株式会社日立ソリューションズ

しんぐう・えりこ●ビジネスイノベーション事業部 ビジネス・プラットフォーム本部 第2部。京都府出身。35歳。同志社大学商学部卒業。2002年入社。やりたいことを見つけられず幅広い業界を見ていた就職活動時代、文系でも活躍できるモノづくりの職種・システムエンジニアにひかれ、入社を決意。現在、夫と2人の息子(6歳、3歳)との4人暮らし。

これから続く後輩に向けて、育児と両立できる働き方を示したい

文系でも技術を習得してモノづくりに携われる――。新宮さんがシステムエンジニア(SE)という職種に興味を抱いたのはそんな理由からだった。

日立ソリューションズは、企業の経営課題をITの力で解決するソリューションプロバイダー。産業、流通、通信分野向けのソリューション提供をはじめ、ITプラットフォームの開発や販売に取り組んできた。現在は、ビッグデータ、IoT(※1)やM2M(※2)、クラウドなど、新しい技術やサービスを積極的に手がけている。

(※1)IoT:Internet of Things。あらゆるモノに通信機能が組み込まれ、インターネット同士で情報伝達できるようになる情報通信技術のこと

(※2)M2M:Machine to Machine。機器同士がネットワークでつながり、互いに情報のやりとりを行うことで、人を介さずに情報収集や管理・制御ができるようになる技術のこと

 

「人事担当者の親しみやすさにひかれた」と入社を決めると、3カ月の研修期間を経て、流通企業を担当するインフラチームに配属される。担当したのは、大手流通企業の基幹システムのインフラ環境構築。サーバーのマシン機器の構築など、システムを動かすための“箱”を作る仕事だった。

「学生時代にまったく触れたことのない分野でしたから、3カ月の研修で業界の一般教養や技術を学ぶもののわからないことだらけ。実際に配属されると、会議で話されている内容についていけず大変でした。議事録をとっても、用語自体がわからないので意味がないほど(笑)。わからない言葉は一つひとつ調べて、聞いてわかるようにするという地道な作業の繰り返しで、打ち合わせにも少しずつついていけるようになりました」

コンピュータマシンと外付けディスクの接続設定や、ソフトウェアのインストールなど、システム構築の手順書を読みながら進めていったという新宮さん。1年目では、インフラ環境の導入から設計、構築、運用の作業を行っていたが、お客さまの業務内容やシステムの全体像はわかっていなかったという。

 

3年目になると、別の流通企業の担当となり、お客さまの事業内容を理解した上で、インフラ導入から構築・運用までを見るように。担当したのは商品の通信販売を行っていた企業。日立ソリューションズとして、「消費者の注文を受ける」「商品を発注する」「物流側が商品をそろえる」「消費者に配送する」「消費者に請求する」というさまざまな機能を一括で動かすシステム開発を任され、新宮さんはすべてのシステムを問題なく収容できるインフラ環境の構築を一手に担うことになった。この時、インフラ導入から運用までをほぼ一人で担当したことが、自分の働き方を考える大きなきっかけになったという。

「3年間に及ぶプロジェクトの中で、データベースのサーバーに負荷がかかりすぎて、システムの起動に不具合が起きることが何日か続いたことがありました。システムが停止することは絶対に許されないので、予備用のサーバーを待機させ、稼働中のサーバーにトラブルが生じても予備機に切り替えることで、システムが正常に動き続ける状態をつくっておきます。しかし、稼働中のサーバーの調子が悪くなることが続いたため『抜本的に見直さなければ』とインフラの構築環境から、何かトラブルの原因はないか調べることになりました。当時、2人体制のインフラチームのうち、私がほとんどすべての情報を把握して仕事を進めていたので、不具合が生じるたびに私がいなければわからない、という状況。何か問題が起こると、夜中でも電話が鳴り、インフラ環境のことを聞かれることも生じてきます。結局、プログラム設計を見直すことで問題は解消したのですが、自分がいなくても仕事が回る環境を自らつくっていかなければ、結局は自分の首をしめることになる、と気づかされました」

 

その後、2回の産休・育休を取り、6歳、3歳の男の子を育てながら、時短勤務を続けている。現在担当しているのは、アマゾン ウェブ サービス(以下AWS)という、クラウドコンピューティング(※)のアカウント発行、支払い代行業務を担当している。

「AWSを使いたい企業はたくさんありますが、業務で使うためには法人カードが必要になることが多く、カードの発行までに時間がかかってしまいます。そこで、日立ソリューションズは、通信サイトAmazon.co.jpの運営会社であるアマゾンさんとビジネス提携し、AWSを活用したい企業のためにアカウント取得や支払いを代行します。サービスを利用した分を各企業に請求し、作業手数料を頂くかわりに、使いたいときにすぐAWSを使えるようにするのです。月末月初が仕事のピークになるので、仕事量を事前に把握しやすく時間をコントロールしやすい。子育てとの両立がしやすい環境で働けていると思います」

 

※Webサービスという形で企業向けに行う IT インフラ構築のサービス提供。これまで、ビジネス拡大に向け数カ月前から調達準備をしなければいけなかったITインフラを、AWSから初期投資不要で、即座に調達し、低額の従量課金で利用できるようになった。

