デル株式会社

にしな・ようこ●法人営業統括本部 第二営業部 マネージャー。東京都出身。43歳。文学部国文学科卒業。2000年入社。美術商として事業を立ち上げた両親に影響され、結婚、出産を経てもずっと働き続けたいという気持ちは強かった。デルの成果主義の風土に魅力を感じ、29歳で転職。現在、夫と3歳の息子との3人暮らし。

年齢や性別にかかわらず、成果をフラットに評価してくれる

中途採用でデルに入った29歳の時、仁科さんのIT知識は「パソコンって何?」という程度だった。それまで、日本の自動車メーカーで法人、個人向けの営業として6年勤務していたが、「女性は結婚したら辞めるもの」という社内の価値観が強く、仁科さんも結婚と同時に退職を決意。よりフェアに働ける環境を求めて、デルの門をたたいた。

「前職では、全国の営業成績トップ10に3回入るなど、きちんと業績を出していました。でも、同期の男性社員の方が出世も早いし待遇もいい。やるせない思いを抱きながら退職し、デルの中途採用面接に来て衝撃を受けました。まず、面接担当者が女性のマネージャー職の方だったこと。そして、『1年後には、あなたが私の上司になっているかもしれませんよ』という言葉を頂いたこと。それくらい、性差や年次に関係なく、成果をきちっと評価する会社だというお話に、ここで頑張りたいと前向きな気持ちになったのを覚えています」

 

2000年に入社すると、法人営業部にて内勤営業として業務をスタートさせる。内勤というと、外勤営業のアシスタントのような仕事をイメージしがちだが、デルにおいて内勤営業とはいわば“司令塔”だ。お客さまのファーストコンタクトは常に内勤営業が担当し、電話、メールでお客さまのニーズをヒアリング。商品の価格設定から提案内容まですべて内勤営業が行い、お客さまに直接説明するなど訪問の際は外勤営業をアテンドするのだそう。

「例えば、デスクトップを10台購入したいというご相談が入ったら、すぐに『10台納品します』と受けるのではなく、まず誰が、どのように使う10台なのかをヒアリングしていきます。新入社員用ならば、彼らが外勤営業になったときにノートパソコンも必要になるのでは、といった視点や、今後のデータ管理のためのサーバやストレージ容量は現状のシステムで足りているのかなど、お客さまの状況を把握した上でニーズを深掘りしていくのです。直接お会いしたいというお客さまもいらっしゃるので、その際は、作成した提案資料を外勤営業に託します。技術面の説明が必要そうであればエンジニアをアテンドして一緒に行ってもらうなど、あらゆるプランニングを行います」

 

電話とメールのみの対応で、ニーズのヒアリングから見積書の送付、受注、納品手続きまでを内勤営業が担当するのは、デルならではのスタイルだ。何千万円や何億円規模の大型案件になれば、内勤と外勤が密に連携して進めていくが、1000万円以内などの中規模案件に関しては、内勤営業の対応のみで納品まで行うことが多いため、営業のスピードは上がり、効率的になる。

「お客さまと直接会うことはありませんが、だからこそ、ニーズに対してタイムリーに対応していくことで信頼してもらおうと仕事に取り組んできました。例えば、注文のお電話が来た段階で、話を聞きながら見積書を作成していきます。保証期間を3年と5年で迷っていると聞けば、それぞれのパターンをつくり、電話を切る直前に『今、概算をつくりましたのでメールでお送りしておきました』と言うのです。信頼を築く上で、クイックレスポンスはとても重要。“欲しいときに欲しい情報を提供する”ことを徹底しているうちに、『仁科さんさえいてくれれば安心です』と言ってくださるように。お会いしたこともないのに、そんな言葉を頂けるのは、内勤営業冥利につきます」

 

さらに、ただパソコンやその周辺機器を納品するのではなく、商品を梱包(こんぽう)から出したらすぐに使えるようセットアップまで完了させて納品したりと、お客さま先の負担を極力減らすサービスも提案していった。スピード感と細やかな対応を両立させ、営業成績を伸ばしていった仁科さんは、入社7年目には法人営業部のアシスタントセールスマネージャー、11年目には同部のセールスマネージャーに昇格していく。

 

現在は、セールスシニアマネージャーとして25名の部下を持つ仁科さん。年齢も職歴もさまざまな個性あふれるメンバーのマネジメントにおいて、モチベーションアップのために細かな工夫を欠かさない。

「電話とメールでの営業活動では、目の前にお客さまがいない分、手を抜こうと思えば抜くことができます。だからこそ、数字達成への意識を高めるべく、売り上げを上げればタイムリーに褒めます。また、目標を達成したときは、『あの大型案件を決めて達成しましたね。本当におめでとう』というメールを、あえて社長や本部長をCCに入れて本人に送るのです。自分がどんな仕事をして業績を残したのかを知ってもらえることは、大きなモチベーションになるだろうと考え、地道に続けています」

 

ニーズのヒアリングから商品の納品までの全プロセスを担当する内勤営業では、事前確認漏れによる小さなミスはどうしても起こってくる。見積書の計算間違いから、機器を構成しているパーツに不足があり、納期に間に合わないことが受注後に判明するといったトラブルまで。しかし、1回目のミスを責めることはせず、チャレンジしていく気持ちを伸ばす方に注力しているという。

「メンバーから、新しい提案内容を相談されたときに『それは会社のシステム上できない』『前例がないからやめておこう』など、足を引っ張る発言はしない。これはデルのマネージャー誰もが意識していることです。難しいけど何とかしよう、既存のスタイルを変えてやってみよう、とお客さまのニーズに沿って常に変化することが求められます。一度のミスを厳しく責めていたら、チャレンジする気持ちを萎縮させてしまうかもしれない。そう思いながら、メンバーとのコミュニケーションを心がけています」

