ブルームバーグ エル・ピー ウィルソンさん(入社6年目・グローバルデータ、取引所ビジネス管理部)【先輩たちのワーク&ライフ】

うぃるそん・あすか●グローバルデータ、取引所ビジネス管理部。秋田県出身。34歳。カリフォルニア州立大学 サンディエゴ校 インターナショナルビジネス学部卒業。奨学金を借りながら大学に通っていたため、「学べる」ことのありがたさをつねづね実感していた。2010年入社。現在、夫と5歳の息子、1歳の娘と4人暮らし。

国際経済を学び実践できる場を求め29歳で帰国。ブルームバーグに飛び込んだ

ニューヨーク本社を中心に世界192拠点で展開する、ビジネス・金融情報メディア企業、ブルームバーグ エル・ピー。世界中の金融機関や大手企業、個人投資家が必要とする金融データやビジネスツールを統合させたプラットホーム端末「ブルームバーグプロフェッショナルサービス」を中心に提供しているほか、ニュース、テレビ、ラジオ、インターネットなどのメディア事業も展開している。大学から渡米し国際ビジネスを専攻、MBAを取得していたウィルソンさんにとって、世界中の金融業界のプロフェッショナルに向けて、最新の金融情報を提供するブルームバーグの仕事は非常に魅力的なものだったと言う。高校時代にアメリカ・メリーランド州に短期留学をしたことをきっかけに、「自分と同じ高校生が、将来のキャリアを自由に選択していく」姿に影響を受け、アメリカの大学進学を決めたウィルソンさん。卒業後には、サンディエゴにある日系大手医薬品メーカーのアメリカ研究所(現地子会社)に就職し、経理業務を担当。仕事をしながら夜には大学院に通い、3年かけてMBAを取得した。

「アメリカでは、生涯学習の考え方が浸透しており、日中は会社に行き、夜は大学院で学ぶ社会人が多くいます。よりファイナンスに特化した仕事に就きたいと思っていた私は、MBAを取得し、大学院卒業と同時に大手クレジットカード会社に転職。個人資産管理部門のファイナンシャルアドバイザーとして、個人や中小企業のライフプランニングを3年間担当しました」

個人投資型の年金システムが広く利用されているアメリカでは、個人が投資について理解を深め、年金運用の知識をつける必要がある。それゆえ、個人も中小企業の経営者もファナンシャルアドバイザーと共に人生設計を考える文化が根づいている。

「お客さまの生活に大きなインパクトを与えられる仕事でしたし、年金制度や税金、法律など、幅広い知識を求められ、責任とやりがいは十分ありました。一方、大学で学んできた国際ビジネスに携わりたいという気持ちも拭えず、経済市場全体の知識を、身をもって学びたいと強く思うようになっていました。国際的な環境で仕事をすることを考えると、東京やニューヨーク、ロンドンなどの経済の中心都市で仕事をする必要があると思い、約9年間のアメリカ生活を終え、帰国することを決めたのです」

ブルームバーグに転職したのは、帰国してすぐの2010年。当時、生後3カ月だった長男とアメリカ人の夫と一緒に帰国したウィルソンさんは、「これから転職活動をする」と日本の友人に話すたびに「小さな子どもを抱えての転職は難しい」と助言されたと言う。

「振り返れば、勇気ある決断をしたなと思います。でも、ブルームバーグの面接を受け、不安はなくなりました。面接してくれたのは、女性の人事担当者とマネージャーポジションの方で、性別や年次に関係なくフェアに働ける社風が伝わってきました。最終面接の際に『子どもが小さいのですが、私でいいのでしょうか』と質問したら、『そんなこと、わざわざ言わなくてもいいのに!』と驚かれたんです。『仕事に支障が出るなら共有してもらった方がいいけれど、みんなと同じ条件で働けるなら関係ないでしょう』と言っていただき、私個人の能力をフラットに評価してもらえる会社だと感じました」

