高見株式会社

もりや・かなこ●海外事業部 手配課。山形県出身。33歳。日本大学商学部商業学科卒業。2004年入社。接客業が好きで学生時代からお総菜店のアルバイトを続けていた。より深くお客さまの人生にかかわる仕事に就こうとブライダル業界を志望し、日本文化や伝統を重んじる高見の社風にひかれ入社を決める。

アイコンタクトのみで意思疎通ができるチームワークを作ってきた

お客さまの人生に深くかかわれる、接客の仕事に就きたい――。

森谷さんがそんな思いを抱いたのは、学生時代に続けていたお総菜店のアルバイト経験からだった。うれしそうに総菜を買っていくお客さまの表情を見ながらも、「注文された個数を注文された分だけ販売する」ことしかできない現実。その時感じたもどかしさから、「出会ったお客さまの人生に触れ、一人ひとりに合ったアドバイスができるような仕事を見つけたい」と考えるようになったという。

「就職活動では、不動産業や子ども服メーカーなど幅広く見ていましたが、人生の節目のお手伝いができることに魅力を感じブライダルに絞っていきました。中でも高見は、1923年創業の歴史ある総合ブライダル企業として、日本の伝統を大切にする社風。結婚式を“人生の大事なセレモニー”として、かかわる人すべての想いを大事にする文化にとても共感し、入社を決めました」

 

入社すると、南青山ル・アンジェ教会(東京都港区)に、結婚式当日の進行を担当するアテンダントとして配属される。入社前の内定者研修で、ウエディングドレスの直前のメンテナンスやセッティングを経験していたため、結婚式当日のウエディングドレスにどれほど多くの人の想いが詰まっているかよくわかっていた。だからこそ、結婚式を円滑に進めるアテンダントとして、プレッシャーも大きかったという。

「内定者研修では、ドレスを隅々までチェックし、どんなに小さなしわも見落とさずキレイに仕上げていく先輩たちの姿をずっと見てきました。アテンダントは、プランナーからスタイリストまで、結婚式に向けて多くの方がつないできた最後のバトンを受け継ぐ仕事。最初の数カ月は、平日はお辞儀の仕方や会場でのアナウンス方法、声の発し方などを研修で学び、土日にはル・アンジェ教会でアテンダント業務に就き、研修と実務経験を同時に重ねていきました」

 

お客さまの多くは結婚式のあとに披露宴を予定しているため、式を時間通りに滞りなく進めることが必須任務になる。たとえ1分でも遅れれば、タイムスケジュール通りに料理を作っている披露宴会場のシェフに迷惑がかかってしまう。1分1秒も無駄にせず、かつ、お客さまに焦りを見せず、冷静に丁寧に動くことが求められるが、新人時代はなかなか“冷静さ”を保つことができなかったと話す。

「今でも印象に残っているのは、『あなたは挙式の列席者ではない』という先輩の言葉です。入社当時は、式場で見るすべての光景が感動的で、お客さまにすぐ感情移入していました。そんな私を『あなたが冷静でいることが、式全体をうまく進行するうえでとても大切なのだ』と叱ってくれたのです。もちろん、あまりに冷静で業務的になってはいけませんが、アテンダントである私が感動して見入るのではなく、その瞬間にも何かトラブルはないか、困っている人はいないかなど目を配り、常に先回りした行動が必要なのだと気づかされました」

 

入社6年目には、アテンダントチームを束ねるマネージャーとして、メンバーの指導や勤怠管理などを担当。当初は「アテンダントとはこうあるべきだ」という頑なな考えをメンバーにも押し付けがちだったという。

「高見が大切にしてきた伝統や文化をしっかり伝えなくてはと思うあまり、マニュアル通りに動いてもらうことを重視していたところがありました。でも、気持ちがついていかなければ、人は行動を起こせない。チーム一人ひとりが能動的に動けるよう、マニュアル一つひとつの背景にある“想い”を伝えていくことに注力していくと、アテンダントとしてメンバーのサービスレベルがどんどん上がっていったんです。月1回のミーティングでは、先月できたことと来月の目標を発表し、その月のスローガンを個人が持つことで、自分の課題と目標を意識する習慣をつけていきました」

