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人事部長インタビュー

テレビで見たことがある、なんとなく知っている。。。学生の皆さんの企業選びは「企業イメージ」からスタートすることが多い。しかし消費者目線で知りうる情報は、ビジネスの世界のほんの一部。知名度の高い企業も、実は国内外の厳しい競争を生き抜いてこそ、 今があるのだ。そこで、この特集では、各社の人事部長に、今後の経営戦略・人材戦略をうかがった。どんな人に、どう活躍してほしいのかは、今後注力する分野と密接にかかわる。自分の持っていた企業のイメージと照らし合わせながら、社会人として活躍するヒントを探ろう。

更新日:2018年4月2日

Vol.34 三菱電機株式会社 専務執行役 取締役 大隈信幸さん

「総合」ではなく、それぞれの事業が世界ナンバーワンに

現在、三菱電機が最優先する戦略は、グローバル展開の強化です。まず目指すのは、2015年までに海外売上比率40パーセントを達成すること。現在、海外売上比率は約33パーセント。5年ほど前に30パーセントでしたから、それは、決して非現実的なことではありません。これまで国内を中心に培ってきた力をグローバルな舞台で発揮する、今、まさにそういう転換期に来ているのです。

では、それに向かって何をするのか。「強い事業をグローバルでより強く」することが、その主軸です。

当社の事業の基盤は、10の領域からなる事業本部にあります。電力システム、交通システム、ビルシステム、ファクトリーオートメーション(FA)システム、自動車機器、空調システムなど、その領域は多岐にわたり、それが当社が「総合電機メーカー」と言われるゆえんでしょう。しかし、まずは「総合」という枠組みを外し、それぞれの事業が世界ナンバーワンになっていくことが重要だと考えています。

主戦場は、発展著しい中国。そしてインド、インドネシア、ベトナムといったアジア諸国。南米でいえばブラジル。欧州ではトルコ。このように新興国が中心です。新興国では、人口が増加する「人口ボーナス」を持つ市場への期待感だけでなく、社会インフラがまだ十分に整備されていないため、電力、交通、ビル、FAなどの大型システム案件のほか、生活水準の向上を背景としたエアコン、冷蔵庫といった家電の需要も急増しています。

一方、欧米を中心とした先進国では、環境負荷の低減を目的に、発電効率をよくする、従来は必要だったエレベーター用の機械室をなくし、ビルのムダなスペースをなくすなど、既存の施設、設備のリニューアルの需要が高まっています。

このようにニーズは国や地域によって異なりますが、電力システム事業では発電、送変電、配電と高効率・低環境負荷などトータルシステムの提供、ビルシステム事業では高い安全性と信頼性を担保した最先端の駆動・制御技術による省エネ実現というように、それぞれの事業が100年かけて培ってきた強みを発揮することに注力します。そして、「Changes for the Better」という当社のコーポレートステートメントの通り、常に革新に挑み、最適なソリューションの提供によって、グローバル市場の中でナンバーワンになる。それが、三菱電機の10年後、20年後の姿だと考えています。

誰もがグローバル事業の担い手となる準備が必要

それぞれの事業がそれぞれの市場で戦う相手は、例えばFAシステムでいえば、シーメンス、ロックウェルというようなグローバル企業が中心です。彼らと戦い、勝っていくためには、当社のグローバル化を支える人材の確保・育成を急がなければなりません。

もちろん各国各地域のことは、そこで育ち、学んだ現地人材がより深く理解しています。各国事業の現地化、現地人材化を進めるためには、各国で採用した現地人材の育成が喫緊の課題です。

一方で、やはり「内なるグローバル化」、つまり日本人社員のグローバル人材化も欠かせません。三菱電機が培ってきた先端技術のみならず、大切にする組織文化や理念をグローバルでも紡いでいくことが重要だからです。

当社では、グローバルコース、国内コースというような明確なコース分けを行っていません。最終的には国内でずっと過ごす人もいますが、総合職は海外に赴任する可能性が常にあります。どんな企業にいても、これから海外事業の比率はどんどんあがっていきますし、たとえ本人は「一生国内で過ごしたい」と思っていても、担当するお客さまや取引先が海外に出て行けば、海外とのかかわりは増えていかざるを得ません。当社のFAの国内担当の営業でも、お客さまの工場が海外に移転すれば、それとともに現地での展開を考えることになるのです。

ですから今後は、誰もがグローバル事業の担い手となる準備をしなければなりません。

では、その担い手としてのグローバル人材とは、どんな人材なのでしょうか。当社ではそれを、「心・技・体」という言葉で表現しています。

「心」とは、勤務地に拘泥(こうでい:こだわること)しないこと。国内でも、海外でも力を発揮したい、発揮できるという心構えがまず必要です。

「技」は、国内外で通用する専門性の高い技術、スキルを指しています。グローバル人材といえば、多くの人が「英語に堪能」というイメージを持ちますが、それだけではこと足りません。仕事で成果を出せることが第一義。そこに少しの語学力が加われば、外国でも人は付いてきてくれます。

