アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.

よこやま・ゆみこ●法人事業部門‐日本 ミドルマーケット 新規営業 本部長。東京都出身。44歳。東洋英和女学院大学人文学部社会科学科卒業。2004年入社。日本企業を1社、外資系企業を3社経験したのち、コロンビア大学国際関係公共政策大学院に留学。マーケティングに興味を持ち、34歳でアメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.に入社する。現在、夫と5歳の娘との3人暮らし。

コーポレートカードのマーケットリーダーとして道をつくっていきたい

アメリカン・エキスプレス(以下、アメックス)に入社する2004年まで、日系企業から外資系企業まで4社を経験してきた横山さん。現在、法人事業部門でコーポレートカード(法人カード)の新規営業部・本部長を務め、「性差や家庭の状況などにかかわらず働ける、営業部のダイバーシティを進めたい」と、ワーキングマザー3人を含む17人の営業部隊を指揮している。そのダイバーシティの醍醐味(だいごみ)を知ったのは、2社目の外資系航空会社勤務のときだったという。

「海外への憧れを抱きながら、新卒で入社したのは日系の大手銀行でした。一般職入社ながら、海外赴任の可能性があると知り入ったのですが、2年も働かないうちに『すぐにでも海外に行きたい』という思いを抑えられなくなって…。海外で暮らし、仕事をしながら生きる力をつけたいという思いで、外資系航空会社の客室乗務員へキャリアチェンジをはかりました。企業から提供された8週間の語学研修を経て働き始めると、アジア10カ国から集まってきたクルー(同僚)との生活習慣、価値観の違いに驚くことばかり。サービスの一環として、席に座っているお客さまと目線を合わせるためしゃがんで話しかけていると、『日本人はお客さまに対して丁寧すぎる』『そんなに下手に出なくてもいいだろう』と言われてしまうことも。日本のお客さまのニーズと海外の常識とのギャップに気づき、日本人としてのアイデンティティを感じることも多くありました。3年間の客室乗務員の経験があったから、多様な価値観を持つメンバーと働く面白さを実感できたのだと思います」

 

帰国してからは「日本のマーケットに向けて海外のよいものを伝える仕事」をしたいと、外資系の格付け会社、外資系の情報サービス会社に転職。その後、32歳から2年間留学したコロンビア大学大学院で受けたMBAの授業をきっかけに、コンシューマ(消費者)マーケティングに興味を抱くように。個人向けのマーケティング戦略を考えたいと、「富裕層向けのカード会社」というイメージが強かったアメックスへの入社を決めた。

「ニューチャネルディベロップメントという、新設のグループでマネージャーとして配属になりました。アメックスのカードは男性が主なターゲットでしたが、新たにNon-Working Woman(働いていない女性・専業主婦)をターゲットにしようというミッションの下、マーケット分析や販売戦略を考えていきました。

 

07年に社内公募システムを活用して、法人事業部に異動。企業向けの、経費精算のためのコーポレートカードを扱うマーケティンググループのマネージャーとなる。アメリカやイギリスなどの企業では、コーポレートカードを利用して経費精算を済ませる企業が半数を超えるというが、日本の経費精算は半数が現金払いだといわれている。毎月発生する煩雑な精算業務をクレジットカードで行うメリットは大きいと、アメックスでは業界に先駆けてコーポレートカードの導入を進めてきた。個人カードのときと違い、カード導入の意思決定者でありその後の運用を司る“企業”と、実際にカードを利用する“社員”という2層のお客さまが存在するコーポレートカード。そのマーケットを初めて経験することで、当初は個人カードとのプロモーションや営業のやり方の違いに戸惑ったという。

 

企業によって、経費精算の管理の仕方やニーズはさまざまなので、すべてのお客さまに対して同様のプロモーションを行うということは非常に難しい状況だった。そんな中、10年に産休明けで営業職に移ったことをきっかけに、実際にお客さまの要望をお会いして聞くことで、企業の共通ニーズを確信。「社員が経費で得たポイントはすべて企業につく」という新しいコーポレートポイントプログラムを、マーケティングと共に14年に開発していった。