式当日、チーム間で連携できていると実感できた時が、マネージャーとしてやりがいを感じる瞬間だと森谷さんは言う。

「チームワークが強固になっていくと、アイコンタクトのみでお互いの言わんとすることを察知し動くことができます。例えば、挙式で新婦さまが入場される前に、アテンダントはドレスやベールがきちんと左右対称になっているか確認します。後ろ姿の美しさは結婚式において非常に大切だからです。新婦さまの姿を前から見ているアテンダントが、ベールの形崩れに気づいた際、新婦さまのドレスを後ろから整えているもう一人のアテンダントに、微笑みながら目配せします。その目の動きだけで、『ベールを整えてほしい』という意図が伝わる。お客さまにはただその時の幸せな気持ちだけを感じていただき、私たちが自然と最高の瞬間に導く。そんな瞬間が何度も訪れ、メンバー全員が高いレベルで、やるべきことを共有できていると感じられる時は、マネージャーとしてとてもうれしい気持ちになりますね」

 

入社9年目からは現在所属する海外事業部に異動し、2012年夏には、ハワイ・オアフ島に誕生したウエディング複合施設「The Terrace By The Sea」の立ち上げスタッフとして、3カ月間オアフ島に滞在。高見のスタッフ4人、現地在住のブライダル経験者3人の7人を束ね、ハワイでの式進行のオペレーションを考えていった。

 

現在は手配課として、「The Terrace By The Sea」で結婚式を挙げるお客さまのスケジュール確認、ドレスなどの商品手配をはじめ、ウエディングプランナーが進めている内容に抜け漏れがないか、全体を確認する統括業務を担当している。これまで多くの新郎新婦さまに出会い、現場を見てきた経験に加え、実際に現地で式進行を担当した経験から、アドバイスできることも多いと森谷さんは言う。

「高見のウエディング商品を扱っていただいている旅行代理店から、問い合わせも多く頂きます。プランについての質問、スケジュールについての相談などさまざまありますが、『ビーチの撮影は、この時間帯が最適です』など、現地の肌感覚があるからこそご提案できることも多く、これまでの経験がすべて生きていると実感します」

 

バックオフィスで、ハワイ・ウエディングを裏側から支える立場にいる森谷さんだが、旅行代理店やお客さまからの問い合わせに丁寧に迅速に対応することが、「高見ブランドを守る」ことにつながると考えている。

「手配課のメンバーとは、私たちは見えない看板を背負っているのだとよく話をしています。一緒に働くメンバーをはじめ、ハワイの現地スタッフやお客さまが心地よく挙式当日を迎えられるよう、これからもサポート業務に邁進(まいしん)していきたいと思っています」

 

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手配課のメンバーと、旅行代理店から入った問い合わせ内容を確認。電話の応対一つひとつが高見の印象を決めるため、どのようなやりとりがあったのかも細かく共有していく。

 

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プランナーとして接客に入ったり、旅行代理店のフェアに行き式場のプレゼンや新規接客をすることもある。

 

森谷さんのキャリアステップ

STEP1  入社1年目、南青山ル・アンジェ教会のアテンダントとして配属される

アテンダントとして、「ゲスト(列席者)のアテンド担当」「新郎新婦のアテンド担当」と一つひとつ役割を任されながら経験を積んでいった。今でも忘れられない失敗は、列席者を含めた写真撮影を担当した際、新婦がグローブを着け忘れているのに気づかず撮影を進めてしまったことだと言う。「ブライダルのプロとしてフォーマルな姿で写真を残せなかったことは、今でも申し訳ないと思います。結婚式当日は、ほとんどのお客さまがとても満足して帰られるのですが、後日冷静になって振り返ったときに『本当はこうしてほしかった』と言われることが度々あります。まして写真は、何年も残る大切な記念のもの。写真を見て思い出すのは、幸せな時間か、残念な想い出なのか。あらためて、式をすべて完璧に進めることの難しさと、人生の想い出にかかわる仕事の責任の重さを実感した出来事でした」。

