株式会社ベストホスピタリティーネットワーク 飯塚さん(入社8年目・ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ ゲストサービス部 フロント スーパーバイザー)【先輩たちのワーク&ライフ】

いいづか・あや●ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ ゲストサービス部 フロント スーパーバイザー。埼玉県出身。31歳。早稲田大学商学部卒業。2008年入社。学生時代からホテル業界に興味があり、社会人になる前に現場を経験しようとアルバイトをしていた。現在、夫と2人暮らし。

ホテルスタッフはゲストのサポーター。いい滞在だったと振り返ってもらえるようなサービスを提供する

羽田空港から30分。JR山手線浜松町駅も近く、東京湾のレインボーブリッジを一望できるホテル インターコンチネンタル 東京ベイ。世界約100の国や地域で4900軒以上のホテルを展開するインターコンチネンタルホテルズグループの一つで、和と洋の要素を織り交ぜた高級感のある内装デザインに、常連客も多いのが特徴だ。飯塚さんはそのホテルの顔となるフロントスタッフとして、日々多くのお客さまと接している。

学生時代から、ホテルのロビーでお客さまを案内するベルスタッフとして、アルバイト経験を積んできた。子どものころ、旅行先でホテルに足を踏み入れた時の非日常感が好きで、「いつまでも人の記憶に残る場所」で働きたいと思っていたという。

「常連のお客さまから『いつも頑張っているね』などと、声をかけていただくたびに、お客さまにより心地よいサービスを提供できるようになりたい、と思いました。数あるホテルの中でも、ホテル インターコンチネンタル 東京ベイを運営する株式会社ベストホスピタリティーネットワークは、採用担当者も若手の方が多く、これからもホテルをどんどんよくしていこうという勢いを感じました」

入社するとフロント業務に配属され、チェックインやチェックアウト、お部屋からの問い合わせ対応など、お客さまの宿泊全般に関するサービスを担当。7月中までは「トレーニー(研修生)」というバッジをつけ、上司や先輩に業務を教わりながら仕事を覚えていった。一人前のホテルスタッフとしてお客さまの前に立つのは8月。毎年この時期には、東京湾の華火大会が開催され、部屋は常連のお客さまで満室になる。新入社員にとっては、初めての大イベントになるという。

「ホテルの全スタッフが、毎年いらっしゃるお客さまのお顔とお名前を把握している中、一目見て名前が出てこないのは私だけでした。フロントでは、チェックインにいらっしゃるお客さまのお名前を、隣についた先輩が耳元でささやいて伝えてくれるのですが、毎年当ホテルをご利用いただいているお客さまに失礼があってはならないと緊張しっぱなし。一日を終えた時の疲労感と安堵感を今でも覚えています」

年末年始にも、お正月をホテルで過ごす常連のお客さまで満室となり、フロントは再び緊張感に包まれる。実践的な接客経験を重ね、2年目、3年目には「いつもよくしていただいて、このホテルに宿泊するたびにお話しするのが楽しみです」と常連のお客さまから声をかけられるようになっていった。

現在は、フロント業務のスーパーバイザー(SPV)として、20階以上の特別フロアの部屋に宿泊するお客さまへの対応をメインで行うほか、フロントスタッフが接客でわからないことが出てくれば、次に何をすべきか指示を出すなど、臨機応変な現場判断も飯塚さんに任されている。お客さまからのクレームやトラブルが生じた際には、責任者として謝罪することも多いため、現場経験に加え、お客さまとの距離感、お客さまが何を要望しているのかを瞬時に理解する力など、総合的なコミュニケーション力が必要とされる。2014年からSPVに配属された飯塚さんだが、実はその前の2年間は、ホテルの現場から離れていたという。

「5年目に退社し、サンディエゴ(アメリカ・カリフォルニア州)で語学留学とインターンシップを経験していたんです。フロント業務をしている中で海外のお客さまとコミュニケーションをとる機会が増え、自分の語学力に限界を感じるようになりました。20代のうちに英語力を磨こうと、語学留学ののち現地のコンサルティング会社でインターンシップを経験。帰国後に当社から『これまでの経験を生かして、SPVのポジションで働かないか』とオファーがあり、ありがたく引き受けることにしました」

SPVになると、自分が直接対応していないお客さまに対しても責任を持つ必要が出てくる。出勤するとまず、夜勤スタッフからの引き継ぎ内容に目をこらし、その日に起こりうる可能性のあることをすべてシミュレーションするという。

「例えば、お部屋の準備が整っていない時間帯にお客さまがご到着の際に、どの部屋なら即お通しできるかを判断するのもSPVの役割。お通ししたお部屋に不備があれば、その時点で空いている部屋はどこで、どちらの部屋になら変更できるかなど、“ルームコントロール”の全責任を持っています。今日は何組のお客さまのチェックイン、チェックアウトがあるのか、事前にわかる情報はできる限り頭に入れ、急な対応にも焦ることがないよう準備します。あらゆる要望や問い合わせが集中するフロント業務は、いわばホテルの中枢。フロントサービスのレベルアップがホテル全体の質向上につながると考え、スタッフのお客さま対応について気がつくことがあればすぐアドバイスをするようにしています」

ホテルスタッフとして日々心がけているのは、お客さまとの適度な距離感。名前を覚えてもらったり、こんなことをしてもらったと個別に感謝されることはうれしいが、スタッフはあくまでも“ゲストのサポーター”だと飯塚さんはいう。

