株式会社ピーエスシー

さとう・かおる●ITサービス事業部 ITS2課 課長。東京都出身。30歳。東京家政大学家政学部環境情報学科卒業。2007年入社。手に職を目指す大学時代の友人に刺激を受け、「技術者に近い職種を」とIT業界に絞って就職活動を行っていた。現在、夫と4カ月の娘(2015年6月25日時点)との3人暮らしで育児休暇中。2016年1月に復帰予定。

ITインフラ設計を通じて、結婚・出産を経て長く働ける専門性を身につけたい

企業のビジネスを支えるITインフラ(PC、スマートデバイス、サーバー、ネットワーク)の構築、導入から運用・保守、Webサイトに関する企画、制作、システム開発、デザインなど、幅広くワンストップサービスを展開する株式会社ピーエスシー。技術力を身につけ、長く働ける仕事を見つけようと、IT業界に絞って就職活動をしていた佐藤さんは、ピーエスシーの「新家族主義」というクレド(信条)にひかれたという。

「女子大時代、栄養士や保育士といった“手に職”を目指す友人が多く、私も技術職に近い仕事を、と考えるようになりました。IT企業は、個人が淡々と技術力を磨く、少し冷たい印象を持っていたのですが、ピーエスシーが掲げるクレドのひとつ、『新家族主義』にイメージを覆されました。それは、『人が自立できるだけの高いスキルと人間性を身につけつつ、なれ合いやもたれ合いではなく、刺激と安心を求めて、皆が参加し続けるような厳しくも温かい家族主義的企業体を目標とする』というもの。学生時代、ITスキルはまったくありませんでしたが、ここでなら、技術を習得し、長く働き続けられるかもしれないと思いました」

 

入社後、2カ月の研修を経てITサービス事業部に配属されると、半年後には大手航空会社の案件担当者として、パソコンの設定業務を担当。案件の立ち上げから担当していた上司が部長に昇格したため、入社半年の佐藤さんが担当者として引き継ぐことになったのだ。

「1年間で約4000台のパソコンを空港に導入する大型案件で、最初に任されたのは、空港で働く社員の皆さまが、パソコンに電源を入れたらすぐに使える状態にすることでした。IPアドレスやドメイン設定などを約4000台分、一気に進めるため、アルバイトを集めて一斉に同じ操作をしていきます。私はその管理をするのですが、正しい設定を理解するには自分が操作できることが絶対条件。先輩に教わりながら、それまで見たこともなかった設定画面を必死に操作して覚えていきました」

 

その後、同案件の現場への導入指示や運用・保守業務まで手がけた佐藤さん。導入から運用・保守までの一連のサービスを担当できたことが、マネジメントの仕事のベースになっていると話す。

「パソコンの設定が完了したら、現地(空港)に配送されます。実際の導入は配送業者の担当者にお願いしますが、社員の方が操作する際にわからないことや不備が出てくれば、業者の担当者から私に連絡が入り、正確に操作していただけるよう指示を出さなくてはいけません。担当者がITに詳しい方とは限りませんので、専門用語を使わずに誰にでもわかるよう説明する力は非常に鍛えられました。導入までのスケジュールの立て方も、『この台数でこの作業ができるアルバイトが何人いれば、この納期には確実に間に合う』といった感覚も持てるようになりました。入社半年後に案件担当者になった時は焦りと不安しかありませんでしたが、やるしかない環境に置かれたから今がある。あのタイミングで昇格してくれた上司にも、感謝しなくてはいけませんね(笑)」

 

同案件を5年間担当し、導入したパソコンの修理や回収、設定変更対応などを手がけたのち、6年目からはスマートフォンやタブレットなどのスマートデバイス業務に異動。プロジェクトマネージャーとして、携帯電話キャリア、印刷会社への設定業務を担ってきた。お客さまが社内で使用しているスマートフォンやタブレット端末を、業務内容に合わせて設定変更していくのが主な仕事だ。