STEP2  入社2年目、南青山ル・アンジェ教会のプランナーを経て、入社6年目にマネージャーへ

入社2年目から1年半は、披露宴のプロデュースを手がけるプランナー業務を担当。新郎新婦と披露宴の内容を細かく打ち合わせし、当日の進行まで担った。その後、アシスタントマネージャーとして挙式の現場に戻りマネージャーへ。アテンダントチームで売り上げ目標も持っていたため、挙式当日に使ったブーケを押し花にした記念品の販売なども手がけた。

STEP3  入社9年目、海外事業部に異動。ハワイの結婚式場「The Terrace By The Sea」立ち上げスタッフとして現地へ

ハワイでは、現地スタッフとのチームを組み、挙式、披露宴のオペレーション業務を担当。環境が変わり、あうんの呼吸やアイコンタクトではなく、「相手に何をしてほしいのか、はっきりと言葉で伝えてほしい」というアメリカ文化に戸惑うことも多かった。「日本では、互いに抜け漏れがあれば『親族紹介が始まる時間ですがどうなっていますか?』などと声を掛け合い、『私今動けるので対応します!』とフォローし合うのですが、ハワイでは、ほかの人の仕事を手伝うことは相手の仕事を奪うものと考え、仕事の責任の所在をはっきりさせる文化です。日本で、いかに自分が周りに助けられていたのかを痛感したと同時に、自分の担当業務についてより責任を持ってやりきる力を鍛えられました」。

STEP4  入社9年目、海外事業部手配課としてオペレーション業務の統括を担当

海外ウエディング商品を扱う旅行代理店や、プランナーからの問い合わせに対応する一方、結婚式で使う商品内容のチェックや、進行スケジュールの確認など、全体の統括も担当。新郎新婦への対応をプランナーにアドバイスすることも多い。「高見では、披露宴商品の一つとして、両親へのメッセージVTR作成を手がけています。そのサービスを注文していた新郎新婦さまが、『メッセージ文の提供が間に合わないので、注文をキャンセルしたい』と言ってきたことがありました。担当プランナーが私にそう伝えてきたのですが、『納期に間に合わないからキャンセルしなくちゃ』ということなのか『作りたくないのでキャンセルしたい』ということなのかは、大きく違います。プランナーに状況を聞いてもらうと、『スケジュールが間に合わなくてあきらめざるを得なかった』という理由だとわかり、急きょ納期を延ばすよう映像制作担当者に調整をお願いしたこともありました。マニュアル通りに準備を進めていくことも大事ですが、状況に応じてイレギュラー対応ができないか考える柔軟性を併せ持つことも大切。これまでの現場経験を生かして、お客さまのこだわりは何か見極め、最高の1日をお過ごしいただけるようプランナーに助言していくことも私の役割だと思っています」。

ある一日のスケジュール

7:30 起床。
9:30 出社し、メールチェック。
10:00 海外事業部の全体ミーティング(月1回)。
11:00 旅行代理店からの問い合わせに対応。
12:00 ランチ。
13:00 結婚式までのスケジュールについて、プランナーと電話で打ち合わせ。
14:00 ウエディング商品の発注書の内容を確認し、発注業務を進める。
16:00 旅行代理店からの問い合わせに対応。
20:00 退社。仲間と食事に行ったり、家で録画したドラマを見たり自由に過ごす。
24:00 就寝。

森谷さんのプライベート

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友人がハワイの「The Terrace By The Sea」で挙式をした時の写真(左から2番目が森谷さん)。ブライズメイドを任されたのは忘れられない思い出!

 

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夏休みや冬休みを利用し海外旅行へ。写真はアメリカ・アリゾナ州のホースシューベンドに行った時のもの。(中央が森谷さん)。旅行先で知り合った人との縁は大事にしていて、帰国後に日本で会うこともある。

 

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大好きなハワイをもっと知るために、現在、アロハ検定取得に向けて勉強中。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/鈴木慶子

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