「会社が使う経費の支払いにポイントを充当したり、社内イベント用の賞品としてギフトカードで購入したり、あるいはたまったポイントを一括して社会貢献のプログラムに投じたりと、個人ではなく企業としてさまざまな使い方ができるようになりました」

また、マーケットセグメントとしては、大企業のみに導入を提案していたコーポレートカードを、中規模企業(ミドルマーケット)にも広げていこうと、13年に中規模企業向けの新規営業グループの立ち上げを任された横山さん。当初ひとりだったグループには、いまや17人のメンバーがいる。

「中規模企業はトップの一声で導入が決まりやすく、かつ、経費精算の既存のやり方も大手企業ほど確立していないため、コーポレートカードを導入するか否かの判断スピードが速いんです。欧米やアジアの国々での中規模企業での成功事例も多くあり、また、日本でのクラウドの経費精算システムの動きも活発化しているため、中規模企業向け事業にはニーズがあるだろうと確信していました」

今までエクセルで管理していた経費精算が、コーポレートカードと経費精算システムの連携を利用すれば、使ったカードのデータが48時間後には、自動でアップロードされる。スマートフォンからのWebアクセスでクリックを数回するだけで簡単に経費精算が完了するのだという。

「経費精算をする社員の手間が省け、かつ経費が透明化でき、コンプライアンス(法令遵守)が強化できるコーポレートカードと経費精算システムの連携は、数年後の日本の経費精算システムを変えると言っても過言ではありません。欧米諸国に比べ、効率化が遅れている日本の経費精算システムを変えるマーケットリーダーになるのが、アメックス法人事業部門の掲げているミッションです」

 

現グループには、5歳の娘がいる横山さんのほか、3人のワーキングマザーが在籍し、フルタイム勤務で営業活動を行っている。「せっかく一からチームを立ち上げたのだから、“法人営業”とはこういう人がやるものだという常識やイメージを覆すような、ダイバーシティを実現させたチームを目指す」と、性差や家族構成などにかかわらずみんなが活躍できる組織づくりを進めている。

「大切にしているのは、個人の時間を尊重するカルチャーの醸成。出なくていいミーティングには出ないこと、『とりあえず集まろう』などと目的の曖昧な打ち合わせは設定しないことを心がけています。共有すべき事案があれば、その情報が必要なメンバーの席に行って話せばいいのであって、できる限り無駄な会議は設けません。時間を無駄にしないようみんなが心がけていると、定時に帰ることが普通となっていきます。このカルチャーをつくることが、多様な生活スタイルを持つメンバーが、“営業”として活躍できる土壌をつくることにつながると考えています。今の仕事は、日本の経費精算の在り方を変える仕事。コーポレートカードのマーケットリーダーになることに加え、ワークライフバランスを保ちながらできる営業組織、数字もあげられる組織をつくっていきたいですね」

 

ph_woman_vol158_01

メンバーと営業戦略ミーティング。中規模企業を対象にしたコーポレートカード導入という新しいマーケットの開拓を共に担ってきた営業メンバーだけに結束が固い。

 

ph_woman_vol158_02

オーストラリア人の直属の上司(左)とは英語でコミュニケーション。他人の時間を尊重する上司なので打ち合わせも短時間で簡潔に完了。

 

横山さんのキャリアステップ

STEP1 銀行勤務を経て、社会人2年目に外資系航空会社の客室乗務員に転職

1社目はビジネスマナーや必要書類の作り方など社会人のイロハを教えてくれた場所だったが、「海外で暮らし、自分一人で生活できるようになりたい」との思いが強く、海外拠点の航空会社に転職。当時付き合っていた現在の夫に「3年待ってほしい」とお願いして海外生活を送り、3年後に帰国して結婚。「外資系で働いたことで、日本人としてのアイデンティティを持ちつつ、海外のカルチャーにも触れられた。海外と日本の懸け橋になりたいと思うようになりました」。

