<技術開発>沖電気工業株式会社(OKI) シゴトバ&やりがい紹介

今回の訪問先 【OKI 社会システム事業本部 交通・防災システム事業部 コンポーネント開発部】

災害の発生や、それに伴う避難情報などが発表されたときの情報伝達手段として欠かせないのが「市町村防災行政無線システム(以下、防災無線)」です。防災無線の親局は災害対策本部が設置されている市区町村の役場に設置されます。そこから担当者が伝達すべき情報を発信し、無線通信により屋外や各家庭に設置されている子局に伝達されるという仕組みになっています。そんな私たちが安心・安全に暮らすためのツール、防災無線を開発しているのが、日本最初の通信機器メーカー(当時の社名は明工舎)として創設されて以来、日本の情報通信の発展に尽力してきたOKIです。創設者の沖牙太郎(おき・きばたろう)氏は、明治政府が通信機器を修理するために作った工務省電信寮製機所(官営工場)で、電信・電話技術を磨きました。そして退所後明工舎を設立し、「進取の精神(先見性を持って自分の信じる夢にチャレンジする精神)」を持って国産電話機の開発にまい進。そして初の国産電話機の開発を実現するのです。これはアメリカでグラハム・ベルが電話機を発明してわずか5年後のことでした。この創業時の「進取の精神」は脈々と受け継がれ、以後、冒頭で紹介した防災無線や電話交換機のほか、ATM(現金自動預払機)や航空管制システム、コンタクトセンター(※)システム、プリンターなど、情報社会の発展に貢献するさまざまな製品を提供しています。今回は防災無線を開発しているOKI 社会システム事業本部 交通・防災システム事業部 コンポーネント開発部のシゴトバを訪問しました。

※電話やファクスなどによるお客さまからの問い合わせや注文などに応えるために設置される、お客さまセンターやサポートセンターなどの総称

より高機能・高効率な防災無線装置を設計・開発

社会システム事業本部 交通・防災システム事業部 コンポーネント開発部のシゴトバは、東京都港区芝浦にあります。最寄り駅はJR山手線の田町駅。そこから10分ほど歩けば、同シゴトバに着きます。田町駅は東京駅から山手線で8分の距離。都心にありますが、ビルのすぐ裏手には新芝運河が流れているなど、のどかな雰囲気もあります。同運河沿いは散歩できる緑地となっており、天気の良い日はOKIの社員の方も休み時間に散歩したり、ベンチでランチをとったりしているそうです。

ph_rikei_vol140_01

交通・防災システム事業部 コンポーネント開発部のシゴトバを同開発部 開発第二チームの佐藤勇輔(ゆうすけ)さんが紹介してくれました。

「コンポーネント開発部は芝浦と沼津に拠点があり、大きく4つの製品を開発しています。1つ目はETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)の親機(道路に設置されるシステム)の設計開発です。2つ目は私たち第二チームが設計開発している防災無線。3つ目が消防無線。4つ目が航空管制システムです。芝浦の拠点では、航空管制システムを除く3製品(ETC、防災無線、消防無線)のハードウェアについて開発を行っています」(佐藤さん)
写真は執務エリアです。
「ここでは回路図などの図面を描いたりメールの処理のほか、経費精算などの事務作業をしています」(佐藤さん)

ph_rikei_vol140_02

防災無線の親局装置です。手前のモニターが付いている装置は役場内に設置される操作卓です。この装置から屋外拡声子局や戸別受信機(子局)経由で災害情報などを放送する制御を行います。また操作卓の右側にある、中央に受話器が付いているロッカー状のモノが親局無線機です。
「このような親局無線機の中に搭載される、送信機の設計開発を担当しています」(佐藤さん)
東日本大震災以降、防災無線装置に対して、お客さまである市区町村からさまざまな要望が届いたと佐藤さんは言います。
「システムに対しては、機能の充実です。東日本大震災の時は、防災無線担当者が逃げ遅れるということがありました。そこで担当者の安全が確保できるよう、一度放送した内容を録音して何度も繰り返して流せるようにしたり、また遠隔で操作卓を制御できるようにしたりしています。また装置自体の強化も図っています。防災無線装置は地震や水害などにあっても、ハード的に壊れることは許されませんからね。そのほかにも子機(戸別受信機)においては聴覚障害者向けに文字表示装置を付けたり、さまざまな機能の充実を図っています」(佐藤さん)

ph_rikei_vol140_03

各家庭に設置される戸別受信機です。
「地域によっては屋外拡声子局からの音声が聞こえにくいところがあります。そういう地域では市区町村が各家庭にこのような受信機を配布し、住民の安全を守っています」(佐藤さん)
戸別受信機の大きさは、ハードカバーの書籍とほぼ同じぐらい。停電時でも使えるよう乾電池が内蔵されています。