パソコンからスマートデバイスになったことで、設定業務の操作はまったく異なり、再びいちから勉強することに。プロジェクトマネージャーとして、お客さまの要望と納期の調整など、全体のスケジュール管理を担うため、技術面を理解していなければお客さまの話にすらついていけない。周りの先輩に聞きながら必死に操作して覚えていったという。ただ、異動した当初は、業務内容に対して設定した納期が、タイトなのか余裕があるのかといったスケジュール感覚が持てず、現場(設定業務を担当するメンバー)から悲鳴があがったらどうしようとひやひやしていたと話す。

「スマートデバイスに関する知識がないと、作業できる人員を増やすことでスピードアップできる設定業務なのか、より複雑な技術が必要な業務なのか、判断がつきません。設定を担当しているメンバーのもとに頻繁に足を運び、『このスケジュールだったら間に合うか』『実作業するメンバーは何人くらい必要か』などと聞き回っていましたね。スケジュール感覚がつかめてくると、お客さまのニーズに最大限応えられるよう、現場との調整方法もわかってくるように。『作業できるアルバイトを何人増やすので、この納期でお願いできないか』といった環境改善案を提示し、自分なりに実現可能なシナリオを考えた上で話すという方法をとれるようになりました」

 

入社9年目の現在、育児休暇を取得し一時期、職場を離れている佐藤さん。出産までの1年半は、モバイルデバイス課の課長として、10人のメンバーを持ち、新規案件獲得のための営業同行から各メンバーが持つ設定案件の進捗管理、人事考課まで担当してきた。メンバーの年齢もさまざまで、「年上のメンバーとのコミュニケーションには最初戸惑いがあった」というが、はっきりと指摘していくことが、お客さまや案件にかかわるメンバー全員にとってプラスになると理解できるようになったという。

「最初は、目の前にいるメンバーとのコミュニケーションにばかり気をとられ、どんな言葉で伝えるべきかなどをこまごまと考えていました。でも、メンバーの先にいるお客さまや案件に携わる現場の方のことこそ考えるべきだと思い直したことで、『このスケジュールは非現実的だと思う』『この資料だと、お客さまには伝わりにくいと思う』と、迷いなく言えるようになったんです。実際に、納期設定やスケジュールの組み方がタイトだと、業務にかかわる人は皆大変になります。私は、実際に手を動かして設定する案件から、納品現場との調整、メンバー管理までさまざまな段階を経験してきました。その経験をもっと自信を持って伝えていくべきだと思えてからは、マネジメントにやりがいを感じられるようになりましたね」

 

年間5万台の設定業務、2万台の運用・保守業務を担ってきた佐藤さん。スマートデバイスの需要拡大に伴い、今後も新しい技術を習得しながら、新規案件の獲得につなげていきたいと意気込む。

「復帰後は、時間の使い方が出産前と変わり、より効率的に動く必要が出てくると思います。ただ、プロジェクトマネージャーや課長など、マネジメントを早くから任せてもらったことで、メンバーとのコミュニケーションや仕事の任せ方、仕事を抱え込まないようなスケジュール管理などを経験することができました。その経験をどう生かせるのか、また違う自分に出会えるのではないかと、今からとても楽しみにしています」

 

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モバイルデバイス課のメンバーと社内打ち合わせ。各メンバーが抱えている設定業務案件の進捗状況を共有する。

 

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メンバーが作成した進行表をチェック。設定業務内容とスケジュールを細かく確認し、大幅な納期遅れが生じないよう事前に調整するのも、マネジメントの大切な仕事。

 

佐藤さんのキャリアステップ

STEP1 入社1年目、航空会社、旅行代理店のパソコンの設定、運用・保守業務を担当

入社後、2カ月の研修を経て配属に。半年後に航空会社の案件担当者になるまで、パソコンの設定画面の操作や、お客さまとの打ち合わせに同席して業務内容の理解から設定内容の決定、スケジュール調整の方法などを学んでいった。「上司とお客さまとの商談に同席し、『その業務が発生するのでしたら、こういった設定も必要ですよね』などと、仕事内容からニーズを引き出していくやり方を見させてもらったことが、その後、案件を立ち上げる仕事や、新規顧客の獲得においてとても役立ちました」。