そして、「体」。「心」と「技」を支えるためには、タフであることが求められます。

こうした力を備えたグローバル人材を育成するための施策に、今、力を注いでいます。1つのモデルを紹介しましょう。

前述の通り、重要なのは何よりも仕事の専門性です。新卒入社後は、多くの社員がそれぞれの事業本部に配属となり、技術、スキルを高めていきます。この期間は少なくとも3年。基礎的育成期間として、職場の先輩がついてマンツーマンで仕事を教えたり、相談に乗ったりします。

そうしてある程度、専門性の基盤ができたあとは、自ら手を挙げ、それが認められれば、海外OJT研修に参加することができます。これは海外拠点で1年間、語学を学びながら実務を担う制度であり、多様な文化の中で力を発揮するための基礎を築く絶好の機会でしょう。

20代後半以降は、海外駐在の機会も多くあります。現在、世界各国に駐在する社員は約700人。これからはその数がもっと増えていくでしょう。若手での赴任とはいえ、現地に行けば課長など、マネジメント職を担うことがほとんど。大きな責任が伴います。そこで出合う多様な文化を背景とした多様な国籍の人材と連携し、複雑な社会問題に向き合っていきます。自ら周囲に働き掛け、大きな力を生みだし、最後までやり抜く力を養う、絶好の機会でもあります。

そして、40代半ばを過ぎて、また海外赴任するときには、現地法人のトップとして、その国の事業を牽引する大きな役割を担う人も出てくるでしょう。

転換期にある今は、世界に打って出て、活躍するチャンスにあふれています。そして、1人の社員を育成するために、上司や人事が常に真剣に考えるのが、当社の風土。それは今後も変わりません。一人ひとりの成長が、グローバルでの強い影響力を持つ三菱電機の未来をつくる原動力になると、確信しているからです。どんなに大きな社会問題でも、解決の起点となるのは、一人ひとりの強い意志と行動力なのです。

学生の皆さんへ

学生時代に、何か1つのテーマにこだわってみるといいでしょう。それは、スポーツでも、歌舞伎などの文化でも、何でもいいと思います。最初から最後まで一気通貫し、細部にわたって知識を獲得したり、スキルを磨いたりする。ときには失敗もあるはずです。

その分野に精通していくプロセスを通じて、新しい知識や技術だけでなく、それを獲得するための自分なりのノウハウが身につきます。社会に出てから出合う課題に向き合うときに自分は何をすべきか、自分で考える力の基盤となるでしょう。

同社の30年の歩み

1921年、三菱造船電機製作所を母体に、三菱電機を設立。21年〜23年に約1万台の扇風機を生産、24年、2300kVA縦軸型水車発電機を初めて製作するなど、設立当初から重電、家電という幅広い事業領域を持っていた。


1980年
79年度売り上げで、1兆円企業に到達。
オーロラビジョン第一号機を米国ドジャースタジアムに設置。
1983年
国産通信衛星(CS-3)を主契約者として受注。85年に国産大型地球資源衛星〈ふよう1号〉を主契約者として受注。
1985年
新企業スローガン「技術がつくる高度なふれあいSOCIO−TECH」制定。
1987年
汎用コンピュータ〈MELCOM EX860、870、880〉発売。
1989年
89年度売り上げで2兆円企業に到達。
1991年
IBM社、ヒューレット・パッカード社との提携など、コンピュータ事業の基盤強化。
研究所を北米に開設。95年には欧州にも開設するなど、海外での研究開発の基盤づくりを進める。
1994年
アメリカ環境保護庁より「1994年度オゾン層保護賞」が授与される。
1997年
地球環境保護に優れた貢献を評価され、米国環境保護庁より「Best-of-the-Best賞」を受賞。
1999年
業界初のリサイクルプラント「東浜リサイクルセンター」完成、稼働開始。
2001年
焼却炉排ガス中ダイオキシン類の直接分解方式の開発に成功。省エネ、環境関連技術の開発に注力。
2004年
本社・支社を含む全拠点でISO14001取得を完了。
2005年
使いやすさと環境貢献を追求した家電製品群のトータルブランド「ユニ&エコ」を展開開始。
2007年
三菱電機グループ「環境ビジョン2021〜技術と行動で人と地球に貢献する〜」を策定。
トータルセキュリティーソリューション「DIGUARD」により、全社戦略としてセキュリティー事業を強化。
2008年
宇宙通信の国産初国内商用通信衛星「スーパーバード7号機(C2号機)」の打ち上げに成功。
日本のメーカーとして初めて自社性の国産標準衛星バスで、国際商用通信衛星市場に参入。
2009年
環境経営活動の姿勢と取り組みを示す三菱電機グループの環境ステートメント「eco changes-家庭から宇宙まで、エコチェンジ。」を制定。
2010年
スマートグリッドの実証実験開始。
2011年
三菱電機創立90周年。100年企業に向け「グローバルで、豊かな社会構築に貢献する環境先進企業」を目指す。
上海市で建設中の中国最高層ビル「上海中心大厦」(地上632m、2014年竣工予定)向けに、世界最高速となる分速1080mのエレベーター3台を含む、エレベーター106台を受注。
2012年
家庭電器事業部門の新トータルコンセプトとして「スマートクオリティ」を新たに展開開始。
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取材・文/入倉由理子 撮影/刑部友康 デザイン/ラナデザインアソシエイツ

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