<技術開発>金属技研株式会社 シゴトバ&やりがい紹介

今回の訪問先 【金属技研 群馬工場 技術課】

例えば発電事業用のガスタービンや航空機、自動車、半導体や液晶製造装置など特殊な金属部品を製造するには、熱処理(※1)や拡散接合(※2)、ろう付(※3)、精密機械加工などの加工技術を用います。このような金属加工の要素技術を武器に、日本のモノづくりを支えているのが金属技研です。1960年に理化学研究所のメンバーが独立して金属の光輝熱処理(※4)を基幹事業として設立した会社であり、現在はHIP処理(※5)をはじめとする熱処理およびろう付や焼結などの受託加工に加え、設計から製作までを一貫して行う提案型のモノづくりを提供しています。特にHIP処理は航空機やロケット、発電用ガスタービン、さらには大型加速器など、最先端分野向けの製品に幅広く用いられています。最近では厳しい品質基準が求められる航空機部品リペア事業へ進出。また、いち早く金属3Dプリンターによるモノづくりの実用化にもチャレンジするなど、技術開発にも余念がありません。今回は金属技研 群馬工場 技術課のシゴトバを訪ねました。

※1 加熱・冷却により素材の硬度や性質を変化させる処理方法
※2 母材を密着させ、母材の融点以下の温度条件で、塑性変形をできるだけ生じない程度に加圧して接合面間に生じる原子の拡散を利用した接合方法
※3 母材よりも融点の低い合金を溶かして接着剤として用い、複数の部材を接合する接合方法
※4 表面の高温酸化および脱炭を防止し、金属光沢を失わない状態を保持する熱処理
※5 熱間等方圧。超高温・超高圧を処理体に加えることで、通常は困難な材料の接合や内部欠陥の除去、粉末焼結などが可能

材料調達から金属処理加工までを一貫して提供

金属技研 群馬工場があるのは群馬県佐波(さわ)郡玉村町。玉村町は群馬県南部に位置する町です。江戸時代には日光例幣使街道(にっこうれいへいしかいどう:日光東照宮に朝廷からの供物を奉献するための勅使が通る道。現在の県道142号線)で、玉村町はその宿場町として栄えてきました。遠方には赤城山、榛名山、妙義山を一望でき、自然豊かな土地です。群馬工場の周囲も非常にのどか。社宅に住んでいる社員以外は、ほとんどが車通勤。2013年に関越自動車道の高崎玉村スマートインターチェンジが開通したことで、東京や新潟方面へのアクセスがさらに便利になりました。
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群馬工場 技術課のシゴトバを紹介してくれたのは、同課の北森龍之介さんです。
「当社には国内に7つの工場(群馬、神奈川、茨城、千葉、成田、姫路、滋賀)がありますが、最も古くに稼働し、当社の成長を支えてきたのが群馬工場です。群馬工場では現在、12基の真空炉を構え、自動車や半導体、精密機器などの分野のお客さまを中心に、熱処理やろう付などの接合、精密機械加工および設計などを請け負っています。私が所属する技術課の仕事は、お客さまが求める仕様のモノを実現するために、必要なことを提案して具体化していくことです。携わる仕事は新規案件や試作がメインになります。営業課が獲得した案件について、どのような方法や工程で製作するかを考えます。必要があれば営業に同行してお客さまの元へ出向き、打ち合わせに参加。要求をどう実現するか任されるので、非常にやりがいがありますね」(北森さん)
写真は技術課の執務エリアです。
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「業務はデスクワークと製造現場での作業がほぼ半々です。デスクワークでは新規品の工程設計・図面作図を行い、製作工程の標準化を目指します。製品によってはさまざまな熱処理や加工を行うため、ブランク図(部品接合前の図面)や中間加工図を作図することもあります。私たち技術課が素早く正確な図面を書き上げなければ、製作日程が遅れたり、加工でのトラブルとなってしまうため、責任重大です。量産品の案件の場合、図面ができたら、現場での作業に移ります。図面に従ってまずは試作品を技術課の自分たちで製作。その試作品がお客さまの要求を満たしていれば、量産できるように製造課と連携しながら作業マニュアルを作成します。実際に製造が始まると、現場へ赴き、問題がなく作業が行われているかを確認。このように技術課では、工法の策定から量産化に至るまでの工程管理を担当するのです。そのほかにも、一品物となるお客さまの試作開発品の設計・製作や、製造工程をより効率的にするための治具(加工や組み立ての際に用いる器具)の製作も行います。このように試作品や治具の製作という手を動かす作業に従事したり、製造現場に赴いたりすることも多いですね」(北森さん)
写真はデスクのPCでCADを使ってブランク図を描いているところです。
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新規案件を担当するので、毎日が新しいことの連続だそう。
「扱う素材はもちろん、お客さまの要求もさまざまです。中には『どうやって形にすれば良いのだろう』というものも。ですがどんな難しい要求でもそれを実現するのが私たちのミッション。金属同士を接合する方法もろう付や拡散接合などいろいろあります。ろう付一つとっても、ろう材の材質は銀なのかニッケルなのか、複数の選択肢から最適のものを使用します。またさまざまな加工方法を組み合わせて作る製品の場合、その順番によって熱の影響による変形の仕方が変わるので、どういう順番で加工すれば精度が確保できるのか、そういう手順も検討します。お客さまが求める条件をクリアすることはもちろんですが、コスト的にも合う方法で作らなければなりません。時には外注先に依頼して行う工程もあり、外注先の選定から納期調整等も技術課のメンバーで行っているんですよ。私たちの仕事はいろいろな部署、取引先と連携をして初めて成り立ちます。コミュニケーション力は欠かせません」(北森さん)
写真は真空炉でろう付による接合をするため、現場担当者と指図書を見ながら、打ち合わせているところです(写真中央が北森さん)。
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作業室です。検討した接合方法で大丈夫か、実際に試しているところです。
「オフィスにいないときは、この作業室にいることが多いですね。ここでは試作品や治具を製作したりなど、実際の製品完成に至るまでのさまざまな準備を行います。机上の検討ではうまくいっても、実際に試してみないとわからないことはたくさんありますからね」(北森さん)