 

出産しても仕事はずっと続けたいと思っていたと言う新宮さん。ただ、最初に産休・育休に入った時は周りにワーキングマザーが少なく、実際に続けられるかはやってみなくてはわからなかった。

「身近に前例が少ないので私が道をつくるしかない。意識したことは、仕事を家に持ち帰らないことと、帰宅時間になったらぱっと帰ることでした。長時間突っ走って仕事をする姿を見せては、後輩が続いていけないと思い、育児と家事を両立させたい女性社員に向けて、私が働き方を示す気持ちでいます。日立ソリューションズは子育てへの理解が深く、退社時間が少しでも遅くなると、年次や男女問わずみんなが『あれ、今日は早く帰らなくていいの?』と声をかけてくれます。AWSの利用者が増え、処理する情報量もますます多くなっていますが、仕事の効率をあげ、短い時間で正確に仕事を進めるノウハウを蓄積していきたい。それを周りにも発信したいと思っています」

 

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AWSの支払い手続きの進捗状況をメンバーと共有。子どもが熱を出すなど急な予定が入っても仕事が滞ることのないよう、意識的に状況を共有するようにしている。

 

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月末月初は支払い手続きに追われて多忙に。細かなお金の計算が多いが、必要な情報を整理し、正確な数字を出すスピードは日々上がっている。

 

新宮さんのキャリアステップ

STEP1 入社1年目、3カ月の研修を経て、流通系のインフラチームに配属

食材、日用品の通信販売を手がける小売企業を担当し、インフラチームとしてハードウェア環境の構築に携わる。サーバーが落ちてシステム全体が止まることがないよう、バックアップ機能の設定、トラブルが生じたときに必要なソフトのインストール設定など、起こりうる障害をすべてシミュレーションして先手を打っていった。

STEP2 入社3年目、流通系企業の基幹システムの開発を手がける

システム開発、インフラ構築合わせて15人のプロジェクトメンバーで通信販売の大手小売企業を担当。新宮さんは、パソコンの種類や台数、選定から、必要なソフトウェアのインストールと設定、設計書に基づきストレージ(デジタル情報を保存するハードディスクなどの記憶装置のこと)とパソコンを接続するなど、インフラ環境の構築を任された。「トラブルが起きるたびに原因究明に追われる多忙な日々でしたが、不調の原因がわかり、スムーズに動くようになった時は、毎回小さな達成感と安堵(あんど)感があります」。

STEP3 入社7年目に2年間の産休・育休を取得したのち、大手法律事務所を担当

産休に入っても、インフラに関する質問でメンバーから電話がかかってくることが続き、「私がいなくなったら仕事が止まってしまうような働き方はやめよう」と痛感。
時短勤務で復帰後は、弁護士事務所に常駐し、弁護士や秘書の入所、退所に伴うシステムのアカウント管理、稼働統計情報収集を担当する。「独自システムを開発・構築をするというより、メールシステムやスケジュール管理、掲示板やメッセージ機能などのパッケージソフトを導入し運用する仕事を担当していました。日立ソリューションズからは5人のメンバーが常駐していましたが、休日や夜間に発生する仕事は、私以外のメンバーで分担して配慮いただくなど、とても恵まれた環境で働いていました」。

STEP4 入社10年目、次男を出産。復帰後にAWSの支払い代行業務を担当

法律事務所で働いていた時に東日本大震災が発生。都心の事務所から神奈川県の自宅まで歩き、帰宅した時には深夜になっていた。そんな経験から、「何か起こったときのために、自宅から近い場所で働きたい」と思い、次男を出産後は大森(大田区)の事業所勤務を希望。当然、必ずしも希望がかなうとは思っていなかったが、たまたま現在の仕事が人員補充の検討をしていたため参画し、大森在勤となった。通勤時間を短縮できたことで、朝早くに出社して仕事をすませるなど効率よく働けるようになったという。

ある一日のスケジュール

5:00 起床。身支度や家事をすませる。
6:00 子どもたちを起こして朝食。
8:45 子どもたちを保育園に送ってから出社。
9:00 メールチェック。
10:00 支払い処理や請求書の作成と送付に追われる。
12:00 会議室を借りて同僚とランチ。買ってくることが多い。
13:00 AWSアカウントについての問い合わせに応対。
16:00 退社。週1で整骨院に行き体を整える。
17:40 保育園に迎えに行き、帰宅。
18:30 子どもたちとその日あったことを話しながら夕ご飯。その後、入浴。
20:30 子どもたちが就寝。一緒に寝てしまうことがあるので、携帯電話の目覚ましをセットし、握りしめて寝かしつけ。
23:30 家事をすませたあと、テレビを見たり、読書したり、自分の時間を楽しんでから就寝。

新宮さんのプライベート

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2014年秋に富士山のふもとでキャンプ。月に1回は家族でキャンプに出かけている。ちなみに、冬は同じ頻度でスキーへ。

 

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2014年冬に、実家のある京都に帰省。寒さをものともせず、実家近くの公園で遊び倒す子どもたちと。

 

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休日は家族で近所の大型ショッピングモールへ。1週間分の食材や必要なものを一気に買いそろえる。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/鈴木慶子

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