子どもを保育園に預け、8時から18時のフルタイム勤務を始めたウィルソンさん。グローバルデータ部指数チームに配属され、株価指数(※)のアナリストとして、ブルームバーグが公表する株価指数データの作成、分析を担当。お客さまである企業投資家に向けて、正しい情報を迅速に提供する責務を担った。

※市場全体の株式相場の動向を見るために利用される、複数の銘柄の株価が一定の計算方法によって指数化されたもの。現在は、インターネット上でさまざまな指数が公表されており、変動状況や時間的推移を常に把握することができる。日本の株式市場では日経平均株価指数が代表的な株価指数。

「はじめは、株価指数とはどのように計算されているかもわからなかったので、毎日が勉強でした。指数チームは、投資信託会社のファンドマネージャーやアナリストなど、自社の投資信託が最適かどうか株価指数と比較し判断している方々に向け、データを提供していきます。世界経済を担うお客さまがより正しい判断ができるよう、データの正確性は絶対条件。『こういうデータを探している』『この指数はありますか』とお客さまから日夜問い合わせが入るので、アメリカや香港、ロンドン、シンガポールにいる同僚と情報共有しながら、迅速に対応していきました」

1年半かけて通貨指数(ブルームバーグが算出する、各国通貨の価値を示す指数)をチームで作り上げ、商品として開発するプロジェクトにかかわったこともあった。ブルームバーグから配信される情報をもとに、投資内容を決め、世界中で大きなお金が動いていくのだと考えると、経済への影響力の大きさに身が引き締まったと話す。

現在は、取引所ビジネス管理部で、対取引所のデータの取得、提供を行っているウィルソンさん。ブルームバーグが開発している情報端末「ブルームバーグプロフェッショナルサービス」では、世界各国の取引所のリアルタイムデータが集約され、世界中の投資家が同時に複数の株価情報を見ることができるようになっている。

「例えば、株式取引をしているイギリスの投資家が、取引中の企業の株の最新株価情報を見たいとします。ブルームバーグのネットワークを介せば、一つの端末画面で東京証券取引所とナスダックの最新値をリアルタイムで見ることができるのです。このデータのスムーズな提供を担っているのが、取引所ビジネス管理部。取引所との交渉窓口となり、どのようなデータをブルームバーグにご提供いただけるのかをヒアリングしながら、そのデータは投資家にとって価値あるデータとなりうるのかを検討していきます。必要なデータであると判断できた際には、ブルームバーグの端末上で投資家がデータ閲覧できるよう、プログラムを開発。対取引所との交渉から、プログラム開発の進行管理、契約内容の確認、データ商品を売る営業担当との調整など、コミュニケーションは多岐にわたります。相手の利益は何かを理解し、誰にとってもメリットが生じるよう想像力を働かせる力は、今の仕事を通してとても鍛えられたと思います」

ブルームバーグの信念、「経済に透明性を与える」という考え方に強く共感しているウィルソンさんにとって、お客さまの投資判断につながる情報提供を担う今の仕事は、経済市場への影響力も大きい、まさにやりたかったものだった。

「国際色豊かな職場で、入ってから勉強できることも多いのでは、と抱いていた期待は、想像以上のものでした。毎日18時に会社を出る時は、『今日は新興国の取引所のデータ動向について学んだ』『プログラム開発について理解が深まった』などと学びがあり、頭が心地よく疲れている状態。今後、どのような業務に就くにしても、生涯学習への貪欲な気持ちを持ち続けていたいですね」

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ブルームバーグプロフェッショナルサービス(情報端末)を見ながら、どのような画面設計をすればお客さまがデータ閲覧しやすいのかを考える。

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チームメンバーとの打ち合わせで、対取引所との交渉進捗を共有。外国人メンバーが入るときは、会議は英語で行われる。