「大切なのは、滞在中に心地いい時間を過ごせたかどうか。われわれスタッフに求められることがあれば迅速に丁寧に対応しますが、過剰にならないよう、あくまでもさりげなく。滞在を終えて振り返った時に『あのホテルは、過ごしやすかったな』『そういえば、スタッフの対応もよかったな』と、少しだけ思い出してもらえるような存在でありたいですね」

今後、スタッフへの教育とともに、自分が長く働き続けることで、「女性がホテルスタッフとして活躍し続ける」道を示す側でありたいと話す飯塚さん。

「24時間365日、お客さまを迎え入れるホテルは、仕事内容によっては日勤も夜勤もあり、休みも不規則。私自身、働き始めた当初は、結婚や出産を経て続けるのは難しい仕事というイメージを持っていました。でも、働き方は選べますし、何より、女性として人生経験を積むことで、ご夫婦やお子さまを連れた方など、あらゆるお客さまへの応対に細かな気遣いができるようになります。現場経験を積んだ女性スタッフの活躍の幅を広げていけるよう、私が背中で見せていければと思っています」

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フロントに立ち、お客さまのチェックイン、チェックアウトに対応。外国人のお客さまも多く、いまや英語でのコミュニケーションは必須。

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20階以上に宿泊するお客さまが利用する「クラブラウンジ」にて、お客さまの宿泊情報などをチェックする。

飯塚さんのキャリアステップ

STEP1 入社1年目、フロントに配属

入社前の内定者研修を経て、4月からフロントスタッフとして配属され、日勤で接客にあたる。ホテル インターコンチネンタル 東京ベイには、宿泊に関するサービスを提供する部署のほか、レストランやラウンジなどの料飲に関する部署、婚礼・宴会・宿泊の営業部署、調理を担当する部署の大きく4つがある。「お客さまからは日々さまざまな要望を頂きますが、サービスの一環としてどこまでお客さまの希望に沿えるかの判断は難しい。柔軟性のある対応とともに、時には“できないこと”もきちんと伝えなくてはならず、言葉の選び方にはいつも気を配るようになりました」。

STEP2 入社3年目、日勤と夜勤を交互に行うようになる

仕事内容は変わらないものの、夜勤業務が加わり体調管理も仕事の重要な要素に。常連のお客さまから声をかけられることも増えていった。「以前、常連のお客さまから『いつもの(価格には含まれていない)サービスを』とお願いされ、特別扱いはできないと判断しお断りした際、『今までは対応してもらっていたのに』と強く叱られたことがありました。その翌年、同じお客さまから『ホテルのスタンスとして、できないことはできないと言えるのも、スタッフとして立派な仕事ですよね。あの時は申し訳ありませんでした』と言っていただいたのです。お客さまへのフラットな姿勢を評価していただいた気がして、とてもうれしかったですね」。

STEP3 入社5年目に一度退社し、語学留学とインターンシップのため渡米

語学力のなさから、外国人のお客さまへの対応に自信が持てず、語学留学を決意。20代のうちに帰国できるタイミングを選んで渡米した。留学経験のある上司から「現地で職業経験を積んだ方が、語学習得の切迫感が増して絶対に力になる」と助言され、インターンシップに参加することに。「現地のコンサルティング会社で人事業務をさせていただき、実践的な語学力が身につきました」。

STEP4 帰国後の2014年、フロント業務のスーパーバイザーとして再入社

帰国後、スーパーバイザーのポジションでオファーを受け、ホテル インターコンチネンタル 東京ベイに再入社。「他企業に転職する道も考えましたが、愛着のある組織で、経験を生かした職種に就く方が成長は早いだろうと思いました。一度、外に出たからこそ、いいところも悪いところも客観的に見られます。その視点をサービス向上に役立てていきたいですね」。

ある一日のスケジュール

6:00 起床。
8:00 出社。フロントの裏にあるオフィスで、夜勤担当者の引き継ぎシートに目を通す。
8:30 「クラブラウンジ」で、20階以上に宿泊するお客さまのチェックアウト業務を担当。随時、お客さまからの問い合わせに応対。
11:00 チェックアウトされていないお客さまに連絡を入れる。
13:00 社員食堂で昼食。サービスが滞らないようスタッフは順番に休憩に入る。
13:00 グループミーティング。メンバー間でスケジュールや進捗の共有。
14:00 フロントに立ち、チェックイン業務を行いながら電話応対。
18:00 チェックインされていないお客さまを確認し、夜勤担当者への引き継ぎシートにもれなく記載。
18:30 退社。
21:00 夫と二人で夕食。
24:00 就寝。

飯塚さんのプライベート

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業務中は座りっぱなしか立ちっぱなしなため、休日はヨガで汗をたっぷりかいてストレス発散!

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自宅で過ごす休日は、友人からもらったコーヒーマシーンでコーヒーを飲み、カフェ気分。近くのデパートでコーヒーカプセルを購入するのが楽しみの一つ。

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料理のレパートリーを増やすべくレシピ本はよく購入する。料理以外にも、社会で活躍している女性の生き方や仕事観に関する記事も多く、刺激を受ける。

取材・文/田中瑠子 撮影/鈴木慶子

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