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掲載日:2010年2月22日

Vol.34 半導体メーカー編

景気動向にあわせ的確な設備投資が求められる業界。各社の技術力の指標である「微細化」に注目を

従来の日本企業は設計から製造を一貫して行ってきたが、現在では、資金力やリスク分散の観点から海外のファウンドリー(半導体生産会社)に委託する動きが盛んになっている。

半導体は、コンピュータや携帯電話などの情報機器はもちろん、家電や自動車など非常に幅広い電気製品に使われている。電気製品の価値を高めるためには不可欠で、「産業のコメ」とたとえられるほど重要な産業だ。

景気拡大期には電気製品の生産が増えて需要が急拡大するが、景気後退期には急激な需要減に見舞われることも少なくない。一方、半導体の世界では日進月歩で技術革新が進んでおり、競争力強化のためには巨額の設備投資や絶え間ない技術研究が必要だ。特に汎用メモリの分野では、技術の進化によってウエハー(シリコンなどの半導体素材を円盤状にしたもの)が巨大化するのに従って、巨額の設備投資が求められる。そうした業界特性から、「需要の拡大→各社が設備投資→大量のメモリが生産→生産過剰による価格下落」という流れが起こりやすい。こうした半導体業界特有の激しい浮き沈みを、「シリコンサイクル」と呼ぶ。

WSTS(World Semiconductor Trade Statisticsの略。世界半導体市場統計)は、2009年における世界の半導体市場規模を2201億ドル(20兆8200億円)と予測。これは前年比11.5%減という厳しいもので、不況の影響をもろに受けた結果だ。ただし、10年の市場規模は前年比12.2%増の2469億ドルと、08年の水準まで回復すると考えられている。各社は、現在の回復基調に対応し、不況時に控えていた設備投資を再開させる必要があるだろう。ただし、需要を読み誤ると、巨額の設備投資費が回収できずに赤字に陥る危険性も高い。景気の先行きや競合他社の動向を的確に見通す力が、各社の命運を握りそうだ。

業界再編の流れにも注目が必要。1990年代前半に世界市場をほぼ独占していた日本の半導体産業だが、IT不況や欧州・韓国メーカーの攻勢でシェアを大きく失い、競争力を再び高めるため2000年代前半に大再編を行った。その後も、08年にソニーが最先端半導体の生産設備を東芝に売却、09年にはNECエレクトロニクスとルネサス テクノロジが事業統合を発表するなど、再編の動きは収まっていない。特に、台湾企業と協力体制を築いて韓国メーカーに対抗しようとする動きもある。

次世代の半導体を開発するための技術力も、引き続き大切だ。特に、半導体の回路の線幅を狭くする「微細化」が、ますます重要な指標になりそう。微細化できれば、ウエハー1枚から取れる半導体の個数が増えて製造コストが下げられ、さらに性能の向上や消費電力の低下も期待できるからだ。現在、DRAM分野では回路線幅30ナノメートル(ナノは10億分の1)、フラッシュメモリ分野では25ナノメートルの製品が実用化されつつある段階。各社は、微細化技術で先行することが競争力拡大に直結するとみて経営資源を集中させており、今後の動きにも細心の注意が必要だ。

【おさえておきたい情報をピックアップ!】

主な半導体の品目を知っておこう

DRAM Dynamic Random Access Memoryの略。コンピュータのメインメモリのほか、デジカメ、テレビなどの記憶装置として利用される。電源を切ると、記憶内容はすべて消去される。
NAND型フラッシュメモリ コンパクトフラッシュ、SDメモリーカードなどのメモリーカードメディアに広く利用されている。消去や書き込みの速度が速く、大容量化に適した仕様となっている。
SSD Solid State Driveの略。フラッシュメモリを用いた記憶装置の一種。ハードディスクより小型・軽量化が容易で消費電力が低いため、ネットブックなどへの採用が進むとみられている。
システムLSI 超多機能な集積回路のこと(LSIとはLarge Scale Integrationの略)。デジタルカメラ、携帯電話、携帯用音楽プレイヤー、自動車の電子装置などに組み込まれている。

【このニュースだけは要チェック!】

業界再編関連のニュースは見逃せない

・NECエレクトロニクスとルネサス テクノロジが、事業の統合を正式発表。新会社の名称は「ルネサス エレクトロニクス」。統合後の売上高は、国内では東芝を抜いて首位、世界では3位に躍り出ると報道されている。(2009年9月16日)

・エルピーダメモリが台湾の華邦電子(ウィンボンド・エレクトロニクス)との提携を発表。DRAMの生産技術を供与するとともに、生産を委託する。これでエルピーダメモリは台湾メーカー4社と提携したことになり、韓国のサムスン電子などへの対抗軸を形成。(2009年11月11日)

この業界の指南役
日本総合研究所 研究員 山浦康史氏
日本総合研究所 研究員 山浦康史氏
慶應義塾大学大学院工学系研究科修士課程修了。通信・メディア・テクノロジー分野を中心とした様々な業界における経営戦略・計画策定、事業性評価、新規事業展開支援、R&D戦略策定支援などのコンサルティングに従事している。
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取材・文/白谷輝英 撮影/加納拓也 イラスト/坂谷はるか デザイン/ラナデザインアソシエイツ

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