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北森さんが製作した治具(写真左の先端にローラーが付いたモノ)です。
「この治具は金属をつぶすためのもので、加工後最後の仕上げに使用できるか検討するため製作しました。設計図を描くことから始め、加工は自分で行いました。この治具は失敗することなく、一発で製作できました」(北森さん)
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金属技研は金属の熱処理や機械加工だけを行うわけではありません。材料調達から設計、品質検査や分析・解析まで、一貫したモノづくりが可能です。写真は医療用分析装置に組み込まれる部品を組み立てているところ。
「どのような形に加工すればお客さまが求める装置ができるのか、形状から検討をします。このような完成部品の製作を1工場で完結できるところが、当社の強みとなっています」(北森さん)
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HIP処理した部品の一例です。素材は内側が銅で、外側がステンレス。
「銅とステンレスは本来、接合しにくいのですが、当社が長年培ってきたHIP処理の技術により欠陥もなく、非常に美しく接合しています」(北森さん)
HIP処理は高価な処理のため、半導体などに用いられる高機能材料や航空・宇宙などの分野によく用いられる工程だそうです。
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電子ビーム方式の金属3Dプリンターで製作した加工サンプル品です。
「今はまだコスト的な問題など、課題はたくさんありますが、数年後には金属3Dプリンターでのモノづくりが実用化されるよう研究や試作を進めています。受託加工業でこのような最先端の技術を取り入れているところはほとんどありません。このように当社は、新しい取り組みへの挑戦も積極的に行っています」(北森さん)
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ハタラクヒト 社風のテーマは「和」。人のつながりを大切にしているシゴトバ