STEP2 社会人5年目、外資系格付け会社、外資系情報サービス会社に勤めたのち、コロンビア大学大学院に2年間留学

32歳から2年間、夫婦でコロンビア大学大学院に留学。きっかけは夫が留学したいと言い始めたことだったが、横山さん自身も「営利企業ではなく公的組織に行くべきか」など進路に悩んでいたタイミングだったため、キャリアをリセットして視野を広くするために留学を決める。「それまで稼いできたお金を使い果たすことになるし、子どもをいつ産むべきか悩むところもありました。でも結果として、留学したことでマーケティングという新しい分野に興味を抱き、アメックスへのキャリアにつながっていったので、思い切って行動を起こしてよかったと思っています」。

STEP3 社会人13年目の2004年、アメックスにマーケティング部のマネージャーとして入社。07年に法人事業部門に異動

女性会員を対象にした特典プログラム「クラブ エッセンシア」の立ち上げに、販売チャネルの開拓としてかかわる。その後、コーポレートカードを企業に導入する法人事業部門に社内の公募制度を活用して異動。「部署異動時の7年前と比べるとコーポレートカードの普及率が上がってきました。経費精算システムとコーポレートカードの情報を連動させることにより、カードの使用状況が自動反映され、経費として申請したいものをチェックするだけで精算ができるようになったからです。企業の経費精算を簡素化することで、一人ひとりが仕事に向かう時間が増え、会社全体のパフォーマンスは絶対に上がると思っています」。

STEP4 社会人18年目の2009年、1年半の育児休暇を経て、法人事業部門の営業マネージャーに。13年に中規模企業向けの新規営業チームを立ち上げる

復職後は、週3回、保育園に娘を迎えに行くため17時半に仕事を切り上げる働き方がスタート(週2回は夫が担当)。「今日やらなくてはいけないこと」の優先順位を上げ、それ以外の仕事は残したままにする、というスタイルで仕事を始めると、日々やらなくてもいい仕事に手をつけていたことに気づいた。また、メールの返信も「書きたいことではなく書かなくてはいけないことだけを書く」と徹底すると、文章量が以前の半分以下に。「子どもができたおかげで、仕事の効率が上がり、集中力が増した気がします」。

ある一日のスケジュール

6:15 起床。
7:30 娘を保育園に送る。
9:00 出社し、メールチェック。
10:00 営業戦略ミーティング。
12:00 ランチ。
14:00 営業メンバーの同行でお客さま先へ。
16:00 帰社し、メンバーからの相談にのる。メールチェック。
17:30 退社し、娘を保育園に迎えに行く(週2回は夫が担当)。
19:30 買い物をすませて帰宅。
20:00 夕ご飯を食べて、娘を入浴させ、寝かしつけ。
24:00 家事の残りをすませて、就寝。

横山さんのプライベート

ph_woman_vol158_03

2004年5月の大学院の卒業式(左から三番目が横山さん)。夫と自分の両親にNew York観光も兼ねて、出席してもらった。実父は3年前に他界したが、「両親と6人、最初で最後の海外旅行」といういい思い出ができた。

 

ph_woman_vol158_04

2014年12月、保育園のクリスマス会でパチリ。保育園のイベントでは、わが子はもとよりクラスメートの成長も見られ、毎回涙する。

 

ph_woman_vol158_05

将来、本格的な移住をするために、現在は葉山で週末お試し暮らしをしている。写真は大家さんの畑。お米やたくさんの野菜が育っていて、古き良き里山の風景が残っている葉山に家族で魅せられている。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/鈴木慶子

就活をはじめる以前に、本当はいろんな不安や悩みがありますよね。
「面倒くさい、自信がない、就職したくない。」
大丈夫。みんなが最初からうまく動き出せているわけではありません。

ここでは、タテマエではなくホンネを語ります。
マジメ系じゃないけどみんなが気になる就活ネタ。
聞きたくても聞けない、ホントは知りたいのに誰も教えてくれないこと。
なかなか就活を始める気になれないモヤモヤの正体。
そんなテーマを取り上げて、ぶっちゃけて一緒に考えていきましょう。

みなさんが少しでも明るく一歩を踏み出す気持ちになれることが、
私たちの願いです。