ウィルソンさんのキャリアステップ

STEP1  2003年、アメリカ・サンディエゴで大手医薬品メーカーの経理業務を担当

アメリカの大学でインターナショナルビジネスを学んだのち、日系大手医薬品メーカーのアメリカ研究所で経理部門を一任される。仕事を続けながら、夜間はナショナル大学院サンディエゴ校に週3日通い、経営学修士・MBAを取得。大学院修了とともに、大手カード会社でファイナンシャルアドバイザーになった。「お客さまの人生に寄り添う仕事はとても面白かったのですが、税金制度や年金制度はアメリカ特有のものなので、グローバルな環境で仕事をしているとは言えませんでした。市場にかかわる仕事をしたい!と考え、東京に行くことを決意。米軍に勤めている夫が、東京勤務も可能だとわかったので、一家で帰国することにしました」。

STEP2  2010年、ブルームバーグ エル・ピーに入社。グローバルデータ部に配属される

「それまで勉強してきた金融の知識も生かしつつ、インターナショナルビジネスや、海外生活で学んだコミュニケーション力が生かせるのでは」と、ブルームバーグに入社。経験の浅い一アナリストに対しても、「まずは業務を任せてみよう」という裁量権の与え方に驚いたと言う。「グローバルデータ部のメインオフィスはニュージャージー州で、東京オフィスのほか、香港やロンドン、シンガポールオフィスにも、株価指数のデータ分析、提供をしているチームメンバーがいました。チャットやテレビ電話でのコミュニケーションに慣れるのもひと苦労でしたね」。

STEP3  2012年、同部のコーポレートアクションチームのチームリーダーになる

入社して2年後に、企業の財務上の意思決定をする際に必要なデータを扱う「コーポレートアクションチーム」のチームリーダーに抜擢(ばってき)される。韓国と日本のアナリスト12人のマネジメントを任され、他国のオフィスにいるメンバーのモチベーション管理には苦労した。「一アナリストからリーダーになったので、メンバーからすれば、『昨日まで一緒にアナリストとして働いていた人が上司になる』という感覚。私の仕事の進め方に説得力がなければ、誰もついてきません。そこで、自分が手がけている仕事の進捗は積極的に情報開示し、成功談も失敗談も共有することで、私がメンバーと同じ方向を見ていることを示していきました。メンバー全員が、刻々と変わるビジネス環境の動きをとらえながら、お客さまのためにどんな情報が必要かを能動的に考えている、そんな姿を見る時はリーダー冥利に尽きますね」。

STEP4  2013年末から半年間の産休・育休を取得後、取引所ビジネス管理部のチームリーダーとして復帰

2児の母として、仕事とプライベートを両立するために、ウィルソンさんが大切にしていることは「自分しかできないこと、今やらなければいけないことを優先すること」。仕事においても、自分がやらなければ業務が滞ってしまうものを優先し、周りにお願いできる業務は積極的に依頼していく。「帰宅後も、自分の食事がとれないまま子どもと全力で遊ぶこともありますが、『帰りを待っていてくれた子どもと今遊べるのは私だけ。夕食は、子どもが寝たあとに食べればいい』と思えれば、ストレスを感じることも減っていくんです」。

ある一日のスケジュール

5:30 起床。
6:30 通勤途中に海外からの夜の間に届いているメールをチェック。
8:00 子どもたちを保育園に預けて、出社。
9:00 メールの返信、社内のプログラム開発担当との会議。
12:00 ランチ。
13:00 社外のクライアント、関係取引所との電話会議。
15:00 チームメンバーとの会議で、情報共有。
18:00 退社。保育園のお迎えは夫が担当。
19:45 帰宅し、家族4人で夕食。
20:30 子どもと遊んでから、寝かしつけ。
22:00 家事、読書など自分の時間を過ごす。
24:00 就寝。

ウィルソンさんのプライベート

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2015年2月、バスケットボール好きな子どものために、日本遠征中のハーレム・グローブトロッターズの試合を家族で見に行った。

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2014年12月、夫の仕事場のクリスマスパーティーに参加。子どもたちを親に預け、二人で静かなディナーを楽しむことも。

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長期休暇がとれるときには家族で旅行へ。2015年5月には、タイのサムイ島に行った。

取材・文/田中瑠子 撮影/鈴木慶子

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