<前編>【東邦亜鉛株式会社】シゴトバ紹介

非鉄金属の製錬事業を展開する「東邦亜鉛」のシゴトバ紹介

-基本情報-
【本社所在地】東京都千代田区
【製錬所】安中(群馬県安中市)、契島(広島県豊田郡)、小名浜(福島県いわき市)
【事業所】藤岡(群馬県藤岡市)
【支店】大阪、名古屋
【従業員数】675名(2017年9月30日現在)
【事業内容】非鉄金属製錬事業を中心に、資源事業(鉱山開発)、電子部材事業、環境・リサイクル事業、ソフトカーム(遮音建材)事業を展開している。
-東邦亜鉛のすごいトコロ-
非鉄金属(亜鉛・鉛・銀)製錬業において、国内生産トップクラスのシェアを有するリーディングカンパニー。主力事業である亜鉛製品の国内シェアは、約20パーセントを占める。1937年の創業時より、豊かな暮らしに欠かせない非鉄金属製品を通じて社会に貢献している。鉱山開発から金属製錬まで一貫して手掛けおり、非鉄金属製品の安定供給体制を確保している。

東邦亜鉛の会社概要・沿革

自動車、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品や、ガードレール、鉄塔、ワイヤーロープなどの私たちの生活には欠かせない製品たちは、いずれも鉄で作られています。鉄は酸素と水に触れることでさびが発生します。そこで先のような製品の材料となる鉄には、さびを防止するためのメッキが施されています。その材料となるのが亜鉛です。

 

1937年に設立して以来、亜鉛、鉛、銀という非鉄金属の製錬事業を展開してきたのが東邦亜鉛です。会社設立と同時に安中製錬所で電気亜鉛の製錬を開始。1950年には契島製錬所を買収し、翌1951年に粗鉛の製造、1955年に電気鉛の製錬を開始します。1963年には小名浜製錬所を建設し、亜鉛焙焼(ばいしょう)、硫酸の製造を開始。1966年には藤岡事業所を建設し、銑鉄(高炉や電炉で生産される粗製の鉄)の製造を開始します。2010年にはオーストラリアの鉱山開発会社「CBH Resources Ltd.」を完全子会社化し、原料鉱石の安定的供給体制を構築しました。

 

東邦亜鉛は製錬事業、資源事業のほかにも、電子部材、環境・リサイクル事業なども展開。電子部材事業ではエレクトロニクス製品に不可欠なインダクタ(コイル)やトランス(変圧器)を、磁性材料開発から手掛け、お客さまのニーズに対応。環境・リサイクル事業では電炉ダスト(製鋼用アーク炉で鉄スクラップを溶解する時に発生する煙灰)からの酸化亜鉛の製造、小型充電式電池のリサイクルなどに取り組むことで、資源循環型社会、さらには「ゼロ・エミッション(※)」の実現を目指しています。
※ 環境を汚染したり、気候を混乱させたりする廃棄物を排出しないしくみ、または、その他のエネルギー源を指す。

 

安中製錬所のシゴトバ紹介

今回は東邦亜鉛 安中製錬所のシゴトバを紹介します。
安中製錬所がある群馬県安中市は、群馬県西部に位置する街。西は長野県軽井沢町と接しており、江戸時代には中山道の宿場、関所が置かれるなど交通の要衝として発展してきました。

 

安中製錬所の最寄り駅はJR信越本線の安中駅。駅のホームに降りると、目前の小高い山の斜面に製錬所が広がっているのが見えます。実はこの信越本線の線路を使って毎日、同製錬所に鉱石が運び込まれているのです。
安中駅から製錬所の入り口までは徒歩5分。信越本線は運行本数が少なく、通勤時間でも30分に1本程度のため、ほとんどの社員は車通勤をしているそうです。

 

安中製錬所のシゴトバではどんな仕事をしているの?

