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掲載日:2012年10月29日

Vol.149 コンビニ編

震災による業績への影響は軽く国内市場は堅調。今後は海外展開と、新規顧客層の掘り起こしが鍵に

東日本大震災を機に、従来はコンビニと縁遠かった中高年・主婦層の来店客が増加。各社は高付加価値志向のPB商品を拡充するなどして、これらの層へのアプローチを強化している。

社団法人日本フランチャイズチェーン協会によれば、2011年における同協会正会員10社の全店売上高は8兆6769億円。対前年比で8.2パーセント伸びた。特筆されるのは、09年、10年は微増にとどまっていた既存店ベースの売上高が、6.1パーセントも拡大したことだ。11年3月の東日本大震災発生直後は来店客数が落ち込んだが、その後は日用品や食品のまとめ買い需要で挽回。特に、従来はコンビニと縁遠かったシルバー層や主婦層から利便性・品揃えの良さなどを評価され、新たな顧客層の開拓に成功したのが大きかった。また、電力不足に伴う外出回避などによって中食(なかしょく)や内食(うちしょく/ないしょく)をする人が増え、総菜・生鮮食品などの売り上げが伸びたことも好業績を後押しした。

11年12月末時点の国内店舗数は、対前年比2.4パーセント増の4万4403店。国内での出店は飽和状態に達しつつあるという見方もあるが、12年に入ってからも国内の新規出店は順調だ。また、これまでコンビニがなかった駅構内、オフィスビル、大学、病院などに出店するケースも増加。今後しばらく国内の出店数は伸び、各社の業績も堅調に推移するはずだ。

ただし、国内市場では人口減少・高齢化が進んでおり、既存の主要顧客だけをターゲットとし続けると、いずれは成長が鈍化すると考えられる。そこで、こうした日本社会の変化に合わせた店舗展開、商品開発、顧客ニーズの取り込みを進めることが、各社の成長への鍵だ。例えば、セブン-イレブンの「セブンプレミアム」、ローソンの「ローソンセレクト」といったPB商品では、高付加価値や安全性を訴求する商品が増えている。こうした動きは、新たにコンビニの顧客に加わったシルバー層・主婦層を意識したものだ。また、共働き夫婦などをターゲットに、生鮮品・冷凍食品の品揃え強化を行うコンビニも少なくない。

他業界との提携により、新たな顧客層の掘り起こしを目指すケースもある。例えば、ローソンは調剤薬局大手のクオールと08年12月に業務提携契約を締結。13年度末までに、調剤薬局併設型コンビニを100店舗開設する目標を立てている。ほかにも、コーヒー店、レンタカー店、郵便局、ガソリンスタンドなど、さまざまなタイプの共同店舗がオープン。これからも、異業種との提携は模索が続くだろう。

海外展開も活発だ。すでに15カ国・地域に展開しているセブン-イレブンは、米国・中国を中心にさらに出店攻勢を強化。ファミリーマートは中期経営計画の中で、海外市場の利益貢献度を15年度時点で20パーセントまで引き上げる目標だ。また、海外進出には比較的出遅れていたローソンも、12年度に中国で400店、インドネシアで100店の出店を予定。尖閣諸島問題の動向など先行きの懸念はあるものの、各社ともに、アジアの新興国市場を中心とした出店ラッシュを続けている。

【押さえておきたい情報をピックアップ!】

コンビニ業界志望者が知っておきたいキーワードとは

ドミナント戦略 Dominantとは、「支配的な、優勢な」という意味。全地域にまんべんなく出店するのではなく、多くの来店客が期待できる特定の地域に集中出店する戦略のこと。物流の最適化、その地域でのシェア向上による認知率向上などが期待できる。
PB Private Brand(プライベート・ブランド)の略。コンビニなど小売業者が企画し、メーカーに生産を依頼した独自ブランドのこと。従来は価格で訴求することが多かったが、このところ、高付加価値PB商品を拡充するコンビニが増えている。
CRM Customer Relationship Managementの略。顧客満足度を高め、顧客との長期的な絆を重視する手法のこと。POSや、セブン-イレブンの「nanaco」やローソンの「Ponta」などのポイントプログラムを活用して顧客ニーズに合った商品を提案するのは一例。
中食/内食 「中食(なかしょく)」とは、弁当や総菜など、家庭外で調理された食品を持ち帰って自宅で食べること。「内食(うちしょく/ないしょく)」は、家庭内で調理された食事をとること。「外食」に対応して作られた言葉。

【このニュースだけは要チェック!】

セブン-イレブンの四国進出が話題に

・セブン-イレブン・ジャパンが、13年春をメドに四国に初出店すると発表した。四国4県で、18年度末までに520店を出店する計画。これまでセブン-イレブンはドミナント戦略を強く志向し、同地域を「空白県」としていたが、今後高齢者や女性の来店客が見込めると判断した。(2012年9月9日)

・ファミリーマートが、タイの小売大手セントラルリテイルと合弁契約を締結。12年8月末時点で、ファミリーマートはタイで746店舗を展開しているが、この合弁契約締結により、今後5年で1500店舗、10年で3000店舗体制を目指しているという。(2012年9月27日)

この業界の指南役
日本総合研究所 研究員 千葉岳洋氏
日本総合研究所 研究員 千葉岳洋氏
一橋大学社会学部社会問題・政策課程卒業。専門は、国際会計、経営管理・グループ経営改革、グローバルマーケティング、グローバルサプライチェーンマネジメント。製造業を中心として、グローバルを共通テーマに、マーケティング・会計・業務改革などを幅広く手がける。米国公認会計士。
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取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか デザイン/ラナデザインアソシエイツ

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