株式会社ピーエイチピー研究所

のばた・かな●第一普及本部 普及企画部。埼玉県出身。34歳。青山学院女子短期大学英語学科卒業。出版業界への憧れを抱いていた就職活動中、PHP研究所の社員が皆とても丁寧な対応をしてくれたことに感銘を受け、入社試験を受けた。2002年入社。現在、夫と3歳の息子と3人暮らし。

プロの力を引き出しながら、広告というアウトプットを作り上げていく

児童文学が好きだった学生時代の野畑さんにとって、PHP研究所のイメージは「ビジネス書を多く出している出版社」。短大で開かれたOGによる会社説明会に行くまで、堅そうな会社という先入観があったと言う。

「説明会に行ってみたら、社員の対応の丁寧さに驚きました。今でも印象に残っているのは、会社説明資料を学生に両手で一部ずつ手渡し、遅れてきた人に対しても、すぐ駆け寄って渡していた姿です。いち学生に対する社員の対応を見て、この会社には、相手を思いやりながら働いている人がたくさんいるんだろうなと思ったのを覚えています」

 

「出版社」という印象を持たれることが多いPHP研究所だが、月刊誌『PHP』などの各種雑誌、書籍の出版活動のほか、 研究活動にもとづいた政策提言や、研修・ゼミナールの運営、社会活動など、幅広い事業を展開している。

入社以来、出版活動分野の広告業務に携わってきた野畑さんは、書店店頭用パネルやPOP、チラシ作成の業務を経て、現在、新聞をはじめとしたメディア広告のスケジュール調整、デザイン発注など、進行管理全般を担当している。

入社1年目は普及部に配属され、全国の書店からの書籍の注文を集計する業務を担当。書籍に挟んであるスリップ(補充注文伝票)に注文冊数が書かれ、毎日、数千冊分の注文の束がいくつも届く。それをミスなく伝票データに起こすのが野畑さんの仕事だった。

「注文数は日によって波がありますが、取次会社(出版社と書店との間に立つ卸売業者)への書籍配送手配をスムーズに進めるため、伝票を発行する時間は決まっています。注文が殺到したときには、取締役クラスの人の手まで借りて、間に合わせたことも。新米からの仕事のお願いにも皆さん快く対応してくれ、いつも心強かったですね」

 

3年目には広告を扱う普及企画部に異動し、PHP研究所が発行している雑誌に掲載する自社書籍広告や、書店に置かれるパネルやPOP制作を担当。Macを使って自らデザインするなど、よりクリエーティブな力が求められた。

「人の目を引くPOPとはどういうものなのか、時間があれば書店に足を運び、他社のPOPを見ては必死にインプットを増やしました。デザイン未経験の私がやっていいのだろうか…と時に自信をなくしかけながらも、とにかく量をこなす。ここでの2年間の経験が、文字やイラストの配置、書体の選び方など、表現手法の引き出しを増やすことにつながり、今のキャリアの土台になっていると思います」

 

その後、11年目で1年間の産休・育休をとるまでの6年間、雑誌や新書の創刊に合わせた広告・宣伝業務に携わってきた。PHPビジネス新書やPHP文芸文庫、新雑誌の創刊のほか、PHP文庫25周年など、節目でのキャンペーンを担当し、読者プレゼント内容のまとめ、事前案内パンフレット、各種チラシ、書店店頭パネル・POP、広告の進行といったキャンペーンにまつわるさまざまな業務を担当した。

「パンフレットやPOPなどは、創刊・周年を、取次会社・書店・読者に認知していただけるよう制作します。時期は決まっているので納期を延ばすことはできません。でも、『掲載したい書籍のタイトルがまだ決まらない』『カバー(装丁)デザインが遅れている』『著者の顔写真を載せようとデザインを組んでいたのに顔出しがNGになった』など、予定通りにいかないことも珍しくありません。書籍編集者やデザイナーの苦労を理解しながらも、何とか制作進行していく調整力が、この時鍛えられました」

 

一般紙など媒体への書籍広告全般を担当している今、常にさまざまな立場の人とコミュニケーションをとりながら、広告という一つの作品を確実に仕上げていく必要がある。広告会社や各新聞社の窓口として広告掲載のスケジュールを決め、掲載する書籍の選定を考え、広告の方向性をデザイナーと打ち合わせする中で、デザインに頭を悩ませ、進行管理に苦労した経験が共に生きていると野畑さんは言う。

「当社から月に60~70点の新刊が出ますが、制作、販売部門と相談のうえ、広告掲載品目を絞り込んでいきます。さらに、『この時期は著者のメディア露出が多い』『重版がかかる』などの状況に合わせて臨機応変に対応。新聞への掲載であれば、読者層を考えながら書籍を選び、デザインの方向性を決めます。100万部を突破した松岡修造さんの『[日めくり]まいにち、修造!』の広告では、ご本人の直筆メッセージを掲載し、お祝い・お祭りをイメージした明るいデザインに。『道をひらく』(松下幸之助著)が500万部を達成した時は、部数の推移を時系列のグラフにしながら、その間に起こった社会事象もあわせて記し、社会のことを振り返りながら本のことも考えてもらえるようなデザインを考えました。デザイナーさんと大まかな方向性をすり合わせてから、初校が上がってくるまではいつもわくわくします。毎回、期待以上のデザインに仕上げてくださるプロの仕事には脱帽。いい広告を作るために意識しているのは、デザイナーさんが自由に考え、イマジネーションを広げやすいようにと、あまり具体的な発注はしないこと。常に、相手が最大限の力を発揮できるようにするためには自分はどう振る舞うべきかを考えています」