 

長く大手メーカーを担当する部署にいた仁科さんだが、2014年8月からはインターネット、ゲーム開発系の企業を担当し、デル内で最もスピード感の求められるポジションにいるという。

「今月末までに何台欲しい、といった時間軸で、毎日が目まぐるしく過ぎます。例えば『新しくリリースしたゲームが当たれば今月末にはアクセス数が急増するので、最新のサーバを100台、最短で納品してほしい』といった具合に。お客さまの事業内容が変われば、こちらの対応も大きく変わるところが、営業の面白さ。デルならではの内勤営業の醍醐味(だいごみ)をメンバーにも味わってほしいですね」

 

 

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マネージャーミーティングで部の売り上げ状況を共有。法人営業統括本部が担当する顧客数は6500を超えるため、密な情報共有は必須だ。

 

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案件の打ち合わせや社内ミーティングも電話が多いため、ヘッドセットを使い常に両手をあけパソコンが使える状態にしておく。隣のデスクとの間には簡易な仕切りもあり、業務に集中しやすいよう考慮されている。

 

仁科さんのキャリアステップ

STEP1    社会人7年目、法人営業部の内勤営業に配属

自動車メーカーを退職した後、IT知識がまったくないまま入社。最初の数カ月はITの周辺知識、商品知識を必死で勉強し、新製品がどんどんリリースされるスピード感についていくのがやっとだったという。「既存顧客を100社ほど担当し、取引の少ないお客さまに対しては、なぜデルを選ばないのか、その理由を一つひとつヒアリングしていきました。価格が問題であれば、社内でどれほどまで下げられるのかを検討し、納品が遅いと言われれば工場のラインや商品パーツの在庫状況を確認して納期を早められるか確認。災害対策やセキュリティ対策を加えた商品パッケージを提案するなど、デルだからこその付加価値をつけ、選ばれる工夫を常に考えていましたね」。

STEP2    社会人14年目に法人営業部でアシスタントセールスマネージャー、18年目に同部でセールスマネージャーに昇格

さまざまな職歴を持つ営業メンバーのマネジメントを任せられる。お客さまに直接会わない内勤営業ゆえ、気持ちがゆるんでしまうメンバーも少なからずいたため、プロとして営業をしているという緊張感を持ってもらうよう意識していた。「今、外勤営業からのフィードバックを待っています」というメンバーがいれば、待っている間に次のビジネスチャンスを考えるよう助言。「納期に間に合うよう飛行機の運航状況を確認したり、お客さまのキャッシュフローを見て取引できる財政状態にあるのかを調べたりと、事前にチェックすべきことはたくさんあります。そういった細かいことまで把握して初めて仕事がスムーズに進んでいくことを伝えていました。デルでは、売り上げ数字はすべてデータで管理されているので、電話の受発信本数や担当顧客からの受注額がどれくらい入ってきているのかアワリー(毎時間)で見ることができます。メンバーの状況がわかりやすいので、マネジメントする側も、少し不調なのかな…などと早めに察知してフォローすることができるのです」。

STEP3    社会人19年目にセールスシニアマネージャーに昇格。その後、1年4カ月の産休・育休を取得

セールスマネージャー時に、グループが目標達成率140パーセントとなり、その業績が評価され昇格。同年12月から産休・育休に入り、息子を出産する。「子どもを産む前は、出産したらキャリアが閉ざされてしまうんじゃないか、仕事を続けるのは難しいんじゃないかなど、とても怖くて不安だらけでした。でも、当時の上司も2児の母として活躍していたし、出産後に戻るのは当たり前という周囲の理解もあって、心配は杞憂(きゆう)に終わりました」。

STEP4    セールスシニアマネージャーとして復職し、社会人22年目にテレコム、インターネット、ゲーム開発系企業の担当部署に異動

産休、育休後に復職した際の働き方はデルではさまざま。時差出勤、時短勤務など自身のライフスタイルによって選択ができるが、仁科さんはセールスシニアマネージャーとして9時から17時半までのフルタイム勤務で復職する。「17時半には必ず帰るので、承認が必要なものはそれまでに持ってきてください」とメンバーに周知。時間を設定すると、仕事を前倒しで進めるようになり、結果として業務がスムーズに進むように。「マネージャーは早く帰った方が、メンバーも早く帰りやすいでしょう」と笑う。

ある一日のスケジュール

5:30 起床。
6:30 3歳の息子と夫と3人で朝食。
8:40 息子を保育園に送りとどけてから、出社。
9:00 前日の売り上げの集計。週で予定している案件の進捗確認。
10:00 部内で担当する約2100社の売り上げ推移や動向を確認し、キーとなる案件を追っているメンバーと案件の進捗を確認。
12:00 ランチをしつつ、デスクで承認関係のシステムに目を通す。
13:00 マネージャーが集まってミーティング。
16:00 席に戻り、メンバーから個別案件の相談を受ける。
17:30 退社。保育園に息子を迎えに行く。
19:00 帰宅。入浴、絵本を読んで寝かしつけ(平日、息子は保育園で夕食をすませている)。
21:00 息子が寝たあと、夫と夕食。
23:00 就寝。

仁科さんのプライベート

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2013年9月に家族3人でバリ島へ。出産前は毎年行っていたほどバリ島が好き。ただ、長時間のフライトで息子が泣き続けたため、次に行くのはまた先になりそう…。

 

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休日は近所の公園でゆっくり時間を過ごす。撮影しているのは夫。写真が趣味でずっと続けているという。

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2014年12月に北海道へ。初めて見る雪におっかなびっくりの息子。手には焼きマシュマロを握っている。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/鈴木慶子

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