差の精度を高められるか、その追究をしていくことです。自分が持っている知識を総動員して、より精度の高いモノを作っていく。そこにこの仕事の面白さがあるんです」(津田さん)
「私が最も面白さを感じる瞬間は、『こんなモノを作ろう』とみんなで話し合ったものが、実際にモノとなった姿を見た時です。何度もこういう瞬間に携わっていますが、毎回、すごいなと思ってしまいます。本当に面白い仕事です」(大﨑さん)

 

苦労することもたくさんあります。例えば津田さんは誤動作の原因がなかなかわからず、原因を追究するのに数カ月も要したことがあったと言います。
「とにかく電力量計は決められた誤差の精度を満たさなければなりません。そのために何度も試作を重ねることも珍しくありません。私たちの会社は80年近くの歴史があります。その歴史の中で培ってきた技術やノウハウが、現在の開発にも生かされている。そんな先人の努力を裏切ってはいけないという使命感もあります。だからこそ、実際の製品となって街で見かけるとうれしさがこみ上げるんだと思います」(津田さん)

 

研究開発センターでは津田さんや大﨑さんのように機械系や電気・電子系の出身者が多いものの、化学や物理などさまざまな専攻の出身者が働いているそうです。
「私は今、組み込みソフトの開発を担当していますが、学生時代の専門は機械で、ソフトはかじった程度。大事なのは学生時代の専門よりも、柔軟な考え方だと思います。仕事をして初めて知ることはたくさんあるので、それをいかに楽しんで受け入れることができるか、それが大事なんです」(大﨑さん)

 

最後に大崎電気工業 技術開発本部 研究開発センターというシゴトバの風土、文化について聞きました。
「会社全体を通じて言えることは、優しい人が多いですね。若手でも意見が言いやすいような雰囲気を作ってくれているんです。だから伸び伸びと働ける。そんなシゴトバです」(津田さん)
「みんな本当に仲がいい。就職活動の面接時に感じた通り、雰囲気の良いシゴトバです」(大﨑さん)

 

全日本の男子ハンドボールチームの練習も行われる体育館

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埼玉事業所内の最も新しい工場に設置されているリフレッシュルームです。
「休憩時間になると製造現場で働く社員の人たちが、ここでお茶を飲んだりしてリフレッシュしています」(人事部 森田初美さん)

 

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体育館です。大崎電気工業の男子ハンドボールチーム「OSAKI OSOL(オーソル)」のホーム体育館として主に利用されているそうです。
「OSAKI OSOLは1960年に創部された歴史あるチームです。現在の日本代表チームの監督やスタッフ、選手も同部より多数選抜されていて、この体育館で練習することも多いんですよ」(森田さん)

 

大崎電気工業にまつわる3つの数字

私たちの生活に欠かせない電気。その使用量を計測する電力量計の開発、製造に携わっている大崎電気工業。以下の数字は何を表しているのでしょうか? 正解は、次回の記事で!

1. 6桁

2. 10年

3. 第4000号

 

前回(Vol.136 株式会社シード)の解答はこちら

 

取材・文/中村仁美 撮影/平山諭

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