いすゞ自動車株式会社 浅井敬夫さん【人事部長インタビュー】

ASEANから中近東、アフリカ、南米…マーケットは世界に広がる

いすゞ自動車は、商用車、ディーゼルエンジンのプロフェッショナルとして、日本をベースとしながら世界各国で事業展開しています。

2011年度からスタートし、今年13年度に最終年を迎える「中期経営計画」では、先進国CV(商用車)拠点である日本、LCV(ピックアップトラックおよびその派生車)拠点であるタイ、新興国CV拠点であるインドネシアの三極をそれぞれ強化・拡大。同時に、この三極をサポートする拠点となる中国・インドでの事業を確立し、そのほかの既存市場での安定ポジション確保と併せ、いすゞ商用車事業の安定化を図ることを骨子としています。

これらの計画は概ね順調に進行中です。特にタイにおいては、11年に投入した新型ピックアップトラックが大変好評であり、12年にバンコク郊外に新工場を建設するなど、当社の海外戦略に弾みをつけています。

ピックアップ以外のトラックについても、インドネシアやベトナムにおいて市場要求にマッチした新型車を投入するとともに、現地でのモノづくり機能・セールスネットワークの構築を進めています。中国・インドにおいても、着実に商品・事業の基盤を固めつつあります。

一方、国内市場においても、震災復興需要の継続などを受け、小型・中型・大型の各車型で売り上げ・利益とも順調に推移。排出ガス規制への対応に加え、圧縮天然ガス(CNG)や液化石油ガス(LPG)など代替燃料を使ったエンジン搭載車のほか、耐久性・信頼性に優れた独自のシステムを持つハイブリッド車など、環境技術面からも評価されています。また、お客さまのビジネスにおいてかけがえのないトラックの稼働を保証するために、販売後のアフターサービス(車の保守・メンテナンスなど)の充実や車両のライフサイクルコスト低減のための提案など、お客さまをソフト面からサポートすることにも力を注いでいます。

今後は、引き続きグローバル三極体制を盤石なものにしていくとともに、中近東・アフリカ・南米といった地域での安定ポジション確保に向けた取り組みも加速していきます。現在の海外売上比率は6割超ですが、海外展開の加速により、この比率は今後さらに高まると予想しています。

新興国市場においてさらなる浸透を図るには、現地のお客さまの求める商品性能と価格の実現、またアフターセールス段階も含めた販売体制づくりが欠かせません。商品面で言えば、以前は、日本をはじめとした先進国向け商品をモディファイ(部分的に改造)し、新興国市場に持ち込むという手法を採用してきました。しかし、本気で現地ブランド車と戦い「世界で勝ちに行く」には、現地の経済状況や現地での使い方に合ったものを一から開発する必要があり、現在、開発のプロセスから見直している最中です。各国のお客さまの元に技術者が出向き、現地でのリアルな使われ方をリサーチしていますが、技術者の想像を超えるような悪路を走り、おびただしい量の貨物を積んでフル稼働しているというケースも多くあり、「技術者が現場を肌で感じる必要性」を実感しています。また、当社の企業理念である「『運ぶ』を支え、信頼されるパートナーとして、豊かな暮らし創りに貢献します」を実現するためには、交換部品の供給やアフターサービス体制づくりも欠かせません。現地のパートナーとも協力しながら、エリアごとのネットワーク構築を積極的に進めています。

世界中の信頼に応えるために。多様な人材が活躍するフィールドがある

グローバル市場を見据え、海外展開に本腰を入れている当社ですが、かといって「グローバルに打って出たい人材ばかりを採用したい」とは思っていません。世界中のお客さまの元に最適な商品とサービスをお届けし、安心してお使いいただくために、社内にはさまざまな機能部署があります。積極的に外へ出て戦える人が力を発揮する部署もあれば、一つのことをコツコツと着実に仕上げていく人が活躍する部署もあります。大事なことは、対人コミュニケーションがきちんと取れること、好奇心や向上心を常に持っていることだと思います。その上で、「いすゞ自動車で働きたい」という熱い意欲が感じられれば、基本的には人物本位で採用しています。

学生の皆さんへ

学生のうちに、「やってみたい」と思ったことをどんどん実行してほしいですね。これほど自由な時間があるのは、学生の時だけだと思います。「これは将来に役立つだろうか」「自分にとってプラスだろうか」などと考える暇があったら、飛び込んでしまった方がいい。

社会人に必要な勉強は、入社してからでも十分にできます。学生の時にしかできない、見識の広げ方があるはずです。後悔のない学生生活を送り切れば、その時に培った見識や経験は、いつかどこかで必ず生きるはずですよ。

同社30年の歩み

創業は1916年、株式会社東京石川島造船所と東京瓦斯電気工業株式会社(いすゞ自動車の前身)が自動車製造を企画したことに始まった。34年には商工省標準形式自動車を伊勢神宮の五十鈴川(いすずがわ)にちなんで「いすゞ」と命名。これがいすゞの社名の由来となっており、49年に商号を現在の「いすゞ自動車株式会社」に変更。第2次大戦の後はトラックを精力的に開発・生産し、戦後の復興に大きな役割を果たす。同時期に海外展開も開始。以後、小型から大型までトラックとバスを次々と開発・生産。59年には、現在の主力商品である「エルフ」を発売。70年には中型トラック「フォワード」、95年には大型トラック「ギガ」を投入している。
1985年
乗用車「FFジェミニ」を発表。
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1990年
株式会社いすゞ中央研究所を設立。5 年から10 年先を見すえた、先行技術の調査・研究開発を担う。
1997年
大型トラック「ギガ」に日本初の4バックエアサスペンションを採用。乗務員の疲労軽減や走行安定性の向上に貢献。
2000年
小型トラック「エルフ」が国内2~3トンクラスのキャブオーバー型トラック市場において、30年連続No.1を達成(一般社団法人日本自動車販売協会連合会およびいすゞ自動車調べ)。海外では「Nシリーズ」として展開し、最新技術の継続投入により、経済性・安全性・耐久信頼性において、世界の多くの国々で高い評価を得ている。
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2002年
ディーゼルエンジン生産累計1500万基を達成。世界最高水準のディーゼル技術を具現化し、小型から大型のエンジンまで世界中のさまざまな地域や用途に展開。
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2004年
テレマティクスサービス(自動車向け次世代情報提供サービス)「みまもりくんオンラインサービス」発売開始。最新の通信技術とGPSを活用し、車両の運行情報をリアルタイムに収集。また、事務所と車両を双方向で結び、リアルタイムの運行管理を可能に。
2011年
ピックアップトラック(D-MAX)のフルモデルチェンジを実施。このD-MAXの前身は70年代のファスター(形式名:KB)にさかのぼる。発売当初は主に、国内と北米向けが中心であったが、その後世界の物流を支え続け、2002年にD-MAXへと進化。05年にはタイ カーオブザイヤー、ベストセラーピックアップ、最優秀省燃費ピックアップを受賞するなど高い評価を受けた。現在ではタイから世界中に輸出され、約80カ国で愛される「ワールドワイドピックアップ」へと成長を続けている。
2012年
6月にインドにピックアップトラックおよび派生車(基本車種の部分変更によって造られた車のこと)の生産販売会社を設立。また、11月にタイで、ピックアップトラック新工場、12月にはいすゞモーターズ・サウジアラビアの工場が開所。

取材・文/伊藤理子 撮影/刑部友康

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