ドイツのベルリンにあるIT企業のIoT(アイ・オー・ティー)(※)スタートアップ(新しいビジネスモデルを開発し、ごく短時間のうちに急激な成長と利益を得ようとする一時的な集合体)にソフトウェアエンジニアのトレイニー(研修生)として参画中。(※Internet of Thingsの略。PCなどの従来機器以外の「モノ」にインターネットを接続し、相互通信を行う技術)
電熱コンロの交換に2カ月かかる
こんにちは。YKです。今回は、私のベルリンでの生活についてお話しします。
ベルリンでの住まいは、赴任前に、すでに現地にいた同じ会社の方に探してもらいました。職場までは電車で約20分。徒歩時間を入れるとドアツードアで30~40分といったところです。電車は空(す)いていていつも座れますが、工事で3週間運休してしまったときは遠回りしなければならず、50分ほどかかりました。東京で言うと山手線に当たるくらいの主要な路線を平気で3週間も止めてしまうのですから、驚きです。
日本と違ってコンビニがないので、夜中におなかが空いても、食べ物を買いに行ったりできません。また、基本的に日曜日はほとんどの店がお休みのため、それまでに買い置きをしていないとひもじい思いをすることに。赴任当初、買い置きを忘れた私は、休日の2日間を水だけで過ごしたこともあります。街中まで出かければ、ファストフード店などもあったし、ガソリンスタンドなら日曜日でも営業していて軽食程度なら買えたはずなのですが、そこまで行く気力すらなかったのです。その教訓を生かして、今は毎週金曜日には仕事帰りにスーパーに寄り、必ず買いだめをするようになりました。何しろドイツには日本のような自動販売機もないのです。
今、困っているのは、電熱コンロが壊れてしまったこと。大家さんに連絡して交換をお願いしたところ、交換は2カ月後になると言われて、たまらず家電量販店でIHコンロを買ってきてしまいました。もちろん自腹です。同様に、借りた部屋には洗濯機がついていなかったので、はじめの2カ月間は毎日手で洗濯物を洗っていました。ところが、手荒れがあまりにひどくなったので、仕方なく500ユーロくらい(約6万9000円・2014年10月現在)出して洗濯機を買うことに…。これも自腹です。しかし、退去時に大家さんに買い取ってもらうことはおそらく難しいでしょう。
こちらの銀行のキャッシュカードを再発行してもらったときも、なかなか届かず困りました。「届かない」と連絡すると、銀行側は「送った」と言い張るのです。結局、再々発行を依頼したところ、今度は1週間ほどでやっと送られてきました。こちらには書留というシステムがないため、キャッシュカードのような重要なものもすべてポストに投函されてしまい、こうしたトラブルもまま起きるわけです。ミネラルウォーターのペットボトルを100本注文して宅配を頼んだときなど、一度、留守にしたら、二度と再配達してくれないことを知り、やむなく友達の車を借りて品物を取りに行ったこともあります。こうしたことがあるたびに、なかなか日本と同じようにいかないのが海外暮らしなのだと痛感させられます。
ケバブ店が多いのはトルコからの移民が多いせい
普段の食事は自炊です。そうめん、うどん、スパゲティ、カレーといったごくごく簡単な料理ですが、自分で作っています。日本の食材はアジアンスーパーで調達できますが、日本では100円台で買えるカップラーメン類が、こちらでは3.5ユーロ(同約480円)と、高くついてしまうのが残念です。
外食するときは、和食かイタリアンが中心になり、ドイツ料理のレストランにはまず行きません。身も蓋(ふた)もありませんが、あまりおいしくないと思うからです。その証拠に、少々、失礼だとは思いつつ、「ドイツ料理、あんまりおいしくないよね」とドイツ人に言うと、皆、たいてい苦笑いして同意してくれます。なお、ケバブの店がやたらと多いのは、トルコからの移民が多数流入していることと大いに関係がありそうです。日本のコンビニ並みにありますからね。
和食のレストランに関しては、「ベルリン内でおいしいところは制覇してやるぞ」という野望を胸に、せっせと食べ歩きをしています。日本人が経営している和食レストランなら、味はまず合格ですが、定食で15ユーロくらい(同約2000円)と、普通の外食と比べて相場は高め。ラーメン店も増えつつありますが、しょうゆ味とみそ味、いずれもドイツ人の味覚に合わせているのか、味が濃過ぎてあまりおいしくないというのが正直なところです。
このように、生活の不具合が決して少なくなく、しかも大好きな和食を食べるのにお金がかかってしまうベルリンでの暮らしを経験すると、つくづく「自分は日本が好きだ」ということを思い知らされます。そういうわけで、まだまだベルリンでの生活を楽しむという境地には至っていませんが、夏に近くの湖で泳いだりしてゆったりと過ごしているときなどは、「ベルリンも悪くないかもな」と感じます。特に夏は、日没が22時半くらいで、朝は3時から明るくなること、日本のように湿度が高くなく快適なことから、気持ちの良い気候を満喫することができました。
次回は、海外で仕事をすることで得られた収穫や、学生時代にしておくべきことについてお話しします。
自宅の様子。約35平方メートルで間取りは1K。
自宅バルコニーから見下ろす風景。冬にはすっかり雪景色に。
レトルトのカレーは、食材の買い置きがなかったときの強い味方だ。
トルコに旅行に行ったとき訪れたトプカプ宮殿。トルコでは、仕事で出張していた旧友と再会して、つかの間のプチ同窓会を楽しんだ。
着実に開拓しつつあるベルリンの和食レストランの料理。
構成/日笠由紀