ph_rikei_vol140_04

実験室です。「開発が本格化してくると、執務エリアで使っているPCを実験室に持ち込んで、ほぼ一日ここで仕事をしています」と佐藤さん。
写真ははんだゴテを使い、送信機の試作品を作っているところ。
「試作ではまず、部品の選定や回路のパターン設計、部品配置を行います。その後、一度工場で試作品を組み立て、その後抵抗やコンデンサの値を調整するといった細かい作業を行います。実際に手を動かすことが非常に多いですね。設計開発というと、PCの前に座って図面を描くイメージがあるかもしれませんが、先にも言ったように実験室で実際にモノに手を触れていることが多いです。私たち開発者はお客さまの要望を基にどんな防災無線を開発するか、企画の立案から量産化に至るまでの一連のモノづくりの流れを担当します。私はまだ経験はありませんが、実際に自分が開発した製品がユーザーに納入された際に、何かわからないことが生じた場合はSI(システムインテグレーション)の担当者から問い合わせが来たりすることもあるそうです。そういう意味ではお客さまに届くまでずっと、その製品を担当するといっても過言ではありません」(佐藤さん)

ph_rikei_vol140_05

ネットワークアナライザ(高周波回路網の通過や反射電力の周波数特性を測定する装置)を使って、送信機(試作品)単体の評価試験を行っているところ。
「送信機の設計で、一番ポイントとなるのがいかに消費電力を削減できるかです。実は親局無線機の中で、最も電力を使うのはこの送信機です。というのも送信機には子機への送信信号を増幅するための電力増幅器があり、この増幅器で消費される電力がかなり大きいからです。防災無線は災害時に使用されるため、たとえ停電したとしても長く装置を可動させなければなりません。だからこそ、消費電力の削減が重要になるのです。そこでネットワークアナライザを使い、選定した部品が正しく機能しているかなどを含め、設計した回路の評価を行います。このようなテストを繰り返すことで、より高効率な回路になるよう、作り込んでいきます」(佐藤さん)
またこのデスクでは送信機の単体試験だけではなく、親局無線機に組み込み、送信機全体の評価試験もできるようになっています。

ph_rikei_vol140_06

送信機の開発は担当者である佐藤さんに一任されていますが、防災無線のシステム開発はチームで行っています。写真は佐藤さんが描いた図面をディスプレーに映して、チームで話し合いをしているところ。
「開発する上で何よりも大事になるのはチームワークです。送信機の開発を任されているとはいえ、送信機は親局無線機に組み込まれるユニット(構成要素)の一つ。そのほかにもさまざまなユニットが組み合わさり、親局無線機ができ上がります。たとえ一つひとつのユニットが素晴らしくても、それを組み込んだ親局無線機がうまく機能しなくては意味がありません。だからこそ、チームワークが大事になるんです。したがってチーム内でのコミュニケーションは本当に活発。入社4年目の私は開発経験も少ないため、わからないこともたくさん出てきます。そんなときチームの先輩は本当に頼りになりますね。モノづくりにおいては、チームワークが大切なんだと身にしみて実感しています」(佐藤さん)

ph_rikei_vol140_07

ハタラクヒト 知識・経験豊富な先輩にも気軽に相談できる、話しやすいシゴトバ

ph_rikei_vol140_08

佐藤さん(写真左)と2015年に新卒で入社し、7月に配属されたばかりの横山星馬(せいま)さんに「OKI 社会システム事業本部 交通・防災システム事業部 コンポーネント開発部」というシゴトバの魅力、やりがい、職場の雰囲気などについてうかがいました。

佐藤さんは2012年3月に東北大学大学院工学研究科を修了し、同年4月にOKIに入社しました。
「モノづくりが好きで、モノづくりができる会社に就職したいと考えていました。大学院の研究テーマは無線。その知識を生かすため、モノづくりと無線というキーワードで企業を探したところ、最初に頭に浮かんだのがOKIでした。日本の通信機メーカーのパイオニアですから。入社を決めたのは会社説明会や面接などで出会った人たちが温かかったこと。話しやすい雰囲気で、『きっと働きやすいだろうな』という印象を持ったからです。教授からも『いい会社だよ』と言われ、迷いなく入社を決めました」(佐藤さん)
一方の横山さんは日本大学大学院理工学研究科を15年3月に修了し、同年4月にOKIに入社しました。
「実は学部時代は情報系を専攻していました。無線の研究に従事したのは、大学院に進んでから。モノづくりに触れ、その面白さに目覚めました。したがって就職活動時当初は、交通や防災分野でモノづくり系だけではなく、情報系も視野に入れていました。でもやはりモノづくりをしたいと思い、大学院時代に学んだ無線の知識も生かせるOKIを選択。たとえわからないことがあっても、一から学んでやっていけるという風土もあると聞き、OKIでモノづくりに携わりたいと思いました」(横山さん)