安中製錬所 第二製造部 製錬二課の菅大輔さんがシゴトバを案内してくれました。

 

安中製錬所は亜鉛・鉛事業本部の主力工場であり、国内有数の亜鉛の製錬所です。亜鉛の製錬は次のような工程をたどります。

 

1. オーストラリアのシドニーに本社を構える、亜鉛鉱山を操業する子会社(CBH社)などの海外の鉱山から輸入した亜鉛鉱石を焙焼し、酸化亜鉛焼鉱とする(焙焼工程)。
2. 焼鉱を硫酸に溶解させてカドミウムなどの不純物を取り除き、きれいな硫酸亜鉛溶液にする(造液工程)。
3.硫酸亜鉛溶液を電気分解し、電極に付着した金属亜鉛を回収(電解工程)。この製法でできた亜鉛が電気亜鉛(亜鉛分99.99パーセント)。
4. 電気亜鉛の場合は、鋳型に入れてインゴッドに成形して完成。そのほかにも亜鉛合金、亜鉛末、酸化亜鉛など、お客さまのニーズに合わせた成分・形状の製品にして出荷する。

 

1日に東邦亜鉛で製造される亜鉛の量は300トン。しかし、同社で製造しているのは亜鉛だけではありません。
「例えば、焙焼工程では大量の二酸化硫黄(SO2ガス)が発生するため、それを材料にして硫酸を製造し、製品として出荷しているんですよ」(菅さん)

 

鉱石から製品に至るまでの各工程を管理し、より生産性が高まるように技術の改良、環境の改善などを検討、実施していくのが製造部のメンバーの役割となっています。
「安中製錬所では焙焼、造液、電解工程へと工程が進むにつれて、施設が下に設けられているんです。各施設へは階段で上っていくのですが、最も上にある焙焼工程の施設までは300段ほどあります」(菅さん)

 

なお、安中製錬所敷地面積は広大で50万平方メートル(東京ドーム約10個分)もあるそうです。現場に移動する際にイノシシなどの動物に出会うことも珍しくないそうです。

 

安中製錬所 菅大輔さんのおシゴト紹介

 

菅さんは、硫酸亜鉛溶液を作る造液工程を担当しています。
「安中製錬所は1年中稼働しています。したがって、どのプロセスも止まることは許されません。そこで毎日、溶解管理室では液がちゃんと流れているかモニタリングしたり、執務室のデスクでは操業データを毎日解析したりし、正しい精度で電解が行われているかを確認しています。それだけでなく、より効率の良い方法がないか、プロセスの検討も行っています」(菅さん)

 

亜鉛製錬のプロセスは、既に完成されていると一般的には思われているのですが、「自分たちで変えられるポイントもたくさんある」と菅さんは言います。その理由の一つが亜鉛鉱石は鉱山によって、不純物の成分とその量が異なること。亜鉛精鉱は亜鉛のほかに硫黄や鉄、鉛、銅、カドミウム、金、銀、インジウムなどで構成されているのですが、これら不純物の含有量が多くなると、それを取り除く工程も新たに考えなければなりません。またその不純物の中には、回収して製品にする金属もあります。しかし、どの金属を回収するかは時代のニーズや価値によって変わることがあると言います。
「鉱山によって、含まれる成分は異なります。そのたびに、溶液の配合も変えなければなりません。またこれまでと同じ操業ではうまくいかないこともある。そのような場合は、操業のプロセスも新たに検討する必要があります。溶液の配合やプロセスについては、机上で検討した後、ラボでテストを行います。その結果が良ければ、現場に適用することになるのですが、常に現場は動いているので迅速に対応していかねばなりません。だからこそ、うまくいったときは非常に大きなやりがいが得られます」(菅さん)

 

2017年現在、入社6年目の菅さんは造液工程で作られる有価金属回収のための設備も管理しています。実はこの回収の方法を企画、提案をしたのは菅さんです。入社して2年目、同製錬所の技術研究所(現在の技術研究室)に配属されていた時に、有価金属を製品化するために、それをいかに効率的に回収するかという研究テーマを担当することになりました。菅さんの提案が通ると、あっという間に設備が造られたそうです。現在も新しい技術やプロセスを検討する際は、技術研究室のメンバーと相談して進めていくそうです。

 

業務は設備の管理や新しいプロセスの検討だけではありません。造液の現場にも出向きます。
「警報が鳴ったときはもちろん現場に駆けつけますが、それ以外にも装置が正しく稼働しているか、pHを測定したりします」(菅さん)

 

造液の現場だけではなく、その後工程の電解の現場に出向くこともあります。
「電解の現場では、溶液の様子を確かめます。万一何か液に異常があれば、それを改善するような手段を考えます。品質へは全力でこだわっていますので」(菅さん)

 

前編では【東邦亜鉛 安中製錬所】のシゴトバを紹介しました。
後編では菅さんに入社の決め手やシゴトバの魅力、これから就活を迎える学生さんへのアドバイスなど、お話しいただきます。

次回へ続く

(後編 2月7日更新予定)

取材・文/中村仁美 撮影/臼田尚史

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