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引き続き北森さんに「金属技研 群馬工場 技術課」というシゴトバの魅力、やりがい、職場の雰囲気などについてうかがいました。
北森さんは東京都市大学工学部を2013年に卒業し、金属技研に入社しました。
「大学の研究室では、水素自動車の研究を行っていました。より熱効率の良い燃焼方法を研究するため、エンジン部品の改造を金属加工の専門家の方に、依頼したんです。その方が加工しているのを見たとき、初めて金属加工への興味が湧き、自分でもやってみたいと思いました。とはいえ、就職活動時は分野を決めず、幅広く探すことに。リクナビで興味のある会社をチェックしていくうちに出合ったのが金属技研です。実際に工場見学に行き、そこで働いている人たちと話してみるとすごく話しやすく、魅力的だと感じましたね。ここでなら、きっと楽しく働けると思い、決めました」

3カ月間の研修が終わり、配属されたのは熱処理係。現場で素材の焼鈍(しょうどん ※1)、固溶化処理(※2)、焼き入れ(※3)、時効処理(※4)などの作業を行います。
「1年2カ月間、携わりました。平日は設備を24時間稼働させているため、3交替制勤務を経験。1人で12基ある真空炉の半分を担当していましたね。現場での仕事は体力が求められましたが、金属熱処理のいろはを知るよい経験だったと思います」

※1 金属材料を高温に保持したのち徐冷する熱処理
※2 元素を均等に拡散させた後、急冷により元素を内部に閉じ込める熱処理
※3 所定の高温状態から急冷させる熱処理
※4 ある温度での雰囲気で、時間による特性変化を促進させる熱処理

14年10月に技術課に異動し、現在は新規品・試作品の製作を担当しています。
「担当する製品の大きさはさまざまですが、面白さややりがいを感じるのは『これはちょっと難しいだろうな』と思ったものでも、どうにか形にできたとき。以前、タングステンとステンレスの拡散接合品を製作した際は、1個をつくるのに30回ほど、油圧ジャッキで材料の反りを修正しながら削るという作業を行いました。それぐらい製作に手間がかかるものもあります。だからこそ、できたときの達成感は格別なんです」

北森さんの出身専攻は工学部ですが、化学系だったため技術課に配属されるまで図面を描いたことがなかったそう。
「私たちの仕事で最も重要な金属の知識も、会社に入ってから学びました。仕事をしていく過程で自然に身につけていくことができるので、心配はいりません。またOJT制度があり、入社して1年間は先輩社員が全面的にサポートしてくれます。私は入社3年目ですが、現在もその当時の先輩社員がいろいろ相談に乗ってくれます。そういう風土が社内に根付いているんです。学生時代にむしろ身につけておいた方が良いと思うのは、息抜きの方法やコミュニケーション力。私たち技術課の仕事は製造現場、営業などの社内の他部署、さらにはお客さままでいろいろな人とコミュニケーションすることで成立します。誰とでも気後れすることなく話せることが大切なんです」

最後に金属技研という会社の風土・文化について聞きました。
「当社の社風のテーマは人のつながりである『和』。つまり人を大切にしている会社です。特に群馬工場は部署間のやり取りが盛んで、風通しが良いと感じています。仕事がしやすい雰囲気のシゴトバです」

アクティブに活動するランニングクラブ

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ランニングクラブの活動が盛んです。写真は群馬工場のランニングクラブメンバーで、15年10月25日に開催された上州太田スバルマラソンに参加したときの一コマ(写真右下が北森さん)。スバルマラソンではハーフマラソンのほか、10キロメートル、5キロメートル、2キロメートル(小学生のみ)のコースが用意されていました。
「私が参加したのは10キロメートルのコース。クラブのメンバーの中には、ほかの大会で100キロメートルマラソンに参加する人もいますが、私を含め多くのメンバーが自分の体力や目的に合わせて楽しんで走っています」(北森さん)

金属技研にまつわる3つの数字

創業以来、モノづくりに欠かせない金属部品の加工を一貫して手がけている金属技研。以下の数字は何を表しているのでしょうか? 正解は、次回の記事で!

1. 100000000度

2. 8

3. 15台

前回(Vol.140 沖電気工業株式会社)の解答はこちら

取材・文/中村仁美  撮影/臼田尚史

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