【イギリス編】発言しない社員は会議に呼ばれないイギリス

Reported by REN
イギリスのロンドンにある日系企業の現地法人の経営に携わる。休日の楽しみは、ゴルフや子どもとのサッカー観戦、オペラ鑑賞など。

かえってネガティブに受け取られる「表敬訪問」

はじめまして。RENです。イギリス・ロンドンにある日系企業の現地法人の経営に携わっています。

ロンドンのオフィスにいる社員のうち、約8割は英国人。そのほかの社員の国籍は30カ国にも上り、日本人はほんのわずかです。したがって、仕事で使う言語は、約8割が英語で、残りの2割が日本語という感覚です。

イギリスでの仕事の進め方で特徴的なのは、社内・社外問わず、目的やアジェンダ(議題)が明確でないミーティングは行わないということ。例えば、日本でよくある「顧客への表敬訪問」「あいさつのための訪問」の類は、こちらではあまり行いません。ビジネス上の明確な用件もなく訪問すると、かえって先方から「何しに来たの?」とネガティブに取られる可能性があるためです。

社内のミーティングについても、日本では議題にかかわる関係者が全員集まって会議をする傾向がありますが、こちらでは深く関係するメンバーしか会議に呼びません。裏を返せば、「会議には出たものの、結局黙って聞いているだけ」みたいな人は会議に呼ばれないということなのです。

また、日本と比べて目先の利益にこだわる傾向が強いと感じます。例えば、やるべき案件が同時期に2つあった場合、より早く結果が出る、つまり早く収入が上がる方に、より注力する人が多いのではないでしょうか。日本では、もう少し長いタイムスパンで比較して、どちらがより重要な案件かを考えることが多いのですが…。加えて、自分にとって重要な業務とそうでない業務とをはっきり分け、それぞれの重要度に応じた真剣さで仕事に臨んでいるスタッフが多い印象も受けます。

3回に1度は部下の机に出向いて会話

仕事をする上で気をつけているのは、メールでのやりとりに頼り過ぎずに、なるべく相手と直接会話すること。言語や文化の違いのためか、コミュニケーション上の誤解が生じやすく、特にメールだとその傾向が顕著だからです。英語で細かいニュアンスを伝えることはとても難しく、驚くほどこちらの意図とは異なる印象を相手に与えてしまうことがあります。だからこそ、「しまった!」と思ったらすぐに電話して直接話し、誤解を解くようにしています。

部下と対面して話すときは、秘書から電話して相手にこちらに来てもらうことが多いのですが、3回のうち1回は自分が向こうに行くよう心がけています。そのように自分から出向く上司はこちらには少ないので、たまに出向くだけでも、部下には好印象を与えるようです。

良好な関係を維持するために、ランチやディナーに誘って、職場以外の異なる環境でコミュニケーションを取ることもあります。8割程度は仕事の話となるため、経費として処理しますが、プライベートの話題が多いときは私用と考え、個人で支払います。原則として、誘ったこちらが払うようにしていますね。

次回は、イギリスの人々の生活習慣についてお話しします。

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オフィスからはテムズ川を見下ろすことができる。

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イギリスといえばパブ。ビジネスパーソンは昼でも軽く飲む程度にビールを楽しむ。

構成/日笠由紀

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