STEP2 入社3年目、プロジェクトリーダーとして航空会社のプロジェクト管理を実施

3年目になると、航空会社の案件のプロジェクトリーダーとして6人のメンバーをまとめる立場になる。空港へ導入していたパソコンについて、「壊れた」「不要になった」「ほかの社員が使えるよう設定を変えてほしい」など、さまざまなニーズが出てくる中、何台のパソコンを修理し、回収し、何台の設定を変更すべきかを管理する役割を担った。また、現場の状況やニーズをよく知る立場として、お客さまとの定例会では意見を求められることが増えていった。「パソコン導入の指揮をとっているのは航空会社の情報システム部の方ですが、実際に空港でパソコンがどのような使われ方をされているかは、現場とのやりとりを頻繁に行っている私の方がより把握している場合が多いんです。『今はノートパソコンよりもデスクトップに関するお問い合わせが多く、デスクトップのニーズが高まっていると感じます』などと意見をフィードバックすることで、お客さまと現場とをつなぐ役割ができているのかなと、成長を実感できるようになりました」。航空会社の案件のほか、月10台導入といった小さな案件も5、6件担当していた。

STEP3 入社6年目、スマートデバイスの設定業務に異動

携帯電話キャリア案件のプロジェクトマネージャーを任され、同年10月には係長へ。スマートデバイスを導入したいという印刷会社の案件も担当し、立ち上げから設定内容の詳細決定、スケジュール調整、導入までの流れをすべて担った。「最初は、メンバーに仕事を任せるのが苦手で、つい自分で仕事を抱えてしまって残業が続く…という状態に陥ることもありました。メンバーの個性やキャパシティーなどをきちんと把握するために、日々ちょっとした会話を重ねる大切さを学びました」。

STEP4 入社7年目、モバイルデバイス課の課長に。入社9年目の現在、1年間の産休・育休を取得中

モバイルデバイス課では、企業で使用しているスマートフォンやタブレット端末の設定をお客さまの希望にそって変更を実施する。故障や紛失が発生した際のコールセンター業務や再設定の対応なども実施している。佐藤さんは、新規案件を獲得すべく営業担当に同行し、技術面や予算面の話をして営業をサポート。スマートフォン1500台、3000台の設定案件などを獲得してきた。そのほか、契約社員やパートナー企業の採用面接なども任される。2015年から産休に入り、現在育休中。2016年1月に復帰予定。

ある一日のスケジュール(産休・育休前のモデルケース)

6:00 起床。
8:30 出勤し、メールチェック。
9:00 課内の朝礼でメンバーと情報共有。案件の進捗確認。
10:00 新規案件の資料作成。
12:00 外でランチ。
13:00 担当企業との定例会。スマートデバイスの設定台数やスケジュール、進捗状況などを確認。
15:00 帰社。営業担当と、予算について打ち合わせ。
17:30 メールチェックなどのデスクワーク。
18:00 退社。
21:00 夕食。
24:00 就寝。

佐藤さんのプライベート

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大学時代、マンドリン(※)サークルでクラシックギターを演奏していた。今でも趣味として練習を続けている。写真は、2013年12月にあったサークルの記念演奏会に、OGとして参加した時のもの。

※弦をはじいて音を出す楽器全般のこと

 

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2013年夏に、中学時代の友人と沖縄に行き、ダイビングを満喫。ダイビングライセンスは大学時代に取得している。左から2番目が佐藤さん。

 

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2015年2月に娘が誕生。門前仲町(東京都)の富岡八幡宮に、家族でお宮参りに行った時の一枚。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/鈴木慶子

 

 

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