 

現在、3歳の息子の子育てと仕事を両立させながら、30分前倒しで8時15分から17時のフルタイム勤務を続けている野畑さん。入社当時は少なかったワーキングマザーもごく身近な存在になり、学生時代に漠然と抱いていた「子どもができたら仕事を辞めるんだろうな」という考えはまったくなくなったと言う。

「入社以来、一貫して広告業務に携わってきたので、これからさらに広告について勉強していきたい。当社ではまだまだ少ないインターネット広告に関しても知見を深め、積極的に提案していきたいと思っています」

 

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デザイナーから上がってきた広告の初校をチェック。どんなデザインになったのか、初校を最初に見る瞬間がとても好き。

 

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広告代理店の担当者と、広告掲載スケジュールについて打ち合わせ。

 

野畑さんのキャリアステップ

STEP1  入社1年目、普及部でスリップ集計や伝票発行業務を担当

出版社と書店の間に入って書籍流通を行う取次会社から、毎日、何百冊、何千冊もの注文が入る。その注文スリップを集計し、伝票を発行するのが野畑さんの役割。ミスが許されない細かい業務で、かつ、毎日の伝票発行時間は決まっているため、業務効率をいかにあげるかを考える習慣がついたと言う。「入社当初、わからないことは周りにすぐ聞くことで仕事を覚えていこうと、先輩方に何でも聞いてばかりでした。数カ月たったころ、いつもと同じように上司にエクセルの操作方法を聞きに行った時、『自分で考えてね』とひと言返された時にはっとしました。人を頼ってばかりで、自分の力で解決しようとする姿勢がまったくなかったと反省。上司も、満を持して、私を突き放してくれたのでしょう。遅ればせながら、その言葉が、社会人として“一人前”にならなくてはと思うきっかけになりました」。

STEP2  入社3年目、普及企画部に異動。自社媒体広告からシリーズ創刊準備まで手がける

書店店頭用のパネルやPOP制作を経て、雑誌や新書、文庫、シリーズ創刊準備に携わった。「一番大変だったのは、入社8年目のPHP文庫25周年のキャンペーン。書店店頭でもらえる携帯ストラップをはじめとした読者プレゼントの手配、販促用POP、広告の進行など、規模が大きく業務に追われていました。女性向け雑誌を創刊した時には、人気のブロガーさんに創刊号を先読みしてもらい、感想をブログにアップしてもらうなど、新しい広告手法に挑戦したこともありました」。

STEP3  入社9年目、同部で著者イベント担当になる

広告、販売促進の一環として、サイン会やトークショーなどの著者イベントも兼務した。イベントのアテンド経験がほとんどない中、著者対応にも追われ、「記事には書けないような失敗もたくさんした」と振り返る。「イベントは著者や内容によって毎回のように想定していない事態が起こります。当日話す内容をある程度台本で欲しいという著者に当日まで台本をお渡しできず、会場でお叱りの言葉を頂いたり、取材陣の仕切りがうまくできずに頭を下げたことも。失敗を次回の教訓にすることを繰り返し、最後になんとか形になるイベントができました。すべてのイベントが学びの場。短い間でしたが、あらゆる分野のプロフェッショナルである、著者の方々の仕事ぶりを間近で見られたことは、非常に貴重な経験でした」。

STEP4  入社11年目、10ヶ月の産休・育休を取得後、普及企画部に復帰

周りにワーキングマザーも多く、「育休明けはフルタイム勤務で復帰しよう」と意気込んでいたと言う野畑さん。しかし「体力も落ちているから、スロースタートにしては」という先輩の助言を聞き、最初の3カ月は8時半から15時半の時短勤務を続けた。「共働きを再開して、夫との家事分担も問題なく、息子も保育園に慣れ、フルタイムに切り替える自信がついていきました。何より部内メンバーの理解が深かったことが大きかったですね」。現在は、新聞広告のほか、ラジオCMの広告原稿の作成など、手がける広告の種類も多岐にわたっている。

ある一日のスケジュール

5:15 起床。保育園準備、朝食とその日の夕食の準備。
8:15 出社し、メールチェック。保育園の送りは夫が担当。
9:00 請求書の処理、部内ミーティングで当日のスケジュールを確認。
11:00 デザイナーとの打ち合わせ。
12:00 社内でランチ。
13:00 新聞広告の初校チェック。
15:00 広告代理店との打ち合わせ。
17:00 退社。
19:00 保育園に迎えに行き、帰宅後、夕食。
21:30 子どもを寝かしつけながら、一緒に就寝。

野畑さんのプライベート

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ロードバイクが趣味の夫が帰ってきたところをお出迎え。2015年夏は旅行を兼ねて夫が出場した大会の応援にも行った。「子どもが大きくなったら家族で自転車に乗りたいと思っています」。

 

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15年3月に、自宅近くの公園で気球に乗った時の1枚。乗った瞬間に「降りるー」と半べその息子。

 

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15年4月に、秩父、羊山公園に芝桜を見に行った時のもの。週末は外出してアクティブに過ごすことが多い。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/早坂卓也

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