佐藤さん、横山さん共に希望通り、現在の部署に配属され、佐藤さんは防災無線の送信機の設計開発、横山さんは佐藤さんの指導の下、OJTで設計業務に取り組んでいます。

「東日本大震災が発生したときは東北大学大学院の院生だったので、宮城県仙台市に住んでいました。私自身に大きな被害はありませんでしたが、周囲の住民の方の中には被災して困っている方も。そんな方がでないようにできればいいなと思い、日々、装置の開発に取り組んでいます。人のためになる仕事に携われるのは、大きなやりがいです」(佐藤さん)
「災害が起こっても大きな被害を出さないようにという思いはチーム全員が持っていることです。そういうモノづくりに携わりたいと思っていたのでうれしいですね」(横山さん)

佐藤さん、横山さん共に学生時代は無線について学んでおり、その知識を土台にして現在の仕事に生かしています。
「コンポーネント開発部で開発しているモノには、いずれも無線がかかわっています。しかし所属しているメンバー全員が、学生時代に無線を学んでいたわけではありません。例えば実装を担当しているメンバーには、機械系の出身者もいますし、材料系の人も。もちろん電気系の人もいます。とにかくこの仕事に情熱と誇りを持って、さまざまな苦難があってもそれに果敢に挑戦できること。それが一番大事だと思います」(佐藤さん)
「あとはやっぱり無線が好きなことも大事だと思います」(横山さん)

OKIという会社・風土について聞きました。
「コンポーネント開発部のメンバーの年齢構成は20代から50代までと幅広いですが、とにかくどの年代の方とも相談がしやすい雰囲気です。同年代だと同じ悩みを抱えていたりするので、仕事のことやプライベートのことまで話し合い、日々、盛り上がっています。30代、40代、50代の先輩方は経験や知識も豊富なので、仕事や技術に関してわからないことがあると、すぱっと答えてくれる心強い存在。本当に年代問わず、皆さん人がいいんです。実は2015年に入って、増幅器の回路が思った通りに動かず、すごく悩んだことがありました。そこで先輩に相談したところ、夜遅くまで残って、一緒に問題解決に取り組んでいただきました。おかげで申し訳ないなと思いながら、一人で悩むよりも早い解決ができましたね。チームワークの良さも感じられるシゴトバです」(佐藤さん)
「何歳になってもみんな向上心が高いのに驚きました。そういう刺激を常に受けられる、成長できるシゴトバです」(横山さん)

食堂のリニューアルで「社員の意識改革」を実施

社員食堂「OkiteriaSHIBAURA」です。OKI 高崎事業所では1958年に開設されて以来、50年以上変わらなかった食堂を2011年にリニューアルしました。この食堂改革の背景にあったのは、「社員の意識を変えること」。つまりきれいな社員食堂のおいしい食事が社員の交流を促進して新しい発想につながるとして、同事業所の食堂のリニューアルに取り組んだそうです。その成功を受け、各事業所においても食堂のリニューアルを実施。食堂の運営はとんかつチェーン店「さぼてん」などを全国展開しているグリーンハウスフーズに委託しているそう。
「メニューも豊富でおいしいです。日替わりランチも3つ用意されており、A、Bランチは432円で食べられます。CランチはスペシャルランチでA、Bより少し高めとなっていますが、それでも500円台。また週1回は発芽玄米や麦ご飯などを使った健康ランチもあります。もちろん、月に何回かはとんかつも登場。社員自慢の食堂です」(人事部 採用担当課長 市川貴士さん)

ph_rikei_vol140_09

毎年夏に開催される納涼祭のワンシーンです。
「2015年の本社地区の納涼祭は、ホテル グランパシフィック LE DAIBA(東京都港区台場)で開催されました。社長をはじめとする経営陣も参加。抽選会などのイベントも実施され、盛大に盛り上がりましたね。納涼祭は各事業場で開催されており、工場の場合は盆踊りがあるなど地域の方も参加できるような催しを実施しています。例えば本庄工場(埼玉県本庄市)では、1000発の花火が打ち上げられ、地域の人たちも毎年、開催を楽しみにしてくださっています」(市川さん)

ph_rikei_vol140_10

OKIにまつわる3つの数字

日本最初の通信機器メーカーとして創業以来、日本の通信事業の発展に貢献し続けているOKI。以下の数字は何を表しているのでしょうか? 正解は、次回の記事で!

1. 1

2. 128種類

3. 1881年

前回(Vol.137 大崎電気工業株式会社)の解答はこちら

取材・文/中村仁美 撮影/臼田尚史

就活をはじめる以前に、本当はいろんな不安や悩みがありますよね。
「面倒くさい、自信がない、就職したくない。」
大丈夫。みんなが最初からうまく動き出せているわけではありません。

ここでは、タテマエではなくホンネを語ります。
マジメ系じゃないけどみんなが気になる就活ネタ。
聞きたくても聞けない、ホントは知りたいのに誰も教えてくれないこと。
なかなか就活を始める気になれないモヤモヤの正体。
そんなテーマを取り上げて、ぶっちゃけて一緒に考えていきましょう。

みなさんが少しでも明るく一歩を踏み出す気持ちになれることが、
私たちの願いです。