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掲載日:2013年1月7日

Vol.157 広告編

外国企業の買収などにより海外進出が活発化。インターネット広告の成長にも注目が集まる

「テレビや新聞で注意をひいてスマートフォン向けサイトに誘導する」など、既存メディアとモバイル端末などを連動させた広告手法は、今後の主流になるとみられている。

広告会社にとって最大の収益源は、テレビ・新聞などのメディアから広告枠を仕入れ、企業などに販売する際の手数料。また、広告制作・商品設計・企業イメージの構築などにまつわるコンサルティングサービスも、大きな収益の柱である。

日本の広告市場は、アメリカに次いで世界2位の規模。また、電通と博報堂DYホールディングスの2社だけで、国内市場の40パーセント程度を占めている状態だ。だが、日本の広告会社が国内市場に特化してきたため、大手2社といえども、世界市場での存在感は大きくない。国内最大手の電通でさえ、世界トップのWPPグループに比べると、売上総利益(売上高から売上原価を差し引いたもの。粗利のこと)で4分の1程度だ(下表参照)。

ここ数年、国内の広告市場は低迷が続いている。電通が公表している「2011年(平成23年)日本の広告費」によると、日本の総広告費は07年の7兆191億円をピークに、08年6兆6926億円、09年5兆9222億円、10年5兆8427億円、11年5兆7096億円と、4年連続で減少。総広告費の約半分を占める4大マスメディア(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)の広告費も、やはり4年連続でマイナスとなった。今後も、4大マスメディアへの広告出稿は、頭打ちの傾向が続きそうだ。

そこで各社は、海外進出の取り組みを本格的に進めている。焦点になっているのは、海外進出を進めている日本企業の、海外における広告出稿を手助けする案件だ。ただし、国内の広告会社には、海外でのノウハウが不足気味。そこで大手を中心に、海外広告会社の買収や提携、現地子会社の設立によって海外ネットワークを強化する動きが広がっている。中でも積極的なのが電通。米国・中国においては、現地子会社の設立や、現地企業への出資を実施。イギリス・インドでも、企業買収を通じて徐々に存在感を高めている。12年8月には、世界第8位の広告会社イージスグループを約4000億円で買収すると発表して話題になった(ニュース記事参照)。

4大マスメディア以外への進出も、各社にとって大きな課題だ。とりわけ、インターネット広告への対応は重要。前出の「2011年(平成23年)日本の広告費」によれば、11年のインターネット広告費は東日本大震災の影響をはねのけ、対前年比で4.1パーセントのプラスとなった。今後は、マスメディア向け広告とスマートフォン・タブレット端末向けの広告を連動させるなど、インターネットを駆使した手法がさらに増えていくだろう。なお、インターネット広告市場は、中小規模の企業が割拠する競争の激しい市場。企業同士の合従連衡や、大手広告会社による買収などが起こる可能性が高いため、関連ニュースにはぜひ注目しておきたい。また、電車や駅構内、エレベーター内、街頭など家庭以外の場所で展開されている「OOH(Out Of Home)メディア」も、将来的には市場の拡大が期待できる分野だといえる。

【押さえておきたい情報をピックアップ!】

海外ビッグプレイヤーの売上総利益は、国内大手をはるかに上回る

1位……WPPグループ
(本社ロンドン)
2011年売上総利益……約1.兆3000億円
2位……オムニコムグループ
(本社ニューヨーク)
2011年売上総利益……約1兆1000億円
3位……パブリシスグループ
(本社パリ)
2011年売上総利益……約6000億円
4位……インターパブリックグループ
(ニューヨーク)
2011年売上総利益……約5600億円
5位……電通
(東京)
2011年売上総利益……約3300億円

※各国通貨からの換算レートは、2011年の期中平均値(Principal Global Indicators)を使用

【このニュースだけは要チェック!】

海外進出の動きが拡大

・電通が、世界8位の広告会社である英イージスグループの買収を発表。同社は電通の3倍近い80カ国に拠点を持ち、各国で主要メディアの広告枠を買い付けてきた実績を持つ。買収により、電通の海外売上比率は従来の1割台から、約4割に高まる見込み。(2012年7月12日)

・博報堂DYホールディングスが、中国・上海に研究拠点「博報堂生活綜研(上海)」を開設。顧客企業のマーケティング活動に役立てるため、中国における消費者動向の調査を開始した。中国をはじめとするアジア地域で、企業の広告需要は大きいと判断した模様。(2012年5月31日)

この業界の指南役
日本総合研究所 コンサルタント 田中靖記氏
日本総合研究所 コンサルタント 田中靖記氏
大阪市立大学大学院文学研究科地理学専修修了。専門は、新規事業・マーケティング・海外市場進出戦略策定。鉄道・住宅・エネルギー等、主に社会インフラ関連業界を担当。また、インド・ASEAN市場開拓案件を数多く手がけている。
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取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか デザイン/ラナデザインアソシエイツ

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